激務を避けたい看護師必見!3つの共通点と避けるべき職場4選
「看護師って、どこにいっても激務なんでしょ?」
そう思っている人も多いかもしれませんが、答えはNOです。
看護師にも病院以外の職場が数多く存在します。
職場の種類や規模によって仕事内容や働き方が大きく異なるため、激務になりやすい職場とそうでない職場があります。
この記事では、激務になりやすい看護師の職場に共通する3つのポイントをお伝えするとともに、激務になりがちな職場とライフワークバランスの取りやすい職場をそれぞれご紹介いたします!
今の職場環境に悩んでいる方は転職の参考にしてください。
目次
1 看護師の激務な職場に共通する3つのポイント
看護師自体は重労働・長時間労働かつ専門性を求められる職種であることに間違いはありませんし、全く休憩が取れない日もあります。
しかし、働き方改革が進み36協定を結ぶ病院が増えたり、7対1看護が定着してきたこともあり、看護師の労働環境で慢性的な人手不足や長時間の残業を強いる職場は随分減ってきました。
それでも経営体制を整えても激務になってしまう分野はあり、それを決めるのは大きく分けるのは次の3つになります。
・夜勤の時間が長い・回数が多い
・身体的負担が大きい
・高い専門性を求められる
看護の職場において、この3つが揃っているところは激務になりやすい傾向があります。
それでは1つ1つ掘り下げて見ていきましょう。
1-1 夜勤の時間が長い・回数が多い
病院勤務の看護師にとって、夜勤は身体的にも精神的にも大きな負担となります。
下記は労働科学研究所(※1)が1988年より制定している交代制編成のための評価基準(※2)により定めている夜間勤務時間及び回数です。
時間/回 | 回数/月 | |
2交代制 | 16時間以内 | 4回以下 |
3交代制 | 8時間以内 | 8回以下 |
この基準よりも時間/回数の上回った夜勤を行っている職場は休日取得日数や勤務間隔を充分に取得することが難しく、激務傾向にあると言えるでしょう。
医労連が2020年に行った夜勤実態調査では、2交代制の職場では約36%、3交代制の職場では約25%のスタッフが「1ヶ月あたりの夜勤回数が基準よりも上回っている」と回答しています。
夜勤負担の大きい職場は看護師の離職率も高い傾向にあり、慢性的な人手不足に陥ることにより負のサイクルが生まれがちです。
※1 看護職の働き方改革の推進
(労働科学研究所:事業経営の健全化、労働者の福利の増進及び社会福祉の向上発展に資するために、各種事業場における労働の状況、条件及び環境ならびに労働者の資質、健康生活及び医事厚生に関する研究、調査等を行うことを目的として設立された財団法人)
1-2 身体介助の負担が大きい
看護師の仕事はとにかく体力が必要です。
その中でも患者さんのケアはどれも体力を必要とするものばかりで、自分より体の大きな患者さんの入浴介助やおむつ交換が頻回にあるため、腰を下ろして休憩することすらできないなんて声も多く聞かれます。
例を上げると、後述する回復期のリハビリテーション病院はもともと13対1看護で一人あたりで受け持つ患者さんが多く、その分体にかかる負担も大きなものになります。
1-3 高い専門性を求められる
分野の専門性と需要の高さは比例しており、専門外来はより高度な治療を求めて重症の患者さんが受診するので激務になりがちです。
病棟勤務の看護師は異動があれば、その都度専門分野に対する勉強が必要です。
業務をこなす一方で、日々新しくなる治療法や薬剤の理解に務めることも看護師の「見えない仕事」の一つです。なので専門性が高い分野ほど情報の更新が早く、仕事も勉強も忙しくなる傾向にあります。
2 激務になりがちな職場4選
前項では激務な職場に共通する3つのポイントを上げました。
その中で以下4つの診療科は激務になりがちで、ワークライフバランスを重視する看護師にとっては避けたほうが無難です。
2-1 救急科
二次救急や三次救急指定の病院の場合、重症・重篤な患者さんへの対応がメインになります。
短時間でどれだけ適切な処置ができるかが大切になる救急科では、看護師にも幅広い知識と正確な判断力が強く求められます。いつでも患者さんを受け入れる体制を整えておく必要があるため、薬品や物品も細かくチェックが必要です。
