看護師転職サイトの仕組みと登録前に知っておくべき4つの注意点
看護師転職サイトとは、看護の職場に特化した転職サポートを行ってくれるサイトです。
スカウト型などの有料サイトもありますが、転職サイトの多くは求職者に合った求人紹介や書類作成・面接の対策などのサービスが無料で受けられます。
しかし、中には「どうして無料なの?」「あとから高額請求されない?」と不安に思う人もいるのではないのでしょうか。
また、実際に利用して転職した人でも「使ったほうがいい!」という人と「使わない方がよかった…」という人がいます。
今回は看護師転職サイトの仕組みと、登録前に知っておくべき注意点4つをご説明いたします。
目次
1 看護師転職サイトの種類と仕組み
看護師の転職サイトは、求人募集をしている病院・施設へ看護師を紹介することにより、転職先の職場から仲介手数料を受け取ることで成り立っています。
そのため、転職する看護師側には一切お金はかからない仕組みになっています。
そんな無料の転職サイトにはいくつか種類があります。
現在広く普及している転職サイトは
- 成功報酬型
- 広告掲載型
この2つが大半を占めているかと思います。
いずれも共通しているのは「企業(病院)がサイトにお金を払っている」ということです。
そのため、看護師含む求職者は無料でサービスを受けることができます。
大きな違いは受けられるサービスの内容です。それぞれの違いについて解説を交えてご紹介してきます。
1-1 成功報酬型
成功報酬型の求人サイトの場合、その多くは病院と求職者の間にエージェントが入って調整を行ってくれます。
エージェントは求職者から予めヒアリングした条件に沿った求人を探して提案してくれます。一人の採用成功に対して所定の費用を支払うため、採用が確定するまで施設側も費用が発生しないのが特徴です。
採用が決まった際の費用の相場は、求職者の想定年収の20%〜30%になります。
初期費用がほとんどかからないので施設や病院側も始めやすいのですが、複数名採用の場合は費用がかさんでしまうため、審査の目が厳しくなりがちです。
※病院が転職サイトに支払う報酬が高額なため、求職者が入社後すぐ退職した場合の返金規定がある場合が多い。
1-2 広告掲載型
広告掲載型の求人サイトは、サイト内に掲載した求人に求職者が応募して自分でフローを進めていきます。
エージェント越しでの紹介とは違い、サイトで検索したすべての看護師が応募することがでる求人です。短期間の掲載であれば少ない費用で多くの人材を採用できます。
しかし、沢山採用したい=沢山やめてしまうような環境とも言い換えることができるので、オープニングスタッフなどの新施設への募集以外で常に求人を出しているような病院や施設は注意が必要です。
広告のサイズや掲載期間により費用は異なり、相場は1ヶ月で20万〜200万とかなりの幅があります。
一つの広告でたくさん採用することができるので、短期的にみると成功報酬型よりも費用はぐっと抑えられます。
しかし、求職者が集まらなかったり採用につながらなかった場合でも返金措置はないのでマイナスになってしまうのが大きな欠点と言えるでしょう。
2 成功報酬型と広告求人型のサービス比較
前項では看護師の転職サイトの種類についてお話しました。では、成功報酬型と広告掲載型で受けられるサービスの違いとは?
6つの項目から比較してみました。
成功報酬型 | 広告求人型 | |
手軽さ | △ 登録・担当とのやりとりに | ◎ 基本的な登録のみ |
情報量 | ◎ 非公開求人や職場の雰囲気も | ○ 求人票の情報のみ |
情報の質 | ◎ エージェントに情報収集してもらえる | △ 病院の開示したい情報しか得られない |
サポート | ◎ 履歴書の添削・面接対策・スケジュール調整等 | ✕ ナシ |
転職成功率 | ◎ 企業に推薦状を出してもらえる | ○ 自力でのアピールが必要 |
年収交渉 | ◎ 年収や待遇の交渉を任せられる | △ すべて自分で交渉する |
2-1 手軽さ
<成功報酬型>
自分の情報の登録に加え、担当者との面談が必要になります。
そのため転職先を探し始めるのに時間がかかったり、担当者との認識に齟齬がある場合はスムーズに進まないこともあります。
また、頻繁に連絡が来るので働きながら転職先を探している人には面倒に感じるかもしれません。
<広告掲載型>
広告掲載型は手軽さが売りと言っても過言ではありません。
自分の情報の登録が完了すればすぐに使えます。
また、閲覧だけなら登録無しで見れるサイトもあったり、エージェントを使う前の市場リサーチで登録する人も増えています。
転職させないと利益が出ないために連絡が密集しがちな成功報酬型と違い、広告掲載型は自分のペースで転職活動を進められる手軽さがあります。
2-2 情報量
<成功報酬型>
非公開求人(※1)や独占求人など保有している求人数は広告掲載型の1.5〜2倍(※2)あり、自分の能力とマッチしていれば管理職の求人も紹介してもらえます。
また、ヒアリングした条件を元にエージェントが求人紹介をしてくれので膨大な情報の中から自身にマッチしたもののみを知ることができます。
