看護師になるには資格がいるの?仕事内容は?
看護師の業務は、患者さんの身の回りのお世話や、医師の指示のもと看護の提供など多岐に渡ります。
看護師、と聞くと病院やクリニックなどで活躍しているイメージですが、実はそれ以外にも看護師さんが活躍している場所はたくさんあります。
また、高齢者の増加に伴い、通常の看護だけではなく訪問看護の領域など、看護師の仕事の領域はますます広がっていて、将来性のあるお仕事のひとつです。
今回はそんな看護師について、資格のとり方や実際の仕事内容、働く場所などについてまとめました。
看護師を志している人の参考になればと思います。
1 看護師になるには資格が必要?
看護師になるには大学や専門学校、看護師専門養成学校などを卒業して、国家試験に合格しないといけません。
そもそも看護師とは、保健師助産師看護師法の第5条において、「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」と定義されています。
具体的には、厚生労働省の「看護師国家試験」を合格すると、資格取得となります。
さらに、看護師には、「看護師」「准看護師」の2つがあり、それぞれ業務範囲や資格要件も異なります。
国家試験の基本情報や合格する為のポイント等は、下記の記事にまとまっていますので、さらに詳しく知りたい方は是非参考にしてみてください。(参照:看護師になるには?国家試験合格のための代表的な3つの方法【目的別】)
2 看護師の仕事内容は?
看護師の業務は、保健師助産師看護師法により定められていますが、大きく分けると2つになります。
・診療の補助:医師の指示を受けて医療行為を行うことを言い、注射や点滴を行うことを指す
・療養上の世話:患者さんの身の回りの世話をすることで、体温や血圧を測定することや、食事や入浴をするお手伝いをすることを指す
2つに分けるとざっくりしすぎてわかりにくいかと思います。そこで今回は最も身近でわかりやすい代表的な8つの業務に分解して、ひとつひとつ解説していきます。
2-1 血圧、体温、脈拍の測定
血圧、体温、脈拍等を「バイタルサイン」といいます。これらの情報を測定することを「バイタル測定」と言い、看護師の重要な業務の一つとなります。バイタルサインを測定することで、患者さんの身体に異常がないかをチェックし、何かあれば医師に報告、指示を受けます。
仕事内容としても多く、受け持ち全員のバイタル測定を勤務時間に行わないといけません。
2-2 注射や点滴
テレビやドラマのイメージでも多いかと思いますが、看護師は医師の指示のもと、採血や点滴を実施する場面が多いです。採血とは、体内に流れている血液を採取し検査することで、病気やアレルギーの診断をする為に必要です。
また点滴は、大量の注射薬を少しずつ体になじませる為の注射方法で、主に食事が取れない時の栄養補給や抗がん剤の投与等に使用される治療法です。
どちらも看護師の行うことの多い業務で、うまく行うにはある程度の技術と経験が必要になります。先輩看護師について練習と実践を繰り返すことで、技術の向上を目指しましょう。
2-3 カルテに患者さんの状況を記録する
看護師は、動きまわっているイメージが多いと思いますが、カルテに患者さんの状況を記録することも大事な業務の一つです。カルテを記載する主な目的は、患者さんの症状や処置した内容、症状の経過等を記録し情報を関係者に共有する為です。他にも、記録を残す法律上の義務もあります。
また、カルテの記載ポイントで、「SOAP」という記入方があります。「SOAP」とは下記4つの点に注意して記録することで、誰が見ても整理されていてわかりやすい内容になります。
カルテの記載ポイント「SOAP」
S(subjective):主観的情報 ☜ 患者さんから聞いた話など
O(objective): 客観的情報 ☜ 診察・検査から得られた情報など
A(assessment): 評価 ☜ 主観的情報と客観的情報から導き出した評価
P(plan): 治療方針 ☜ 評価から導き出した治療方針など
カルテを記載する際の基本なので、ぜひ覚えておきましょう。
2-4 患者さんの「日常生活援助」
日常生活援助とは、病気を抱えていることで、一人でできないことをサポートすることです。
具体的には、食事や入浴、排泄や着替えなどの介助になります。自分で食べることのできない方に補助を行ったり、むせ込みが多い方には、食べやすい姿勢に整えてサポートしたりします。けがなどで入浴できない方の介助や、排泄を自身で行えない方のオムツを交換したり、トイレまで行けない方を車いすでトイレに連れて行ったりします。
日常生活援助は、病院によっては看護助手や、専門の介護スタッフが担当することもあります。もちろん、看護師がこれらの仕事を受け持つこともあります。