また、5対1看護としている病院も多いため、診療科の中でも夜勤が多くなりがちです。
2-2 リハビリテーション病棟
リハビリテーション病棟は身体介助の負担が大きいのが特徴です。
車椅子移乗、入浴介助、排泄や着替えの介助などがメインの業務になります。
急性期病棟とは違い、13対1や15対1看護を実施している病院がほとんどのため、看護師一人あたりの負担が大きいです。
時間内に業務をこなしつつもオムツ交換等の突発的な業務が頻回にあり、腰痛の悪化で退職する看護師も少なくありません。また、社会復帰に対する不安を抱えた患者さんやそのご家族への接し方にも注意が必要になるので精神的負担を感じる人も多いでしょう。
2-3 NICU
NICUは高い専門性と夜勤の多さで激務になりやすいです。
人手が足りないからと言って他の病棟から応援を呼ぶことができない点が忙しさに拍車をかけているようです。
基本的に3床に対し1人の看護師を配置しなくてはならず、専従スタッフのみでのシフト構成になるので夜勤と日勤がほぼ同数になることが多いです。
外科・内科問わずに早産や超低出生児、重度疾患を持って生まれた新生児の治療やケアを行いますので、高い観察力と正確な手技が求められます。
2-4 専門外科
外科病棟の中でも脳神経外科や心臓血管外科といった生命維持に直結する専門外科は、専門病棟数自体が少ないために激務傾向にあります。
手術前後の患者さんのケアは勿論ですが、ドレーンの留置されている患者さんは清拭やおむつ交換であっても常に一定の角度を保ったり、創部から感染症を引き起こさないように徹底した管理の必要があります。
また、普段のバイタルチェックであっても内科病棟で行っているよりもチェック事項が多くなりがちです。
3 激務から開放されたいならここ!おすすめの職場5選【医療機関】
病棟勤務であっても、比較的ワークライフバランスを重視して働ける診療科もあります。
今回はその中から4つを特徴を交えながらご紹介します!
3-1 内科
看護学生時代の勉強内容を活かしやすいのが内科です。
看護師としての経験年数が少ない方や、患者さんの状態観察をじっくり行いたい方にオススメです。
点滴や服薬管理、患者さんのお世話の他に退院後の援助についてソーシャルワーカーとのやりとりを行うこともあります。慢性疾患をもつ患者さんが多いこともあり、入れ替わりが少ないことが特徴の一つです。
3-2 皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科
手技に不安がある人におすすめなのが皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科です。
手術以外での採血や点滴がほとんどありませんし、自立状態にある方が多いのでコミュニケーションも比較的取りやすいです。また、日帰り手術が大半なので患者さんが高齢でADLが低下傾向にあっても清拭やおむつ交換が不要なので身体的負担もかなり少ない分野です。
3-3 心療内科
心療内科は心身症や心因性の身体的不調を取り扱います。
クリニック等ではうつ病などの精神疾患を取り扱っている場合もありますが、その多くは通院治療の範囲内に収まる患者さんが大半となっています。
1人あたりの診察時間も長く、患者さんとじっくり向き合いたい方におすすめです。
また、手術等はありませんが、採血は必須になりますので「血が苦手だから」と志望するのはやめましょう。
3-4 検診センター・透析センター
夜勤をしたくない看護師にオススメなのが検診センターや透析クリニックです。
どちらも総合病院内に併設していたり、附属病院として運営されていることが多く、その大半は日勤のみの仕事となっております。
他の診療科に比べると医療行為は少なく、検診センターであれば採血、透析センターであれば穿刺の技術が求められます。入院患者さんへの日常ケアがほとんど無いので肉体的負担はほとんどありません。
(健診センターへ転職したい看護師必見!転職前に知っておくべき23個のことを徹底解説!)