※1 非公開求人は企業側が希望する人材にのみ、エージェントから提示される求人です。全ての人が対象ではありません。
※2 マイナビ転職:約18,000件に対し、マイナビエージェント:約41,000件(非公開求人:16,000件)
<広告掲載型>
成功報酬型に比べるとサイトそのものがもっている求人情報量は多くはありませんが、すべての求人に直接アクセスすることができます。それぞれの求人を比較しながら転職活動を進めたい人には使い勝手がいいかもしれません。
2-3 情報の質
<成功報酬型>
エージェントとの相性にもよりますが、職場の雰囲気などは詳細に教えてもらえます。また、職歴や条件を元に自分だけでは思いつかなかったような求人を紹介してもらえたり、どういった経緯で求人募集をしているのかも知ることができます。
<広告掲載型>
掲載されている情報を元に口コミ検索をして実態を調べる必要があります。自分の中に明確な判断基準がある人には問題ないかもしれませんが、初めて転職する人や転職するか悩んでいる人には判断材料が足りないと感じることもあるでしょう
2-4 サポート
<成功報酬型>
成功報酬型の最大の売りは何と言っても『サポート力』でしょう。
スケジュールの調整や履歴書の添削・面接の対策はもちろんのこと、内定辞退や現職の退職に関するアドバイスまで手広くサポートしてくれます。また、不採用だった場合もその理由を面接先に確認してくれるので次に活かすことができます
<広告掲載型>
基本的にサポートはありません。
しかし、近年ではスカウト機能があったり、回答期限の迫った場合には通知してくれたりとサービスが充実しているサイトも増えてきました。
2-5 転職成功率
<成功報酬型>
転職サイトから求人先に推薦状を出してもらえるので、成功率アップが見込めます。
また、一人あたりの採用コストが高いために審査の目は厳しくなりがちですが、求職者に合った求人を何件か紹介してもらえるので、納得の行く転職ができる人が多いのも事実です。
後述しますが給与や待遇面での交渉もしてくれるので、第一希望の転職先でなくても納得のいく結果を得られる人は多いです。
<広告求人型>
広告求人型は一つの求人に対して多くの応募があるので、面接までの通過率はそんなに高くはありません。
しかし企業は先に広告掲載料を支払っているので、面接選考は比較的通りやすいこともしばしば。また面接対策も自分だけで行う必要があるので、自己分析能力が求められます。
2-6 年収交渉
<成功報酬型>
年収交渉もエージェントの魅力の一つです。
1-1でも説明しましたが、転職者の年収によってエージェント側に入ってくるお金も変わるので、かなり頑張って交渉してくれます。
<広告掲載型>
年収交渉も自分で行わなければなりません。
しかし、応募する大半の人はその求人に記載されている給与に納得した上で応募していると思うので、もし自分で年収交渉を行う場合でも内定後・受諾前に打診するのが無難でしょう。
3 看護師転職サイトの登録前に知っておくべき4つの注意点
どの転職サイトを使うにしても、登録前に知っておくべきことが4つあります。
- エージェントからの連絡は必ず返信・折り返しをする
- 必ず正確な情報で登録する
- 転職サイトは複数を併用すべき
- 応募先のホームページに書いてある求人を確認する
サイト登録前にはこの4つを自分の状況と照らし合わせてみると失敗が少ないです。
それでは、それぞれ中身を見ていきましょう!
3-1 エージェントからの連絡は必ず返信・折り返しをする
成功報酬型の転職サイトの場合、本当にびっくりするくらい連絡が来ます。
仕事をしている間に何件もの着信、メールがたくさん来ていてうんざりすることもあるかも知れません。
しかし、エージェントは希望者を早期転職をさせることが仕事ですし、実際に多くの転職希望者は時間が経てば経つほど「ま、いいか」と現状維持に走る(意欲的に転職をしなくなる)傾向にあります。
なので、うんざりするほど連絡がきていても「○時ごろに電話します」や「明日中に確認します」といった連絡だけでもして、真摯な対応を心がけましょう。
働きながら転職活動をする場合は、最初の面談の段階で連絡頻度について話しておくことをオススメします。
3-2 漏れなく正確な情報で登録する
転職サイトに登録する上で一番多い失敗が「経歴の省略」です。
転職歴が多すぎて書ききれない、思い出せない等の理由で在職歴の長かった職場のみを書く人が多いですが、悪気がなくても経歴詐称として扱われてしまう場合があるので気をつけましょう。
万が一気が付かずに転職活動自体が問題なく進み内定をもらったとしても、そういった場合ほとんどは入職時に社会保険関係や源泉徴収票から矛盾を指摘され、最悪の場合は内定が取り消しになります。
特に、看護師においては経験年数の詐称は給与にも影響し、悪質であると認められた場合は懲戒解雇になってしまうケースもあります。
転職サイトの登録に限らず、新しい環境で円滑にスタートしたいのならば誠実さを欠かない行動を心がけましょう。
3-3 成功報酬型の転職サイトは複数を併用すべき
