看護師の喫煙率の実態は?
2006年に禁煙治療が保険適用されるようになり、喫煙習慣が治療対象となる病気として国に認定されました。これを受けるかたちで、2008年に東京看護協会は「看護職のたばこ実態調査」を行いました。これは「禁煙を指導する側の看護師がタバコを吸っているのはもちろん好ましくないが、実態はどうなのだろう」という問題意識による調査です。
この記事では、看護師の喫煙率や喫煙する理由など「実態調査」から見えてきた看護師の喫煙状況をご紹介します。
データ引用元:https://www.tna.or.jp/wp-content/uploads/2019/06/download_tobacco.pdf |
看護師の喫煙率は男女を合わせて7.5%で、国民全体の喫煙率17.7%に比べると10%あまり低くなっています。
男女別では、女性が7.5%、男性が7.7%でした。国民の喫煙率は女性7.2%、男性29.3%なので、女性看護師の喫煙率は全国平均と比べて0.3ポイント高くなっています。また、男性については回答が13人(内喫煙者3人)と少ないので、参考値に留まるとすべきでしょう。
2.看護師の年齢による喫煙状況
現在喫煙している人の喫煙率を年齢別にみると、女性では40代が10.5%ともっとも多く、次いで50代9.5%、30代3.7%、20代4.8%となっています。
【年代別の喫煙率】
習慣的な喫煙を始めた年齢は、20歳が51.1%と最も多くなっています。18歳から吸いはじめたという人が15.6%いました。30歳未満で吸いはじめた人は93.3%と大多数を占めています。
タバコを吸いはじめた動機は、「友だちが吸うため」が53.3%と最も多く、それに次いで「ストレス解消のため」が37.8%となっています。一般的に看護師は、学生時代の勉強や実習のストレス、働き始めてからの仕事の責任などからくるストレスで吸いはじめることが多いといわれていますが、直接のきっかけは「友達が吸うから」という興味本位からであることがうかがえます。
3.勤務先ごとの喫煙状況
現在喫煙している看護師の勤務先ごとの喫煙状況をみると、喫煙率が高いのは地域包括センターの40.0%で、診療所の25%がそれに次いでいます。以下、保健所16.7%、介護老人保健・福祉施設12.5%となっています。ただし、サンプル数にばらつきが大きいので、単純な比較はできません。
上表以外の職場では、訪問看護ステーション(n=11)、大学・教育機関(n=12)、企業・事務所(n=7)が、いずれも0%でした。
4.看護師の喫煙に対する疾病認識
看護師の喫煙に対する疾患認識についての調査結果をご紹介します。
喫煙によって、肺がんや呼吸器系疾患のリスクが高まるという認識は8割を超えていますが不妊症や胃潰瘍などに対してのリスク認識は50%以下という結果になっています。心筋梗塞、動脈硬化症、咽頭がん、妊婦へのリスク認識は70%以上でした。
自分が吸うタバコによって第三者がリスクを負う「受動喫煙」に対する認識は、肺がん、ぜんそく、気管支炎などの呼吸器系疾患や妊婦への影響が76~90%と高くなっています。
5 看護師の喫煙 まとめ
看護師の喫煙率は7.5%で、国民全体の喫煙率17.7%に比べると10%あまり低くなっています。しかし、男女別にみると、女性看護職の喫煙率は7.5%で、女性全体の喫煙率7.2%より若干ですが高くなっています。喫煙の健康リスクが高いことを認識している女性看護師の喫煙率が、女性全体よりもむしろ高いのは、看護職のストレスの高さを示唆しているのかもしれません。
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