主婦から看護師になるには?家事や子育てをしながら看護師になるための方法
家事や子育てをしながら看護師になれるのかな?
勉強についていけるのか?
就職後は家庭を守りながら働くことができるのか?
主婦から看護師になるにはいくつものハードルがあり、不安がつきもの。
あなたもそう思っていたりしませんか?
安心してください。昨今、これらのハードルをクリアして主婦から看護師になる方が増えています。
主婦を含む25歳以上の社会人から看護師になりたいと思い、看護学校に通う人は10%以上を占めており、決してめずらしい存在ではありません。(参照:e-Stat 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査/令和2年度(2020年度)入学)
結婚後の再就職が難しい中、人員不足の看護師なら就職先は引く手あまた。一方で、夫や子どもを抱えながら、看護師に本当になれるのか気になりますよね。この記事では、主婦から始める看護師を目指すときに知っておくべきポイントについて解説します。
目次
1 主婦が看護師になるには家族のサポートが必須
家庭持ちの主婦の方が、養成所に3~4年間通って卒業するには、周りの家族のサポートが必須条件です。また、看護師になって働く際、まずは病院へ入り、3年ほどしっかりと看護師としての臨床スキルを積む必要があります。その場合も、夜勤で夜家庭にいなかったり、シフト制で土日祝日も出勤したりと、家族の生活と時間が合わないことが多いため、家族の協力は必須です。
言い方を替えれば、家族の理解と協力があれば、平均年収500万近くを稼ぎ、家計に十分なプラスをもたらすことができます。
主婦が看護師を目指す上で、最初の壁となるのが国家試験受験資格の要件である看護師養成所の卒業です。大学・短大・専門学校などいずれにしろ、看護師養成カリキュラムは、朝から夕までみっちり詰まっています。
まずは、学校に通う際と就職した際の1日のスケジュールを見ていきましょう。
1-1 学校に通う際の1日のスケジュール
主婦の方が看護師養成所を通うときにイメ―ジしたいのが、毎日どのように過ごしていくか。ここでは、保育園児のいるママが養成学校に通学するときの、1日のスケジュール例をみていきましょう。
掃除・選択・買い出しなどは夫のサポートが必須です。
また、送りやお迎えも週に2日は夫にお願いできるかどうかが学校生活をおくれるかの大事なポイントです。
1-2 病院で働く際の1日のスケジュール
子どもが小学生になったときの、病院で看護師として働くときのスケジュールをみていきます(日勤の場合)。
国家試験に合格して晴れて看護師になっても、新人時代は仕事についていくために、自己学習が欠かせません。学生時代に、将来関わるであろう業務を想定して、看護技術について深く学習しておくのもよいでしょう。
また、1年目も半年くらいたつと、夜勤を任されるようになります。週に1日は夜勤で夜に家にいないという状況になります。
病院勤務のスケジュールを念頭に早めに夫や両親等と話し合い、サポート体制を準備しましょう。
2 最初の就職先は病院にすべき
厳しい内容になりますが、看護師経験のある筆者の立場から言えば、最初の勤め先はやはり病院がベストです。「就職後の方が勉強している」という看護師が多いように、病院だからこそ学べる実践的な看護技術があります。
主婦から看護師になる人の中には、「家事や子育てと両立できるような、ゆったりとした職場がいい」と考える人もいるかもしれません。
クリニックや介護施設では、病院よりも業務内容が限られているため、緊急時の判断力や対応を養う機会がありません。状況が許すのであれば、できれば3年、最低でも1年は病院の勤務経験を積んでいきましょう。
3 主婦が看護学校に通ううえで知っておくべきこと
看護学校へ通うにあたり、主婦であることがネックになることもあれば、ネックにならずに、プラスになることもあります。
3-1 主婦が看護学校に通う3つのプラス面
まずは、主婦が看護学校に通うことの3つのプラス面からみていきましょう。
①年齢に関係なく皆一斉スタートできる
看護学校の大きなメリットといえるのが、年齢差別がないことです。たとえば、医学部受験では年齢差別が暗黙で行われており社会問題となりました。看護師にはこのような年齢差別がないので、思い立ったその年に、看護学校の入学にチャレンジすることが可能です。
②子育てで培った主婦力を発揮できる
看護師の経験があり、子育て中の筆者の経験からして言えば、子育ての方が圧倒的に大変です。
理由は、看護師の交代勤務と違って休みがなく、子育ては24時間365日続くからです。これは、ママ看護師である多くの同僚も、同じ意見です。
看護師の仕事は、数ある職種の中でも激務といわれています。看護学校に通っている学生の中には、看護師が自分にとって適職であるか悩む人も少なりありません。
子育て中の主婦の方であれば、忍耐力・体力・機転の良さなど看護師に必要なスキルは、クリアしているといえます。
③勉強に身が入る
主婦から看護学校へ入学する場合、看護師になるという目標が明確なので、若さならではの間違いを犯すことは少ないでしょう。