成功報酬型の転職サイトを利用するときは複数のサイトを利用しましょう。
複数に登録すると連絡の手間も増えますが、「二度と転職活動はしたくない」「徹底的に優良求人を知り尽くしたい」という人は複数併用すべきです。
その理由は以下の2つです。
- 特定のサイトにしか依頼されない非公開求人があるため
- エージェントの比較のため
①特定のサイトにしか依頼されない非公開求人があるため
条件が良く、応募殺到が見込まれる求人は「非公開求人」としてエージェント経由でしか紹介してもらえません。病院や企業は求職者を絞って面接したいので、非公開求人は1社しか依頼しないケースが多々あります。
そうした求人を見逃さないためにも転職サイトは複数利用することをおすすめします。
②エージェントの比較のため
成功報酬型の転職サイトを最大限活用するにはエージェントとの相性が重要になってきます。
会社ごとにエージェントの質も違ってくるので、自分と相性抜群のエージェントを見つけるためにも転職サイトは複数を併用すべきと言えます。
3-4 応募先のホームページに書いてある求人(採用サイト)を確認する
広告掲載型の転職サイトの場合、あまり詳細に書かれていない場合がありますので、必ず応募先のホームページにある求人を確認しましょう。
採用サイトには細かな仕事内容や経験年数に応じたモデル給与、待遇の詳細が記載されています。
また、引っ越し手当など直接応募者だけが適応される制度もあるので、特に広告掲載型の利用を考えている人は必ず採用サイトの確認をしてからエントリーを行いましょう。
4 成功報酬型・広告掲載型のどちらを選ぶべきか
ここまでは成功報酬型・広告掲載型それぞれの特徴と注意点をお話しました。
では自分はどちらのサイトを使えばいいのか、転職タイプごとにどちらがおすすめかをご紹介致します!
4-1 成功報酬型があっている人
- 転職が初めて
- 職歴が多い(※二十代なら4回以上、三十代なら5回以上)
- 役職者を目指したい
- 病院以外を希望している
この項目のどれかに当てはまる人は成功報酬型の転職サイトをおすすめします。
転職が初めての人や職歴の多い人は、まずはエージェントに相談してキャリアプランを練るところから始めたほうがいいでしょう。
初めての人のは他の職場との比較ができないことや、年齢が若いことから待遇をあまり気にせず「やめたい」という勢いだけで転職に踏み切るケースが多いためです。
職歴の多い人は「入職してもすぐ辞めそうだから」と思われがちなことと、根本的にキャリアプランが練れていない為に一つの職場で長続きしない傾向があるからです。特に医療機関では「新卒後に配属された病院で3年以上の職歴」を求めることが多いのも事実。
なので、職歴の多い方でも応募できる職場は限られていることからエージェントに頼ったほうがいいと言えるでしょう。
そして役職者を目指したい人の転職ですが、役職者候補の求人は他の求人に比べると高待遇で募集をかけることが多く、応募が殺到しないように非公開求人となっていることがほとんどです。
このことから、手厚いサポートを受けたい・応募条件が限定的な方は成功報酬型でエージェントに相談しながら決めると良いでしょう。
4-2 広告掲載型があっている人
- 給与相場や待遇を知りたい人
- オープニングスタッフとして働きたい人
この2つのどちらかに当てはまる人は広告掲載型の転職サイトをおすすめします。
広告掲載型は「大衆に向けた募集」であるという前提があります。広告掲載型の転職サイトは複数採用を目的とした求人が多く、地域や役職に応じた給与・待遇での求人を募集しているからです。
特にオープニングスタッフ等は限られた時間で人員確保をしなくてはいけないので、広告掲載型にのせている職場も多く、求人自体は比較的簡単に見つけられるでしょう。
5 転職サイトの利用をおすすめしない人
多少大変でも納得した転職活動をしたい方は転職サイトはおすすめしません。これは成功報酬型が転職サイトが当てはまります。
その理由は「転職サイト経由で就職することで100万円以上の紹介手数料を病院や企業側が転職サイト側に支払っている」という事実が影響して、以下の3つのデメリットがあるためです。
- ・費用がかかるので採用のハードルが高くなる
- ・キャリアアドバイザーの主観で転職先を紹介される
- ・希望の転職先に応募できない場合がある
詳しく知りたい方は下記の記事を是非みてください!
参考記事:納得した転職をしたい看護師が転職サイトを使わない方がいい3つの理由
6 まとめ
看護師の転職サイトは、求人募集をしている病院・施設へ看護師を紹介することにより、転職先の職場から仲介手数料を受け取ることで成り立っています。
そのため、転職する看護師側には一切お金はかからない仕組みになっています。
看護師の転職サイトは大きく分けて2種類です。
- 成功報酬型
- 広告掲載型
自分の求める条件や思い描くキャリアプランによって使いやすい転職サイトは異なりますので、登録の際には注意しましょう。
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