助産師の平均年収は500万円!看護師との年収の違いや年齢別年収を徹底解説
あなたが助産師になった場合、どれくらいの年収になるのかご存知ですか?
また、看護師のような医療従事者と比べてどの程度の生活水準になるのか気になっていませんか?
結論からお伝えすると、助産師の年収はおおよそ500万円です。看護師の483万円という平均年収と比べると20万円高い計算になります。
つまり、生活水準としては比較的高い職業とも言えます。
ですが、ひとくちに助産師の年収といっても状況によって様々です。そこで今回は以下のような助産師の年収にまつわるあらゆる情報を、わかりやすくまとめることにしました。
- 助産師の平均年収
- 年齢ごとの年収の違い
- 医療業界における助産師の年収の順位
- 看護師と比べて年収が高いか低いか
ぜひ本記事を、助産師を目指すための情報蒐集にお役立ていただけますと幸いです。
それでは助産師の平均年収から見ていきましょう。
目次
1 助産師の平均年収
助産師の平均的な年収は、およそ500万円です。職場や経験年数によっても異なりますが、月収30~35万円、ボーナス80万円位が目安になります。(参照:年収ハッカー)
なお2020年時点で、助産師資格は女性のみが取得できる資格です。
1-1 看護師との比較
看護師と助産師の年収はどちらが高いのでしょうか。年収を比較すると下記のとおりです。
助産師 | 看護師 | 差額 |
500万円 | 483万円 | +17万円 |
わかりやすく最初にもらう給料である初任給の特に1番差が出る基本給で比較してみましょう。
- 看護師(大学卒)の基本給 216,500円
- 助産師(大学卒)の基本給 221,600円
(参照:東京大学医学部付属病院 2021年度4月採用の概要)
上記は東京大学医学部附属病院の一例ですが、多くの病院では同じ傾向にあり、病院勤務の助産師は、看護師よりも高めの給与を設定しています。
なお、病院の中には、基本給は同じで、助産師手当をつけているところも。
勤務先にもよりますが、助産師の給与は看護師よりも3,000~6,000円分多くもらえるでしょう。
2 助産師の年齢別平均年収
助産師の経験を積めば、それだけ給料が上がります。一般に、医療職は経験年数に応じて、一定年齢まで毎年の昇給があるためです。ここでは、助産師の年齢別の年収例についてみていきます。
年代 | 年収 |
20代 | 280万円~350万円 |
30代 | 300万円~400万円 |
40代 | 400万円~580万円 |
50代 | 500万円~600万円 |
60代 | 350万円~580万円 |
(参照:CAREER PICKS)
60代以上は、退職後の再雇用になるため、年収が下がります。
3 助産師の役職別平均年収
助産師の役職に該当するのが、看護師長や副師長です。規模はさまざまですが、助産師の85%が主に医療機関の産科で働いています(参照:厚生労働省 医政局看護課調べ)。そのため、助産師の多くは、看護師の役職と同じ役職に就くことになります。そこで、病棟全体の看護職を取りまとめる看護師長と副師長の給与や年収を見ていきましょう。
役職 | 給与・手当・年収 | 平均額 |
看護師長 | 基本給 | 370,949円 |
管理当直手当 | 8,632円 | |
管理職手当 | 45,439円 | |
年収 | 648万円 | |
副看護師長 | 基本給 | 350,882円 |
管理当直手当 | 7,375円 | |
管理職手当 | 26,159円 | |
年収 | 575万円 |
(参照:2012 年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 結果概要)
助産師の配属先の産科は、助産師スタッフの割合が多いことから、助産師資格者が師長に任命されることがあります。
ざっくりですが、副師長クラスなら一般スタッフよりも毎月数万円、師長クラスなら10万円ほど、毎月多く給与がもらえるでしょう。
4 年収構成の内訳
毎月の基本給与にプラスされる手当は、助産師など看護職の給与が高いといわれる理由のひとつ。ここでは、助産師がもらえる主な手当についてみていきます。
4-1 助産師特有の分娩介助手当
助産師ならではの手当が、分娩介助手当です。正常妊娠であれば、助産師が分娩を担当する病院も多くあります。分娩介助手当は1万円、オンコール待機手当は数千円くらいになります。
病院によっては、毎月数千円の資格手当がつくところもあります。
4-2 夜勤業務による手当
病院は24時間365日稼働しているため、病棟で働く助産師も交代で夜勤を行います。夜勤は体にも負担がかかるので、回数によって手当がつくのが一般的です。
