看護師が「やってて良かった」と感じる8つのやりがい【職場別のやりがいも解説】
看護師は、人の命や健康に関わる責任ある職業であると同時に、多くのやりがいが見出せる職業の一つです。
しかし、実際、看護師にとってのやりがい、といっても人それぞれ様々な職場や環境で仕事をされており、多種多様なやりがいは存在するはず。
本稿では、看護師に共通する8つのやりがいと、職場別のやりがいという形で、看護師のやりがいについてまとめました。看護師を目指そうか考えている方、または看護師のやりがいに悩まれている若手看護師にとって、きっと参考となることでしょう。
全て読み終えると、あなたにとっての看護師のやりがいを見つけられるのではないでしょうか。
1 看護師がやりがいを感じられること8選
看護師にとってのやりがい、といっても人それぞれ様々な職場や環境で仕事をされており、様々なやりがいを持ちながら看護業務にあたっていることでしょう。
この章では、多くの看護師が共通して感じるやりがいを
下記のように挙げています。
- 患者さんの笑顔や感謝の言葉
- 患者さんのできることが増えていく喜び
- 患者さんの変化をいち早く気付ける
- 多くのスタッフと連携しチームプレーで患者を救う
- 社会貢献を実感できる
- 患者さんと関わりながら人間として成長できる
- 自分が学んだ知識を現場で役立てられる
- 収入面がいい
それでは一つずつ紹介していきたいと思います。
1-1 患者さんの笑顔や感謝の言葉
看護師にとってやりがいを感じられるのは何といっても、患者さんが笑顔になってくれることや、「ありがとう」と患者さんやご家族から感謝の言葉を頂けることです。
他の職業でも、人から感謝されることはあると思いますが、なかなか直接的に人から感謝される機会は少ないのではないでしょうか。
医療の世界で働く看護師の場合、人から直接感謝される機会は他の職業と比較して格段に多いです。
また、命に関わる仕事のため、人から感謝される重みも違います。
1-2 患者さんのできることが増えていく喜び
患者さんのできることが増えていく喜びは、何にも代えがたいものです。
ご自身では動けなく寝たきり状態の患者さんが、日に日に回復していき、話せたり、食事が取れたり、自分で起きて歩けるようになっていく姿を見ると、自分のことのように嬉しい気持ちになります。
容態が悪く介助量が多い患者さんは、看護師としてケアするのも大変。ですが、そんな患者さんが元気になって色んなことが日に日にできるようになるのは、苦労した分、非常に感慨深いものです。
1-3 患者さんの変化をいち早く気付ける
最も早く患者さんの変化に気付けるのは、最も長く患者さんと接する看護師です。
毎日、身の回りの世話をしている看護師は、患者さんのちょっとした異変に早く気づくことができます。
早い段階で患者さんの異変に気づいたことで患者さんの事なきを得る時もあるため、それだけ責任が重い立場ではあると同時にやりがいも感じられます。
1-4 多くのスタッフと連携しチームプレーで患者を救う
多くのスタッフと連携して患者さんを救うことは、その喜びを多くのスタッフと共有できることであり、やりがいの一つと言えるでしょう。
複数の医療専門職が連携して、治療やケアにあたることをチーム医療と言い、1人の患者さんを複数の専門職が関わるのが今や当たり前。
医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・言語聴覚士・作業療法士・理学療法士・臨床検査技師など、それぞれの専門性を発揮しながら、患者さんの命を救う、健康になってもらうという共通の目標に向かっています。
様々な職種のスタッフと関わることで、新たな発見や視野を広げることができるため、自身の成長に繋がります。
みんなの力を合わせれば達成できる。そんな充実感を日々得られるのも、看護師という仕事の大きなやりがいになっています。
1-5 社会貢献を実感できる
社会貢献を実感できることはやりがいの一つです。
看護師ほど、社会貢献を実感できる職業もそんなに多くはないのではないでしょうか?
