保健師になるには?資格の詳細とおすすめの取り方

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保健師になるには?資格の詳細とおすすめの取り方

皆さんが今後生きていくうえで、職業選択はひとつのターニングポイントとなります。

そんな職業選択の中でも、看護について興味がある方にとっては国家資格が必要となる「保健師」という職業がおすすめです。

今回は、保健師の仕事内容や取得する資格について紹介します。資格取得までのルートについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

採用情報

1 そもそも「保健師」ってどんな資格?

保健師になるには、保健師国家試験と看護師国家試験のどちらも合格する必要があります。ただし、誰でも自由に試験を受けることができるわけではありません。

これらの試験を受験するためには大学の看護系学部もしくは統合カリキュラムを採用した看護系専門学校を専攻して卒業する必要があります。

もしくは、看護大学、短大、看護学校などを卒業し、看護師資格を取得してから保健師養成学校か保健師養成学科を専攻し保健師国家試験を受験する方法があります。


2 保健師のお仕事の内容は?

保健師の仕事は、地域住民の病気予防や健康の保持のために各都道府県や市区町村の保健所などで、健康問題などの相談に乗り、支援活動を行うことです。

主に乳児や妊婦、高齢者や心身に障害を持っている方に対して、定期家庭訪問や集団検診などを実施してカウンセリングを行います。相談内容については健康維持だけでなく、育児相談、伝染病、エイズの予防など幅広く相談を受けています。

保健師の種類は大きく3つに分類することができます。

1つ目が保健所や市区町村など公務員として働く「行政保健師」です。

行政保健師の多くは、保健所や保健センターに配属され、乳幼児や妊婦、成年から高齢者まで幅広い年代や状況の人たちに対してケアを行います。

具体的な業務内容としては、心身の健康についての相談業務や健康教室の実施、妊婦、母子への保健指導など、様々な業務を担当します。

行政保健師になるためには保健師国家試験の合格だけでなく、各自治体での公務員採用試験にも合格する必要があります。

2つ目が民間の企業などに所属し働く「産業保健師」です。

産業保健師は、主に大企業の医務室などに常駐し、定期健康診断や、ストレスチェックなどを行います。現代社会では、過労やうつなどの問題がクローズアップされますが、産業保健師は生活習慣病などの予防やメンタルヘルスケアを行い、社員が健康的に就業活動を行えるように促進します。

3つ目が大学、専門学校など教育機関で働く「学校保健師」です。

学校保健師は、教育機関での学生や職員に対する健康のケアをメインに行っています。

小学校や中学校、高校などの場合は養護教諭免許が必要となり、保健師とは資格が別になります。

上記のような、いわゆる「保健室の先生」は「養護教諭」という教員になります。

こちらも主な業務内容は生徒や職員の健康のケアになります。

2-1 保健師に向いている人はどんな人?

保健師の仕事内容を大まかにまとめると、子供から高齢者まで様々な人の健康上の相談を聞き、支援をすることです。

幅広い年代のたくさんの方と接するお仕事ですので、誰からも安心して相談される親しみやすさと、わかりやすい説明をする能力が必要になります。

病気の予防や健康増進を目的にお仕事をすることになりますので、病気の方々への思いやりや、健康を守ることへの使命感を持っている方が向いているといえるでしょう。

2-2 保健師の主な就職先

次に保健師の主な就職先について解説していきます。

厚生労働省が発表しているデータより平成30年末の就業保健師は52,955人(男性が1,352人、女性が51,603人)となっています。

そのうち、市区町村に関しては全体の56.0%と最も多くを占める就職先となっており、次に保健所が15.3%、事業所が6.3%と続いています。

公務員として働く保健師の割合が73.9%(保健所、都道府県、市区町村)となっており、大学や専門学校を経て安定している公務員に就職するケースが多いようです。(参照:厚生労働省 平成30年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況

就職先

割合

病院

6.2%

診療所

3.8%

助産所

0.0%

訪問介護ステーション

0.5%

介護保険施設など

2.5%

社会福祉施設

0.8%

保健所

15.3%

都道府県

2.6%

市区町村

56.0%

事業所

6.3%

養成所又は研究機関

2.2%

その他

3.8%

2-3 保健師のお給料・年収はどのくらいなの?

