回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う3つの理由と対処法を徹底解説
回復期リハビリ病棟は、病態の安定した患者さんが集中的にリハビリを行い、在宅復帰や社会復帰を目指す場所です。
回復期リハビリ病棟の患者さんは病態が安定しており、急性期病院と比較して、点滴や検査などの看護師が行う業務が少なく、急変や突発的な入院、それに伴う残業もほとんどないため、急性期病院の忙しさが合わない看護師や、子育て世代の看護師に人気があります。
一方、働きやすさに惹かれて、回復期リハビリの看護師として働いてみたものの、自分には合ってないのではないかと悩む看護師もいるようです。
このまま続けるべきなのか、辞めるべきなのか。。。
回復期リハビリの看護師をした後の転職は上手くいくのか。。。
辞めた後のキャリアは。。。後で、後悔したくない。。。
この記事に興味を持った方は、実際に回復期リハビリの看護師を辞めたい気持ちはあるものの、さまざまな思いの中でどうすべきか悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、そんなあなたのために、回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う理由やその対処方法の紹介、どういう場合は辞めるべきか、辞める場合の転職やキャリア形成などについて紹介していきます。
全て読めば、今悩まれていることに対する答えを見つけることができるでしょう。
目次
1 回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う理由
回復期リハビリの看護師が直面する辞めたいと思う理由は以下です。
- 患者さんの介助が想像以上に大変
- 看護師としてのやりがいを感じにくい
- 看護師としての医療スキルへの不安
まずは回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う理由を一つずつ確認していきましょう。
1-1 患者さんの介助が想像以上に大変
患者さんの介助が想像以上に大変なことが辞めたい理由の一つに挙げられます。
なぜ、想像以上に大変なのかは2点ほど理由があります。
■リハビリでの ADL改善段階が最も介助量がかかる
リハビリでのADL改善段階が、実は最も介助量がかかったりします。
急性期病院では、寝たきりであった患者さんも、回復期リハビリ病院に転院後、リハビリが進んでいくと、徐々に歩行ができるようになったり、トイレで排泄できるようになったりします。着替えも、在宅復帰のためのリハビリの一環として、病衣ではなく、自宅の衣服を用いて朝夕と行います。
しかしながら、その改善の途中段階ではまだまだ一人ではできないことも多いため、看護師が介助する必要があります。
特に、トイレに関するナースコールは頻回にあります。リハビリ専門職が、自立と判断しなければ、看護側で介助や見守りを継続する必要があるからです。
■看護体制が手薄
回復期リハビリ病棟では、急性期病院より看護体制が手薄であることが挙げられます。
急性期病院では施設基準によって、患者:看護師の比率が、7:1、 10:1などの看護体制になります。
対象となる患者さんの病態が不安定であり、手厚い看護が必要なためです。
一方の回復期リハビリテーション病棟の施設基準は、患者:看護師の比率が13:1、もしくは15:1です。
医療的な処置がほとんどないため、急性期病院と比較して、一人当たりの受け持つ患者さんが多いことがわかります。
1-2 看護師としてのやりがいを感じにくい
人によっては、看護師としてのやりがいを感じにくいかもしれません。
回復期リハビリの看護師は、トイレ誘導やバイタル管理、見守りなどが主な業務となり、医療行為はほとんどありません。前述したように、特に身体介助を伴う業務が多く占めており、
「看護師としてのスキルが活かせているのか。。。」
「この仕事は介護士でもいいんじゃないか。。」
そんな風に思ってしまう方もいるかもしれません。特に、急性期病院で働いていた看護師にとっては、その内容にギャップを感じるでしょう。