病院によって異なりますが、準夜勤務なら1回4,000円、深夜勤務なら1回5,000円の手当が支給されます。夜勤の回数は労働基準法に準じて、3交代なら月8回が目安になります。夜勤を行っている助産師の多くは、毎月3~4万円の夜勤手当を受け取れるでしょう。
4-3 その他の手当
その他の労働者と同じように、助産師にも各種手当がつきます。主な手当は、住居手当5,000円、通勤手当5,000円です。その他、残業による時間外手当がつくことがほとんどです。
5 全職種と比較すると195番目の年収
マイナビウーマンの職業別の年収ランキングによると、助産師の年収は全312職種中195位でした。ただし、このランキングでは、助産師の他の看護職(看護師・保健師・准看護師)が一緒になっているので、あくまで目安になります。
全体的にみれば、助産師の仕事は、医師や弁護士のような高給取りではありませんが、平均的なサラリーマンより給料は少し多めといえるでしょう。仕事の責任が重いため、給与に満足していない助産師も少なくありません。(参照:2020年版 職種別 モデル年収平均ランキング)
6 医療業種職種内比較だと9番目の年収
助産師の給与をみるとき、その他の医療職の給料について気になる人も多いでしょう。ここでは、医療職の給与についてランキング形式でみていきます。
順位 | 職種 | 年収 |
1位 | 医師 | 1,000万円 |
2位 | MR | 830万円 |
3位 | 臨床工学技師 | 625万円 |
4位 | 歯科医師 | 620万円 |
5位 | 獣医師 | 550万円 |
6位 | 薬剤師 | 530万円 |
7位 | 放射線技師 | 530万円 |
8位 | 保健師 | 529万円 |
9位 | 助産師 | 500万円 |
10位 | 看護師 | 483万円 |
11位 | 臨床検査技師 | 453万円 |
12位 | 救急救命士 | 450万円 |
(参照:医療-職種別の年収ランキング)
看護師資格も必要であるため、助産師の年収は、看護師より高いことが分かります。意外ですが、放射線技師や臨床工学技士のランキング順位が高いことです。2つの職種は母数が少なく、役職につきやすいのが特徴です。臨床工学技士は、人工心肺の管理やオンコール(緊急の呼び出し)もあるので、給料が高めになっています。
7 助産師の都道府県別年収ランキング
助産師の年収は、勤務先によっても左右します。一概にいえませんが、大都市の病院は、その他の都市と比較して、給与が良い傾向があります(国公立の病院を除く)。
また、都会は物価が高いため、給与の格差を埋めるために調整手当が高くなります。ここでは、都道府県別の助産師の年収についてみていきます。
≪北海道・東北地方≫
北海道 464万円
青森 438万円
岩手 479万円
宮城 515万円
秋田 422万円
山形 474万円
福島 464万円
≪関東地方≫
茨城 515万円
栃木 515万円
群馬 515万円
埼玉 464万円
千葉 515万円
東京 721万円
神奈川 567万円
≪中部地方≫
新潟 464万円
富山 464万円
石川 515万円
福井 515万円
山梨 464万円
長野 515万円
岐阜 464万円
静岡 515万円
愛知 567万円
≪近畿地方≫
三重 515万円
滋賀 515万円
京都 515万円
大阪 618万円
兵庫 515万円
奈良 515万円
和歌山 464万円
≪中国・四国地方≫
鳥取 464万円
島根 464万円
岡山 515万円
広島 515万円
山口 515万円
徳島 515万円
香川 464万円
愛媛 464万円
高知 464万円
≪九州・沖縄地方≫
福岡 515万円
佐賀 412万円
長崎 464万円
熊本 464万円
大分 464万円
宮崎 412万円
鹿児島 464万円
沖縄 412万円
(参照:平均年収.JP)
上記を見ると、各地方の都市部の給与が高く、都市部から離れるほど給与や低い傾向があります。一方で、田舎の病院でも、スタッフ確保のために給与を高めに設定しているところもあります。就職先を探すときは、病院の募集要項をきちんと確認することも大切です。
8 助産師のかしこい年収アップの方法
助産師は看護師と同様に、経験年数によって給与が決まるので、基本的に毎年年収がアップします。ただし多くの場合、給料が上がるのは一定の年齢まで。筆者の知り合いの助産師さんも、10年位の経験を積むと、それ以上給料が上がらないことが多いとコメントしていました。
ここでは、助産師の年収アップする方法についてみていきます。
8-1 役職に就くことで100万円前後アップ!
