【コーチング】看護師にとって身に着けるべきコミュニケーションスキル
コーチングとは、相手が自ら望む目標に向かって持てる力を活かし最善を尽くせるよう、対話により気づき、学習、行動を促進する協働的な関わりのことを言います。なりたい自分になるために自分の内側にある答えを導き出し、自発的な行動を促し、自己実現を支援するコミュニケーションです。
看護師がコーチングでコミュニケーションスキルが上がることで、患者さんへの療養生活のより一層の支援、あるいは同僚との関係作りを行うことに役立ちます。なぜなら、傾聴することで患者さんと関わる時間が非常に多いからです。病気により、悩んだり、目標を見失った患者さんには欠かせない存在が看護師であり、コーチングが役立ちます。
コーチの語源は「馬車」です。大切な人をその人が望む所まで送り届けるというのが語源です。馬車を使ってお連れするのではなく、相手が自力でそこまで行くことをサポートするのがコーチングなのです。看護師の領域においては、非常に重要な項目なります。患者さんだけではなく、部下や上司、そして医療従事者との間にも必要になっていきます。看護師としてコーチング技術を学ぶことは、それぞれの対象に対して気付きや、自発的行動を促すため、パフォーマンスの向上に繋がります。
患者さんには生きる希望や、治療の目的を与え、同僚に対しては看護の目的を認識させることに繋がります。
その上で「認める」「聴く」「質問する」の3つのスキルを習得することで、コミュニケーション能力は飛躍的に上がります。
1人でも多くの看護師のコミュニケーションスキルのUPの寄与になれば幸いです。
目次
1 コーチングとは、相手の「気づき」や「自発的行動」を促すコミュニケーションスキル!
看護師がコーチングスキルを身に着けることで、患者さんの自発的行動を促すことに繋がります。即ち治療において前向きな行動や、終末期に向けた準備すらも可能となります。病気に苦しむ患者さんの行動変容が難しい状況であっても、コーチングスキルが大きな助けになります。
その理由は、コーチングでのコミュニケーションは、実はある目的を持っているためです。
それは、相手の「気づき」や「自発的行動」を促すからです。言葉のやりとりを通じて、コーチングを受けている相手が、「気づき」や「自発的行動」を起こしたくなってしまう、そのようなコミュニケーションのスキルとなります。看護師で働く上で、患者さんに対しては勿論ですが、同僚に対してこのスキルを発揮することで、普段のコミュニケーションの更に上位の段階で行うことが可能になります。同僚そして自身の悩みも解消していくのです。
1-1 コーチングを行うとパフォーマンスが向上する
「気づき」や「自発的行動」を起こすことがコーチングによるコミュニケーションです。さらにその先にある目的は「パフォーマンス向上」です。パフォーマンスというのは、「成果」や「業績」というのが本来の意味ですが、その対象は、人生・家庭・仕事など多岐に渡り、それらの充実度を高めることを指します。コーチングによるコミュニケーションを通じて、相手の人生が充実していくことに繋がります。特に看護師が患者さんにコーチングすることで、治療の目的や退院後のイメージ、あるいは人生の最期を迎える意識が備わるようになります。
1-2 ただ聞くだけのコーチングは間違い
コーチングはコミュニケーションのスキルです。その基本はじっくり聴いてあげて、質問を繰り出すことになります。但し、方法によっては失敗する可能性が高まります。
習いたての方に多いのですが、質問をするのではなくて、誘導尋問になってしまってしまうからです。誘導尋問では、相手の本当に思っていることを話すことに繋がりません。つまり、本音を言ってくれないため、コミュニケーションが成立しません。そのため、コーチングを行う上では3つのスキルが必要になります。
2 必要なスキルはたった3つ
コーチングを行う上で必要なスキルはたった3つになります。それは下記になります。
・認める
・聴く
・質問する
たった3つのスキルで、並べてみると簡単に感じますが、一つ一つを深く理解することで今までにないコミュニケーションを行えるようになります。
2-1 ありのままの存在を認める