多くの職業は、様々な形で社会貢献はしているものの、働いている方が社会貢献を直接的に実感できるケースは少ないです。
健康や命の問題は、全ての人にとって遅かれ早かれ訪れる共通の問題です。
人の健康や命に関わる仕事をしている看護師は、正に社会貢献そのものといって良いでしょうし、世間の多くの方が尊敬しています。
1-6 患者さんと関わりながら人間として成長できる
患者さんと関わりながら人間として成長できるのもやりがいの一つです。
経験則ですが、患者さんから学ぶことは本当に多いです。
命に関わる現場では、患者さんのそれまでの生き方に触れる場面は多々あります。同じ背景を持った患者さんは1人としておらず、それぞれの価値観や人生観は自分自身のことにも少なからず影響します。
「もっと自分の親を大事にしないと」
「私がこの患者さんと同じ状況だったらどうするだろうか。。」
「今、不自由なく過ごせていることに感謝しよう」
命に関わる現場であるからこそ、本当に大切ものはなんなのか、人生観や死生観、家族に対する考え方やあり方など、普段の生活ではまず考えないことを、考えさせられるでしょう。
そんな経験が看護師としてだけではなく、1人の人間としての成長を促し人生を豊かにします。
そういった経験は、他の職業ではまずできないでしょう。
1-7 自分が学んだ知識を現場で役立てられる
自分が成長することによって、患者さんに対してより良い医療を提供できることは、やりがいの一つと言えます。
医療の現場は日進月歩。日々、新しい医療技術が生まれます。
勉強自体が大変な側面はありますが、自分の成長が直接的に患者さんへの医療に結果として現れるとモチベーションも上がります。
専門職としてのスキルアップはやりがいと言えるでしょう。
1-8 収入面がいい
お金の部分もやりがいには大事なポイント。
看護師就業者の90%以上は女性です。女性でみた場合の年収は下記のように看護師の方が収入がいいことがわかります。
<2020年平均年収>
・全職種(女性) 平均 約388万円
・看護師(女性) 平均 約481万円
(参考:令和元年賃金構造基本統計調査結果)
こちらは平均になりますので、もっと年収の高い場合もあります。働く場所によっては、夜勤手当や危険手当、オンコール手当など、頑張った分、様々な手当もついてきます。また、病院での寮生活をしていれば、ご自身で使えるお金も貯まりやすいはずです。
人の命や健康に関わる仕事のため、責任の大きさや仕事の大変さはあるものの、収入に関してもやりがいは感じられるのではないでしょうか。
看護師のやりがいは、人の役に立っていることを実感できることが根幹にあります。また、専門職として自己成長する機会があることも魅力と言えます。大きな責任とともに、収入面のメリットもやりがいの一つです。
2 職場別のやりがい紹介
1章では看護師という職業の共通のやりがいについて挙げてきました。
この章では職場別のやりがいについて、いくつか紹介していきたいと思います。
職場別といっても、専門科目を含めると看護師には非常に多くの職場があります。ここでは、以下のような分類で各職場の一般的なやりがいを紹介していきます。
- 病棟看護師
- 救急看護師
- 手術室看護師
- 外来看護師
- 訪問看護師
- 介護分野の看護師
- 教育・研究分野の看護師
それでは紹介していきます。
2-1 病棟看護師のやりがい
病棟看護師のやりがいは、やはり患者さんが元気になって退院していく姿を見た時ではないでしょうか。病棟看護師は、一番患者さんが回復する期間にケアに携わっているため、他の職場よりも患者さんの変化を多く見ることができ、それも大きなやりがいになります。
また、退院された患者さんが元気になってまた会いにきてくれると、やっぱりやってよかったなという気持ちになります。患者さんと困難を共有した時間が長いからこそ、喜びを強く共感できるでしょう。
2-2 救急看護師のやりがい
救急救命センターなどで働く救急看護師は、患者さんの生死の境に直面し、短期間の判断や行動が必要な緊迫感のある現場での仕事になります。
そんな緊迫感のある現場で、患者さんが一命を取り留めて、入院病棟に移った時は安堵とともにやりがいを強く感じるでしょう。正に命を救うという、大変な職場であるとともに、やりがいも大きい職場と言えます。
2-3 手術室看護師のやりがい
手術は医師を中心に様々な職種が連携することによって安全に行われます。手術室看護師も、そのチームの重要な役割を担っており、チームで複雑な手術を終えた時は、他の看護現場では得られない達成感とともにやりがいを感じるでしょう。
直接的に患者さんから感謝を伝えられることは少ないですが、手術現場で働くことは多くの方が経験できることではなく、そういった経験もやりがいに繋がります。
2-4 外来看護師のやりがい
外来看護師は、通院してきた多くの患者さんに目を配りながら医師の診察の補助をするのが主な役割です。
患者さんとの接する時間は短いものの、定期通院してくる患者さんに名前を覚えて頂いたり、患者さんからの信頼を得た時はやりがいに繋がるのではないでしょうか。定期的に通院されてくるご高齢者の元気な姿を見られるのも外来看護師としては嬉しい瞬間ではあります。