2-5 2時間おきに実施する体位変換
体位変換とは自分自身で身体を動かすことが困難な患者さんの体勢を変えてあげることです。寝たきりの方や床ずれを起こしている方のサポートになります。
実施する目的としては、褥瘡(じょくそう)になるのを防ぐ為です。褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されて血流が悪くなったり滞ることで、皮膚が赤くなったり傷ついたりしてしまうことです。自分自身で体を動かせる人であれば、体位変換は必要ありませんが、自分で身体を動かすのが難しい患者さんに対しては、2時間程度を目安に体位変換の必要があります。
2-6 夜勤の巡回業務
夜のイメージが強い看護師ですが、やはり夜勤は避けて通れない仕事の一つです。上記に挙げたバイタルサインや点滴やカルテ業務は勿論、患者さんの睡眠状況の確認や、寝たきりの方の体位交換やおむつ交換などを実施します。容体の変化がないかなどチェックするために2時間おきなどに病室に訪室して確認します。
2-7 勤務交代時の申し送り
勤務の交代で必ず行われる申し送り。看護師の「申し送り」は医師からの治療や処置に関する指示、患者さんの状態などをもれなく次の担当看護師に伝えることであり、継続的な看護を行うために必要な過程です。「申し送りの苦手意識を劇的に改善するために実践すべきこと総まとめ!」に実践方法は記載がありますので、是非そちらを参考にしてみてください。
2-8 気になる患者さんをカンファレンスで話し合う
病状に関してや、退院後の生活など気になる患者さんについて話し合う場になります。医療現場で行われる「カンファレンス」とは、医師や看護師、薬剤師など医療チームで集まり、患者さんの容態のチェックや情報共有、治療方針などを話し合うことを指します。看護師は調整役としての患者さんの代弁者として対応する場面が多くなります。
3 看護師の一日のスケジュールと仕事内容
病棟勤務の看護師の場合、入院している患者さんがいるので、24時間体制で看護をする必要があります。その為、勤務時間には、「日勤」「夜勤」の両方が存在します。また、病院によりますが、勤務体系には、「2交代制」と「3交代制」が一般的です。2交代制とは、日勤と夜勤の2パターンに勤務時間を分けて労働することで、3交代制とは、24時間を8時間ごとの3シフトに区切り、交代して働く勤務形態のことです。
ここでは2交代制での日勤、夜勤それぞれの1日のスケジュールを確認してみましょう。
3-1 日勤の場合の勤務時間とスケジュール
日勤帯の業務は治療や検査、日常生活援助が主になります。日中のため、カンファレンスなども行われることが多く、業務が多くなります。
時間 | 仕事内容 |
8:30 | カルテなどからの情報収集 |
9:00 | 患者さんへの挨拶 |
11:00 | 治療や検査の処置の介助 |
12:00 | 食事介助、配下膳、配薬 |
13:30 | カンファレンス |
14:30 | 受け持ち患者さんのバイタル測定 |
15:30 | リーダー看護師への申し送り |
16:30 | 点滴類、備品類のダブルチェック |
17:00 | 夜勤看護師への申し送り |
17:30 | 看護記録や残務など時間外業務 |
3-2 夜勤の場合の勤務時間とスケジュール
夜勤での看護師の業務はご飯が2回ある場合や、寝ている間の対応が多くあります。仮眠に関しては2時間前後が一般的ではありますが、とれないこともしばしばあります。
時間 | 仕事内容 |
17:00 | カルテなどからの情報収集 |
17:30 | 食前薬の配薬、食前血糖値の測定 |
18:00 | 食事介助、配下膳、配薬 |
19:00 | 受け持ち患者さんのバイタル測定 |
20:00 | 眠前薬の投与、排泄介助 |
21:00 | 消灯 |
22:00 | 看護記録の記載、内服薬の準備 |
23:00 | オムツ交換や体位交換 |
0:00 | 点滴の交換、尿破棄 |
1:00 | オムツ交換や体位交換 |
3:00 | 仮眠 |
5:00 | 点滴の準備、経管栄養投与、オムツ交換や体位交換 |
6:00 | 検温、点滴の投与、採血、食前薬の配薬、食前血糖値の測定 |
7:00 | 食事介助、配下膳、配薬 |
8:30 | 日勤者へ申し送り |
9:00 | 看護記録 |
3-3 2交代制と3交代制について
2交代制とは、日勤と夜勤の2パターンに勤務時間を分けて労働することで、3交代制とは、24時間を8時間ごとの3シフトに区切り、交代して働く勤務形態のことです。
