現役看護師が教える、看護サマリーの簡単な書き方と重要ポイント3選

サマリー(要約)サマリー(要約)

現役看護師が教える、看護サマリーの簡単な書き方と重要ポイント3選

看護サマリーとは患者さんの情報を集約した文書になります。患者さんが退院し、施設や自宅に戻る際、あるいは施設や自宅などから病状が悪化して病院に入院する際に作成します。

患者さんが「こんな人です」と読んで一目でわかるように記載することが大事です。

極論、看護計画の要約をするという意識が最も負担が少なくスムーズに進むでしょう。

・看護計画を中心に必要な看護に関して

・送付先の目的にあった看護の記載

・簡潔明瞭にシンプルに記載

上記3つを念頭に20分以内を目安に記載することで、苦手意識の克服ができます。

看護師として重要な業務であるが、嫌々やってしまう人も多いと思います。しかし、この記事を読めば必ず必要性を理解し、ポイントがわかるようになっています。明日にでも書きたくなる内容になっています。

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1 看護サマリーとは患者情報の要約

看護サマリーとは患者さんの情報を看護師として要約し、まとめることです。病院から施設や他の病院に移る際に主に使われます。看護師の情報伝達手段として有用で、最近は在宅の現場でも活用されています。病気のことは勿論、内服、ADL、食事に関してなどその用紙を読めば一目瞭然になることを理想としています。

サマリー(Summary)とは読んで字の如く、要約の意味でその患者さんが「こんな人です」と読めばわかる資料になります。多くの看護師が苦手、わからないというのは、書式が統一されていないこと、働いてから上司に倣う機会が極端に少ないことが理由になっています。

ポイントはサマリーの目的を理解して、読み手が読んだときに理解できることに着眼して作成することです。読み手というのは、施設に行くならば施設看護師、在宅に行くなら訪問看護師になります。その方たちがどんな情報を必要としているか、想像して書くことが大切になります。

受け持ち看護師がサマリーを書くことが多いと思いますが、日々看護計画を意識して看護を行っているので、必要な情報は頭にあると思います。是非上記を意識して書くことが、苦手克服に繋がります。


2 サマリーのポイントは読み手の立場になって記載

多くの看護師が苦手とされる看護サマリーですが、理由は「書く」ということに着眼してしまい、読み手のことを考えないことが失敗の要因です。

この章では、読み手の立場になって記載するにあたって意識して頂きたい3つのポイントを解説していきます。

ポイント1:看護介入中心で看護計画を念頭にサマリーは記載

ポイント2:送付先に合わせた目的別に捉えて記載

ポイント3:簡潔明瞭に記載

それでは1つ1つ解説していきます。

2-1 【ポイント1】看護介入中心で看護計画を念頭にサマリーは記載

サマリーを記載する一番のポイントは、「看護計画」の要約です。看護問題がそもそも看護計画で立案されているので、極論看護計画の要約で十分です。服薬管理や制限を守れなければ「非効果的治療計画管理」を中心、皮膚トラブルが絶えなければ「皮膚統合性の障害」に関して記載すれば悩まずに書くことができます。看護計画をまとめて記載するだけと考えれば、かなりイメージもしやすく、嫌だったサマリーの記載も気が楽になること間違いありません。

医師が行った治療や、PT/OT/STが行ったリハビリの記載を行う看護師が多くいますが、それは間違いです。なぜなら医師もPT/OT/STもそれぞれサマリーを書くからです。どんな治療を行ってきたかが重要ではなく、看護として必要な項目を記載する必要があります。沢山書いてあげよう、説明しようという気持ちが混同してしまう要因になりますので、是非看護計画中心に記載すれば容易に記載できるようになります。

2-2 【ポイント2】送付先に合わせた目的別に捉えて記載

サマリーを記載する場面としては大きく分けて2つあります。

①病状が安定し、病院を退院し、施設や自宅などに行く場合

②病状が悪化して、施設や自宅から、病院に行く場合

場面で記載内容は異なりますのでしっかり理解しましょう。

2-2-1 ケース①病状が安定し、病院を退院し、施設や自宅などに行く場合

とにかく「必要な看護を中心」に記載しましょう。病状が安定しているので、問題点は病気ではなく、ADLを含めた日常生活に関しての記載が必要になります。読み手は施設看護師や訪問看護師がメインになるので、どのような生活動作が必要になるかが重要です。特に食事などは楽しみにされる方が多いので、食事形態や食べる時間など看護師の視点で記載しましょう。忘れがちなのは認知機能面になりますので、下記を参考に必ず記載しましょう。

ラ ン ク 

判 断 基 準 

見られる症状・行動の例

何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 

日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 

Ⅱa

家庭外で上記Ⅱの状態がみられる。 

たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等

Ⅱb

家庭外で上記Ⅱの状態がみられる。 

服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との対応など一人で留守番ができない等

日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。

Ⅲa

日中を中心として上記Ⅲの状態が見られ る。

着替え、食事、排便、排尿が上手にできない、 時間がかかる。 やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、 不潔行為、性的異常行為等

Ⅲb

夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られ る。

ランクⅢaに同じ 

日常生活に支障を来たすような症状・行 動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、 常に介護を必要とする。

ランクⅢに同じ 

M

著しい精神症状や問題行動あるいは重篤 な身体疾患が見られ、専門医療を必要と する。 

せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状 や精神症状に起因する問題行動が継続する状態 等 

<参考:厚生労働省「障害高齢者の日常生活自立度」>

2-2-2 ケース②病状が悪化して、施設や自宅から、病院に行く場合

「変化したことを中心」に記載しましょう。病状の悪化により入院や救急搬送されるので、普段の日常生活と違い、変化したことを記載する必要があります。私もICUで勤務していたのでわかりますが、必要な情報は普段の生活よりなぜ悪化したかのフィジカル面が必要です。この場合においては、急なことが多いので、変化のポイントだけ記載して可能なら翌日までには記載し渡すようにしましょう。時間が経過してしまうと意味のないものになるので、気を付けて下さい。