勉強や課題で忙しいといわれる看護師養成所ですが、若い年代の学生さんは合間をぬって息抜きをすることが多いもの。人によっては、「飲み会に参加してテスト勉強をしなかった」という経験があることも。
筆者は大学の看護学部で学びましたが、社会人入学をしたクラスメートは成績優秀者が多かったのも事実です。主婦から看護師を目指せば、無駄な時間を過ごすなく、勉学に励めるはずです。
3-2 主婦が在校中に注意したい3つのこと
主婦の方が看護学校へ通う場合、注意すべきこともあります。具体的な内容についてみていきましょう。
①家庭との両立が難しい
看護師になるには、実習を含めて3,000時間ものカリキュラムをこなさなければなりません。家事育児との両立が必要な主婦にとって、かなりハードルが高いものです。
とはいえ、看護学校の時間割は会社員より短く、居残り残業もありません。看護養成所の毎日のスケジュールをこなすことは、近い将来、夫婦共働きになるためのステップでもあります。周りの家族のサポートや預かり保育等、さまざまな資源を駆使しながら、乗り超えましょう。
②学生仲間と年齢差がある
主婦で看護学校に通うときに気になるのが、学生間の年齢差。看護養成所では、毎日一緒に授業を受けたり、グループで課題をこなしたりすることも多く、クラスの自然に結束力が強くなります。
最初の頃は、年の差から遠慮がみられても、次第に学生仲間から「姉さん」と呼ばれたり、あなた自身も学生さんを妹のように感じられたりするかもしれません。
コミュニケーションは上から目線ではなく、同じ目線、同じ立ち位置を意識しておきましょう。信頼関係が深まれば、自然とあなたの人生経験をリスペクトしてくれるようになります。
③新しい知識を覚えにくい
主婦の方がネックといえるのが、記憶力の低下です。10代後半から20代前半のクラスメートのように脳が若くないので、新しい知識を覚えるのに一苦労する人もいるでしょう。
40代以降で看護師資格を取得している人もいるので、絶対に無理というわけではありません。反復学習をしながら、勉強を励んでみてください。
4 主婦が看護師として働くうえで知っておくべきこと
主婦から看護師になるには、良い面もあれば悪い面もあります。まずは、良い面からみていきます。
4-1 主婦が看護師になって働くと良い事3選
①安定した収入が得られる
医療職である看護師は、収入が安定している職種のひとつです。さらに、女性の会社員の平均収入が388万円である中、看護師の平均年収は483万円(夜勤手当込み)(参照:看護師の総年収は483万円!手取り、賞与、残業代の全てを徹底解説【わかりやすいグラフ付き】)。
世の中が不況でも、看護師は求人が途切れることがないのも魅力です。マイホームや子どもの教育費の準備など、家族の夢に向けてしっかり準備したい人は、看護師を目指すと良いでしょう。
②仕事にやりがいを感じられる
看護師の仕事は命に関わるため、責任が重い反面、十分やりがいがあります。仕事の楽しさを知れば、毎日の業務を活き活きとこなせるでしょう。
結婚や出産を機に仕事を辞めた人の中には、仕事探しに苦労している人も多いでしょう。主婦が応募できる求人の中に、やりがいを感じにくい人も少なくありません。
③患者さんの対応がうまい
子育ての経験、社会経験のある主婦の方なら、年代の若い看護師よりも、患者さんとのコミュニケーションが上手な可能性が高いです。日々の業務に追われがちな看護師ですが、患者さんの気持ちに耳を傾けることも大切な仕事のひとつ。
主婦ならではのコミュニケーション力で、患者さんと良い関係作りしていきましょう。
4-2 主婦が看護師になって働く上で注意すべき3つのこと
30代40代の主婦が、今から看護師になる場合、マイナス面もゼロではありません。具体的な内容は以下になります。
①年下から指導される
主婦で看護師となるときに、かなりツライのが、就職して1~2年は年下の先輩ナースから指導を受けることです。看護師もさまざま性格な人がいますが、キツイ性格な人も存在します。
あなたが年上であれば、敬語は使いますが、上から目線の物言いになる可能性が高いでしょう。医療現場は命に関わるので、ミスや間違いに対してかなり厳しい指導を受けるます。もちろん、ある程度仕事がこなせるようになると、先輩ナースと対等に話せるようになるはずです。
看護師は新人の離職率が高い職種のひとつです。ほぼ全員の看護師は、新人時代に厳しい指導で涙しています。中には、仕事のプレッシャーで心が病んでしまう人もいます。(参照:看護師1年目だけど辞めたい!時の対処法3選と辞めた時の最高の転職先5選)
せっかく主婦から看護師になるのなら、「石の上にも3年」の気持ちで、辛抱強く頑張ってください。
②体力的にキツイ
主婦から看護師になるときにネックとなるのが、やはり体力です。看護師の仕事は、交代勤務で患者さんのケアなど体力が物をいいます。看護師の中には、仕事に全力投球して、プライベートが引きこもり状態になってしまう人も少なくありません。
特に、40代になると夜勤がツライとこぼす看護師の多い印象です。
③仕事の両立が難しい
結婚や出産を機に、看護師の仕事を離れる人も多くいます。勤務先にもよりますが、看護師の仕事を続けるには、家族の理解とサポートが欠かせません。家庭と仕事の両立が特に難しいのが、やはり交代勤務のある病棟ナースです。