相手の存在をしっかりと認めてあげることです。そうすることで、受け手が安心して話せる環境をつくることができます。ありのままの存在を認め、敬意を払うことがポイントになります。
目を見たり、うなずいたり、意見を聞くなど相手の存在を意識していきましょう。その上で相手が行った行動の結果を承認してあげることが大事です。意識して変化できた行動や、定時で仕事が終えることができたなどできた結果を認めてあげることが、第一歩になります。
そして認めることは、成功・失敗に限らず行動していること自体についてできた過程や、過去の受け手の変化と比較することが大切になります。褒めると間違えてしまいますが、決して上下関係をつけず、対等な関係で認めることが大事になります。特に「あなたの頑張りは私にとって心強い」など頑張りと、自分の評価を加えることが有効なことも多くなります。
2-2 聴くとは看護師の専売特許の傾聴する
傾聴とは聞くではなく、徹底的に相手の話を聴くことになります。コーチングの一番の目的は聴き手ではなく、受け手自身に解決策を考えさせることにあります。問題の事実関係だけではなく、それに対して自身がどのように感じているかについても話してもらわなければなりません。自分の中にある情報をいったん外に出すことで、情報のもつ意味を認識できるようになります。当初話そうとしていた以上の話をするように仕向けることが必要です。タイミングよくうなずいたり、相づちを打つなどして、自分が相手の話をきちんと聞いていることをわかってもらわなければなりません。
実際コーチングを受けて真剣に集中して聴いてもらえることは、とても気持ちよく嬉しいものです。聴いてもらえると、さらに話したくなりますので、内面にあるものが、どんどん引き出されていきます。相手が話しやすい環境を考えながら聴くようにしましょう。
2-3 詰問ではなく質問をする
コーチングにおける質問は相手が気付いていないことをわかってもらう目的としています。すなわち相手のために行うものです。したがって、途中で自分がわかったとしても、相手がわかっていなければ質問を続けなければなりません。そして、質問に対する答えにはきちんと傾聴します。
その上で質問は「why(なぜ)?」ではなく「what(何)?」を使うようにしましょう。「why」で始まる疑問文を、「what」を使った疑問文に替えることを試してみましょう。そして日々の会話においても、今までの質問の冒頭に「なぜ?」「もっと」「どうして!」といった詰問をしないことがポイントになります。考える主体はあくまで相手であり、答えをもっていたとしても先回りしてそれを示してはなりません。相手が正しい答えにたどり着くようにサポート役に徹する必要があります。質問した後には、相手が十分に考えられるよう、時間をおくことが大切です。その時間を惜しんで立て続けに問いかけると、質問ではなく「詰問」になってしまいます。
そして「聴く」の引き出す効果をもっと高めるために、ポイント毎に質問をしていきます。話が途切れたとしても、質問を投げかけることで、さらにたくさん引き出していくことができます。視点を変えるような質問をすれば、新たな「気づき」を引き出すことにもつながります。
3 看護師がコーチングを学ぶのにオススメするセミナー
看護師がコーチングを学ぶのにまだまだ環境が少ないです。その中で、看護師のコーチングに特化している内容は日本看護コーチ協会になります。セミナーの数は少ないですが、ナイチンゲールの精神の元構築されているので、看護師にはなじみのある内容になっています。またコーチングする上で基礎から学びたい方にオススメなのものもいくつかあるので、それぞれの特徴を並べてみます。
3-1 看護師が代表理事を務める日本看護コーチ協会
2014年に設立されている日本看護コーチ協会。看護師が代表理事を務めており、「人の持てる力に働きかけることで、健康な社会の創造に貢献すること」を理念に掲げています。6日間のトレーニングを基本として、ナイチンゲールの精神を盛り込んだトレーニング内容になっています。単にスキルとしてのコミュニケーションを身に着けるのではなく、看護師として、その人の基盤となるあり方から整えることを大事にしている協会になります。<参考:一般社団法人日本看護コーチ協会>
3-1-1 看護師としての基盤が向上する
