

廃止ではなく新たな制度へ!認定看護師制度をわかりやすく徹底解説!
認定看護師制度は廃止されていません。新たな認定看護師制度に生まれ変わりました。
2017年から2019年にかけて日本看護協会が認定看護師制度の再構築を行いました。再構築の過程において認定看護師教育が休講したことが認定看護師が廃止されると噂される原因の1つになったようです。特定行為研修、専門看護師など、看護師に関する研修・認定制度はいくつかあるため、認定看護師制度自体廃止されるのではないか?と思ってしまう看護師の方もいらっしゃったようです。
この記事では、新たな認定看護師制度を過去の認定看護師制度と比較しながらわかりやすく説明します。認定看護師を目指すことは看護師としてのキャリアを築くために、重要なスキルアップ候補の1つです。
この記事を読み終えた後に、認定看護師に向けて具体的なキャリアアップスケジュール設定が行えるよう意識して解説していきます。
目次
1 これまでの制度を引継ぎ、2020年度から新たな認定看護師制度が始まった
認定看護師制度は、2020年度から新たな制度に生まれ変わりました。
1995年度から始まった認定看護師制度と、2015年度から始まった特定行為研修制度が1つになって、より専門性の高い認定制度になりました。
1-1 2020年度から特定行為研修が認定看護師制度に包含された
2015年度には、さらなる在宅医療等の推進を図っていくため、医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助(例えば脱水時の点滴(脱水の程度の判断と輸液による補正)など)を行う看護師を養成し、確保していくことを目的として、その行為を特定し、手順書によりそれを実施する場合の特定行為研修制度が創設されました。
これにより、看護師の専門性は一層高まることになりました。認定看護師制度と特定研修制度の2つが存在することになり、2020年度から特定行為研修を認定看護師制度の中に取り込まれたことで、教育時間は600時間から800時間に増加しましたが、1つのカリキュラムで2つを兼ねることができるため、短期間に看護師の専門性を高めることができるようになりました。
1-2 新たな認定看護師制度で期待される看護師の能力
新たな認定看護師にはこれまで以上の専門性・能力が期待されることから、求められる能力について、日本看護協会が公表する新たな認定看護師教育基準カリキュラム作成の概要では以下のように定義しています。
・多職種協働:より質の高い医療を推進するため、多職種と協働し、チーム医療のキーパーソンとして役割を果たすことができる。
・役割モデル:特定の看護分野において役割モデルを示し、看護職者へ指導、看護職等へのコンサルテーション(または相談)を行うことができる。
・高い臨床推論力・病態判断力
・倫理:特定の看護分野の対象にある患者・家族の権利を擁護し、自己決定を尊重した看護を実践できる。
・地域医療への理解を深め、多職種協働における態度・姿勢を強化すること。
・急性期・エンドオブライフにおける病態を理解し、ケアを実践できる。
※引用:日本看護協会 認定看護師教育基準カリキュラム作成の概要
2 過去の認定看護師は新たな認定看護師制度に包含された
新たな認定看護制度上の分野は21分野から19分野になりました。
2つの分野が廃止されたわけではなく、一部包含される形になりました。旧制度上の21分野と現行の新制度上の19分野の比較表を以下に示します。
※出典:日本看護協会 認定看護師制度の改正
3 旧制度上で取得した認定看護師資格は新制度上の認定看護師資格へ移行できる
旧制度上で取得した認定看護師資格については、5年ごとの更新を続けることで認定看護師を維持できますが、特定行為研修を修了し必要な手続きを行うことで、新たな認定看護師へ移行することもできます。
(参照:日本看護協会_新たな認定看護師への移行)
また、新たな認定看護師制度も更新期間は5年で、現行の認定看護師として最後に更新した日から新たな認定看護師となった日までの実績については、新たに認定看護師となった後の最初の認定更新において実績として反映されます。なお、移行せず、現行の認定更新審査を受け合格することで、現行の認定看護師資格を継続することもできます。
その他、現行の認定看護師制度は2026年度をもって教育終了となり、また、認定審査は2029年度をもって終了となります。
新たな認定看護師制度は2020年度から教育が開始され、認定審査は2021年度から開始となりました。
4 認定看護師になるまでの流れと合格率
ここでは、旧制度と新制度の2つが併存することでわかりにくくなっている、認定看護師になるまでの流れと合格率を解説していきます。
4-1 認定看護師になるまでの流れと期間
認定看護師制度が廃止されないことを知っていただいた上で、今後は、認定看護師になる流れを示します。下図で示したA課程が現行の認定看護師制度、B課程が新たな認定看護師制度を示しています。
認定の種類によって時期は様々です。共通科目380時間のうち、335時間は自宅等でe-learningで受講できます。
しかしながら、勤務しながら研修を受けることは難しいため、休職等については個々に病院と相談して調整する必要があります(定員がありますので、早めに調整したほうが良いです)。
4-2 参考書類等は無いので、過去問で勉強する
日本看護協会が指定する特定の参考書はありません。日本看護協会の会員ページである「キャリナース」で公開されている筆記試験問題を参考に、問題を解きながら学習する等、自分なりの勉強方法を確立する必要があります。受験に際しては、筆記試験がありますので、これまでの実務経験、ご自身が行ったアセスメントや看護実践とその評価を言語化し、文章化する力を養う必要があります。
4-3 認定看護師の合格者数及び合格率
新制度になってから、公には合格者数と合格率は発表されていません。ただ、2019年までの旧制度上の合格者数と合格率から大きな変更は無いと仮定すると、年間1,300人前後が新たに認定看護師となり、その合格率は約90%と言えそうです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 1,496人 | 1,329人 | 88.8% |
2018年度 | 1,480人 | 1,293人 | 87.4% |
2017年度 | 1,671人 | 1,478人 | 88.5% |
5 認定看護師の次のステップとして専門看護師
認定看護師と専門看護師の一番の違いは、認定看護師が現場での看護技術の実践に焦点を当てていて、看護技術の周辺である看護管理や安全管理は理解するのにとどまるのに対し、専門看護師は、看護技術の周辺にも焦点を当て、研究を通して、管理運用フローや新たな管理手法の計画・立案を実践できるようにすることまでが守備範囲となっています。
また、英語表記すると、違いが良くわかります。専門看護師はSpecialistとつきますので、認定看護師よりも専門性が高いと判断できます。
「がん看護」など、13分野が専門看護分野として特定されています。
認定看護師と専門看護師の違いを詳細にまとめた記事はこちらをご覧ください。
目指すべきは認定看護師?専門看護師?比較表をもとに徹底解説!
6 まとめ:認定看護師は廃止されない!
認定看護師制度は廃止されず、新たな認定看護師制度に生まれ変わりました。新たな認定看護師制度では、特定行為研修が含まれることになるため、看護師としてのキャリアアップを考えている方にはとても良い制度になったのではないでしょうか。
今後のスキルアップやキャリアアップ目標をしっかり練って輝かしい看護師キャリアを築いてください。
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