筆者の経験から言うと、結婚や出産後も病院で働いているのは、実家や義実家のサポートがある人や、夫が自営業の人。そのほかの主婦ナースは、子どもがある程度大きくなるまでは、外来専門で働いたり、時短勤務をしていたりしていました。
ある程度経験を積んだら、クリニックや介護事業所など働きやすい勤務先を選ぶとよいでしょう。
5 主婦が看護師になるまでの3つのルート
主婦から看護師になるには、一般的な看護師になるルートで同じです。
看護師になるのに代表的なルートが、専門学校(3年)、看護系短大(3年)、大学の看護学部(4年)の3つです。
中でも、主婦におすすめのルートとなるのが、看護専門学校です。理由にはいくつかありますが、比較的学費が安く、社会人入試枠が充実しているからです。
5-1 主婦から看護師になるには大卒がいいのではと考える方へ
看護師になる上で、より上位の学歴となる大学を検討している人もいるかもしれません。最近では大学出身の看護師が増えていますが、通常業務に限れば、学歴の差による仕事の違いはありません。
筆者の経験から言えば、新人時代は実習経験の豊富な専門卒の看護師の方が、仕事の飲み込みが早く、先輩ナースからも評価が高い印象でした。
大卒看護師である筆者は、専門卒の先輩ナースから、「大卒のくせに使えない」等、意地悪な言葉をよくかけられていたので、専門学校の方が、波風が立たないメリットもあるでしょう。
もちろん看護師も高学歴化が進んでいるので、大卒ナースの方が昇進には有利です。ただ、主婦から看護師になると昇進コースからは外れている可能性が高いでしょう。
大卒ナースになるメリットを強いて言えば、就学が1年余計に多いので、給料も1年間の昇給分多くなるくらいです。
以上のように、主婦から看護師になるには大卒にこだわる必要がありません。
以降では、主婦から看護師になるのに、専門学校がよい理由について具体的にみていきます。
6 看護専門学校なら社会人向け入試が充実!
近年、女性が長く働ける職種として看護師が注目されています。このようなニーズを受け、看護専門学校では社会人向け入試の実施に積極的に行われています。
たとえば、都内の専門学校の定員枠をみてみると、なんと20〜30%が社会人入試枠。看護学生の3~4人に1人は社会人ということになります。
また、注目したいのは、試験内容が小論文と面接のみであること。社会人で見受験しやすい環境であることから、2019年都立広尾看護専門学校の合格倍率は4.28倍という高い数字でした。一般入試の倍率は2.19倍で、社会人入試に比べると低めになります(参照:東京都 東京都立専門学校 令和3年度 入学案内)。
近年では、社会人向け入試の受験数が多いことから、合格を勝ち取るために、あえて一般入試を受験する社会人も少なくありません。
一般入試の受験科目は国語・数学・英語の3教科と面接。専門学校にもよりますが、学科試験はだいたい高1レベルの内容なので、試験対策がしやすいでしょう。
英語が得意な社会人なら、他の科目で点数が取れなくても、カバーできる可能性すらあるのです。
7 専門学校の方が、学費がダントツで安い
学費面でも主婦に優しいのが専門学校です。主婦が看護学校を通ううえで、やはり気になるのが経済面。専業主婦の場合、自分の貯金が無いという人もいるでしょう。
都立の専門学校の学費 を見ると、入学金はたったの1万1300円。授業料は年間26万5700円で、3年間でかかる金額はユニホーム代や教科書代を含めた合計で101万7100円(入学金を除く)です。100万円くらいなら、なんとか用意できる金額ではないでしょうか(参照:東京都福祉保健局 東京都立広尾看護専門学校 修学に必要な諸費用)。
看護系大学は、国立大学なら学費だけで250万円、私立大学ならさらにかかります。主婦から看護師資格を取るのなら、圧倒的にコスパが良いのが専門学校です。
7-1 お礼奉行システムで実質無料になることもある
看護専門学校にある独特のシステムが「お礼奉公」です。もともと看護専門学校は、関連病院の看護師スタッフの確保のために設立した背景があります。
看護専門学校の多くは、奨学金制度を導入しています。お礼奉公とは、資格取得後、一定期間、関連病院で勤務すれば、奨学金の返済が免除される仕組みです(参照:東京都福祉保健局 東京都立広尾看護専門学校 修学資金)。
これは、専門学校の学費が実質無料になるということ。多くの看護専門学校では、関連病院で実習を行っているので、本格的に就職する前に、職場の様子を知ることもできます。
もちろん、お礼奉公中もきちんと給料がもらえるので、かなりお得な制度といえるでしょう。
8 まとめ:家族のサポートを得て看護師を目指そう!
主婦から看護師になるには、強い決心だけでなく、家族の深い理解とサポートが必要です。看護師になるにはいくつかのルートがありますが、主婦からなるのなら、専門学校がおすすめです。看護師はやりがいのある仕事なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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