回復期リハビリ病院ではリハビリがメインです。リハビリ専門職でない看護師にとっては、業務内容として身体介助が多いため、回復期リハビリ病院における看護師としての役割を、明確にできない方もいるのではないでしょうか。
もっと患者さんの治療や改善に主体的に関わりたいという看護師にとっては物足りなさを感じてしまうかもしれません。
1-3 看護師としての医療スキルへの不安
看護師としての医療スキルへの不安から辞めたい気持ちになることがあります。
回復期リハビリの看護師は、その業務内容から医療行為はほとんどありません。
入院中に、合併症や別の疾患に罹ったとしても、基本的に回復期リハビリ病院では治療は行わず、転科、もしくは転院を行います。そのため、医療処置の機会はほとんどないでしょう。
また、回復期リハビリの患者さんの入院期間は最大180日です。
そのため、患者さんの入れ替わりも少ないです。経験が浅い看護師であれば、多くの患者さんをみることで、疾患に対する勉強や知識を身につける機会になりますが、それが急性期病院と比較して少なくなります。
看護師としての医療スキルの向上は、やはり経験することが大事です。
回復期リハビリの看護師になる前に、急性期病院で多くの経験をしてきた方であれば、そこまで不安はないかもしれません。一方、新卒で回復期リハビリ病棟に入った看護師や、医療処置の経験が浅い状態で転職した看護師の場合は、経験が少ないことを不安に思うかもしれません。
看護師としての経験年数だけ上がっていく一方で、医療スキルが上がっていないと、今の職場でしか働けないのではと不安になってしまいます。
「看護師としてこういう処置はできるようになっていたい」
「患者さんの急変が起きてもすぐに動ける自信がない。。。」
そんな不安や焦りから、辞めて転職した方が良いのではと考えてしまいます。
2 回復期リハビリの看護師を辞めたい時に取るべき対処法
1章で回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う理由を紹介しました。
一方で、辞めたいとは思っても辞めるという決断を早々に下す方は少ないでしょう。
辞めて転職活動するのも、それなりにエネルギーが必要です。
まずは、このまま頑張れるように、モチベーションを持ち直したいと考える方も多いと思います。
この章では、辞めたい時にまず取るべき対処法や考え方をご紹介します。
2-1 リハビリ専門職から介助方法を学ぶ
患者さんの介助が想像以上に大変で辞めたいと考えてしまう方は、一度リハビリ専門職から介助方法を学んで、自分の介助方法を見直すことも大事です。
意外と看護師の多くは、介助方法やその時の体の使い方を勉強することは少ないかと思います。
患者さんの力を最大限引き出しながら介助を行えると、患者さん自身のリハビリにもなりますし、自分の体の負担も軽減ができて、双方にwin-winになれます。
リハビリ専門職は、そういった視点で介助を行っているため、その介助方法や体の使い方を学べると、今までの介助に対する大変さが幾分か違ってくるかもしれません。特に腰痛持ちの方は、腰痛予防のためにも重要です。
また、時には看護の人員不足や、その時の入院している患者さん全体の介助量がいつもより多くて体力的に大変な時もあります。そのような時は、リハビリ専門職も交えて患者さんの介助に対し、協力を仰ぐことも必要です。
著者が以前に勤めていた回復期リハビリ病院では、リハビリ専門職の方も患者さんの介助に協力的でした。
例えば、食事介助などを行うにせよ、リハビリ専門職は看護師と違った専門的な視点で行えることで、いい機会と考えていたからです。
これは、病院の方針や相互理解が必要なので、どの病院でもそうとは言えませんが、看護・リハビリともに積極的にコミュニケーションをとっていける関係性が大事だと思います。
2-2 リハビリテーション看護としての専門性を身につける
看護師としてのやりがいを感じにくい方は、リハビリテーション看護を学び、改めて回復期リハビリの看護師の役割を明確にしていくことが大事です。
身体介助を伴う業務が多く、「看護師としてのスキルが活かせているのか。。。」、「この仕事は介護士でもいいんじゃないか。。」と感じてしまう方は、回復期リハビリでの看護師の役割やリハビリテーション看護の視点が抜けてしまっている可能性があります。