2-3 【ポイント3】簡潔明瞭に記載

サマリーの記載はとにかく、簡潔明瞭に書くことがポイントです。

ここであなたに質問です。逆の立場で考えて・・・

「サマリー熟読していますか?」

答えはサラッと読む程度、情報収集を簡単にするという程度でないでしょうか。だからこそ、長文でダラダラ書くのではなく、簡潔明瞭に「自分が伝えてほしい内容」を主眼にサラッと記載することを心がけましょう。慣れもありますが20分以内で書くことを目安にしましょう。

サマリーは病院や施設、訪問看護によって用紙がバラバラです。特に看護経過などはフリー記載なところが多いです。どうしても見えない看護師に渡すということで、皆さん文字びっしりに書こうとしています。それこそ間違いの元でもあり、苦手意識を高めてしまいますので、20分で書くことを意識して下さい!


3 看護サマリー書き方例

サマリーのポイントは難しく考えずに下記が重要です。

・看護計画を中心に必要な看護に関して

・送付先の目的にあった看護の記載

・簡潔明瞭にシンプルに記載

その上で「尿路感染症」「高齢女性」という設定の患者さんを例に、病院から施設や在宅に戻るという設定と、施設や自宅で尿路感染症が発症し、入院するというケースを想定して解説していきます。

3-1 退院した患者さんが、「施設」「自宅」に行くケース

尿路感染症にて〇月〇日入院となる。抗生剤投与や点滴にて症状は改善される。看護計画としては「感染のリスク状態」を挙げ、尿の性状や量などを確認しつつ、IN-OUTのバランスの確認を実施。

ADLは自立しているが認知レベルが入院時Ⅱであったが、少し進行しⅡb。現在は看護師にて分包を行い、自身で実施試みるも飲み忘れることも多いため、今後の課題。

食事に関してもむせ込むことなくスムーズ。水分を促さないと摂取しない傾向にあるため、引き続き声掛けなど必要。炎症所見も改善し、早めに自宅に戻りたいという本人の意向となり退院の運びとなる。

【ポイント】

・看護計画の内容に触れるほうが共通言語で楽、そもそも立案しているのでその中で優先度が高いもののピックアップを行う。

・自宅に帰るのでADLと重要な認知機能の情報は必須。病院でできていないことは必ず記載

・長い文章は300文字以内に抑える(上記266文字)

3-2 病状が悪化し、「病院」に行くケース

尿路感染症で在宅にて生活し、訪問看護で内服確認と療養相談で週に1回訪問。非効果的治療計画管理が立案され、病識が欠如しているため、服薬カレンダーで管理。認知機能レベルはⅡbでADL自立し、食事も自身で摂取していた。普段のバイタルは体温:36.2、脈拍:81、SPO2:98%、血圧:122/68で安定。〇月〇日にむせ込みがあったようで、ADL低下でトイレ以外動けなくなる。訪問時肺雑音著名で、体温38.1、脈拍:108、SPO2:93%、血圧106/54で主治医相談。意識レベルの低下はないが、呼吸苦も増強したため、救急車にて搬送となる。

【ポイント】

・自宅で行っていた看護と回数などは状態の目安になるので記載。

・普段のADLと変化の起因、バイタルの変化を記載

・搬送前の状況がわかれば必ず記載し、こちらも300文字以内に抑える(上記266文字)

3₋3 サマリーの記載は病状・看護経過に集中

3⁻1、3⁻2の両ケースの場合266文字でまとめたものを「病状・看護の経過」をそのまま記載下さい。

下の画像は当訪問看護ステーションで実際使用している書式になります。病院でも同様ですが、多くの看護師が時間をかけてしまうのが「病状・看護経過」になります。2章でも述べたように、ここさえ乗り越えれば、他はすぐに埋まります。何故ならカルテに全て記載されているからです。深く考えすぎず、看護計画を眺めながら記入を意識して下さい!

看護サマリー

<引用:訪問看護ステーションリカバリー>


4 サマリーを記載する上での注意事項

サマリーを記載する上での注意点は以下の2つになります。

・考えすぎて要点が得ないこと

・長文にして、医師やリハビリの視点を盛り込まない

看護師は忙しい業務の合間に色々確認事項があります。読み手も同様であるため、注意事項はたった2つになります。

4-1 要点を得なければサマリーの意味なし

サマリーは看護要約です。失敗しがちなことは、要点を得ないことです。看護師がする観察ポイントは種々あります。それを1個1個記載しても、読み手は結局何が大事なの?となってしまいます。記載する担当看護師だと患者さんのことをよく知っているから尚更です。だからこそ看護師の共通言語である、看護計画を主眼に要約することが求められます。

4-2 長文は読み手の読む気を下げることを知る

何度も言ってきましたが、サマリーは要約です。看護師は多くの視点で書いてしまいます。医師やリハビリの視点を記載しても、結果看護師として何をするかがズレてしまう要因になります。3章で述べたように300文字以内で記載を意識して、看護師ならではの視点で記載が最大の近道になります。


5 まとめ

ここまで読み進めて頂いてわかるように、難しく考えずに看護計画を中心に記載しましょう。

・看護計画を中心に必要な看護に関して

・送付先の目的にあった看護の記載

・簡潔明瞭にシンプルに記載

そして、この3つさえ抑えることができれば、今まで苦手意識だった看護師も、サマリーを20分で書けるようになります。明日からでも実施できる内容ですので、まずは実践してみましょう。劇的にサマリーが素早くかけるようになります。

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