助産師の年収アップする近道となるのが、役職に就くことです。上述した役職別年収と助産師の平均年収を比較すると、約100万円前後アップすることができます。
一般的に、1つの病棟に配属される役職は2~3名ほど(看護師長1名、副師長2~3名)。
病院によっては経験年数を積めば、役職に就くための講習にお呼ばれるすることがあるでしょう。一方、看護職の役職は、病棟全体を統括する存在であるため、スタッフを取りまとめるカリスマ性、緊急時の判断力、既存システムを再考するような行動力などが求められます。
筆者の勤めた病院の中には、50代になっても平社員(一般のスタッフ)という人もいれば、30代半ばで役職に引き抜かれる人もいました。病院の方針にもよりますが、助産師をはじめ看護職が役職に就くには、ふだんの業務で、他のスタッフよりも優れた面を発揮することも大切だといえます。
8-2 条件のよい病院へ転職し平均年収の500万円までアップ!
助産師の年収アップを狙うには、給与の高い病院へ転職することも1つの手です。基本的に、看護職は元の職場での経験年数をカウントしてもらえます。
助産師の必要数は看護師よりも少ないので、狭き門となる可能性がありますが、転職を検討してみるとよいでしょう。中途採用には、副看護師長クラスのスタッフを募集しているところもあります。
あくまで目安ですが、一般のスタッフとしての転職なら35歳まで、役職クラスの転職なら40歳くらいまでが有利です。転職計画を練りながら、良い時期に挑んでみてください。
8-3 助産院の開院で実力次第で年収アップ!
また、助産師は5年以上の経験を積めば、助産所を開業して運営することができます(参照:日本助産師会 分娩を取り扱う助産所の開業基準)。
近年、産科医の不足による出産難民が問題になっています。また、情報収集が盛んになったことで、分娩スタイルも多様化しています。助産所の経営がうまく行けば、医療機関などに勤務する助産師よりも収入が高くなる可能性があります。
9 助産師の生涯年収は2億円超え
上記をまとめると、助産師の生涯年収は2億2000万円です。一般的なサラリーマンの生涯年収が2億円なので、助産師が女性のみの職業であることを考慮すれば、高めの給料といえます。
その一方で、助産師の業務は夜勤に加えて、分娩介助やオンコール待機があり、かなりハードです。そのため、結婚や出産を機に離職する人も少なくありません。子育てがひと段落して復職したいと思っても、助産師の募集がなく、看護師として働く人も多くいます(参照:「潜在助産師・退職助産師の就業意向調査」結果報告)。
生涯、助産師として長く働き続けるためには、ライフイベントを見据えた職場選びも大切といえるでしょう。
10 まとめ
分娩介助や妊娠・出産期間の健康管理を行う助産師は、仕事内容もやりがいがあり、十分な給料をもらえる職業です。記事内で紹介した内容を参考に、助産師の職場選びや将来の計画に役立ててみてください。
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