2019.03.1 |
「訪問看護には興味はあるけどオンコールをやれるかどうか少し不安」という方からのお問い合わせをいただくことがあります。たしかにオンコールは自宅で待機をしていないといけない、すぐに緊急訪問できるようにしていないといけない…といった不安がつきものかもしれません。しかし、利用者様やご家族様が困っているときに支えることができ、まさに看護師としての本領を発揮する職務のひとつとも言えるのではないでしょうか。今回はそんな訪問看護におけるオンコールについて理解を深めてもらえたらと思います。
目次
オンコールとは、利用者様の急変時の訪問に備え、夜間や休日といった勤務時間外に呼出に応じられるように待機することをいいます。
オンコールは勤務時間という扱いは一般的にはされていませんが、電話があればいつでも訪問に行けるように待機している必要があります。
訪問看護ステーションにもよりますが、常勤看護師の場合オンコール必須としているところがほとんどですが、回数を希望に応じてくれたり、オンコールの無いステーションもあります。
病院でオンコールがあるケースはオペ室勤務の場合です。
オペ室のオンコールは2名体制となり、配属の看護師人数にもよりますが、20~30名の看護師が所属するオペ室の場合、週に1~2回オンコール当番が回ってくることがあります。
オンコールは緊急手術がある場合に病院から出動要請の電話が来ます。手当は平日1,000円から、土日祝で3,000円というところもあります。
さて、訪問看護におけるオンコールの手当については全国訪問看護事業協会の調査があります。
平日オンコール(17時~9時)の待機手当(第一担当者)は、最も多い訪問看護ステーションで1日1,000~2,000円未満、続いて多いのが2,000~3,000円未満となっています。5,000円以上の訪問看護ステーションは4.1%、1,000円以下の訪問看護ステーションは6.6%となっています。
参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会:平成27年度全国訪問看護事業協会研究事業「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業報告書」
今回、リカバリーで取り始めているオンコールのデータを集計してみました。
訪問看護ステーション リカバリー(新宿)の場合、オンコールの相手の6割が利用者様のご家族からとなっています。続いて、利用者様ご本人となりました。
オンコール内容は訪問看護ステーションの利用者様の特性により異なると考えられますが、ターミナルの利用者様が多いステーションではエンゼルケアや急変、精神疾患の方が多いステーションでは、眠れない・不安で話を聞いてほしいといったオンコールがあるかもしれません。
リカバリー(新宿)で最も多かったオンコール内容は「身体の不調」となり「相談・質問」「その他」「吸引」「転倒」と続きました。その他には、関係各所からの経過報告、オンコール指導後の改善報告の連絡などが含まれていました。
集計期間において、リカバリー(新宿)でオンコールの電話が鳴った164回のうち、実際に緊急訪問をした割合は約4割となり、オンコールのうち6割の内容では訪問することなく電話で解決ができていることが分かりました。
オンコールが鳴らなかった日は集計した160日中、75日となりました。1月はオンコールが鳴らない日のほうが多くなりました。
オンコールから訪問となる場合、訪問看護ステーションごとに緊急訪問に関するマニュアルを設けていることが多いので、それに従って訪問をします。
移動手段としては、自転車、原動機付自転車、社用車、中にはカーシェアリングを利用しているところもあります。また、深夜の訪問にはタクシー利用を推奨しているところもありますので、その訪問看護ステーションの決まりを教えてもらい、オンコールのしやすい体制かを確認してみるとよいでしょう。
リカバリーでは、経験2~3年目の女性看護師でオンコール担当に手を挙げてくれたスタッフもいます。理由を聞くと「先輩が夜でも困ったら電話してきていいよって言ってくれた」という安心感でオンコールを担当してくれていました。オンコールに慣れていると、電話を自宅に持ち帰り、枕元に電話を置いて寝ることに抵抗ない看護師の方もいますが、慣れていないとオンコール用の携帯を持っているだけで不安で眠れない…という方もいらっしゃいます。オンコールは不安だけどやってみたい、という気持ちのある看護師さんは、判断に迷うときに相談できる体制があるステーションを選ぶとよいかもしれません。