夜勤専従看護師の3つの特徴と求人募集例に見る求められる人物像4つ
働き方の多様化が進む中、法律の改定により夜勤専従看護師への需要は高まっています。
しかし、実際に夜勤専従看護師として働いている方は少なく、どのような求人があるのか知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では夜勤専従看護師の3つの特徴を元に、夜勤専従として働くメリット・デメリットをご紹介します。
どんな人が向いているとされるのか、応募する上で注意することは何なのかも解説していきますので、求人を見て悩んでいる方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1. 夜勤専従看護師の3つの特徴
夜勤専従看護師とは、夜勤帯のみで働く看護師のことを指します。
1ヶ月に10回前後の勤務で高収入を得られるため、一度は興味を持つ看護師さんも多いのではないのでしょうか。
夜勤専従看護師の特徴は次の3つです
・勤務日数が少ない
・給与が高い
・非正規雇用が多い
それでは一つずつ見ていきましょう。
1-1 勤務回数が少ない
夜勤専従看護師の特徴として勤務回数が少ないことが挙げられます。
原則として1日の労働時間は8時間までと定められていますが、24時間休まず稼働している医療現場で働く看護師の場合は、「変形労働時間制」という方法に則って勤務時間が定められています。
変形労働時間制とは、労働時間を1日単位ではなく月・年単位で管理する制度です。
つまり労働時間が1日8時間を超えた日があっても、月・年単位でみて労働基準法に定められた時間を超えていなければ問題ないという考え方です。
労働基準法では変形労働時間制の場合、一週間の労働時間を40時間と定めており、夜勤看護師の勤務時間・勤務回数もこれをもとに決められます。
夜勤専従看護師は勤務時間が13〜16時間と長いため、40時間を超えないよう勤務回数を調整すると10回前後が一般的となります。
交代制勤務の看護師の場合、ベースは4週8休 = 20回/月、3交代制の場合であれば日勤→夜勤などシフトのパターンによっては休日が丸一日にならないこともあり、体感的に週6勤務しているように感じてしまうことも。
1-2 給与が高い
場合によっては日勤+夜勤よりも稼ぐことのできる夜勤専従看護師。職場別の求人募集では次のように給与設定がされています。
募集例①は正規雇用での求人です。都市部に比べ給与水準の下がりがちな地方でも経験年数によっては給与が40万もらえます。
また、こちらの募集例の場合は正規雇用で退職金制度や社会保障完備の他に、24時間稼働の託児所も併設されています。
募集例②は派遣での募集です。大きな大学病院の募集で、診療科が20以上に別れている中でどの病棟に配属されるのかは選べないようです。
各病棟、看護師2名+看護助手1名体制となっており、臨床経験は3年以上。勤務回数にもよりますが、雇用・労災・厚生・健康保険は完備となっています。
募集例③はパート・アルバイトの求人です。こちらは週に1回からの勤務ができる有料老人ホームです。介護福祉施設系の魅力は、なんと言っても休憩時間の長さではないでしょうか。
介護福祉施設の夜勤は、看護師は一人の場合が多いですが、他に介護士も常駐しているため、医療行為以外は分担して行うことができ、肉体的な負担は少ない傾向にあります。
しかし、介護福祉施設は夜勤専従での看護師の正規雇用はほとんどありませんので注意が必要です。
このように夜勤専従看護師は経験年数や地域、シフトにもよりますが、基本給と手当で約30万円ほどもらえるようです。月に10回ほどの勤務で30万円ならば、かなり高収入といえるのではないのでしょうか?
