完璧なヒヤリハットを目指して!ハインリッヒの法則を徹底解説!

完璧なヒヤリハットを目指して!ハインリッヒの法則を徹底解説完璧なヒヤリハットを目指して!ハインリッヒの法則を徹底解説

完璧なヒヤリハットを目指して!ハインリッヒの法則を徹底解説!

ヒヤリハットを調べるといつもハインリッヒの法則がついて回るように出てきます。
これは、国の施策でハインリッヒの法則に基づくヒヤリハット運動が促進されているからです。

では、なぜ国はヒヤリハット運動を促進しているのか?
調べていくと、国の考え方、医療事故を未然に防止することの重要性、取り組み方が見えてきました。

日々、ヒヤリハットやインシデントレポートを書くことに意義を見出せない、疲れてしまっている方がこの記事を読んで前向きに取り組めるようになれば幸いです。

採用情報

1 ヒヤリハットレポートの裏にハインリッヒの法則あり!

ヒヤリハットはハインリッヒの法則と密接に関係してます。

大事故は突然、何の前触れもなくおこるのではありません。そこに至るまでには、何らかの因果関係があると考えられます。5,000例の労働災害事故を分析したハインリッヒは、1件の大事故が起こる背景には29件の軽微の事故があり、300件の微小な事故が存在していると結論付けました。

この法則をもとに医療事故を整理すると、1件の重大な医療事故(死亡・重症)が発生する背景には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがあるというピラミッド構造となります。
ハインリッヒの法則

1-1 ハインリッヒの「災害」の定義と災害を防ぐための2つの教訓

ハインリッヒは「災害」を人間の傷害と傷害を起こさせる可能性のある予想外で抑制されない事象(不安全な行動と不安全な状況)と定義しています。
この定義から2つの教訓が導かれます。
・教訓1:災害を防げば傷害はなくなる。
・教訓2:不安全な行動と不安全な状況をなくせば、災害も傷害もなくなる

ハインリッヒの法則が示す教訓は、特に、医療事故は一歩間違えれば患者さんの死亡につながる可能性があるため、重大な事故を未然に防ぐためには、日頃からインシデント及びヒヤリハットレポートを網羅的に作成・把握し、的確な対策を講じることが必要であるということです。

1-2 Mr.ハインリッヒが法則の根拠としたデータ

ハインリッヒは、傷害を伴った労働災害を調べる過程で、傷害は伴わないが類似した災害が多数あるということを発見しました(これを潜在的有償災害と呼んでいます)。潜在的有傷災害の頻度に関するデータから、同じ人間の起こした同じ種類の330件の災害のうち、300件は無傷で、29件は軽い傷害を伴い、1件は報告を要する重い傷害を伴っていることを5,000件以上について調べた研究により結論付けました。

なお、ハインリッヒが行った以下の傷害や災害のカテゴライズは医療安全に出てくる医療事故のレベル区分にも大きく影響しています。
【ハインリッヒが整理した区分】
・重い傷害:実害の大きいもの
・軽い傷害:応急手当だけですむ擦り傷や打撲等
・傷害を伴わない災害:実害はなかったが、実害の可能性のあるもの

【地域医療機能推進機構が発表している区分(参照:独立行政法人地域医療機能推進機構 医療安全管理指針)】

影響レベル傷害の程度内容





0実害なしエラーや医薬品・医療器具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった
1実害なし何らかの影響を及ばした可能性はあるが、実害はなかった
2軽度処置や治療は行わなかった(バイタルサインの軽度変化、観察の強化、安全確認の検査などの必要性は生じた)
3a中程度簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の
縫合、鎮痛剤の投与など)





3b高度濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
4高度永続的な障害や後遺症が残存(有意な機能障害や美容上の問題は伴わない場合、伴う場合の両者を含む)
5高度死亡(現疾患の自然経過によるものを除く)


