看護師が青年海外協力隊になるために必ず知るべき全ての知識
看護師を目指す理由は人によって様々かと思います。
「手に職をつけたかったから」
「身内に看護師がいて勧められた」
「昔から憧れの職業であった」
「自分自身の入院や通院の経験でチャレンジしたい」
など多岐にわたります。
その中には、青年海外協力隊にチャレンジするために看護師になりたいという方もいるでしょう。かく言う筆者も看護師になった理由の一つが青年海外協力隊に参加したいというものでした。
しかしながら、実際に看護学校に通ったり、看護実習を経てその想いが薄くなる方も少なくありません。
青年海外協力隊には毎年1000名以上の方が携わっており20%程度は保健医療分野の従事者が活躍しています。(*2020年の情報ではコロナウイルス感染症の影響で減少)
青年海外協力隊になるための情報は、JICAのホームページから収集できます。
ハードルが高いと思っていた青年海外協力隊ですが2010年頃4,000人の応募が2018年は約2,000人と半減しています。チャレンジするなら今がチャンス、そして実際を知ることで「自分でもやれる!」「準備すれば簡単」と思える内容が詰まっています。読み終われば「説明会に行こう」あるいは「WEB説明会を視聴してみよう」という気持ちになっているでしょう。
1. 青年海外協力隊で看護師が従事する仕事は?
看護師として青年海外協力隊に行く場合は、ご自身の興味関心のある分野でチャレンジするとよいでしょう。2章でも述べていますが、看護師は歯科衛生士や高齢者介護に比べて合格率が高い職種になるからです。そのため、自分の興味関心や強みを活かして従事することが青年海外協力隊になるためには重要となります。まずはどのような仕事内容や要件があるか知っていきましょう。
1-1. 看護師は病院だけでなく、保健センターや小学校、はたまた看護学校でも働けます!
看護師が従事するというと病院だけと思いがちです。実際は地域(保健センター、小学校など)で、看護業務の指導や住民への啓発活動なども行います。看護学校で学生に指導を行う場合もあります。
病院で、看護技術の向上や看護ケア改善のための指導や医療事故防止などを啓もうする活動や、住民への生活習慣病予防のための啓発活動、あるいは看護の専門学校で、実習を中心に学生指導も行います。
1-2. 要件はただ一つ!看護師の国家資格のみ。
青年海外協力隊の看護師として活動するために必要な要件は看護師の国家資格のみです。
保健師や助産師の資格や実務経験もあると活動範囲が広がります。地域での保健活動を希望する場合、保健師の資格がなくても訪問看護の経験や、保健指導関連のイベント経験等があると有利となるでしょう
1-3. 実務経験は派遣時点で3年以上あればOK。
青年海外協力隊の看護師として活動するために必要な実務経験年数は、3年以上(派遣時点)です。より専門性が求められる要請においては5年以上の実務経験が必要です。
その他、要請内容によって、特定の疾患や部署での知識や実務経験、プライマリ・ヘルスケアや母子保健、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)についての体系的な知識や経験が求められる場合があります。
2. 募集や実績、どのくらいなれるの?
青年海外協力隊は年度により派遣先や募集人数が異なります。分野も「人的資源」「保健医療」「計画行政」などに分類されています。
2-1. 募集人数は1,000名程度、看護分野は200~300名程度!
「出典 国際協力機構(JICA)」https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/results/jocv.html#r03
2020年はコロナウイルス感染症の影響で激減しておりますが、それ以前においては毎年1,000名程度の募集をしています。下記は直近(2022年6月時点)の情報のため、派遣中の総数が少ないながらも、保健医療の分野では人的資源、計画・行政に次ぐ多さになります。過去実績の累計でも、保健・医療の分野は14%近くとなり非常に多くの看護師が参加されています。看護師の派遣先や目的も明確となっているため、実績も多くなっています。
【分野分類別集計表】
「出典 国際協力機構(JICA)」 https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/results/jocv.html#r03
2-2. 看護師の合格倍率は46%で歯科衛生士や高齢者介護よりも合格しやすい!
