クリニック看護師の給料はいくら?業務内容のメリットデメリットとは?
看護師としての病院勤務にストレスを感じて、クリニックへの転職を考えていませんか?
夜勤や残業のある病院看護師の生活に「結婚や子育てはどうなるの?」と不安を抱く方もいるでしょう。
そんな方のためにこの記事では、クリニック看護師の給与や仕事内容、そのメリット・デメリットを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
目次
1. クリニック看護師の業務内容
クリニックの看護師の仕事は、おもに外来の患者を診察する医師のサポートです。医師が「血圧を測りましょう」と言ったら、血圧計を患者の傍に用意する〈あるいは看護師が血圧を測る)など、医療行為がスムーズに進むようにはからいます。
もう1つクリニックの看護師の重要な仕事は、クリニック全体の診療の流れをコントロールすることです。病院のようにレントゲン技師や受付、会計などの専門スタッフがいない場合が多いので、仕事の内容は多岐にわたります。
具体的には、医療行為では、バイタルの測定、心電図測定、採血、点滴などがあります。雑務に属するものとしては、電話対応、製薬会社からの納品対応、クリニック内の清掃などがあります。
病院での看護業務との大きな違いは、クリニックでは入院患者の介護やそのための夜勤がないことです。診療日と診療時間が決まっているので、残業や休日出勤もほとんどありません。
クリニックの看護師の業務は、出勤日は雑務も含めた多様な内容になりますが、仕事のオン・オフの区切りが病院よりもシンプルです。
2. クリニック看護師の雇用体系
クリニックの看護師の雇用形態は、正規雇用・パート・派遣の3種類です。どの形態でも業務内容に大きな違いはありませんが、労働者としての権利や収入にはかなり大きな差があります。勤続年数や勤務時間も違うのが一般的です。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
2-1. 正規雇用のクリニック看護師
正規雇用は無期の雇用契約で、一般企業の正社員と同じ立場になります。
雇用主が社会保険料(厚生年金、健康保険、失業保険)の半額を負担するなど、労働者の権利が厚く保護されます。有給休暇ももらえますし、理由なく解雇されることもありません。
収入面でも厚遇されます。ボーナスや定期昇給があるほか、住宅手当、家族手当などの諸手当もあります。
クリニックにおいても正規採用の看護師は、上記のような労働法の保護のもとで、長期的に安定した勤務を継続することが可能です。
もちろん、権利にはそれなりの義務がともないます。「安定して働ける」は「安定して働くことを期待されている」とも言えます。
勤続年数の積み重ねによるスキルアップも期待されます。医療技術の面だけでなくクリニック全体のオペレーションに寄与することが求められるのです。一般企業で言えば、平社員から主任や課長的な仕事ぶりに成長していかなければなりません。
2-2. パート(アルバイト)のクリニック看護師
パートのクリニック看護師は、時給計算で給与が支給されます。クリニックによって違いますが、ボーナスや定期的な給与アップもないのが一般的です。
年金や健康保険などの社会保険もありません。(ただし「週20時間以上の所定労働時間があり、31日以上の雇用期間が見込める」場合は失業保険に加入することができます)
通勤手当はもらえるのが一般的ですが、それ以外の諸手当(住宅手当、家族手当など)はありません。
このようにパートの看護師は、収入面、待遇面では正規雇用と差がありますが、勤務日、勤務時間の自由度が大きくなります。「月曜と金曜だけ」「午前9時から12時まで」などライフスタイルや家庭の事情に合わせた選択が可能です。
2-3. 派遣のクリニック看護師
病院やクリニックへの看護師の派遣は、労働者派遣法で禁止されています。ただし、派遣後6か月以内に正規雇用に移行する「紹介予定派遣」は例外として認められています。派遣後に、派遣された看護師とクリニックの双方が合意すれば正規採用になります。
一般的に派遣とは、派遣会社にスキルや希望を登録して勤務先を紹介してもらい、契約期間を定めて勤務する働き方です。働く人の雇用主は派遣会社で、給与は派遣会社から時給計算で支給されます。
派遣社員のメリットは、自分で派遣先を探す必要がなく、労働条件を派遣会社が交渉してくれることです。
