精神科で働く看護師のスキルアップに役立つ資格2選〜資格取得の流れ・費用・合格率〜
今回は精神科で働いている看護師の方向けに、スキルアップに役立つ資格を紹介していきます。看護師として働いていて以下のような悩みを抱えている人はたくさんいます。
・今の仕事内容にやりがいを感じられない
・今よりももっと患者さんの気持ちを理解できるようになりたい
・働きながらスキルアップに繋がる資格を取りたい
・資格取得に余計な時間・費用をかけたくない
看護師として仕事の幅を広げたい、スキルアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
1 精神科で役立つ資格おすすめ度No.1:精神科認定看護師
精神科で役立つ資格の中で最もおすすめできるのが、『精神科認定看護師』です。この資格は精神科で働く看護師に最もおすすめできる資格であり、是非とも取得しておきたいものです。精神科で働きたい看護師も、こちらの資格を取得しておくと就職や転職に有利になります。
1-1 精神疾患を総合的にアセスメントできるようになる
精神科認定看護師制度は平成27年に制度が改正され、より専門性の高い資格になりました。精神科医療が現在抱えている問題に対してトップクラスの知識とスキルを持っている看護師にのみ与えられる資格であり、資格を持っていることで活躍の機会がより一層増えます。
精神科認定看護師制度の最大の特徴は、下記10の専攻領域を1つに統合し、教育カリキュラムをより充実させていることです。そのため、複合的な臨床上の問題を抱えたさまざまなケースに対応できるようになります。
平成27年度の精神科認定看護師制度改正後は、上記10の領域を全て統合し一本化されました。
今後の精神科医療に求められるのは、対象者が抱える複合的な問題に対してさまざまな専門性を活用して総合的にアセスメントできる力です。改正された精神科認定看護師資格をとるということは、これまでの10の領域の専門的に学習し、総合的に判断する力がつくということです。(参照:日本精神科看護技術協会 これからの精神科認定看護師)
1-2 オススメ度No.1の理由は幅広い領域での専門家になれるから
精神科認定看護師を目指すべき理由は、10の精神疾患領域の専門性を身につけることができ、その専門性について日本精神科看護協会から精神科で働く看護師として優れた看護能力があること、そのための十分な知識を持っていることを証明してもらえることです。
これにより、病院内での活動範囲が広がり、昇進にも繋がる可能性が高まります。
1-3 資格取得の流れ
精神科認定看護師の資格取得の流れは以下の通りです。
・受講資格査定を通過する
・精神科認定看護師教育課程を受講する(研修会・実習)
・精神科認定看護師認定試験に合格する
・登録(5年ごとに更新しなければいけないため注意!)
なお、受講資格査定においては通算5年以上の実務経験があり、その5年間で精神科看護の実務経験が3年以上ある必要性があります。また、試験を受ける際は、臨床実務を行っている必要性がありますが、もし臨床実務を行っていない場合は精神科看護に従事する場を1ヶ月で28時間以上行い、それを証明しなければなりません。
1-4 精神科認定看護師になるための費用
精神科認定看護師を目指す場合、以下の費用が必要となります。
・入試検定料:約5万円
・入学金:約5万円
・授業料:約70万円
・実習費:約10万円
・認定審査費用:5万円
・認定費用:5万円
結果として、合計約100万円の費用感です。
1-5 受験資格は厳しいが、合格率は90%前後
受験資格は平成27年度の改正によって厳しくなり、精神科看護の経験が5年以上の方に限られました。
平成27年以前は、精神科看護の経験が3年以上あり、看護師経験が5年以上の方が受験できたのですが、平成27年以降は専門性の高い資格になったと言えます。試験内容は以下の通りです。
・受講資格審査:書類審査と小論文
・認定試験:小論文、筆記試験、口頭試問
認定看護師の合格率は90%前後と非常に高くなっています。実績のある人が専門分野を徹底的に勉強するため、このような高い合格率になっています。合格率が高いから簡単な試験だという訳ではないので、しっかりと勉強するようにしましょう。
2 精神科で役立つ資格オススメNo.2:臨床心理士
続いて精神科で役立つ資格として挙げられるのが、『臨床心理士』です。臨床心理士とは患者さんの相談を受け、相談内容に応じて心のケアを行う専門家です。
臨床心理士は精神科で働く人にとって馴染み深い資格であり、取得しておくとより患者さんに対する心のケアがやりやすくなります。
臨床心理士になるために学ぶこととなる臨床心理学に基づいた知識は精神科で働くにおいてとても役立つものです。心のケアを行うという点では、精神科で働く看護師が取得しておきたい資格の一つだと言えるでしょう。
2-1 おすすめする理由は認知度が高く、時代のニーズにマッチしているから
臨床心理士の資格を取得するメリットは、なんといっても知名度が高く、信頼性が非常に高いことが挙げられます。また、日本のストレス社会が拡大・加速する中で臨床心理士が必要とされる場面は今後も広がり続けるでしょう。
2-2 資格取得の流れ
臨床心理士の資格は内閣府が認可している『公共財団法人日本臨床心理士資格認定協会』が実施する試験に合格しなければなりません。
試験を受験する資格を得るためには、以下のいずれかの条件を満たしていなければなりません。
・1種・2種のいずれかの指定大学院を修了し、なおかつ指定の条件を充足している人
・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した人
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、なおかつ修了後に日本国内で心理臨床経験が2年以上ある人
・医師の免許を取得している人で、免許取得後に心理臨床経験が2年以上ある人
下2つの条件を満たしている人はほんの一部だけなので、基本的には上2つの条件を満たしている人が臨床心理士を目指すことになります。(参照:日本の資格・検定 臨床心理士)
2-3 費用は8万円で合格率は毎年60%~65%
臨床心理士試験に申請する為に必要な書類を入手するのに1,500円、指定審査料で3万円、認定料で5万円が必要です。
臨床心理士の試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験は10月中旬、二次試験は11月に実施されます。臨床心理士の試験は事前に受験申請書類を請求して期限日までに提出していなければならず、期限日を過ぎた場合は受験できないので注意しましょう。
受験申請書類の請求期限は基本的に7月上旬から8月中旬であり、申請書類の提出期限日は7月上旬から8月末までです。
一次試験の内容は選択式であり、基本的に臨床心理士として最低限必要な専門知識を勉強しているかどうかが重要です。心理学における基礎知識や臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助、それらの研究調査の4種類の基本業務の内容も問われます。
その他にも臨床心理士に関する倫理、法律の基礎知識、臨床心理士に求められる姿勢や態度も問われます。そしてさらに心理臨床における一つのテーマについて所定の解答用紙に1,001文字以上1,200文字以内の論述記載をクリアしなければなりません。
二次試験は一次試験における筆記試験で一定水準を満たした人だけが受けられる試験であり、2人の面接委員による個別の口述面接試験が行われます。面接では臨床心理士に求められる姿勢や態度、専門家に必要な人間関係能力などが問われます。(参照:日本の資格・検定 臨床心理士)
3 まとめ
今回は精神科の看護師におすすめの資格を2つ紹介しました。1つ目に紹介した精神科認定看護師は総合的に幅広くアセスメントできるようになるスキルを積むことができる資格です。2つ目に紹介した臨床心理士は知名度・信頼度が高く、時代のニーズにあった資格です。
精神科の看護師としてステップアップしたい方は、ぜひ資格取得を検討してみてください。
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