4週8休ってどんな制度?転職活動中の看護師が知っておくべき全て
看護師の求人の休日・休暇項目で最もよく見る「4週8休」
しかしながら、それがどんな勤務体系であるのかを正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。
「いったい何日休みがあるの?」
「週休2日と何が違うの?」
「どんな働き方になるの?」
などなど。。。
本稿では、そんな疑問を持たれている看護師のために、4週8休とはどんな勤務体系なのかを、どんな働き方になるのかなどを解説していきます。
目次
1 4週8休とは4週間の間に8日休みを取る制度
4週8休とは、その名の通り4週間の間に8日休みを取る制度のことです。
4週8休は、「変形労働時間制」のひとつです。「変則」を理解するには、まずは「原則」を知っておく必要があります。労働時間は労働基準法32条で規定された「法定労働時間」があり、それは1日8時間、1週40時間という原則です。
一方の「変形労働時間制」である4週8休は、労働時間の区切りを4週間にしています。その4週間という一区切りのなかで、8日の休日を入れていくため、先ほどの原則である1日8時間、1週40時間という区切りはなくなり、休みや労働時間が偏っても問題ない制度になります。
完全週休2日制は、毎週必ず2日の休みがあることを指します。そのため単純に休みの数を数えると4週8休と変わりません。
一方の週休2日制は、1カ月の間に2日休みの週が少なくとも一度あることを指します。つまり、それ以外の週は2日ではなく1日休みでもあり得るということです。例えば、ある月の1週目だけは2日間休みで、残りの3週は休みが1日だけでも週休2日制と言えます。
そのため、単純に考えると4週8休よりも休みが少なくなる可能性があることは抑えておいた方が良いでしょう。
2 4週8休の2つの勤務体系パターン
4週間の間に8日休みを取るという4週8休ですが、同じ4週8休を採用している職場でも、その勤務パターンが異なる場合があります。
4週8休での勤務体系は以下の2つのパターンに分けられます。
- 完全シフト制
- 半シフト制
結論から言うと、完全シフト制の方が管理者のシフト構成次第で偏った勤務になってしまうリスクがあるため、4週8休だとしたら半シフト制で行っている所をお勧めします。
その理由も踏まえて各勤務体系パターンを説明していきます。
これらは働き方が大きく異なるため就職後に後悔しないためにもしっかり把握しておきましょう。
2-1 完全シフト制
完全シフト制は、毎週〇曜日は絶対に休みということがなく、全ての休みを仕事の忙しさを考慮した上でスタッフ間と調整しながらシフトを決めていくケースです。
たとえば、以下のような勤務例が考えられます。
1日休みの週や、3連休がある週、平日休みとなる週などなど。。。シフト次第では全く休みがない週も存在してしまいます。
このように完全シフト制の場合は、休みや勤務が偏ったり場合があります。
看護師の場合、日曜も誰かが勤務しなければならない病棟勤務で4週8休を取り入れているのであれば、このような勤務もあり得るでしょう。
2-2 半シフト制
半シフト制は、特定の曜日が必ず休み(4日分)で、残りの4日分をシフト制で決めるという形です。
例えば、下記のような休みが考えられます。
最低でも毎週1日は必ず休みとなるので、連続勤務は最大でも6日となります。
看護師の職場で言うと、必ず日曜が休みとなるような、クリニックや保育園、デイサービスなどで4週8休をとっている職場では、この半シフト制の場合が多いでしょう。
3 4週8休の年間休日数
1章では4週8休がどんな制度なのかを説明しましたが、実際問題、年間でどれ位休みが取れるのか、多いのか少ないのかは知っておきたいところでしょう。
ここでは4週8休の年間休日数について解説します。
3-1 4週8休のみの年間休日数は104日
「4週8休」はその名の通り4週間で8日休みがある勤務体系のことを指し、4週8休の休みの数だけを計算すると年間公休日は104日になります。
- 1年365日を7で割ると52週間と1日
- 52週を4週で割ると13回。(半端の1日はここでは置いてます)
- 8日間の休みが13回なので、8×13で104日
看護師の全施設形態における就業規則上で定められた所定の年間休日の平均は118日(参考:看護職のワークライフバランス インデックス調査)となっており、結論から言うと、年間104日の休日はかなり少ないです。
3-2 4週8休でも祝日を休日に含める職場かどうかで年間休日数は変わる
祝日を休日に含める職場かどうかで、4週8休の年間休日数は変わってきます。
これは、4週8休に限らず、週休2日制や完全週休2日制などにも言えますが、職場によっては4週8休としての休み以外にも「国民の祝日」を休みと定めている場合があります。
看護師の求人などでも「年間休日120日」という表記を目にすることがあるかと思います。
例えば、2020年における国民の祝日は16日ありますので、先程の104日を足すと年間休日は120日となります。つまり、国民の祝日を休みと定めている職場であると言えます。
さらに、職場によっては夏季休暇や年末年始休暇などが付与されているケースがありますので、4週8休だから休みが多い、少ないと言うよりは、その職場が定めている休みを取得した場合の年間休日数がどれ位なのかを考えた方が良いでしょう。
4 4週8休の看護師の働き方の特徴
4週8休とよく比較されるのが完全週休2日制。
1章コラムでも説明しましたが、完全週休2日制は、単純に考えると4週間での休みの数は4週8休と違いがありません。
どちらが良いのか。もし選択肢があるのであれば、私は完全週休2日制をお勧めします。
それは、変形労働時間制である4週8休は、雇われている看護師側ではなく雇う側にとって、より柔軟にシフトが組みやすいことや、時間外労働の考え方が異なるからです。
ここでは、4週8休の看護師の働き方の特徴を解説して、その理由を理解して頂ければと思います。それでは解説していきます。
4-1 4週8休は入院患者さんをみる病棟勤務の場合が多い
