患者さんからクレームを受けた看護師の基本対応と回避術3選

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患者さんからクレームを受けた看護師の基本対応と回避術3選

看護師として働く中で、誰しもが一度は経験するクレーム対応。

クレームの中には理不尽なことであったり、逆に自身の立ち居振る舞いを省みる機会となったりと様々です。

クレームを受けたときの基本対応は「傾聴・謝罪」、「事実確認・要望確認」、「解決策の提案」、「感謝」の徹底です。

特に、病院や施設で接する患者様・利用者様は「病気である自分」という立場上、ナーバスになりやすく、感情的な言動をしてしまいがちです。

今回はクレーム対応の基本の他に、医療職にありがちなクレームと回避術についてご紹介します。

実際にクレームを受けて悩んでいる方や、自分の接遇に自信のない方はこの記事を読んで、できることから始めてみてください。

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1. クレームを受けたときの基本対応

クレームを受けたとき、皆さんはどう感じますか?

クレームを受けたときの基本対応は「傾聴・謝罪」、「事実確認・要望確認」、「解決策の提案」、「感謝」の徹底です。

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しかし、多くの人は嫌悪感や怒りを向けられて、焦ったり身構えたりすることと思います。または「今忙しいのに。。。」なんて思う人も少なからずいるでしょう。

実際、クレームを発してくる人は「我慢の限界を超えた人」であり、そこに更に感情をぶつけられたり否定されると余計に怒りを増長させてしまうケースは医療業界に関わらずたくさんあります。

こうなってしまうと論点がずれてしまったり、別のクレームに発展してしまったりと対応が長引きます。

それでは「傾聴・謝罪」、「事実確認・要望確認」、「解決策の提案」、「感謝」について、一つずつ解説していきます。

1-1. 傾聴・謝罪

クレームを受けた場合、まずは相手の言い分を遮ることなくすべて傾聴しましょう。

理不尽なことや事実と違うことを言われると、ついつい口を挟みたくなりますが、真摯に受け止める姿勢を見せることがクレーム対応においては重要です。

「ちゃんと話を聞いてもらえている」と思うだけで相手の心も落ち着きますし、要点を聞き出しやすくなります。

<傾聴のポイント>

・相手の話を遮らずに最後まで聞く

・反論や言い訳はしない

・話を真剣に聞いていることが伝わるように、適度に相づちや頷きを入れる

・同意できるところは「そうですね」「おっしゃるとおりです」などと言葉でも共感を示す

そして傾聴している際は必ず部分的な謝罪を挟みます。

これは、少なからずこちらの対応が原因で相手に不快な思いをさせてしまったので、その点については「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と伝えましょう。

このときに大切なのが、「相手のすべての主張に対する謝罪は行わない」ということです。

事実確認ができていない状態での全面謝罪はさらなる問題を引き起こし、「さっきは認めて謝ったじゃないか!」と相手からの信頼もゼロになってしまうので注意しましょう。

<謝罪のポイント>

・事実確認がとれるまでクレームの内容全体に対する謝罪は行わない 
 例:「おっしゃるとおり、すべてこちらの責任です」

・相手の感情に対する部分的な謝罪を伝える
 例:「この度はご不快な思いをさせて申し訳ございません」

1-2. 事実確認・要望確認

相手の主張をすべて聞き終えた次は事実確認・要望確認です。

相手が落ち着いてきたようなら、聞いた話を元に事実確認を進めましょう。

ポイントとなるのは、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を押さえることです。また、聞いたことは適宜復唱し、内容に間違いがないか確認しながら進めます。

次に見落としがちなのは、相手の要望を確認することです。

多くの病院や施設ではクレーム対応マニュアルが敷かれ、対応の統一化が図られています。

その中で「マニュアルでこうだから」と一辺倒な対応をするのではなく、相手の要望を聞いた上でマニュアルに沿った対応をすることが大切です。

1-3. 解決策の提案

事実確認や相手の要望の確認までを終えたら解決策の提案を行いましょう。

自分一人で判断ができない、検討に時間を要する場合は無理にその場で決定するのではなく、「一度持ち帰り確認します。○日以内に一度ご連絡差し上げます」と伝えます。

このときに重要なのが、解決策の決定に関わらず○日までに一度連絡するとこちらが歩み寄る姿勢を見せることです。

同じ「事実の主張」であっても自分に対して否定的な人の意見は聞き入れづらいのが人間の心理です。

相手の勘違い等で発生したクレームの場合は淡々と相手の主張を否定するのではなく、あくまでも不快な気持ちに寄り添って「わかりづらい内容で申し訳ございません、その場合は〜で」と主張を受け入れつつも事実は事実として伝えましょう。

