看護師2年目の給料を徹底比較!~病院規模、学歴、職場ごと~
看護師2年目の給料は毎月27万円前後ということをご存知でしたか?
1年目とほとんど変わりません。
日々感じているストレス、体力面、精神面の疲弊感からするとショックかもしれません。
ひと月で見ると確かに割に合わないかもしれないですが、年収ベースでみると2年目は1年目よりも100万円程度上がります。
また、病院規模、学歴、職場ごとに給与差があります。
この記事ではひと月単位でみるとショックにも思える給料も、年単位で見ると収入がアップするという実態の解説や病院規模、職場ごとの給与の実態をまとめています。
私は全国展開する訪問看護ステーションで採用を担当しており、病院から転職する人が多いため、病院の給与・待遇面や他の訪問看護ステーションの給与・待遇面を日々リサーチし、求人票の更新を行ってます。
また、人材紹介会社へ看護師が求める給与水準のヒアリングを定期的に行っています。
日本看護協会や厚生労働省が行った以下の大規模調査の結果と、私の日々の採用活動から得た経験を組み合わせて1つにまとめることで、看護師2年目の給料について、実際のところが見えてきました。
・全国の8,249の病院を対象に調査票を送付し、3,797の病院からの回答を得た日本看護協会の調査結果
・全国の78,000以上の事業所に調査票を送付し56,000以上の事業所からの回答を得た賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
これを読み進めていけば、看護師業界全体の2年目の給料相場を知ることができますので、今後の看護師キャリアに活かしていただければ幸いです。
目次
1 看護師2年目の給料額面と手取り額
病院に勤務している看護師2年目の1月の給料は、平均すると残業代抜きで総額27万円前後です。
1年目とほぼ変わらないと思ってください。
また、2年目の途中から住民税が差し引かれるため、毎月の手取り額は1年目よりも下がります。
1-1 看護師の2年目の給料額面は27万円前後
月額給料額面は男性看護師で27万8千円、女性看護師で28万6千円となります。
「2020年病院看護実態調査(日本看護協会)」の中には、新卒看護師の初任給に関する調査結果が含まれており、これを参考に看護師2年目の月額給料を以下のように計算すると、以下の表のようにまとめることができます。
看護師2年目の月額給料 = 初任給 + 2年目の昇給額
新卒平均基本給与額 | 2年目昇給額 | 毎月の給料 | |
---|---|---|---|
高卒+3年課程新卒 | 262,277円 | 7,000円 | 269,277円 |
大卒 | 270,292円 | 7,000円 | 277,292円 |
※ 税込給与総額には、通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当等を含む(時間外勤務の 手当及び新型コロナウイルスに係る危険手当等は除く)。また新卒者については、家族手当は含ま ず、単身・民間アパート居住とする。
※ 夜勤をした場合には、当該の月に三交代で夜勤 8 回(二交代で夜勤 4 回)をしたものと想定。
昇給額については、「令和3年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」を参考に算定し、平均7,000円の昇給としています。
1-2 2年目から住民税が控除され、手取り額が減少する
看護師2年目は住民税の控除額が1年目よりも大きくなるため、1年目より手取り額が減る可能性があります。
看護師1年目は、前年に所得がないため住民税の所得割はかかりません。しかし、看護師2年目になると前年の所得(年収)に対して、住民税の所得割がかかってきます。
この住民税、制度上、給与天引きは6月から始まります。
看護師1年目の初任給をベースに考えると、6月から給与天引きされる額はひと月あたり9,000円~11,000円となります。
2年目の昇給額の目安7,000円より大きな金額が額面から控除されることとなりますので、実際に使用できる手取り額は減少することとなります。
1-3 年収は1年目より100万円アップして400万円前後に!
看護師1年目は4月から12月の9か月間しかないため、およそ年収は300万円なのに対し、2年目は1月~12月の12か月間あります。また、ボーナスが年間分支給されますので、年収は400万円ほどにアップします。
(ボーナスは「令和3年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」の調査結果に基づく)
2年目毎月の給料 | ボーナス | 2年目年収 | |
---|---|---|---|
看護師全体 | 273,284千円 | 657,100円 | 3,936,508円 |
※※看護師全体=(高卒+3年課程新卒)+(大卒)÷2
2 病院規模、学歴、職場ごとの看護師2年目の給料比較
2-1 病院は大きいほうが給料が高い
「令和3年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」の規模別統計から試算すると、1,000人以上が働く病院が最も給料が高く、規模が小さくなるに従い、給料が下がっていくという結果でした。概ね1,000人以上の病院と100人~999人の病院との間には月額6,000円程度、100~999人の病院と10~99人の病院との間には1,000円程度の開きがありそうです。
1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 | |
---|---|---|---|
看護師全体 | 273,284円 | 267,284円 | 266,284円 |
2-2 職場ごとで見ると、病院と訪問看護の給料が高い
リクルートが行った大規模調査によると、看護師2年目の職場ごとの平均年収は病院と訪問看護・訪問診療の年収が高く、医院・クリニックが低いという結果でした。
職場 | 年収 |
---|---|
病院 | 418万円 |
医院・クリニック | 354万円 |
訪問看護・訪問診療 | 420万円(※) |
医療施設以外 | 359万円(※) |
※20歳~24歳の調査数が少ないため、25歳~29歳の調査結果を記載
医院・クリニックは規模が小さく、また、日勤のみの所がほとんどであるため、年収は低くなる傾向にあります。
訪問看護は、超高齢化社会が進む日本において、地域医療の促進は国の施策となっており、診療報酬も上昇傾向にあるため、年収が病院なみの高さとなっています。近年は学校教育の現場でも看護実習に取り入れられ、若い年代にも身近になりつつあります。病院のような二交代制や三交代制を取るところも少なく、ワークライフバランスを保ちながら働けるため、今後人気が高まりそうです。
3 まとめ:看護師2年目の給料は手取り額は減少するが年収はアップする
以上をまとめると、2年目は毎月の手取り額は減りますが、年間通しての年収はアップします。
病院規模や職場によって平均年収には大きな差がありますので、転職を考えることもあるかもしれませんが、基本的には2年目は1年目以上にバリバリ頑張って看護師キャリアの地盤を築く大事な1年と考えたほうが良いと思います。同じ看護師2年目同士の年収の差はまだ考えず、看護技術の習得や初めての後輩指導などを通して看護師としての経験を積むことに重点をおいて1年頑張ってみるのが良いのではないでしょうか。
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