看護師のためのハローワーク100%活用術と利用上の3つの注意点
転職したい!と思ったら、看護師の皆さんはどこで、どうやって求人を探し、転職しますか?
多くの方は、転職サイトを使って転職するかもしれません。しかし、転職サイトを利用して転職する看護師の方が多いからこそ、あえてオススメしたいのが、
ハローワークを活用した転職活動です!
「えっ?看護師の求人ってハローワークにあるの?」
「ハローワークってイメージ悪い」
という声も聞こえてきそうですが、そう思った看護師のみなさん、地元のハローワークに足を運んだこと、ありますか?
おそらく、噂だけがひとり歩きして、実際に足を運んだことのある人は少ないのではないでしょうか。
看護師全員がハローワークを利用すべきとは思いませんが、著者自身、ハローワークを利用した経験は、社会人として仕事をする上で勉強になったことも多く、看護師採用の仕事に携わるようになってからは、ハローワーク利用が向いている看護師がいることにも気付かされました。
今回は、著者自身のハローワーク利用経験から得た、ハローワーク利用が向いている看護師の特徴と、看護師のためのハローワーク活用術と注意点をまとめてみました。
「ハローワークって看護師が行ってもいいの?」と心配に思っていたら、ぜひ記事を読んでから行く・行かないを検討してください!
1 行かないなんてもったいない!ハローワークを利用すべきはこんな看護師
ハローワークとは、公共職業安定所のことで、職業紹介や雇用保険業務などの窓口を担う、国が運営する雇用・職業紹介サービスです。
民間の転職サイトとは異なり、ハローワークは求職者の紹介手数料を雇用事業主から受け取ったり、求人掲載費用をもらうことはありません。そのため、採用にかける費用を抑えながら応募を募りたい雇用主にとっては、ありがたいサービスでもあります。
これまでの著者の経験から、ハローワーク経由で採用し、活躍している看護師の方は、まさに「ハローワークを利用すべき看護師」であることが分かったので、下記のような看護師の方はハローワーク利用をするほうが、自分にぴったりの職場を見つけやすいと思っています。
1-1 地域密着の職場で働きたい看護師
家から通える範囲で、地元密着の職場で働きたい看護師は、ハローワーク利用がオススメです。なぜなら、ハローワークの求人には地元密着の企業や医療機関・施設などの求人が多数掲載されているからです。
例えば、地域から信頼の厚い医師がいるクリニック、地域密着の在宅診療クリニックや訪問看護ステーションなどは、地域住民の健康・療養をサポートする身近な存在であることから、地元出身で、地域の特性やライフスタイルなどを理解している看護師を募集したいとなれば、地場に強いハローワークへ求人を出します。
著者が知る、A訪問看護ステーションでは、管理者の意向であえて大手転職サイトに求人を出さない手法を取っていました。管理者としては「地域の課題を理解し、利用者様の療養を支え、地元を一緒に盛り上げていける看護師の方に来てほしい」という思いがあるため、あえて地元以外の方も多く登録しているような大手の転職サイトに求人は出さないようにしているとのこと。
このように、地域密着の社風や地元愛のある方は、ハローワークの求人で理想に叶う職場が見つかるかもしれません。
1-2 行政機関や公的機関で働きたい看護師
行政機関などの求人が出ているケースが多く、行政や公的機関で看護師として働いてみたいと考えている方には、ぜひ求人リサーチをハローワークで実施してほしいと思います。
例えば、法務省管轄の更生施設、市役所等の職員(母子保健課や高齢者支援課など)、または市区町村が管轄する社会福祉関連施設の相談員などの求人の掲載もあります(2019年10月4日現在)。
病院やクリニックといった施設以外で働きたい、公務員として働いてみたいという看護師にはぴったりです。
職員の空きがなければ出ない求人であることが多いため、そうした求人が出ているかどうかはタイミング次第ということもあります。しかし、秋冬にかけて募集があり就業スタートが翌年春から、という求人がこれからの時期は多く出ますので、公的機関の看護師を考えているなら、ぜひ今すぐにでもハローワークでの求人リサーチがオススメです。
1-3 看護師以外の仕事にも興味がある看護師
事務職や営業職など、看護師以外の仕事にも興味があるという方は、ハローワーク利用がオススメです。看護師以外の求人も豊富な上に、業種も比較的広いため、自分の可能性を探るにはうってつけです!