日本看護コーチ協会はマインドフルなコミュニケーションを目指しています。すなわち、自分の内側で起きていることに価値判断を加えず、あるがままの姿に気づいて、相手に対してそして自分に対して思いやりの気持ちを持ってアクセスできるようになります。看護師としての承認や傾聴という重要なスキルが向上し、ナイチンゲール精神から学べるので、一番看護師に馴染みのある協会になります。
3-1-2 東京・神奈川・宮城近辺の方は学びやすい
2020年のスケジュールでは上記3都市で開催予定になっています。承認や傾聴など一部のスキルを入門編として学ぶことが1日でできます。但し2か月に1回程度のみの開催なので、内容は看護師に合っていますが、上記3都市付近でない看護師は参加しにくいかもしれません。
3-2 基礎から学べる一般社団法人日本コーチ連盟
2002年に設立されて、70期に渡って受講生を輩出しています。病院や施設を始め、公的機関や教育関係での実績も多くあります。特徴は基礎コースから専門コースまで幅広く分かれているので、学びたい内容によってもコースが異なります。費用も他のセミナーに比べると安く設定されているのも特徴です。<参考:一般社団法人日本コーチ連盟>
3-2-1 基礎セミナーから心理専修まで複数のコース
「自己の能力発現」と「他者と能力を活かしあえる」技術であるコーチングの研究・普及を行う団体であり、コーチングセミナーから、コーチ養成、心理専修プログラムなどのコースがあります。資格を沢山取得したい看護師には、選択肢が多い為迷ってしまうかもしれません。但し、一度決めてしまえば、その後は次のステップにもいきやすいので、看護師にはピッタリかと思います。
3-2-2 東京・大阪にセミナーは集中
土日とそれぞれのクラスが毎月開催されています。しかしながらセミナー自体は、東京と大阪しかありませんので、遠い方は通うのが大変かもしれません。まずは毎月HP上で月に1回説明会を実施しているので、聞きに行くことをおススメします。<引用:一般社団法人日本コーチ連盟(説明会日程)>
3₋3 全国的に幅広い場所で学べる銀座コーチングスクール
2001年12月に開校されでいて、コーチング業界でも老舗になります。全国拠点数では日本一で「すべての人にコーチングを。」の実現を目指しています。クラス自体も「基礎クラス」からストラクチャー」「応用」「プロ」と4つに分かれていて、段階的に学べます。忙しい看護師にとっても、段階的に学べるのは魅力的だと思います。<参考:銀座コーチングスクール>
3₋3⁻1 プロコーチの育成を行い、副業でも実践可能
自身のスキルアップには勿論のこと、銀座コーチングスクールではプロコーチの育成も行っています。看護師だけの収入では足りない方、育児休暇中に働きたいという方にはとても重宝できる資格になります。副業を勧められているこの時代には看護師としても学ぶべき資格の一つになるでしょう。副業に関して詳しく知りたい方は、「看護師の副業総まとめ!副業やって良い?デメリットある?気になるところを徹底解説!」を参考にして下さい。
3₋3⁻2 拠点も全国規模でオンラインで体験可能
銀座コーチングスクールは全国規模で運営しているため、ほとんどの都市で受講が可能です。またオンラインでの体験講座が無料で参加可能になっているので、最もハードルは低いです。かく言う筆者もこちらでコーチングの勉強を行っています。看護師として基礎編を学ぶだけでも日々の業務に必ず役にたつと実際に感じています。
4 まとめ
コーチング自体は病院でも学ぶ機会があるとは思いますが、実際知るべきことは、相手の「気付き」や「自発的行動」促すコミュニケーションスキルになるということです。病に侵されている患者さんを看護する看護師にはとても必要なスキルになります。
スキル自体は「認める」「聴く」「質問する」ということだけですが、方法や考え方がポイントになります。興味のある看護師は是非住まわれている地域によって環境は違いますが、説明会などの参加をおススメします。著者自身も学んだことで、対人関係がスムーズになったり、自分自身の接し方が変わって本当に学んでよかったと強く思っています。是非この機会に自身のキャリアプランの見直しとともに参考にして頂ければ幸いです。
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