パートナーが転勤!「看護師の仕事はすぐ見つかる」は本当?
パートナーの転勤が決まったとき、「看護師ならすぐに仕事が見つかるからいいよね」と言われたことのある方も多いのではないでしょうか。
実際に看護師という大きな枠での求人はオフィスワークの求人よりも多く、人手不足が常態化しています。
しかし、それは雇用形態や条件を選ばなければ就職しやすいというだけであって、病院数の少ない地方やフレキシブルな働き方を求める方には「すぐ見つかる」とは言い難いです。
今回の記事では、パートナーが転勤になってしまったとき、看護師はどんな選択ができるのかについて説明していきたいと思います。
目次
1.選ばなければ「看護師の仕事はすぐ見つかる」
パートナーの転勤に伴う看護師の転職で最もネックになるのは「その土地について何も知らない」ということではないでしょうか。
看護師という職についている方の中には、国家資格の持つ安定性に惹かれて目指した方もいるでしょう。実際に看護師の求人数は年々増え、どの病院や施設も人手不足で逼迫しているように見受けられます。
その中で「看護師の仕事はすぐ見つかる」というのは、雇用形態や条件を選ばなければ就職しやすいというだけであって、病院数の少ない地方やフレキシブルな働き方を求める方には「すぐ見つかる」とは言い難いです。
・勤務地
・経験年数
・就労条件
看護師の転職には上記の3つが大きく関係しており、多くの看護師の悩みの種となっているのではないでしょうか。
1-1.看護師の有効求人倍率
近年、看護師の全国的な有効求人倍率はおよそ2〜3倍となっています。全職種での有効求人倍率が1.02倍であることを考えれば、かなり高い数字と言っても過言ではありません。
特に都市部では訪問看護ステーションなどの新設も多く、転職サイトやハローワークには常にどこかしらの求人募集が出ているでしょう。
しかし、供給過剰を懸念されている急性期病院を減らしたいという国の意向で、診療報酬改定により多くの急性期病院が看護師を減らす事が予測されています。
急性期病院にこだわるなら、今までに比べると転職は難しくなるでしょう。
1-2.希望条件によっては選択肢が一気に減ることも
パートナーの転勤や、やむを得ない事情で転職する必要が出てきた場合、都心と地方とでは求人数だけでなく、募集内容にも大きな差があります。
特にクリニックのような小規模な医療機関や保育園といった、もともと少人数しか雇用のない職場の求人数は地方が圧倒的に少ない傾向にあります。
また、こうした小規模な医療機関などは3年以上の経験を持ち、長く働ける人材を求める傾向が強いので難しいかもしれません。
都市部から地方への転勤となった場合は、こうした地域的な事情も考慮して転職活動をする必要があります。
2.転勤の可能性があっても常勤看護師として働くことはできる
それでは実際問題として、転勤の可能性があっても常勤看護師として働けるのでしょうか。
前述した通り、クリニックや診療所のような小規模な医療機関や保育園などの施設は、そもそもの求人数が少ないため難しいですが、病床数の多い病院であれば可能です。
*派遣看護師とかも選択肢
特に、後述する国立病院や公立病院など、全国に医療機関を抱える病院機構はグループ内や系列の病院への転勤もありますので、転勤希望なども応じてもらいやすく、一つの職場でキャリアアップを目指したい人にはおすすめです。
3.医療グループに就職すれば看護師も転勤可能!
私設医療機関ではなく、全国に病院や関連施設を展開しているグループであれば転勤に伴う異動を受け入れてもらえる場合があります。
しかし、いずれの医療グループも「希望勤務地の施設に空きがあること」が前提なので必ず希望が通るわけではないということは覚えておきましょう。
3-1.国立病院
国立病院機構は、全国に142病院を抱える日本最大の医療ネットワークです。
北海道東北グループ 21病院
関東信越グループ 33病院
東海北陸グループ 18病院
近畿グループ 20病院
中国四国グループ 22病院
また、ブロックをまたいでの全国転勤があります。医療施設の種類も多く、がんセンターなど専門的な部署もあるのが特徴です。
パートナーの転勤などにともなった希望にも応じており、さまざまな地域で働きたいと考える看護師にとっては多様な選択肢があります。
国立病院機構の看護師は国家公務員ではありませんが、給与や福利厚生などの待遇は国家公務員に準じており、将来的にも安定しています。
転勤希望のすべてが叶えられるというわけではないようですが、家族の転勤や実家のある地方に戻るなどの事情には比較的対応してもらえます。
3-2.公立病院
都道府県や市町村などの自治体が運営する医療機関で働く看護師は、地方公務員として扱われます。
そのため警察官や消防官と同じく、管轄地域内での異動があります。国立病院のようにブロックを跨ぐことはありませんが、転勤辞令が出ればそれに従わなければなりません。
3-3.赤十字病院
赤十字病院は、日本赤十字社法に基づく認可法人日本赤十字社が運営する病院です。
全国に92病院、健康管理センターを含む5つの診療所、さらに6つの老人保健施設があります。
赤十字病院の場合は、基本的には業務命令としての転勤はありません。ただし配偶者の転勤などに伴い、本人が希望を出した場合には認められることがあります。
3-4.大学病院
大学病院間でも転勤がまったくないわけではありませんが、一般職の看護師の転勤はほぼないと言えます。上位の管理職になると、異動は珍しくありません。
大学病院でも国立大学法人の場合には、附属病院間の転勤ができます。また人事交流という形で、短期間の転勤も行われています。
自身で希望をする際には、勤続年数に相当するラダー(知識・技術等)の条件を満たしている必要があります。およそ勤続3年程度とされている場合が多いようです。
勤務評定に問題がなく、看護部長などの紹介状や推薦状があると希望に合わせた転勤ができる可能性が高くなります。
3-5.その他の医療グループ
系列の医療施設を多数経営する医療法人などでは、グループ内での転勤もあるでしょう。
医療法人は全国の病院の 70%近くを占めています。全国的に展開する法人も多く、そのような場合には看護師にも転勤の機会がある可能性が高くなります。
特に新しい施設を開設する場合には、ある程度経験を積んだ看護師を立ち上げに派遣するというケースが多く見られるので、キャリアアップの足がかりとしてもいいかもしれません。
4.転勤についていかないという選択肢もある
パートナーの転勤が決まったからといって、必ずしも自分がついていかなくてはいけないということはありません。
例えば小学生〜高校生のお子さんのいる家庭では、限られた時間の中で転校手続きを行うだけでなく、お子さんのメンタルケアが必要になります。
1〜2年ほどで転勤先から戻ってこれる目処が立っており、夜勤について職場と調整できるなら、パートナーには単身赴任として働いてもらったほうがいいケースもあるでしょう。
また、先述した通り納得のいく転職先が必ずしも見つかるわけではないので、金銭的な理由で共働きを継続したい場合も、転勤にはついていかないという選択をとってもいいかもしれません。
5.まとめ
「看護師の仕事はすぐ見つかる」というのはあながち嘘ではありませんが、それは条件を選ばなかったらという場合に限られます。
パートナーの転勤や、やむを得ない事情での転職は準備期間も短く、なれない地域で手探りの状態から始めることになるので、難航するかもしれないということは理解しておきましょう。
また、ご家庭の事情によっては家族揃っての転勤ではなく、パートナーだけの単身赴任も視野に入れて柔軟な対応を心がけることが大切です。
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