看護師の場合は「紹介予定派遣」を受け入れるクリニックがあれば、看護師とクリニックの双方に「正規雇用の前のお試し期間」が設けられることになります。
3. クリニック看護師の給料相場
夜勤や残業がないクリニック看護師の給料は、病院看護師に比べてかなり低くなります。パート・アルバイトのクリニック看護師の給料は、勤務する地域によって差があります。
3-1. 正規雇用のクリニック看護師の給料
健康保険組合連合会の調査によると、2016年の看護職員の平均年収は、病院が507万円、クリニックが382万円で、125万円もの差があります。(データ参照元 : 「第21回医療経済実態調査結果報告に関する分析」(2017年))
病院看護師の給与がクリニック看護師より、月収にして約10万円も上回る理由は、病院では夜勤と残業があることです。
2017年の日本看護協会の調査によると、病院看護師の1か月の平均夜勤回数は、3交代制で7.9回、2交代制で4.7回となっています。また、病院看護師の月平均残業時間は18.8時間です。(データ参照元 : 2017 年 看護職員実態調査)
クリニック看護師の平均年収382万円は月収にして約32万円で、手取りは25万円前後となります。新卒の看護師は手取り20万円前後で、勤続年数、経験年数によっては手取り30万円前後になる人もいるでしょう。
3-2. パート・派遣のクリニック看護師の給料
2017年の政府統計によると、短時間労働(パート)の看護師の平均時給は1,789円となっています。(データ参照元 : 賃金構造基本統計調査 短時間職種別)
ちなみに全業種の平均時給は1,096円です。(厚生労働省「平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況」より)
ただし、パートタイマーの時給は、都市圏と地方など地域による差があるので、一概には言えません。「タウンワーク」(全国のパート情報を掲載する求人サイト)によると、もっとも時給が高い東京都が1,863円で、もっとも低い宮崎県が976円と大きな差があります。
もちろん、同じパートタイマーでも週に2日だけ働く人もいれば、5日働く人もおり、勤務時間の多少によって給与は違います。
クリニックへの看護師派遣は、前述のように「紹介予定派遣」に限られるので、時給についてのデータは見当たりません。
派遣の仕事を紹介する「エン派遣」の掲載例を見ると、一般的な派遣看護師の時給は1,700円~2,200円が多く見受けられます。
4. クリニック看護師のメリット
クリニック看護師の最大のメリットは、病院勤務のような夜勤や残業がなく、仕事と生活のバランス(ワークバランス)を取りやすいことです。
クリニックは土日休診がほとんどなので、カレンダー通りの休日が取れ、家事との両立や子育ての面でも便利です。
夜勤がなく規則正しい生活ができるので、心身へのストレスが少なく、健康管理が楽になります。
また、クリニックは地域医療を担うのが役割で、高度で先端的な医療は病院に任せます。緊急を要する治療も病院の役割です。したがってクリニック看護師の業務も、とくに高度な知識やスキルを要求されることはありません。
クリニックは数が多く、自宅に近いクリニックを勤務先に選べる可能性が高いのもメリットの1つです。
5. クリニック看護師のデメリット
クリニック看護師のデメリットは、病院勤務と比較すると給与が低くなることです。これは、夜勤や残業がないメリットの裏返しで「どちらを取るか」の選択になります。
もう1つのデメリットは、医師や同僚看護師の数が少ないので、人間関係に当たり外れがあり、逃げ場がないことです。周りにいるのがフィーリングの合う人たちなら仕事が楽しくなり、そうでない場合は毎日がしんどくなります。
本来の看護師業務以外の雑務が多いのも、クリニックのデメリットです。専門職の意識が強い人にとっては不満の種になります。
看護師としてのスキルアップを目指している人には、いつものお薬をもらいに来る患者さんの対応がメインの仕事内容に物足らなさを感じるかもしれません。クリニックでは、病院のような勉強会の機会もあまりありません。
6. まとめ
クリニック看護師にはメリットとデメリットがあります。給与を重視するかワークバランスを重視するか、看護師としてのスキルアップやキャリアを重視するか、地域の患者さんとのふれあいを重視するかなど、ライフスタイルや価値観に応じて選択しましょう。
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