看護師になるには?国家試験合格のための代表的な3つの方法【目的別】
看護師になるには大学や専門学校、看護師専門養成学校などを卒業して、国家試験に合格しないといけません。国家試験の合格者は90%以上になり、学校を卒業できた方はほとんどが看護師になります。難しいと思われがちな看護師ですが、なる方法が様々であり、迷いが生じています。
今までは3年生の専門学校卒業あるいは、高校生から准看護師の資格を取得し、その後2年勉強して看護師になる方がほとんどでした。近年より専門性を求められるようになり、大学数も250を超えることで、看護師になる方法も多様化してきました。
ではなぜ多くの看護師になる方法があるかというと、それぞれの目的が大きく違うからです。
大学 | 専門学校 | 5年一貫の看護師養成学校 | |
学習期間 | 4年 | 3年 | 5年 |
学費 | 250万~600万 | 100万未満 | 100万未満 |
受験資格 | 高卒 | 高卒 | 中卒 |
メリット | ・保健師や助産師、大学院進学など選択肢の幅が広い ・管理職や特定看護師や専門看護師などキャリアアップがしやすい | ・実習時間が多いため、就職後に即戦力になりやすい ・看護師の勉強のみに集中的に取り組むことが可能 | ・最短20歳で看護師の国家取得が可能 ・同じ志の仲間と5年間一緒に学ぶことができる |
デメリット | ・学費が高い ・偏差値が高く入学するのが大変 | ・カリキュラムが凝縮され自由時間が少ない ・保健師や助産師になるには進学する必要あり | ・看護師以外の仕事を選びにくい ・保健師や助産師になるには進学する必要あり |
看護大学に関しては保健師、助産師などの資格取得、留学や将来師長などの管理職になりやすいメリットがあり、専門学校は実習が多く病院などで即戦力になりやすい、一貫の養成学校は20歳から最短で正看護師で働けるなどの違いがあり、それぞれ一長一短あります。
簡単にまとめると、進むべき進路の選択肢は以下のように整理できます。
大学:手に職をつけたく漠然と看護師等医療系の職種に興味がある方
専門学校:看護師として即戦力ですぐにでも働きたいと強く思う方
5年一貫の看護師養成学校:中学校の時点で看護師を目指し、それ以外の道は考えられないという方
それぞれのポイントや情報をまとめましたので、この記事を読めば自分に合った看護師になる方法が見つかること間違いないでしょう。
目次
1 看護師になるには、看護師用学校を卒業し、国家試験に合格する
看護師になるには、大学や3年制の短大や専門学校、あるいは5年一貫の看護師専門養成学校の卒業をし、看護師国家試験に合格することで看護師の国家資格を取得できます。その上で病院や施設、クリニックに就職することで看護師として働くことができます。
表を見てわかるように看護師国家試験を受験するのは同様ですが、その前段階が複雑で難しいイメージがあります。
目的別で以下の表にまとめています。
大学 | ・手に職をつけたく漠然と看護師等医療系の職種に興味がある ・保健師や助産師、大学院への進学など選択肢の幅を広く持ちたい ・管理職や特定看護師や専門看護師などキャリアアップしたい |
専門学校 | ・看護師として即戦力ですぐに働きたいと強く思う ・看護師の勉強だけに注力したい ・学費を安く抑えたい |
5年一貫の看護師養成学校 | ・中学校の時点で看護師を目指し、それ以外の道は考えられないという ・同じ志をもつ仲間と一緒に看護師を目指したい |
それぞれの違いを2章以降で説明していきます。
2 【進路パターン①】選択肢が最も広い大学卒業看護師
現在徐々に看護大学が増加しております。2019年は5.6万人国家資格取得者の内36%の2万人が大学卒業者になります。看護大学も1991年は11校に対して、2019年には272校まで増加しています。その背景には、2025年までに50万人以上看護職者を増やしたいという状況や、チーム医療の発達でより専門性が求められている背景など様々あります。
2-1 学歴社会になりつつある看護業界
看護師も認定看護師や専門看護師、特定看護師など専門性を問われる時代になってきました。その上で大学病院や、病床数の多い病院は、学歴社会になりつつあります。特に看護部長や看護師長など限られたポジションは徐々に大卒者に委ねられている傾向にあります。キャリア志向の看護師は大学卒業して国家資格を取ることを強くおススメします。
2-2 保健師、助産師など方向転換も可能