※日給○万円となっている募集や、雇用契約ではなく「業務請負」での募集は残業代がつかない場合がありますので、応募の際には注意して確認しましょう。
1-3 非正規雇用が多い
給与の高い傾向にある夜勤専従看護師ですが、求人募集自体かなり数が少なく、その多くは非正規雇用です。そのため社会保障や賞与が出ないケースが多く、年収だけで見ると正規雇用の日勤+夜勤の看護師を下回ることもあります。
実際にダブルワークとして他の職場と掛け持ちで夜勤専従看護師をしている人も多く、正規雇用となるためには日勤交代制としての実績が認められてからという病院・施設も多々あります。
しかし、非正規だからこそ他の職場と掛け持ちがしやすかったり、出勤日をある程度調整することができます。
2. 夜勤専従看護師の4つのメリット
夜勤専従看護師ですが、そのメリットは勤務日数や給与のみに留まりません。
大きなメリットとしては次の4つがあります。
・日中に活動しやすい
・連休を取りやすい
・看護以外の業務がほとんど無い
・人間関係の煩わしさが少ない
この4つは看護師として働く上で諦めている人が多いポイントではないのでしょうか。後ほどデメリットについても触れますが、それを加味しても十分なメリットと感じる人が多いと思います。
それでは詳しく説明していきます。
2-1 日中に活動しやすい
夜勤専従看護師は1ヶ月の勤務回数が平均して10回程度、週平均2〜3回の勤務なので日中の活動がしやすいです。病院で夜勤専従看護師として7:00 – 09:00の16時間働く場合、次のようなスケジュールになるでしょう。
勤務明けの翌日は休日になるので日中の活動がしやすことがわかります。
1回の勤務時間は16時間と長いですが、夜勤の場合は患者さんの退院手続きや手術、処置や清拭(※突発的なものは除く)もありません。一人あたりの受け持ちは増えますが、急患等がない場合はしっかり休憩や仮眠を取ることもできるでしょう。
勤務間隔が長く、日中も時間を取りやすいので子供の学校行事に参加することも可能です。
2-2 連休を取りやすい
夜勤専従看護師の場合、勤務間隔が空きやすいのでシフトの組み方や有給休暇を利用すれば5連休を取ることも可能です。
また、交代制勤務の看護師と違い、夜勤のみの専従看護師は24時間〜48時間の間隔を開ける必要があるので、自然と2連休や3連休になりやすいです。
長時間労働ではありますが、その分しっかりリフレッシュすることができます。
2-3 基本的に看護以外の業務がない
夜勤専従看護師の場合、委員会の参加やラダー制度といった看護以外の業務に関わることはほとんどありません。前述した通り、退院手続きも日勤者の仕事になります。
また、夜勤リーダーに指名されることも無いので、申し送りや事務作業での残業が発生することはごく稀だと言えるでしょう。
2-4 人間関係の煩わしさが少ない
どんなに苦手な相手であっても、週に数回しか顔を合わせる必要がないのが夜勤専従のメリットではないでしょうか。
勤務する施設によっては一人夜勤の職場もあり、仕事の時間は看護業務だけに意識を向けることができるのも嬉しいポイントです。
3. 夜勤専従看護師の4つのデメリット
どんなにメリットがあっても、やはり少なからずデメリットも存在します。
夜勤専従看護師のデメリットは大きく分けて4つ
・困ったときに頼れる人が少ない
・患者さんの状態は把握が難しい
・体調を崩しやすい
・ライフステージの変化に対応しづらい
これらは日勤看護師では感じることの少なかったデメリットと言えるでしょう。
3-1 困ったときに頼れる人が少ない
夜勤帯は日勤よりも少ない人数で業務に当たるので、場合によっては自分よりも経験年数の少ない相手とシフトがかぶることもあるでしょう。
特に夜勤専従看護師は経験・技術のどちらも持ち合わせている看護師として採用されているので、周囲も「できて当然だよね」といった雰囲気になりがちです。
また、看護師だけでなく医師の数も少なくなるので緊急時に咄嗟の判断を迫られることがあり、精神的なストレスを抱えやすい傾向にあります。
3-2 患者さんの状態把握が難しい
急性期病棟では患者さんの入れ替わりが激しく、日勤者からの申し送りだけでは把握できないことが多々あります。
勤務間隔も空いているため、少し早めに出勤して患者さんのカルテをくまなくチェックしてから業務を開始する等、自分なりの方法で情報収集する必要が出てくるでしょう。
3-3 体調を崩しやすい
昼夜逆転生活は自律神経が乱れ、体調不良に陥りやすくなります。
「昼は活動し、夜は休む」というのが人間として自然なサイクルなので、いくら交代制でなく規則的な夜型生活を送るとなっても、はじめのうちは体が適応できずに自律神経が乱れてしまうでしょう。
「夜勤に合わせるために夜はずっと起きている」のではなく、休みの日は正常なサイクルで生活することを心がけることが大切です。
3-4 ライフステージの変化に対応しづらい
結婚・妊娠・出産・育児と様々なライフステージの変化への対応はなかなか難しいものがあります。
夜勤専従看護師は非正規雇用が多く、募集は少ないので一定期間働けなくなった場合は退職を余儀なくされることも少なくはありません。
4. 夜勤専従に向いている人の4つの特徴
夜勤専従看護師に向いている人の特徴は4つあります。
・体力的にも精神的にもタフな人