1-4. 感謝

一通りの確認が終わったら必ず感謝の意を伝えます。

クレームを言われたとき、多くの人は不快感を覚えるでしょう。しかし、それは相手にしてみても「できればこんなことは言いたくなかった」「来なければよかった」などと感じているかもしれません。

そのことに対する労いとサービスを良くするヒントをもらえたことへのお礼と考え、「この度は仰ってくださり、ありがとうございました」と伝えられるようにしましょう。

最後に感謝を伝えることで、相手に嫌な気持ちが残りづらく、「伝えて良かった」と思ってもらいやすくなります。


2. よくある理不尽なクレーム3選

ここでは病院でありがちな3つの理不尽なクレームへの初期対応についてお話します。

よくある理不尽なクレームとしては

・待ち時間が長い

・看護師が怖い

・診察時間が短い

といったものが挙げられます。

大きな病院や企業であれば、クレーム対応についてもマニュアル統制が図られ、看護師と患者様が1対1でやりとりすることが少なくなってきてはいますが、流動的な職場である以上、あまり人手を割けないというのが実情です。

こういった理不尽なクレームを発してくる人というのは、特段あなた自身に不満があったり、現状打破を求めているわけではなく、自分では解決できない恐怖心や不安から現実逃避するために強い言葉を投げかけてくるので焦る必要はありません。

2-1. 待ち時間が長い

「予約したのに」「もう2時間も待っているのに」「後から来た人が先に呼ばれた」

これはもはやクレームの定番ですね。

もちろんお待たせしてしまうことに罪悪感はあるでしょうが、病院であればどうしても優先順位をつけざるを得ず、特に予約なしの方や初診の方の待ち時間がたいへん長くなってしまうのが現実です。

クレームを受けたときの対応策

・お待たせしていることを丁寧に謝罪

・比較的混み合わない時間帯のご案内

・お会計時に次回予約をおすすめしておく

<NGな対応>

・「○時までにはご案内します」など、できるかわからないのに約束する

・「緊急性が低いので」など、相手の気持ちを考えない発言をする

2-2. 看護師が怖い

看護師に対するクレームで意外と多いのが「看護師が怖い」というもの。

忙しいタイミングや不穏な患者さんの前で現場がピリついてしまったり、後輩への注意でつい強い口調で咎めてしまうことは珍しくありません。

ただ、冒頭でもお話した通り、ただクレームを言いたいだけの人もいます。

接遇に関するクレームは判断が難しいため、たとえ理不尽に感じても必ず第三者に介入してもらいましょう。

2-3. 診察時間が短い

長らく通院されている方や、経過観察のため受診された方で異常がない場合、診察時間は数分で終わります。

異常がない・寛解に向かっていることは医療従事者の立場からすると大変喜ばしいことですが、患者様からすれば「長時間待ったのに」「時間を割いて通院しているのに」「ちゃんと診てもらえていない」とネガティブな感情がクレームに繋がってしまうことも。

クレームを受けたときの対応策

・他に何か医師に伝えたいこと、聞きたいことはあるか確認


3. クレームに発展した看護師の接遇3選

ここでは実際にクレームに発展した接遇についてご紹介します。

特にクレームに発展しやすいものは

・コミュニケーション不足

・過剰な心配

・誤った距離感

が挙げられます。

いずれも手技的な面ではなく、患者様との向き合い方で避けることのできるクレームなので、今一度ご自身の接遇について見直す機会にしてみてください。

3-1. コミュニケーション不足

予定通りにスケジュールを消化できていないとき、人はコミュニケーションを疎かにしがちです。

看護師間であれば共通認識として頭に入っていることも、患者様には伝わらないことが往々にしてあります。

特に入院中の方や、長期療養が必要な方、そのご家族は「誰かに話を聞いてほしい」「自分の不安を汲んでほしい」といった欲求が強まるので、その欲求が満たされなかったときにクレームへと発展しやすくなります。