実際のところ、リハビリ専門職よりも日常生活での関わりが多いのは看護師です。日頃の状況をよく知っている看護師がリハビリの視点を持って接すると当然、患者さんの改善にも繋がります。看護師のリハビリへの関与の仕方は下記が参考になります。
参考URL:看護師がリハビリに関与する範囲と臨床に活かすための3つのアプローチ
学術大会への参加もいいきっかけになります。
NPO法人日本リハビリテーション看護学会では、学術大会も定期的に行われています。
こういった学術大会に参加してみて、リハビリテーション看護の重要性や専門性を知ると、新たな気付きがあり、自分なりの回復期リハビリの看護師としてのやりがいを見つけれる可能性ありますのでお勧めです。
2-3 外部の研修に積極的に参加する
看護師としての医療スキルへの不安に思っている方は、外部の研修を積極的に参加することをはじめてはどうでしょうか。
特に、急変時の対応を不安視している方は、定期的にBLSやACLSの研修を受けることをお勧めします。
確かに経験しないとわからないこともありますが、勉強を進めることで気持ちの上では楽になると思いますし、自信もつくはずです。
もし、あなたが将来、急性期病院でバリバリやりたいという希望があれば、すぐに転職してその道を目指すべきですが、将来的に医療処置が多い職場を考えていない場合、そこまで焦る必要はないです。
あなたが目指しているキャリアに合わせて身につけていくことが大事です。
今は回復期リハビリで学べるところをしっかり学んでいくことを優先しましょう。
3 回復期リハビリの看護師からの転職活動前に行うべきこと
2章までで続けるための対処法や考え方を知っても、やはり、回復期リハビリの仕事に慣れない、自分には適性がないという場合は転職を考えましょう。
この章では、回復期リハビリの看護師からの転職活動前に行うべきことを紹介していきます。
3-1 辞める理由を明確にする
回復期リハビリの看護師をなぜ辞めるのかを明確にすることが大事です。明確にすることで、自分の適性を再確認して、次に目指すべき転職先を絞ることができます。
例えば、医療処置のスキルをもっと身につけたい、などの理由があれば、自ずと転職先が急性期病院に絞られます。また、体力的な問題で身体介助が少ない分野いい場合は、外来などが転職先として考えられます。
辞める理由が不明確では、次の転職先でも同じような失敗をしてしまう恐れがありますので、ここを明確にすることは非常に大事です。
3-2 回復期リハビリで得たスキル・経験をポジティブに捉える
回復期リハビリ病棟で看護師として得たスキルや経験をポジティブに捉えることも大事です。
ただ単に、自分に合わなかったというネガティブな思いだけでは、せっかくの経験がもったいないと思いませんか?
まず、第一に回復期リハビリ病院での経験自体が重宝されることもあります。
急性期病院から回復期リハビリ病院を経由して、在宅復帰される患者さんは多くいます。急性期病院に勤めている方や外来や施設、訪問看護などの生活期の職場で働いている方の中で、中間の回復期リハビリ病院を経験している方は多くはありません。
回復期リハビリ病院で、患者さんがどんな生活をして、どんなリハビリを受けて、在宅復帰されるかを知っているかどうかは、実際に働いて経験しないとわからないこともあり、どの分野に行ってもその経験は活かせるはずです。
また、リハビリテーション看護についても非常に貴重なスキルです。どの分野でも、対象となる方はご高齢者が中心かと思います。ご高齢者を対象とする限り、リハビリの概念は常に重要な要素です。
キャリアアップしていくためには、実際に得たスキルや経験を次の職場でどう活かしていけるかを整理しておくと、転職の面接の際にも、ポジティブな印象を持たれて採用されやすくなります。
3-3 転職先は教育体制が整っているところを重視する
回復期リハビリの看護師を辞めて転職する場合、教育体制が整っているかどうかは非常に大きなポイントとなります。
回復期リハビリ病棟では、これまでも述べたように、医療処置をする機会がほとんどありません。
回復期リハビリでの看護師経歴が長い方であれば、急性期の内科病棟に転職した場合、医療処置について一から勉強し直していく必要もでてきます。
教育や指導の体制が不足している病院に転職すれば、慣れない医療処置も経験年数からできて当たり前と見なされて、フォローが少ない状態で行わなければならないことが考えられます。