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ハローワークの求人検索では、業種はA~Tに分けた大分類と、それを細分化した中分類、小分類と分けられています。
下記は、その一例として、医療、福祉分野になります。
医療,福祉 | |
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大分類で気になる業種をクリックすると、業種を細かく選ぶことができる。産業分類コード一覧(中分類)から引用
ハローワークは無料で求人が出せるため、業種は本当に多種多様です!自分が今まで考えたこともなかった職業と出会える可能性は十分にあります。
例えば、Twitterではこんなツイートが共感を呼びました。
オッス、おら新卒で救命救急に飛ばされて一年足らずで心折られた元看護師! もう白衣はごめんだと溶接工に転職してカルチャーショックすごくて大変だ!
休憩ってほんとに休んでいいんだな! 舌打ちも嫌みも飛んでこない! 機械は理不尽じゃないし!給料3分の2になったけどもう看護師戻りたくない!
@fromiko0608
引用:ツイナビ話題まとめ, <https://twinavi.jp/topics/lifestyle/5ca5abca-f8d8-49af-83e1-18b8ac133a21> 2019年10月4日アクセス.
未経験からまったく新しい仕事に挑戦できるのか?という点について、職業によっては確かに一定の技術が無いと難しいこともあります。しかし、後述しますが、ハローワークでは職業訓練やセミナーなども充実しているため、未経験から新しい仕事に挑戦しやすいと言えます。看護師以外のジョブチェンジをするなら、ハローワークで求人を探すと、仕事との出会いの幅が広がるでしょう。
2 ハローワークを利用するメリット
ハローワークで求人を探すべき看護師の特性が分かったところで、本当にハローワークでいいの?と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、看護師こそハローワークを利用する4つのメリットがあります!
看護師こそハローワークを利用すべき!4つのメリット
1. 就職相談ができ、公平性な視点からアドバイスをもらえる
2. さまざまなセミナー・講習を安価で受けられる
3. 良い求人と悪い求人を判別できるようになる
4. 子供と一緒でもOK!子育てしながら職探しができる
本章ではハローワークをぜひ活用してほしい!と思う著者から看護師こそメリットがあると思うポイントを解説していきます!
2-1 就職相談ができ、公平性な視点からアドバイスをもらえる
転職サイトや先輩看護師がアドバイスをくれるような就職相談窓口ではなく、あえてハローワークで受けられる就職相談をオススメしたい理由は2つあります。
1つ目は、あなたを「看護師」という色眼鏡で見ることなく1人の「社会人」としてアドバイスをくれるから。
2つ目は、ハローワークの職員は誰とも利害関係が無いから、です。
看護師の仕事の相談なら、看護師の先輩や看護師専門のキャリアコンサルタントにするのが良いと思われがちですが、狭く特殊な医療業界だからこそ、その業界を知らない・看護師のことを詳しく知らない人からのアドバイスが大変貴重であることに気づいている看護師は少ないのではないでしょうか。
あえて看護師という職業に詳しすぎない人からアドバイスをもらう方が、社会人としての一般的な意見をもらいやすい点でハローワークの就職相談はオススメです。
例えば、先輩看護師に相談して「そんなの看護師なんだから我慢しなさい」と言われたとしても、看護師以外の人に相談したら「そんなことを我慢させるなんてあり得ない!」ということもあるかもしれません。
看護師同士の常識が常に正しいとは限りません。
特に、看護師以外の仕事で一般企業への就職を考えている方や、すでに身近な看護師へ相談をしていて、客観的な意見がほしいと思った方は新たな視点を得られる可能性があります。
看護師の教育事業を行う、著者が尊敬するベテラン看護師U氏は「看護師の常識は世間の非常識、世間の非常識は看護師の常識」と良く言っていました。
看護師歴が長い人ほど、視野が狭くならないように看護師以外の人と話す機会を持ち、キャリアの可能性を広げるきっかけになればと思います。
2-2 さまざまなセミナー・講習・イベントに参加できる