保健師のお給料についてですが、平均年収が529万円と看護師の483万円よりも約40万円も高いことがわかります。また、平均月収は32万円となっており、賞与などにより平均年収が高くなっております。(参照:年収ハッカー

また、2020年の国税庁の民間給与実態調査では日本人の平均年収が436万円となっています。そのため、保健師の平均年収の高さが伺えます。(参照:国税庁 民間給与実態調査

国家資格が必要な保健師は他の職業と比べて優遇されている傾向にあるようです。

保健師のお給料についての詳細は、下記の記事にまとまっていますので、さらに詳しく知りたい方は是非参考にしてみてください。(参照:保健師の平均年収は529万円!看護師との年収の違いや勤務先別年収を徹底解説


3 保健師の資格の取り方

保健師となるためには、国家資格を取得する必要があります。

まず前提条件として、資格を取得するためには通信教材などで学習し取得することはできません。

保健師になるための専攻コースのある大学や専門学校に入学し、卒業しなくては国家試験を受験する資格を得ることができません。

そのため、保健師の資格を取得するために必要な予算や学校の選び方についてご紹介します。

3-1 資格取得までのルートと学校の選び方

保健師の資格を取得するためには主に3つルートがあります。

それが以下の図の通りです。

保健師のなり方_フローチャート

1つ目のルートは4年制大学の看護系学部へ入学することです。

これが最もスムーズに資格を取得するためのルートだと言えます。

保健師を目指すことのできる大学は私立公立を含めて全国で198校あります。卒業と同時に看護師国家試験と保健師国家試験の受験資格を得ることが可能です。

2つ目のルートが看護系の短大に入学することです。

一般的な短大の場合ですと、卒業までに2年必要ですが、看護系をはじめとする医療系短大は3年の通学が必要です。

看護系の短大へ入学した場合、3年間通学した後、卒業時に国家試験の合格を経て、看護師資格を取得します。

その後、保健師養成学校1年通うか保健師コースのある4年制大学の3年次に編入します。大学に編入する場合、短大の履修科目は互換ができるので、教養科目や保健師に必要な科目のみを受講します。

3つ目が看護系の専門学校へ入学することです。

看護系の専門学校から資格取得の流れは、看護系の短大の入学パターンと同じです。専門学校を3年間通学した後、卒業時に国家試験の合格を経て、看護師資格を取得します。

その後、保健師養成学校へ1年通うか保健師コースのある4年制大学の3年次に編入します。短大卒業生と同様、専門学校の履修科目は互換できるので、教養科目や保健師に必要な科目のみを受講します。

なお、看護系の専門学校の中には、看護師資格と保健師資格の両方を取得できるところもあります(4年制)。

最短で保健師を目指す場合は、どんなに早くても4年かかります。ルートとしては先ほどご紹介した1番と2番が該当します。あくまで最短で保健師になるためには国家試験を現役で合格が必要不可欠です。そのため、国家試験の傾向と対策を理解したうえで、勉強していきましょう。

保健師の資格取得のルート
保健師資格取得には看護師資格取得が必要。
看護師資格取得から考えると、4年制大学の看護系学部、看護系短大、看護系の専門学校の3つがあり、4年制大学の看護系学部が最も保健師資格取得までスムーズ

3-2 学費はどのくらいかかる?

保健師になるルートを選ぶにあたって、費用について気になる人もいるでしょう。一番のおすすめは4年制大学ルートの中でも公立の大学です。
ここでは、それぞれのルートでかかる費用の概算について説明します。 

学校種別学費
大学(公立)約250万円
大学(私立)約450~700万円
短大(公立)約400万円
短大(私立)約400万円
専門学校(公立)約60万円
専門学校(私立)約250万
保健師養成学校約100~200万

 上記の表は概算ですが、4年制大学で看護師と保健師のダブル受験をする場合、国公立では250万円私立では450~700かかります。

短大卒業後に大学へ編入する場合は、入学金と2年分の学費がかかります。
公立か私立かでも学費は大きく異なりますが、短大3年+大学2年の計5年の学費は、520万~850万円かかります。
一方、短大卒業後に保健師養成学校へ通う場合は、合計で500~600万円の費用が必要です。

専門学校の費用は、公立か私立かによって学費に大きな差があります。
専門学校から大学編入まですべて公立であれば200万円すべて私立であれば400~600万円程度の費用が必要です。
また、専門学校から保健師養成学校へ行く場合は、160~450万円かかります。

3-3 保健師国家試験の合格率は?