(転職前に絶対知るべき透析看護師の仕事内容・役割・悩みなど徹底解説)
3-5 献血ルーム
臨機応変を求められることが苦手な方には献血ルームがおすすめです。
来院される人は基本的健康で、治療や処置は不要です。
土曜や日曜は混み合いますが作業もルーティン化されており、看護的側面で対応に困ることはあまりありません。求人数は多くありませんので、興味のある方は見逃してしまわないようにご注意ください。
(献血ルームでの主な仕事内容とキャリア志向の看護師に勧めない理由)
4 激務から開放されたいならここ!おすすめの職場3選【医療機関以外】
以下の職場は病院看護師よりも給与水準が低いですが、比較的残業も少なく、休日も融通が効きやすい環境にあるかと思いますのでぜひご検討ください。
4-1 訪問看護ステーション
訪問看護は決められた訪問予定をこなしていき、突発的な対応が少ないことから激務になりにくい職場の一つです。
病院やクリニックと違い、看護師が一人でご利用者さんの自宅に伺ってケアを行います。
高齢の患者さんが多く、機材や環境の整わない中で看護をすることになりますが、1回30分〜と一人ひとりに向き合う時間が長いため患者さんの生活を支えたい看護師が向いています。
オンコール対応などはステーションごとに違いますが、事業規模が大きく常勤看護師の多いところは1ヶ月あたりのオンコール対応が少ないので要チェックです。
絶対に夜間働きたくないと言う人はオンコールを行っていないステーションもあるので探してみてください。
(訪問看護はやりたいと思うならオススメ!その理由と気になる質問5選)
4-2 介護福祉施設
介護福祉施設は病院勤務よりも身体的介助が少なく、医療行為も少ないことから激務になりにくいです。
介護福祉施設の看護師は「医療の視点から利用者の生活全般をサポートする立場」になります。
主に入居者のバイタルチェックや服薬管理、医師との連携が日常業務になっています。基本的に利用者の身の回りのお世話は介護士が行ってくれるので、身体的な負担はかなり少ない職場になります。
介護福祉施設には、介護老人福祉施設や特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど種類がありますので、次の記事を参照ください。
(有料老人ホームの看護師の仕事内容|施設種類ごとの実態と給与を解説)
(特養(特別養護老人ホーム)の看護師の仕事内容と給与・待遇の実態)
(老健(介護老人保健施設)の看護師の仕事内容と給与・待遇の実態)
4-3 保育園
子供が好きでお世話や相手が苦にならない、予防的側面から子供の健康を守りたい人におすすめな職種です。
保育園は園に1人、看護師が配置されています。
保育園看護師の主な仕事は次の3つです。
①怪我・体調不良への対応
②感染症予防・健康管理
③日常のお世話
保護者からもらった連絡帳を元にその日の児童の健康観察や、毎月の保健だよりの作成、シーズンごとの感染症予防といった看護的側面の他に、在園児のお世話(おむつ替えや食事介助、レクリエーション等)が加わります。これは、保育士同伴であれば看護師も「保育者」としてカウントしてもいいことになっているからです。
(保育園の看護師の役割や業務内容から悩み・対処方法まで徹底解説)
5 ブラック環境に分野は関係ない
3章・4章では比較的激務ではない看護の職場をご紹介いたしました。
「えっ!私、それでも激務なんですけど……」
そう思った方もいるかも知れません。
そもそも、勤務している職場自体がブラック体質だった場合、そこには分野や職種は関係ありません。
ブラック病院・施設とは、待遇面では給料や福利厚生など悪条件が揃っている、人間関係では多忙で人を気遣う余裕がないという特徴があります。
待遇面が悪く、働く従業員の人間関係悪化から離職も進み、悪循環に陥っている場合が多いです。
このような職場は慢性的に人手不足で一人当たりの業務が多く激務になりやすい傾向にあります。
ドキッとした人には是非次の3つを確認していただきたいです。
- 高圧的で威圧的な上司や先輩がいる
- 入職前後で勤務条件が明らかに異なる
- サービス残業が毎月20時間を超える
この3つが揃っている職場はブラックな職場の可能性が高いです。
多少の違いはあれど、上記3つがあてはまる職場の多くはブラックの可能性があります。
比較的働きやすいと言われている分野であってもこの3つが当てはまる職場は避けるのがベター。求人段階での見極め方など、もっと詳しく知りたい方はこちら(新人看護師は【ブラック病院】に要注意!今すぐ逃げるべき理由)をご確認ください。
6 まとめ
- 夜勤の多いシフト
- 身体介助による負担が大きい
- 高い専門性を求められる
あなたの職場はいくつ、当てはまりましたか?
勤務中は忙しければ忙しいほどやりがいを感じるという人もいれば、一人の患者さんに時間をかけて向き合いたい人もいます。
看護師は比較的転職しやすい職業ではありますが、一つの職場で長く続けることで得られるキャリアがありますので、転職をするときは「これで最後にする」という気持ちで取り組みましょう。
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