ハローワークでは毎月さまざまな講習を実施しています。参加に条件があるものもありますが、誰でも無料で受けられる講座もあります。地域にもよりますが、下記のようなイベントが実施されています(※地域によっては実施していないものもあります)。
- 合同就職面接会
- 職場見学&面接ツアー
- 就職活動講座
- コミュニケーションに関する講座
- 面接トレーニング
- 心理カウンセリング など
面接の練習は、看護師向け転職サイトでも実施されていますが、1回のみ参加可能という条件がある場合もありますので、ハローワークの講座と併用すると面接スキルを高めていけるでしょう。
転職サイトの場合、応募書類の添削や面接対策というような「看護師として転職するための講座」が中心になりますが、ハローワークの場合は「就職・転職をしようとしている求職者」を対象としているため、講座の種類が幅広いことが特徴です。
実施している内容は地域や月ごとに異なりますので、最寄りのハローワークでのイベント内容を確認してみましょう。ホームページだと少し見づらく分かりづらいこともあるので、足を運んでみてほしいと思います。
2-2-1 ジョブチェンジをしたいなら職業訓練の参加も可能
雇用保険を受給している場合、公共職業訓練の対象となり、専門的な知識・スキルを身につけるための職業訓練校への入校も可能です。東京都の場合、都が実施する職業訓練校に試験を経て入校し、就職に向けたスキルアップ講座を受講することもできます。電気、塗装、建築・造園、機械、印刷、情報、ファッションなど科目を選択することができるので、専門職へジョブチェンジをしたい方にとっては有り難い支援でしょう(科目により有料・無料があります)。
また、雇用保険を受給できない方を対象とした求職者支援訓練も実施されています。
現在の自分の今後のキャリア形成、講座によっては有料のものもあるので、預貯金にゆとりがあるか、といったことを総合的に判断し、利用するのも選択肢のひとつです。
2-3 良い求人と悪い求人を判別できるようになる
ハローワークで求人検索をする時は、自ら条件を指定して求人を検索し、応募条件を確認して応募をする流れになるため「この求人は応募してよい求人かどうか?」を察知する力が鍛えられるというメリットがあります。
裏を返すと、ハローワークには悪い求人もあるということになりますが、求人を見てどんな職場なのかを察知するスキルが身につくので、今後転職サイトを利用する場合でも、直接応募で就職活動をする際にも、この“求人アセスメントスキル”は大変役立ちます。
課題を多く抱えている職場は、求人やウェブ上に如実にその「危うさ」が見え隠れしていることが多いです。そのため、求人を見る目=その組織・職場を見極めるスキルを養っておくことで、転職活動の失敗リスクを減らせる可能性があります。
転職サイトを利用すると、このスキルは身につきにくくなります。というのも、コンサルタントが細かく説明してくれるためにどうしても受動的になり「転職サイトが紹介してくれてるのだからこの病院は大丈夫」というように、応募先を多角的に調べ、本当に自分が応募すべきかどうか判断する機会を奪われてしまうからです。
良い求人と悪い求人の具体的な見分け方は追って詳しく紹介しますが、ハローワークでこのスキルを養えることはメリットであると捉えてもらいたいと思います。
2-4 子供と一緒でもOK!子育てしながら職探しができる
子育て中の看護師限定になりますが、育児と両立して仕事が探せるように整備されているのがハローワークのマザーズコーナーです。キッズスペースや子連れで来訪が可能なように整備がされているだけでなく、育児両立が可能な求人を中心とした紹介や、子育て支援に関する情報提供もされています。
マザーズコーナーの規模感は、エリアによって異なる部分はありますが、ベビーチェアや絵本、DVDなど用意されていることが多いようです。また、例えば、郡山のマザーズコーナーではボランティアの方がキッズスペースで子供を見守っていてくれたりするサービスもあります。
民間の転職サイトを運営する人材紹介会社も、全国にこうしたサービスを設けているところはほとんど無いと思いますので、機会があればぜひ活用してもらいたいと思います。
マザーズコーナーの所在地一覧はこちらから
3 看護師のハローワーク利用で注意すべきポイント
看護師こそハローワーク活用を!と紹介してきましたが、ハローワーク利用では特に注意すべきポイントがあります。著者の経験から、下記の3つには特に気をつけてほしいと思いますので、1つずつ解説します!