「こんなこともできないの?」
周りの理解が乏しいと、こんな風に揶揄されてしまうかもしれません。
新人看護師に対してプリセプター制度がある、新人研修の期間を長くとっているなど、教育や指導体制を重視している病院であれば、経験不足の看護師を受け入れる際も手厚く指導してもらえる可能性があります。
特に、回復期リハビリでの勤務が長い方で、今まで経験のない分野に進もうと考えている場合は、教育体制について重視していきましょう。
4 回復期リハビリの看護師からのおすすめ転職先
大前提になりますが、転職する際は、自分が何をやりたいのかを第一に転職活動することだと思います。
とはいえ、悩んでいる方にとって、参考までにおすすめの転職先は知っておきたいものかと思います。
この章では回復期リハビリの看護師からのおすすめ転職先を紹介します。
4-1 急性期病院へ転職したい方は整形外科・神経内科・脳神経外科病棟
急性期病院へ転職したい方は整形外科・神経内科・脳神経外科病棟などがお勧めです。
回復期リハビリ病院には、主に整形外科疾患、脳血管疾患の患者さんが転院してきます。そのため、整形外科・神経内科・脳神経外科病棟というのは、回復期リハビリ病院で見ていた患者さんを疾患的にはあまり相違がなく、疾患に対する知識も活かせると思います。
当然、回復期リハビリ病院で培ったリハビリテーション看護という視点は、急性期でも非常に大事になり、病棟リハビリはこういった病棟でも積極的に行われています。
回復期リハビリ病院と違い、医療的処置も当然多くなり、内科疾患が併発していれば内科疾患に関することにも対応します。
もちろん、消化器内科など内科疾患をメインにやっていきたいのであれば、そういった方面に進むべきです。回復期リハビリでの経験も活かしつつ、キャリアを築いていきたい方は、ぜひ、整形外科・神経内科・脳神経外科病棟はお勧めします。
4-2 体力的な負担を少なくしたい方は外来看護師
回復期リハビリ病棟での介助負担が辞める理由であれば、身体介助を行うことがない外来看護師がお勧めです。
外来も色々ありますが、例えば、整形外科などは、回復期リハビリでも対応していた疾患の方も多いので、転職の際もその知識が活かせると思います。
参考URL:病棟勤務と何が違う?外来看護師の仕事内容・悩みなど徹底紹介
4-3 在宅分野に興味が湧いた方は訪問看護ステーション
回復期リハビリでの経験から、より一層在宅の分野に興味が湧いた方には、訪問看護ステーションで、訪問看護師になることをお勧めします。
回復期リハビリ病院から在宅復帰される時に、訪問看護を導入される患者さんも多いかと思います。そのため、訪問看護で関わる対象者のイメージはつきやすいと思います。
訪問看護では、看護師も積極的にリハビリを行うため、回復期リハビリでの経験は非常に活かされるでしょう。
参考URL:訪問看護師はリハビリも行うことを知ってますか?リハビリ内容を徹底解説
訪問看護の対象者は、内科疾患から整形外科疾患、脳血管疾患、神経難病などなど、ほとんど全ての疾患の方を対象とし、急性期病院からの退院直後の方や、ターミナルケアの方など、その状態も様々です。
そのため、看護師として幅広くさまざまな経験ができます。訪問看護を運営する事業所は様々で、未経験者にも丁寧に教育をしてくれる職場もあります。
回復期リハビリの看護師からの転職先としては、訪問看護ステーションはぜひお勧めします!!
訪問看護に興味のある方は下記記事をご参照ください。
参考記事: 実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!
5 まとめ
回復期リハビリの看護師が辞めたいと思う理由やその対処方法などについて紹介してきました。
看護師としてのやりがいを感じにくいことや、医療的処置がほとんどないことから看護師としての医療スキルへの不安などが辞めたい理由として挙げられます。
実際に転職する際は、なぜ辞めるのかの気持ちを整理しつつ、回復期リハビリの看護師として得たスキルや経験をポジティブに捉えていくことで次のキャリアに繋げていきましょう!!
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