大学では4年間のカリキュラムが組まれています。その中で助産師や、保健師の勉強も選択して履修することが可能です。看護師だけにとどまらず、他の職業の可能性も拡がります。あるいは、大学院を目指して研究者への道なども選択可能になります。看護師のプロセスから、就職後まで幅広い選択肢が拡がるのが大学へ進学して看護師になる方の最大の魅力になります。
2-3 将来は管理職を目指す大学卒業看護師
大学卒業看護師は様々な勉強を行っている分、視野や選択肢は広くなります。将来のビジョンとしては部長や師長などの看護師をマネジメントする立場を目指しましょう。看護師の業務内容だけでは給与差はほとんど変わらないこともあるので、将来を見据えたキャリア形成が大切かと思います。
3 【パターン②】即戦力No1は専門学校卒業看護師
5.6万人国家試験に合格している看護師の内2.8万人と最も多く看護師を輩出しているのが、専門学校の看護師になります。3年間の学校生活の内1年近く実習に費やすため、卒業後戦力に最もなりやすいと言われています。
3-1 100%看護師になれればいいという方は選択すべき専門学校
大学だと4年で行うカリキュラムを3年間で行うため、集約して勉強が行われるのが専門学校での看護師です。基本的に高校生活の延長で、月~金曜までみっちり授業もあります。その上、看護師が最も大変と言われる実習が短期間で多く行われるので濃密な時間を過ごします。そのため、卒業しても学校の延長上で働くため、即戦力になりやすいと言われています。
3-2 専門学校は学費が抑えられる
大学では公立で250万、私立では600万が平均と言われていますが、専門学校では100万円未満になっています。看護師を増やしたいと国や都道府県が支援している影響もあります。看護師という道しか選択はできないですが、方向性が決まっている方であれば専門学校で看護師になることをオススメします。また社会人や一般大学卒業後の方に勧められる理由もこの学費が抑えられる要因にあります。
3₋3 リーダー業務など現場を引っ張る存在を目指す専門学校卒業看護師
即戦力である専門学校卒業看護師。現場が最も得意で様々な業務を担うことが多いです。5年目以降リーダー業務を担うことが多くなり、そこで将来のキャリアを考えていきましょう。現場第一で考えれば管理職などは目指さず、専門性を高める認定看護師やNSTなどの委員会活動に注力できるようにしましょう。
4 【パターン③】最短距離で正看護師になれる5年一貫の看護師養成専門学校卒業看護師
高校生から看護科で勉強し、5年間で正看護師の取得ができるのが看護師養成専門学校を卒業し、国家資格を取得することです。20歳から正看護師として働くことができ、日本では最も看護師としての近道になります。中学生の時点ですぐに看護師で働きたい方には是非選択してほしい道になります。
4-1 1日でも早く看護師として働きたい方の選択肢
幼い頃より看護師を希望していたり、早く看護師として働きたい方にはうってつけの選択肢になります。しかし都道府県に数か所しか存在しないため、遠方の場所などであれば選択しにくい点はあります。但しすぐにでも現場で活躍したい方には強くオススメします。
4-2 准看護師免許取得が可能
高校での看護科を履修することで得られるメリットは准看護師免許を取得することです。最短の正看護師の道ではありますが、金銭面や早く社会に出たいと准看護師免許取得後に働く方も少なくありません。看護師としてより早く働きたい方に進めるもう一つの理由にもなります。
4-3 若くして多くの経験は様々な業務で活躍可能
20歳で最短で看護師となっている分、現場での力はとても大きいものになります。5年一貫の養成学校を卒業した看護師は病院以外でも施設やクリニックなどでも貴重な戦力になります。自身が合う職場を早めに見つけて、長期就業できる場所を探すようにしましょう。
5 正看護師と准看護師の違い
看護師になる上で正看護師と准看護師のどちらになりたいか悩むケースがあります。現在日本では准看護師制度を廃止する流れもできているので、正看護師を選ぶ方が無難です。なぜなら、准看護師は基本的に医師・正看護師の指示の元「療養上の世話をする」という責務があるためです。独立して医療業務が行えないこと、正看護師では認定や専門、管理職のキャリアがあるが、准看護師には現場というキャリアしかないのももう一つの要因です。
正看護師 | 准看護師 | |
資格要件 | 国家試験での資格 | 都道府県知事が行う資源での資格 |