どんなときでも100%向き合うことは難しくても、顔を合わせているときはしっかり傾聴するように努めましょう。

3-2. 過剰な心配

患者様を案じるのは看護師の本質でもありますが、過剰な心配は逆に患者様の不安を煽るだけでなく、過保護な発言に「見下されている」と感じてしまう方もいらっしゃいます。

入院中の転倒や、認知症の方の徘徊、食事介助での誤嚥は注意すべき点ではありますが、過保護すぎる発言や対応は患者様の自尊心を傷つけるだけでなく、自立することを阻んでしまうこともあるでしょう。

先の「コミュニケーション不足」の項目でも触れましたが、入院中の方や長期療養が必要な方は拭いきれない不安を抱えていらっしゃいます。

治癒・治療の先に「患者様の生活」があることを蔑ろにしないよう、何ができるようになりたいのか、何を手伝ってほしいのかということを確認しながら立ち回ることを意識できるといいですね。

3-3. 誤った距離感

治療や療養で付き合いの長くなった患者様と打ち解けられることは、看護師のモチベーションの1つとも言えます。

特に現在は新型コロナウイルス感染症対策の一環として、面会制限を敷いている病院や施設もあるでしょう。そういった環境の中で砕けた雰囲気になることもあるかもしれません。

しかし、打ち解けるのと無礼な対応というものは全くの別物です。

例えば、認知症の入院患者様に対し、敬語すら使わず子供に諭すような言い方をしているところをご家族がみたらどう思うでしょうか。

少なくとも、いい気分はしませんよね。

怪我で入院している子供であっても、相手は患者様で自分は看護師である、そういった俯瞰した視点を無くしてしまうと「偉そう」「無礼だ」などとクレームに発展してしまいますので注意しましょう。


4. クレームを回避する上で抑えるべきポイント3つ

ここではクレームを回避する上で抑えるべき3つのポイントをご紹介します。

・マニュアルの作成と徹底

・人によって態度を変えない

・発生したクレームの記録

この3つのポイントはどんな職場であっても抑えておいて損はありません。

本項については個人ではなく、チームや職場全体を通しての共通認識としてほしいです。

4-1. マニュアルの作成と徹底

まずなくてはならないのはクレーム対応マニュアルです。

細部まで決めることは難しいですが、発生しやすいクレームを分類したり、発生状況を分析することである程度のデータ化ができます。

また、一度作ったマニュアルは一定期間が空いたら、今のニーズにあっているのか、情報が古すぎるのではないか精査し、より良いものにしていくことが重要です。

4-2. 人によって態度を変えない

患者様や相手によって態度や言動をコロコロ変えることはやめましょう。

こういった態度はクレームを生む原因になります。

柔軟な対応を求められる職種ではありますが、だからこそ毅然とした態度で統一することでクレームの発生を減らすことができます。

4-3.発生したクレームの記録

過去に発生したクレームの記録は、今後発生させないように対策を練るための最良の教科書です。

マニュアル作成のベースにもなるため、現場からの意見の吸い上げは怠らないようにしましょう。

記録方法も統一し、誰が書いても同じ形式の記録となるようにツールを整えることをおすすめします。


5. まとめ

実際にクレームを受け、困ったことのある看護師は少なくないと思います。

クレームというネガティブな感情表現は受けた側だけでなく、発した側のストレスも大きく、責任の押し付け合い等で問題が大きくなってしまうこともあるでしょう。

まずは「傾聴・謝罪」、「事実確認・要望確認」、「解決策の提案」、「感謝」の徹底です。

特に、病院や施設で接する患者様・利用者様は「病気である自分」という立場上、ナーバスになりやすく、感情的な言動をしてしまいがちです。

基本対応の徹底とクレーム対応マニュアルの共有で落ち着いて対応できるように心がけましょう。

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