看護師が教える血圧測定の方法と意外と知らない注意点2選
多くの高齢者が毎日のように測っている血圧測定。
その上でとにかく注意しないといけないのは、マンシェットの巻き方と、測定する時間を同じにすることです。
簡単だと思われている血圧測定ですが、巻き方によって誤差が出てしまったり、測る時間が異なることで正確な測定値が計測されないため、方法を知ることが最も重要になります。また血圧は神経や腎臓などの働きに調整されていること、食塩摂取や運動により影響されると知っていると、自身の状態を知るためのバロメーターになります。
測定方法を知り、普段の生活で活かせるようにしましょう。。
目次
1 血圧測定で重要なのはマンシェットの巻き方と、同じ時間に測定すること!
高血圧症や心筋梗塞など循環器疾患の患者さんは、日々血圧測定を行っています。家で行う血圧測定は腕に巻く自動血圧計のタイプと、手首に巻き付けつける2つのタイプになります。
その上で大事なことはマンシェットの巻き方と、測定する時間を同じにすることです。
巻き方に関しては後述に説明します。測定時間を同じにするのは長期的な視点で比較ができるようになるためです。まずは測定方法から見ていきましょう。
1-1 上腕に巻く自動血圧計の方法
特に高齢の方で長い期間血圧測定をされる方に多い、上腕に巻く自動血圧計。心臓に最も近い位置で測定することが可能になるため、より正確な値を知りたい方に適しています。
まずはこちらの方法と注意点をまとめます。
①マンシェットに装着されているマイクロフォンなどのセンサーを上腕に密着するように巻く。
※マンシェットの空気は完全に抜いておくようにする。巻き方は緩すぎないようにし、マンシェットの下縁が腋窩にかからないように巻く。
②測定の際には肘関節を進展させる。
※マンシェットの空気は完全に抜いておくようにする。巻き方は緩すぎないようにし、マンシェットの下縁が腋窩にかからないように巻く。
③排気バルブを閉じ、血圧測定に必要な加圧をした後、バルブを静かに操作しながら排気速度を調整して血圧測定を行う。
※加圧は速やかに行うようにする。血圧が安定しなければ200mmHgまで加圧。安定している場合は普段の血圧+20mmHgとする
④排気バルブを緩めて減圧していく
※加圧は速やかに行うようにする。血圧が安定しなければ200mmHgまで加圧。安定している場合は普段の血圧+20mmHgとする。
⑤表示計に記載されている血圧を手帳などに記録しておく。
※可能なら測定した時間も記入すると尚いい。
1-2 手首に巻く自動血圧計の方法
現在簡単に測定できるため、人気が出ているのが手首に巻くタイプの血圧計になります。操作も簡単で、器械自体も小さいので、自宅で測定するにも場所を取らないため人気です。
まずは方法と注意点を確認していきましょう!
①机を使用し、椅子に座る
※手首の位置が心臓の高さにする。
②カフは素肌の上に巻き、密着するように巻く
※隙間がないように巻く
③巻きやすいほうの手首に巻く
※左手首、右手首で測定値は異なるため、同じ手首で測定するようにする。
④測定ボタンを押し、測定する。
※カフが手首の骨にかからないように、手首と手のひらの境目から1~1.5cm離して巻く
⑤表示に記載されている血圧を手帳などに記録する。
基本は同じ時間帯ですが、時間を記入する。
2 血圧は心臓から送り出された血液が血管を押す圧力!
血圧は、心臓から送り出された血液が血管を押す圧力を指します。心臓が収縮して血液を送り出すときの最も高い血圧が「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張して次に送り出す血液をためこむときの最も低い血圧が「拡張期血圧(最低血圧)です。血圧の高さは、物理的には心臓が血液を押し出す力(心拍出量)と血管の抵抗で決まります。心臓の拍出量が増えたり、血管の収縮などで血管の抵抗が大きくなったりすると、血圧は上がります。腎臓や神経などの働きにより調整されており、食塩の摂取なども影響を受けます。
血圧は常に変化をし、気象や食事、運動などの日常生活、精神的ストレスや測定時の室温などにより常に変動します。
基本的には朝の目覚めと共に血圧は上昇し、日中は比較的高く、夜になると下がり、睡眠中は最も低くなります。
一般的に年齢と共に高くなりますが、最高血圧は上昇続けるのに対し、最低血圧は高齢になると下がっていきます。ただ運動や外部環境で一時的に上がっても、安静時に正常な値に戻るのは高血圧とは言わず問題ありません。しかし、もし高血圧などの状態が続くと、血管や心臓に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、心不全といった大きな病気を引き起こすきっかけになります。
3 看護師も行っている血圧測定の注意点
普段一番多く血圧測定を行っているのは看護師になります。著者も病院や施設、訪問看護の場面において数千人以上の血圧を測定しました。その中で特に注意すべき点を2点挙げさせて頂きました。
3-1 動いた後には絶対に測定しない
多くの患者さんが勘違いしていますが、運動後の血圧測定はNGという認識はあります。勿論間違いではありませんが、大事なことは血圧は安静時に測定するということです。訪問看護の場面ではよくあるのですが、看護師が来る前にとトイレに行く方が多くいらっしゃいます。ちょうど訪問時間に合わせて済ます方が多くいますが、その場合は必ず10分程度休憩してから測定するようにしています。血圧測定前にはトイレを済ませたいという方も多くいらっしゃいますが、必ずその際には10分以上安静にしてから血圧測定を行う様にしましょう。
3-2 マンシェットの下縁と肘窩の間は2~3cm間隔を空ける
マンシェットの巻き方は看護師もとても注意しています。特に腕に巻く際にはどうしても肘に合わせて装着する患者さんが多い傾向にあります。上腕動脈の圧を測定したいので正確な値が出にくくなってしまうためです。また強く締めすぎる方もいますが、測定前から加圧する状態となるため、値が低く出てしまいます。必ず巻いた後は指二本ほど入るかを確認するようにしましょう。
3-3 血圧測定時の禁忌事項は3つあります
血圧を測る場合、必ず測定していけない腕があります。以下の病気の場合になります。
・脳梗塞などで麻痺が残っている場合の患側
・乳がんでリンパ節郭清を行った側の腕
・シャント造設を行っている腕
必ず医師や看護師に確認は必要ですが、ご家族で間違って測定してしまうこともあるので注意しましょう。
4 日本では4,000万人以上が高血圧
日本では高血圧の人が多く、現在4,000万人以上とされています。特に高齢になればなるほど高血圧の方が多くなり、65%以上の高齢者は高血圧症になります。多くの方がなっているからと安心するのではなく、高血圧症になることで脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患のリスクが上がるため、是非高血圧の基準を知っておきましょう。
4-1 高血圧の診断基準は140/90を診る
高血圧の診断基準は、最高血圧が140以上、最低血圧が90以上になります。但し、上記で述べているように血圧は変動があるため、1回で判断するのではなく、繰り返し測定して判断することになります。
血圧140/90未満であれば正常血圧であり、120/80未満であれば循環器疾患リスクが最も低い至適血圧とされています。
4-2 高血圧は循環器病死亡率を高くする
年齢に関係なく、血圧が高ければ高いほど循環器病死亡率が高くなり、リスクが増大します。血圧測定で自身の状態をしっかり把握することが大切になります。
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