下記表は2018年の職種別選考の合格率を参考にみてみましょう。応募者数から最終の合格数で考えると合格倍率は46%と歯科衛生士や高齢者介護に比べれば高いことがわかります。看護師の募集はコンスタントにあるため、もし不合格になったとしても毎年2回募集を行っているので、半年後に再度受験することも可能になっています。
職種 | 応募者数 | 合格数 | 合格率 |
看護師 | 39名 | 18名 | 46% |
歯科衛生士 | 6名 | 1名 | 16% |
高齢者介護 | 6名 | 1名 | 16% |
「出典 国際協力機構(JICA)」 http://newsreader.jica.go.jp/news/2018_aw_jv_toukei_190215.pdf
3. 応募方法やスケジュールに関して
青年海外協力隊の募集要項、応募方法はJICAに記載があります。応募から選考までのスケジュールのリンクより進めることができます。春と秋にそれぞれ募集期間があり、都度ホームページに記載がされます。2022年の場合、2022年5月20日~6月30日が募集期限になります。その後一次選考が行われて「技術審査」「健康審査」「語学審査」が行われます。
3-1. 「想いが大事!」一次選考の技術審査
技術審査では青年海外協力隊を応募する理由、ボランティア経験、帰国後の進路がまず必要になります。看護師の場合は免許証のコピーも必要となります。看護師として1章に挙げた、どのような分野で支援していきたいかが最も重要になります。ここは技術も大事ですが、とにかく想いが大事になります。
3-2. 健康審査はJICA指定の健康診断書を提出して実施するだけでOK!
健康診査にはJICA指定の健康診断書を医療機関に提出するだけになります。対象病院は健康診断を行っている多くのクリニックが対応になっています。自身の病院でも可能かと思いますが、退職願などを出していないと呼び出される可能性があるため、注意が必要になります。費用はクリニックにより異なりますが10,000円~20,000円程度かかります。
3-3. 語学審査は高校卒業程度のレベルで十分も準備は必要です。
必要となる語学力は英検3級、TOEICスコア330点以上で、これは最低ラインになります。レベルは高校卒業程度になりますが、受験しないといけないので事前に準備し、受験する必要があります。
また自宅でGTEC、CASECという英語のテストも受講できます。GTECの場合、4技能 340点、2技能 165点以上が求められ、CASEC(自宅受験型) 450点以上が必要になります。英語圏以外での受講の場合フランス語では、仏語能力認定試験(TEF)69点以上、仏検3級・4級で、スペイン語では、西検5級、DELE入門(A1)(2010年度以降の資格保持者)、SIELE(A1)というラインがあります。他の国に関してもJICAのHPにある語学力審査について(一般案件)に記載してあります。
3-4. 一次審査結果から二次審査
上記3つの審査を終えた、2022年募集の場合、2022年8月中旬~下旬に合格発表が郵送で送られます。併せてWEB上にも合否結果が記載されます。晴れて合格者は二次審査を2022年9月初旬~中旬にウェブ面接で行われます。内容は人物・技術の面接と健康診査になります。そして2022年10月25日に合否が発表という流れになります。
4. 応募する前に一呼吸!説明会にまずは行こう。
第3章だけを読むとハードルが高い気がしますが、しっかり情報収集をして準備することが大事です。基本的に青年海外協力隊を希望する多くの方は説明会に参加をしています。全国説明会キャラバンとWEBでの受講がありますのでそれぞれみていきましょう。
4-1. 全国50か所で開催されている説明化&イベント
JICAでは全国キャラバンやイベントで説明会を行っています。JICAの目的やボランティア事業の概要、経験者の座談会を主に行われています。北海道から九州にかけて全国で実施をしています。各地域に関してはJICAホームページに記載してあります。各種説明会情報ページを参考に日程を考えて、最寄りの会場に足を運ぶことを考えましょう。昨今はオンラインが多いようですので、より手軽に参加されるのも良いでしょう。事前に予約すれば直接質問や手続き方法を確認できるので、一番理解が深まるでしょう。
4-2. オンラインで質問もできる!便利なWEB視聴
時間がない方や会場まで足を運べないという方に朗報です!JICAではWEB説明会を用意しています。過去に行った説明会を見られるアーカイブス視聴と説明時にチャットで質問ができるリアルタイム視聴があります。JICAボランティアWEB説明会という動画もあり、1時間程度で視れるため、説明会参加の前にワンクッション置きたい方はおススメです。
5. さいごに
看護師での青年海外協力隊は、一般職種に比べれば合格率も高く、ハードルは低いです。しかし、英語圏やそれ以外でも語学力の最低レベルは必要になります。
思い立ってすぐには参加できない青年海外協力隊ですが、準備さえすれば合格は容易です。筆者と同じように夢を調べずに諦めるということにならないように是非チャレンジしてみてください。
JICAのビジョンは「信頼で世界を繋ぐ」で、「人々が明るい未来を信じ多様な可能性を追求できる、自由で平和かつ豊かな世界を希求し、パートナーと手を携えて、信頼で世界をつなぎます」としています。看護師として病院以外でも働き方ややりがいの一つになれば嬉しく思います。
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