業務範囲 | 医師の指導のもと、医療・看護行為を行い主体的な判断で患者を看護することが可能である | 医師と正看護師の指導のもとで業務を行い主体的な判断での看護は認められていない |
学習期間 | 最短3年 | 最短2年 |
キャリアアップ | 看護部長、師長、認定看護師 | 主任やリーダー業務のみ |
准看護師になるためには下記2通りあります。
・中学卒業後、高等学校衛生看護科(3年)に進学
・高校卒業後あるいは、高卒以上の資格があり社会人経験後、准看護師専門学校(2年)に進学
その後、都道府県知事が行う准看護師取得のための試験に合格する必要があります。
准看護師は、施設やクリニックでは介護士が行えない医療行為が准看護師は指示があれば行えるので重宝されます。働きながら資格取得を行いたい、正看護師になるほど長期間勉強したくない(准看護師は最短2年の学校で資格取得可能)などの理由がある場合、准看護師が選択しやすいです。
6 看護師になるための勉強方法は意外にも同じ
目的別に看護師になる方法を紹介しましたが、学校に行くための勉強方法は高校受験、大学受験と同様で看護師ならではの勉強方法は特に変わりありません。また国家試験に受かるための方法も実は変わりません。しかし現役で合格した著者と、周辺の看護師に聞いてみると重要なポイントは2つありました。
6-1 過去問は10年分は必ず解く
看護師の国家試験は必修と一般・状況の2つに分かれており、10年以上変わってはいません。国家試験に慣れることは勿論、傾向がよくわかるので、最低でも10年分は解いておくようにしましょう。過去問は無意味だと言う人もいますが、2~3年分では無意味です。意外と10年前の問題などが似た形で出ることが多いので、必ず押さえておくようにしましょう。
6-2 レビューブックは毎日見るべき本
実習中に皆さんお使いのレビューブックで知らない看護師はいないと思います。日々の疾患や看護のポイントもまとまっているので、重宝しているかと思います。実は国家試験の対策もこのレビューブックを学んでおけばほとんどの問題に対応できます。国家試験の集中講座などに行く学生も多いです。筆者も薦められましたが、通わなくてもこの2つを勉強しつくして現役で合格しました。
7 看護師になるため「あるある」
看護師になるためには不明点が多くあり、今回よく疑問にもつ3つをまとめさせて頂きました。結論は進学先での変化はあまり多くはないです。それぞれ見ていきましょう。
7-1 学歴は配属先に影響はない
学生より質問があるのは、看護大学、専門学校など出身などで配属される診療科などが異なると思っていることです。実際学歴よりも、本人が実習でどのような学びをしたいのか、将来どんな看護師になりたいかなどで配属先は決まります。筆者は「青年海外協力隊になりたい」と将来の希望を出したことで、外科があっていると思いましたが、病院側の配慮で手術室に配属されました。学歴などより、将来の目標や、採用面接での発言が重要視される傾向があります。
7-2 月収の差はほぼ無い
看護師の業務は各病院、各病棟で定められています。そのため大卒、専門学校卒などで業務の違いはありません。また夜勤などの手当ては一律にしている病院がほとんどになります。そのため業務を行っている限り月収の幅の変更はほとんどありません。役職などによっては異なる部分はありますが、キャリアなどにも左右はされますが、現場で働く限り大きな差は現状はありません。そのため仕事内容にも大きな差はありません。
7-3 学歴による国家試験合格率の差はない
学校を卒業できても国家試験に合格しなければ看護師として働くことができません。毎年90%の合格率となっております。学校別では特に差はありません。注目すべきは、浪人者の合格率が40%程度しかないことです。そのため、6章をよく読んで一回で国家試験に合格できるように努力していきましょう。
8 まとめ
看護師になるためには下記卒業し、国家試験に合格する必要があります。
・看護大学を卒業
・専門学校を卒業
・5年一貫の看護師養成専門学校を卒業
どの道でも看護師になれますが、大学は看護師以外の選択肢の幅が広く、専門学校は就職後即戦力になりやすく、看護師養成学校は20歳と日本最速で正看護師で働くことができるメリットがあります。勉強方法はたった2つの方法を抑えればよく、現状は学歴は大きな違いを生みません。様々な方法がありますが、著者自身看護師として働いて様々な喜びや気付きが日々あります。看護師を目指す方の、イメージに繋がれば幸いです。
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