2-5 訪問看護師のやりがい
患者さんのご自宅でケアを行うため、家族に近いような関係で患者さんの望むケアを提供できるのは、訪問看護師の大きなやりがいの一つです。
訪問看護師は、他の看護職場と比較して、1人の患者さんにかけられる時間や関わる期間が長いのが特徴です。関わる期間は数ヶ月~年単位になることも珍しくなく、中には十年近くの付き合いになることもあります。必然的に、患者さんと訪問看護師の距離は近くなります。
また、自宅で最後を看取りたいという患者さんや家族の思いを実現させられるのも、訪問看護師の力無くしては成り立ちません。長い関わりの中で、患者さん、家族が望む最期を見届けられるのは、大きな責任があるとともに訪問看護師の大きなやりがいの一つです。
2-6 介護分野の看護師のやりがい
介護分野での看護師は、医療ケアの判断を任せられることが多く、大きな責任感とやりがいを感じることができます。
介護分野では、利用者の変化はなかなか見えにくい部分も多いです。そんな中、異変に早期に発見するのは看護師に求められる役割であり、早期に適切な対応ができた時はやりがいを感じられるでしょう。
利用者とは病院勤務よりも長い期間関わることなり、利用者との距離も近くなります。利用者からの「いつもありがとう」という言葉や、施設でのイベント等で笑顔を見られるのは介護分野でのやりがいです。
2-7 教育・研究分野の看護師のやりがい
教育・研究分野の看護師のやりがいは、自分が教えた看護学生が一人前の看護師として活躍することや、自分の看護研究が臨床で活かされるなど、看護業界の発展に寄与していると実感できた時ではないでしょうか。
教育・研究分野の看護師というのは、看護専門学校や、看護系大学・大学院の教員を指します。上記の看護職場とは違い、直接的に患者さんから感謝されることはありません。ですが、看護教員は多くの看護師を世に出すという意味において、重要な役割を担っており、患者さんを直接ケアするとは違ったやりがいを感じるでしょう。
3 今やりがいを感じられない看護師に知って欲しいこと
様々な看護師のやりがいを紹介してきました。
ですが、なかなかやりがいを感じられない看護師の方も中にはいるのではないでしょうか?
特に経験の浅い若手看護師は、業務の忙しさで思い描いてた看護師の仕事のギャップも感じるでしょう。
ここでは、そんな方に向けてのアドバイスを紹介します。
3-1 やりがいを見出せないことに対して自己嫌悪する必要はない
やりがいを見出せないことに対して自己嫌悪する必要はないですし、無理に見つけようとしなくても良いと思います。
今やりがいを見出せていない方にとって、
「看護師って人の役に立ってるから、やりがいがあっていいね」
そんな他者からの言葉は余計重荷に感じます。
真面目な人ほど、やりがいを感じられていない自分に対して
「人の役に立てる看護師の仕事にやりがいを感じられない私って、ひどい人間なのかなぁ」
そんな、自己嫌悪に陥ってしまうのではないでしょうか。
今まで、やりがいについて色々書いてきた、かく言う私もそんな時期はありました。
やりがいは、個人の主観ですので、そんな気持ちで無理に見つけようとしても見つかるものではありません。
経験則ですが、まずは一生懸命に看護業務を真面目に行い続けることが大事です。
看護業務に関わらず、仕事を知るにはある程度の長い期間従事する必要があります。
やり続けることで自分なりの看護師のやりがいは見えてくることはあります。
3-2 なぜ看護師を目指したのかを思い出してみる
看護師を目指した初心を思い出すことは大事です。
どうしても、忙しい毎日や現実と理想とのギャップでやりがいが見出せなくなってしまいがちの人もいるかと思います。
誰しも、看護師を目指した時の志の高かった時期があるはずです。その時の気持ちは紛れもなく本当の気持ちですし、それこそ、あなたがやりがいを見出せるヒントになります。
3-3 自分の価値観を見つめ直し転職を考えるのも一つの手
自分の価値観を見つめ直して、それに適した職場を見つけるのも一つの手です。
人それぞれにやりがいが違うのは、人それぞれ価値観が違い、どの部分にやりがいの重きがあるのか違うからです。
3-2と類似するところではありますが、看護師を目指した理由も価値観を見つめ直す手がかりになります。
例えば、患者さんともっと時間をかけて寄り添っていけるような看護にやりがいを見出せそうであれば、訪問看護師や介護分野でやりがいを見出せるかもしれません。
医療の最前線で医療専門職としてのスキルアップなど自己成長にやりがいを感じられるのであれば、救急看護師や病棟看護師で認定看護師など、スペシャリストの道に進むとやりがいを感じられるかも。
看護師は様々な職場の選択肢があり、キャリア形成も様々です。まずは、自分の価値観を見つめ直して様々な職場やキャリアについて調べて見るのも大事です。
4 まとめ
看護師のやりがいについてまとめてきました。看護師の仕事は、人の命や健康に関わる仕事で、直接的に患者さんから感謝を頂ける等、やりがいを感じやすい仕事と言えます。職場毎の特性により様々なやりがいの形があるので、仮に今現在、やりがいを見出せなくても、自身の価値観にマッチした職場を見つけることも可能と言えます。
コメント