保健師養成カリキュラムのある大学や学校へ入学するときに、重視したいのが国家試験の合格率です。

令和2年2月14日に実施された「保健師国家試験」の合格率は、91.5%。そのうち新卒者の合格率は96.3%です。

過去の合格率を見ると高い年では98.2%、低い年では83.5%と平均で90%前後を推移しているため、保健師国家試験の難易度自体は高くないようです。
(参照:
厚生労働省 第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表

第16回保健師国家試験の合格基準は、一般問題を1問1点(74点満点)、状況設定問題を1問2点(70点満点)の合計144点中87点以上でした。(採点から問題の一部を除外されたものに関しては143点中86以上が合格基準でした。)

一般に、コメディカルの国家試験はそれほど難易度が高いわけではありません。特に、看護師国家試験では、多少ひねりの効いた問題もありますが、保健師国家試験では基本的な問題が出題される傾向です。

保健師国家試験の合格率は、平均すると90%前後と、数字だけみると高い水準に見えます。

しかし、受験資格となる学校への入学と、入学後に勉強する内容、提出しなければならないレポートなどが非常に難しく、試験の受験資格を得るまでの道のりが非常に険しいです。

筆者の場合、国家試験前は保健師国家試験のポイントをまとめた薄い本と過去問だけで対策しました。保健師国家試験は関連法規の問題が多く、毎年、問題傾向が大きく変わることはありません。最低限の対策だけでも、余裕で合格を勝ち取ることができるはずです。


4 おすすめの資格取得までのルート

保健師の資格でお勧めのルートが、4年制大学の看護系学部に入学することです。

お勧めする理由は大きく2つあります。

4-1 看護師とダブル受験できるから

4年制の大学は卒業年度に看護師国家試験と保健師国家試験のダブル受験が可能です。
保健師資格取得までの最短ルートであり、かつ、看護と同時に学ぶことで相乗効果が期待できます。

看護師の養成カリキュラムの中には、地域看護学など公衆衛生の基礎となる科目や実習も含まれています。何より、保健師は地域で活動する看護職です。保健師として働く際には、健康な人だけでなく、医療機関のケアが必要な住民に対応することもしばしばです。看護師の養成カリキュラムを通して、疾患や必要な治療・ケアなど幅広く学ぶことができます。これらの知識は、保健師の活動でも必須となるでしょう。

4-2 就職活動で勝つために履歴書で差をつけたいから

個人によって差はありますが、保健師は就職難です。保健師資格取得後の就職活動を見据えると、履歴書で差をつけることができるルートを選ぶべきです。

近年、医療システムの高度化にともなって看護職の高学歴化が進んでいます。ひと昔前までは短大や専門学校で学んだ看護師が多くを占めていました。最近は、専門看護師など大学院卒の看護師も増えており、看護職の高学歴化は今後もさらに進んでいくと考えられます。

この流れは保健師も例外ではありません。特に、保健師の募集は看護師と比べて母数が圧倒的に少なく、競争率が高いことが特徴です。規模の小さい自治体になると、数年保健師の募集をしていないところも多くみられます。(参照:日本看護協会 平成30年度 厚生労働省 保健指導支援事業

地域で働く行政保健師、企業で働く産業保健師、学校に配属される学校保健師など働く場所による差はあるものの内定を得ることはハードルが高いといえます。  

就職試験で応募者の履歴書を見たときに、大卒の方が良い印象を与える傾向が年々高まっています。就職の内定を勝ち取るには、学歴だけが全てではありませんが、学歴がプラスになることは間違いありません。

上記の理由から、保健師として働きたい人は、4年制大学の看護系学部に入学して、看護師資格と保健師資格とダブル取得を目指すとよいでしょう。

保健師の資格取得お勧めルート ~まとめ~
看護師とのダブル受験ができる最短ルートであり、保健師としての就職活動時に履歴書で差をつけられる4年制大学の看護系学部が最もお勧め!

5 まとめ 自分にあったルートで保健師を目指そう!

保健師になるためのルートや資格について紹介してきました。

国家資格ですので、取得は誰でも簡単に取れるわけではありません。しかし自分に合ったルートを選択し、諦めることなく最後までやり抜くことで必ず良い結果が訪れるはずです。

保健師とは、様々な年代、状況の人々の健康を守ることができる、非常に素晴らしい職業だと考えます。

この記事を読んでいただき少しでも保健師について前向きに考えていただきたいです。

費用や将来性を考えたうえで、ぜひ最高の選択をしてください。

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