最近では2交代制を採用する病院の方が多いようです。2交代制は、夜勤が16時間(休憩含む)と長くなりますが、3交代制と比べて休日数が多く、連休を取りやすいなどのメリットもあります。
4 看護師の働く場所
看護師の働く場所は、病院だけとは限りません。実は、クリニック・診療所・訪問介護ステーション・企業の健康管理室、介護保険施設等、多岐にわたります。こういった様々な職場での看護師の業務内容について紹介していきたいと思います。
4-1 病院・クリニック
病院やクリニックで働く看護師の業務内容は、診療科ごとに異なりますので、それぞれ代表的なものをいくつか紹介します。
| 仕事内容 |
内科 | 風邪等人間の外見に見られない症状を抱えている患者がくるところ。 |
外科 | 外傷を診察や治療を行うところ。場合によっては、手術を行うこともあります。 |
産婦人科 | 産科と婦人科があり、出産をサポートする業務と子宮や卵巣の病気の診療を行う業務が主になります。 |
皮膚科 | 皮膚の疾患全般を扱う科です。基本的な業務内容は、医師のサポートや薬の説明等です。 |
小児科 | 子供の診療に特化した科です。基本的な業務内容は、医師のサポートや患者さんへの処置となります。 |
眼科 | 目を専門的に検査・診療する科。基本的な業務内容は、眼科医のサポートや患者さんへの薬の説明等が主な業務内容となります。 |
4-2 訪問看護ステーション
訪問介護とは、看護師が直接自宅に訪問し、医療処置、介護サポート等を行うことです。
具体的な業務内容としては、検温などのバイタル測定、点滴や注射、食事、排泄などの日常生活のサポート、褥瘡(床ずれ)防止のための体位交換などになります。
場合によっては歩行サポートなどのリハビリ的なケアを行うこともあります。
4-3 企業の健康管理室
企業の健康管理室とは、簡単に言うと会社の保健室といったところです。
業務内容としては、健康状態のチェックやメンタルケア・保健指導等が主な業務内容です。
5 看護師のやりがいはどんなところ?
看護師の仕事内容は多岐に渡ります。特に医療行為や、なかなか行えない排泄物の処理など全員がすぐに行えないこともあります。またスケジュールでもわかるように、やる業務もたくさんあるので、覚えることも多いので大変になります。でもそんな仕事であっても、続けられるには理由があります。それはやりがいになります。著者自身も感じるやりがいを挙げてみました。
5-1 人の役に立つことができる
病気を治し、元気にするのは、あくまで医師の診断と治療、そして患者さんの努力であり、それらを支えるのが看護師の仕事になります。そして、看護師は「看護」という仕事を通じて、病気や怪我を抱えた患者さんを手助けすることができ、自分の担当していた患者さんの病気や怪我が治り、再び元気になった姿を見ることができると嬉しくなります。
仕事を通じて「人の役に立っている」ことを実感することができ、社会に貢献していることが実感することができるのが1番のやりがいになります。
5-2 専門職として学べ、多職種連携ができる
病院では、複数のスタッフが連携して、患者さんへの治療やケアをする「チーム医療」が行われています。
医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・薬剤師・臨床検査技師など多くのスタッフがそれぞれの専門性を発揮しながら、共通のゴールに向かっています。
チームで関わることで、知識やスキルも日々向上していきますし、様々な職種と関わることで見識が広がり、人間的にも成長することができます。また、1人では達成できないことも、力を合わせれば達成できるので大きなやりがいになります。
5-3 患者さんの笑顔と信頼関係を築くことができる
患者さんの笑顔や何気ない感謝の言葉が、看護師の心のエネルギーとなります。そして看護師は、患者さんにとって一番身近で話しかけやすい存在になります。毎日話しかける中で患者さんと信頼関係を築くことができ、患者さんから頼りにされるようになるのは、非常に嬉しいです。
患者さんから「ありがとう」「お世話になりました」と声をかけてもらいことも多く、その感謝の言葉がやりがいへと繋がっていきます。患者さんが元気に退院や、何かのきっかけで声をかけてくれるのも大きな喜びになります。
6 まとめ
看護師の業務は多岐に渡りますが、主な業務は医師の補助と患者さんのケアになります。
夜勤もあり、ハードな側面ももちろんありますが、それを上回るやりがいを得られるお仕事でもあります。
人が生きていく以上、医療や看護は必ず必要になるものです。
今後、長く活躍できるお仕事として、ぜひ看護師を目指してみてください。
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