看護師の職場の中でも、4週8休の勤務体系は入院の患者さんをみる病棟勤務のケースが多いです。
24時間業務が必要な病棟勤務では、ある程度の期間内で柔軟に対応できるシフト勤務が適した形になり、4週8休を適用している医療施設が多数存在しています。完全週休2日制の病棟勤務もありますが、人手が不足した場合などは病棟機能を維持するには、より柔軟に休みを組み替えられる4週8休の方が良いと言えます。
一方で、看護師の職場として、デイサービスであったり、クリニックの外来勤務、訪問看護などがありますが、これらは24時間業務が必要ではないため、完全週休2日制である場合が多いです。
4週8休の働き方、というよりはそもそもの職場が違うということが言えるかと思います。
4-2 4週8休は毎週2日休みがあるとは限らない
4週8休は毎週2日休みがあるとは限りません。そのため、シフト次第では連勤になってしまい体力的に大変なこともありえます。
2章で紹介しましたが、完全シフト制か半シフト制かの違いでも休めるタイミングは異なり、完全シフト制の場合はよりシフトの偏りが生じる可能性があります。
4週8休の職場でも、シフト調整して必ず2日休みが取れるようにしている職場はありますが、人手不足や繁忙期など、場合によってはそれが難しく連勤になるケースもあり、それは覚悟が必要でしょう。
そのため、毎週2日間休みが必ずほしい方は、「完全週休2日」の病院を選んだ方が良いです。
偏った勤務がある可能性がある一方、平日などで連休を取れることもあり、看護師であれば夜勤明けから休みを組むことにより、他の職種ではできないようなフレキシブルな休みが可能です。
他の職種の方が仕事をしている時に休むことで、例えば、旅行の際は旅費が安く、混雑を避けられるなど、人によってはその方が嬉しいなど、家庭を持っていない若い看護師には好まれる傾向はあります。
4-3 4週8休は残業代支給の考えが違う
変形労働時間制である4週8休では、4週間を区切りとして、その期間の労働時間平均が週40時間以内になっていれば残業代の支給は不要となる制度です。そのため、1日8時間以上働く日が存在しても、全体として労働時間が収まっていれば特段残業代などは支給対象にはなりません。
一方の完全週休2日制の場合は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働は直ちに時間外労働となります。例えば、月から土曜日まで毎日8時間で働けば、その週で48時間労働として8時間の残業が発生します。これは、仮に違う週に代わりの休みをとったとしても、その分の割増賃金が発生します。
そう考えると、仮に2章で説明したシフトを完全週休2日制で行おうとすると、かなり給料が違うことが考えられますね。
5 4週8休の看護職場に就職する時に気をつけたいこと
病院勤務が多い看護師の場合は勤務体系が4週8休である場合が多いため、そんな職場の中でも、如何に働きやすい職場を選ぶかは大事なポイントです。
確認したいポイントは以下の3つです。
- 年間休日数の確認
- 有給取得率の確認
- 連勤や夜勤の次の日の休みの有無の確認
これらは、求人票や説明会のタイミングなどで確認したほうが良いでしょう。それでは解説していきます。
5-1 年間休日数の確認
2章で紹介しましたが、同じ4週8休の勤務体系の職場でも、年間休日数は大きく異なってきます。
特に祝日を休日として認める職場とそうでない職場に大きな違いがあります。
図は日本看護協会 | 2019 年 病院看護実態調査を元にした設置主体別の平均所定年間休日総数です。
いわゆる、公立病院などの公務員・準公務員として働く職場というのは、総じて120日以上年間の休みがある一方で、民間病院では120日を下回っています。
公立病院などの公務員・準公務員は、祝日が休み扱いとなっているため総じて休みが多くなっています。
民間の病院でも、求人の内容をしっかり確認しておくことが非常に大事になります。
5-2 有給取得率の確認
年間の休日数だけでなく、有給取得ができる職場であるかどうかも重要です。
法改正により最低5日間の取得が義務付けられています。
世の中では有給取得率を上げるような流れがある一方、病院によっては有給休暇をまともに取ることができないところも珍しくありません。有給休暇のとりやすさは大事なポイントと言えます。
一方で有給休暇は退職前にまとめて取得するケースも多いです。そのため、有給取得率は退職者が多い職場の場合は、数字自体は高い傾向が見られる可能性もあり、有給休暇のとりやすさを反映していないこともありますので注意が必要です。
5-3 連勤や夜勤の次の日の休みの有無の確認
4週8休は場合によっては、連勤があったりで体力的に大変なシフトを組まれる可能性があります。特に夜勤の次の日に勤務があったりすると、非常に体にこたえます。
病院によっては、夜勤の次の日は休みを入れるような対応をしていますので事前の確認は必要でしょう。
求人票や説明会の内容を本当に信じても大丈夫かどうか不安な方もいるかと思います。
実際に、入ってみたはいいものの、説明してもらった内容と違う。。。なんて後悔される方も少なくありません。
信じても大丈夫どうかについては、いわゆるブラックな勤め先かどうかを判断していく方がいいかもしれません。ブラックな勤め先は、大概にして表向きと内部の状況が違ったりします。
下記の記事が参考になると思いますので是非参考にしてください。
6 まとめ
4週8休について解説してきましたがいかがでしょうか?
4週8休は、4週間の間に8日休みを取る制度のことで、「変形労働時間制」のひとつです。シフト制であり、勤め先によっては、勤務や休みが偏ってしまうこともあります。4週8休の中でも、完全シフト制か半シフト制か、祝日を休みにしているかどうかなどでも働き方や労働環境は異なるため、転職を考えている方は必ず確認をするようにしましょう。
ぜひ、今後の転職活動の参考にして頂けたらと思います。
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