2 ハインリッヒの法則が叫ばれるようになった2つの背景

2-1 背景①:医療の高度化に伴うヒューマンエラーの発生頻度が高まった

現代の医療は、医学や医療技術が急速に進歩し、新しい診断法、新しい治療法が次々に開発されています。

一方、こうした現代の医療は、様々な医療職種や、最新の高度な医薬品・医療機器によって支えられており、医師・看護師を始めとした医療従事者が取得すべき技術や業務が多様化、複雑化しています。その結果、専門職種間の密接な連携がより重要となるとともに、医療従事者に膨大な医学知識及び技術の修得が求められるようになってきています。

また、業務量の増加とともに、一日の中で多種類の業務をこなさなければならない状況が忙しさや焦りに繋がり、ヒューマンエラーを誘発する要因となって、医療従事者が当事者となる医療事故が発生しやすい環境となっています。

2-2 背景②:国を挙げてのヒヤリハット運動

ヒヤリハット運動は医療の世界でもヒューマンエラーの当事者である医療従事者がおこなうことで、危機感受性を向上させ、かつ、未然防止策を立てることができるため、医療の現場にとても相性が良く、厚生労働省が2001年にこのヒヤリハット運動を医療安全対策に取り入れました。

もともと、労働災害対策の1つにハインリッヒの法則に則ったヒヤリハット運動がありました。これは、就労中に「ヒヤリ」としたことや「ハッ」とした潜在的な危険情報を報告させ、事例の分析結果に基づいてヒヤリハットを低減させるマニュアル等を作成し、職場内等で共有していく取組みでした。

このヒヤリハット運動は、厚生労働省が2001年から取組みを始めた医療安全対策ネットワーク整備事業の中で取り上げられ、医療現場でヒヤリとしたり、ハッとした事例を収集、分析、共有することにより、対策を講ずべき領域や対処方法などを明らかにするとともに、有効な安全対策を実施・検証し、更なる改善につなげていく取組でした。

厚生労働省は、ヒヤリハット運動を通して、医療事故を未然に防止する環境を整備することを目標としていました。

こういった国全体の医療安全の取り組みがヒヤリハットと言えばハインリッヒの法則と言われるようになった主な所以です。


3 ハインリッヒの法則のその後の研究

ハインリッヒの法則はその後、ほかの研究者がより多くの事例を分析して、新たな結果を導き出しています。その中でも有名なものがバードの法則とタイ=ピアソンの結果です。
いずれも、ハインリッヒの法則と比率は異なりますが、意味は同じで、国や時代によって変わるものだということを示しています。

3-1 バードの法則(1:10:30:600)

バードの法則とは、ハインリッヒの法則が発表された1929年から40年後の1969年にアメリカのフランク・バードが発表した法則です。アメリカの21業種297社170万件のデータから導き出された法則で、「1:10:30:600」の比率が成り立つとされています。
①1件の重症災害が発生する背景には、600件のヒヤリハットが存在する
②災害を逓減するには、災害自体を制御するのではなく、ヒヤリハットを制御することが効果的である

3-2 タイ=ピアソンの結果(1:3:50:80:400)

1974年~1975年にイギリスの保険会社のデータ約100万件からタイ・ピアソンにより導き出されました。ハインリッヒの法則やバードの法則と同じ法に「1:3:50:80:400」の比率が成り立つとされています。
①1件の重症災害が発生する背景には、400件のヒヤリハットが存在する
②災害を逓減するには、災害自体を制御するのではなく、ヒヤリハットを制御することが効果的である


4 まとめ

ヒヤリハットとハインリッヒの法則が密接に関係していることを理解すると、日々の業務の中でヒヤリハットを意識することの重要性が理解できるようになります。
日々の業務の中にはヒヤリハットの件数は相当あるはずです。
処置や与薬プロセスのやり飛ばしや、やり忘れる行為、やるべきことはやったが、やり間違いがあったという行為、余計なことをやってしまった行為、順序を誤ったという行為、正しい処置を行っていても、それが早すぎたり遅すぎたりするというタイミングによる行為等々、いつヒヤリハットを飛び越えて一度に重大な事故になるとも限りません。
いつやってくるかわからない医療事故を未然に防ぐには、毎日のささいな取り組みが不可欠で、不安全な状態や行為を認識し、ヒヤリハットレポートの作成とヒヤリハットの段階で未然に防止するための対策を立てて、実践していくことがとても大切です。

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