・役職にはあまり興味のない人
・判断スピードの早い人
・臨床経験が3年以上の人
この限りではありませんが、この3つは夜勤専従看護師に求められる素質になるでしょう。
4-1 体力的にも精神的にもタフ人
夜勤専従看護師は1回の勤務時間が長く、場合によっては休憩がまったく取れない日もあるので体力的にも精神的にもタフな人が求められます。
また、医療的処置が少ない場合でも排泄介助等を少ない人数で行わなければいけませんし、疲労がピークのタイミングで患者さんの起床・朝食の時間となります。
その状態でもしっかりと看護に当たることができるくらいの体力と精神力が必要でしょう。
4-2 役職にはあまり興味のない人
現段階で管理者等の役職に興味がなく、看護にだけ専念したい人に向いている傾向があります。
夜勤専従看護師は委員会や指導業務がなく、人材育成や管理業務に向いているか判断ができないため、役職者候補になることは殆どありません。
看護師としての経験年数や勤続年数での昇給はありますが、役職手当など給与に色がつかないことだけは覚えておいたほうがいいでしょう。
しかしながら、夜勤専従看護師の給与は深夜割増や夜勤手当がつきますので高い給与水準はキープできるでしょう。
4-3 冷静で判断スピードの早い人
元々的確かつスピーディーな判断の求められる看護師ですが、夜勤専従ではよりその傾向が強まります。
夜勤中は病床数や職場の規模にもよりますが、2〜3人で患者さんの看護や緊急入院の対応に当たらなければいけません。
また、デメリットの部分でもお話したとおり、日勤看護師よりも患者さんの情報を得る機会が少ない中での看護になります。急変も十分にありえるので、その中でも慌てず冷静に状態把握をし、次の手を考えることのできる人が向いていると言えるでしょう。
4-4 病棟勤務経験が3年以上の人
夜勤専従看護師になるのに経験年数の決まりはありません。日勤のように入退院が激しいわけではありませんし、検査や処置も少ない傾向にあります。
しかし、夜勤は少ない人数で患者さんの看護や緊急対応をしなくてはいけないので病棟勤務経験は3年以上、最低でも2年程度の経験を条件としている募集がほとんどです。
実際に経験が5年目の看護師と新卒の看護師では経験でも知識量でもその差は明らかで、プリセプターからの密な指導を受けられない可能性を考えると新卒でいきなり夜勤専従看護師になるのはリスクの面が大きいと思われます。
そのため、採血やルートキープ、吸引、経管栄養、胃瘻管理など基本的な看護技術は指導や見守りがなくてもできる程度の経験や技術は急性期・慢性期・福祉施設問わずに必須でしょう。
特に夜勤専従看護師の待遇は経験してきた診療科や年数によってかなり違いが出るので、経験の浅い看護師が夜勤専従になっても思うように稼ぐことは難しいでしょう。
5. 夜勤専従看護師の求人の3つの注意点
あまり正職員としての求人が少ない夜勤専従看護師。収入や待遇がマッチしたからといって飛びついては行けません。
夜勤専従看護師として求人応募するときの注意点は次の3つです。
・人員配置
・設備状況
・救急搬送数
求人数が少ない夜勤専従だからこそ、いい職場を一発で当てましょう!
5-1 人員配置
夜勤専従看護師の募集は病院やクリニックだけでなく、入居型介護施設等の福祉施設にも及んでいます。
求人に応募する前に必ず行っていただきたいのが人員配置の確認。
何床に対して看護師は何人配置されているのか、福祉施設の場合は看護師は一人であっても介護士は何人の配置になっているのかが重要になります。
特に慢性期病棟や介護福祉施設は全介助の患者さんだけでなく、徘徊や点滴の自己抜管をしてしまう患者さんもいるので注意が必要です。
5-2 設備状況
ただでさえも少ない人数での夜勤の場合、病院の設備も大変重要になってきます。
夜勤専従看護師として働くなら電動ベッド・電子カルテを導入している施設がおすすめです。
2020年までに国内の病院・診療所での電子カルテ普及率は50%未満と、まだ半数以上が導入していない状況ではありますが、患者さんの情報収集の難しい夜勤専従看護師の場合、端末一つで病棟の患者さんのカルテを確認できるこのシステムは外せない条件なのではないでしょうか。
5-3 救急搬送数
忙しく働きたい人も、落ち着いて看護に向き合いたい人も希望先の病院の救急搬送数を目安にするといいでしょう。
救急搬送数は各病院のホームページにある診療実績より年度ごとに確認できます。これは夜勤手当にも影響してくる数字で、比較的落ち着いている病院の場合は夜勤手当もそこそこ、といったところが多いです。
逆に忙しい方がいい・少しでも多く稼ぎたいという人は急性期病棟などを視野に入れるといいでしょう。
6. まとめ
夜勤専従看護師の特徴とメリット・デメリットについてお話しましたがいかがでしたか?
働き方の多様化が進む中、法律の改定により夜勤専従看護師への需要は高まっています。
夜勤専従看護師は非正規雇用ということもあり、夜勤専従のみでの人生設計はなかなかに難しい側面がありますが、勤務1回ごと給与が高く、交代制で働くよりもたくさん休日を取得することができます。
夜勤専従としての求人募集はかなり少ないので、気になる求人は見逃さないようにしましょう。
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