ハローワーク利用で注意すべきポイント
1. 求人票は絶対に自分で調べつくしてから応募する
2. 職員の対応の質は個人差があることを知っておく
3. ハローワークの前で待ち伏せするスカウトには応じるな
3-1 求人票は絶対に自分で調べつくしてから応募する
当たり前のことですが、ハローワークの求人は特に下調べをしっかりして応募するようにしましょう。
さまざまな求人が豊富にあることはハローワークの利点でもありますが、前述したように悪い求人が紛れこんでいることがあります。具体的には、過去に犯罪を犯した・反社会的な組織とつながりのあるような職場の求人が混じっていることがあります。
著者がハローワークやハローワークと同じく就労支援を行う公的機関をよく利用していた頃、そうした求人を見つけたことがありました。社名を調べると、何度か社名変更を経ているようで、古い社名で検索をすると、過去に重大な犯罪に加担していた疑惑を告発する、元従業員が運営していると思わしきホームページが見つかりました。
元従業員の単なる悪口だったとしても、事件前後の会社の対応などの生々しすぎる記述にゾッとしたこと、さらには就労支援の名の下、そんな会社の求人ですら取り扱いがあることに恐怖したことを今でも覚えています。
しかし、インターネットを使って最低限のスクリーニングをすれば、絶対に入社してはいけないような職場は事前にある程度分かるのが便利な時代です。今回は著者がやっていた「最低限ここだけは調べよう!」という調べ方のコツをお伝えします。
3-1-1 ハローワークでの求人スクリーニング法
実際に「いいな」と思った求人をハローワークで見つけたら、GoogleとYahoo!を利用して検索をしていきます。今回は著者が注意して検索したポイントを10個にまとめました。
3-1-2 質問事項は箇条書きにまとめてハローワーク窓口経由で質問する
上記を実施した上で、質問事項は箇条書きにまとめておき、ハローワークの窓口に確認するようにしましょう。
担当者は1つ1つの求人に対して詳細を知っているわけではありません。そのため、求人内容を確認する場合、職員があなたに代わって事業所に電話をして「いま求職者が窓口に来ていてこんな質問をされているのですが~…」といったように、その場で電話で確認を取る、という確認の仕方になります。
ハローワークの職員は看護師の仕事に精通しているわけではありません。仕事内容の詳細や、専門的な質問がある場合は、職員経由でなく直接聞いたほうが理解が深まるため、職場見学で詳しく質問が可能かどうか、または自分から直接応募先に電話をしてよいか、職員に確認するとよいでしょう。
電話の後、口頭で回答をもらうため、しっかりメモを取るようにしましょう。
ただし、電話で確認になるため、担当者が不在だとすぐに回答を得られない場合もあることをお忘れなく。
3-2 職員の対応の質は個人差があることを知っておく
ハローワークが嫌厭される理由の1つに「職員の対応が悪い」というものがありますが、事実、職員の対応については個人差が非常に大きいことを心得ておきましょう。
「相談しに行ったら上から目線で説教された」「レスポンスが遅い」などなどネガティブな噂もウェブ上では散見されますが、対応の良し悪しは個人差があります。親身に相談に乗ってくれる・テキパキこなしてくれる職員の方もいますので「今日はたまたま相性の良くない職員が窓口にあたってしまった」というくらいの気持ちでいましょう。
いい意味で「期待しすぎないこと」です。
転職サイトが台頭している時代「転職は誰かにサポートしてもらいリードしてもらうもの」という感覚の方もいると思いますが、もともとそうしたコンサルタントが付く転職サポートサービスは、一部の超優秀なプロフェッショナルのためのサービスでした。本来「転職活動は自分の足を使ってするもの」。対応の善し悪しより、こうしたサービスを無料で受けられることへのありがたみを感じたいところです。
3-3 ハローワークの前で待ち伏せする勧誘には応じるな!
最後に、ハローワーク付近で待ち伏せしているスカウト・勧誘には注意するようにしましょう!
ハローワーク付近には、一見感じの良い人が「アンケートに答えていただけませんか?」「お仕事お探しですか?」と声をかけてくることがあります。彼らの多くは保険の営業マンです。断る勇気が無いタイプの人は、なおさら応じないようにしましょう。
保険営業マンは、自ら販売する保険に加入させようとしてくるタイプと、保険営業スタッフとしてスカウトするタイプの2種類います。保険営業は毎月の営業成績が決められている会社もあることから、1件でも多く顧客を獲得するために、営業をかけてくることがあります。
保険営業のスカウトは「お仕事お探しなら、ウチで働きませんか?」という誘い文句のスカウトです。
著者もハローワーク通いをしたときに、実際に会ったことがあります。その時は、年齢不詳の美魔女風の女性営業と、新人女性営業の2名がかりで話しかけられ、なんとなく連絡先を交換しました。
すると、その後幾度も電話で勧誘が続きます。営業として働く気は全く無かったので断り続け、そのうち連絡は来なくなりました。
もし、保険営業に転職してみたいという方はスカウトに応じるのも良い手段かもしれません。著者が知る限りですが、保険営業をしていた女性はコミュニケーションスキルが非常に高く、どこに行っても好かれるタイプの方が多い印象です。
しかし、営業を仕事にする気がないなら、時間を無駄にするだけとなってしまいますので、親切心で応じたりすることのないようにしましょう。
まとめ
看護師のためのハローワーク活用術をまとめてきました。著者の経験も踏まえ、ハローワークならではの利点、注意点なども網羅しました。まずは最寄りのハローワークに足を運んでみてもらい、今の自分の就職活動のスタイルにハローワークを利用することが合っているかどうかを検討してもらえたらと思います。
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