派遣看護師で高収入を得る方法とは?派遣先別の給料事情など徹底解説
看護師として医療機関で働く中で、直接雇用ではなく派遣として働いている看護師を見かけることも少なくないと思います。
2006年の法改正以降、一部制限付きではありますが看護師の派遣が認められ、これまで以上に派遣看護師の活躍の場は広がったように思われます。
民間の病院や施設であればダブルワークも解禁され、業務時間外に派遣としてダブルワークをする看護師も見られるようになってきました。
私自身も、派遣業務だけで看護師として生計を立てるならば、ダブルワークをおすすめします。
今回は、昨今増加傾向にある派遣看護師の活躍の場と、ダブルワークの組み合わせ方について給与面を中心に説明していきたいと思いますので、転職や退職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 派遣看護師の給料
派遣看護師として働くにあたり、多くの人は時給や月給に注目すると思います。そして今の給与と比較するでしょう。
その時に、多くの人は「派遣の方が時給がいい!」と思うかもしれません。
実際に派遣看護師として働くメリットの一つは「高時給」です。看護師が派遣登録する会社は大きく分けて3種類あります。
■登録型派遣
登録型派遣では、単発〜最長3年の仕事を紹介してもらえます。
職業問わず、派遣会社の多くは登録型派遣がメインになります。
労働者のライフスタイルに合わせた派遣先を紹介してもらいやすく、次の職場までのつなぎとして登録している人が多いです。
■紹介予定派遣
紹介予定派遣は、派遣先の企業で6ヶ月以内に契約社員や正社員などの直接雇用に切り替えることを前提とした派遣の雇用形態です。
派遣先の企業も派遣される看護師も、いずれは直接雇用されること前提で働くことができます。
また、実際に仕事をすることによって仕事のスキルや社風に合うかどうかなど確認できるので、採用時のミスマッチを防ぐことにもつながります。
■常用型派遣
常用型派遣は、派遣会社の社員として常時雇用している社員を企業に派遣する仕組みです。
登録型派遣との大きな違いは派遣先での就業期間が終了しても、派遣会社との雇用関係は継続されたまま、新たな職場に派遣されます。
もし新たな派遣先が見つからない場合でも、次の派遣先が見つかるまで給与が支払われるのが常用型派遣の特徴です。
常用型派遣は、専門性を有した優秀な人材を柔軟に活用したいといった企業のニーズから、看護師や介護など福祉系の専門知識と経験を有する人々の常用型派遣をおこなう会社も多く見られます。
この中で高時給な職場を見つけやすいのは登録型派遣です。
理由としては、介護施設の夜勤など、正規雇用をあまり行っていない職場や、人の集まりづらい募集の職場もあるからです。
- 立地的に人が集まらない
- 長期的に継続できる仕事ではない
- 仕事内容的に正規雇用で継続的に働く人がいない
この3つに該当することが多いです。昨今ではコロナ病棟が代表的な例ではないでしょうか。
1-1. 派遣看護師の平均時給
派遣看護師の平均時給は首都圏に近づくほど高くなります。
現在の平均時給は
・首都圏:1800円〜2300円
・大阪・名古屋:1600円〜2000円
・地方:1300円〜1600円
都市部では地方と比較して、物価や世帯の平均収入高いことが影響しており、どの募集も平均時給が高めに設定してあります。また、地方以上に介護系施設や訪問看護や夜勤専従等の高負担で高収入の募集が多い傾向にあると言えるでしょう。
一方、地方では一般病棟やデイサービス、保育園での募集が多い印象です。
「ブランクOK」「中高年OK」など、都市部では見かけない条件も地方には多く、週1〜週3勤務で家事育児との両立をスタンスとしているようです。
都市部では「派遣看護師は即戦力」として扱う職場が多い中、地方では「派遣看護師は補給力」としての扱いが強い傾向にあります。
1-2. 派遣看護師の平均月収
平均時給に引き続き、平均月収も高い傾向にある派遣看護師。
正規雇用の看護師の平均月収約33万円に対し、派遣看護師の平均月収は上回っているようです。
・首都圏:約33〜38万円
・大阪・名古屋:約30〜35万円
・地方:約28〜33万円
時給も月給も高い傾向にありますが、特に短期間の派遣に関しては交通費の支給がない派遣先もあります。
更に、派遣看護師の多くは自分で保険料や年金を支払わなければならないため、約2〜5万ほどが毎月固定での支出となります。
1-3. 派遣看護師の平均年収
派遣看護師の平均年収は全体で約390万円ほどです。
ここで、皆さんは少し「あれ?」と思うのではないのでしょうか。
時給・月給ともに正規雇用の看護師よりも高い傾向にある派遣看護師ですが、年収にしてみると実は正規雇用看護師よりも低くなります。
派遣看護師は一部を除いて賞与がないため、大きな病院などの中堅看護師と比べると100万円近く年収が下がります。
加えて、派遣看護師の多くは単発〜6ヶ月の仕事が多いため、高時給の職場で稼ぎ続けることが非常に困難です。
その中で収入を上げる方法としては、近年ではダブルワークをする看護師が多く見受けられます。日勤と夜勤を組み合わせることで月収50万にしている、なんて人も中にはいるようです。
ただ、公務員や正規雇用の看護師の多くはダブルワークが禁止されていると思うので、必ず社内規定を確認してから登録しましょう。
2. 派遣看護師の職場による時給の違い
ここでは、主に派遣看護師の就労先になる施設の平均時給や、仕事内容についてご紹介します。
正社員募集を多くしていない職場もありますので、医療機関以外で働いてみたいと思う方は参考にしてみてください。
近年の派遣看護師の平均時給は以下のようになっております。
派遣先 | 時給 | 登録型派遣 | 紹介予定派遣 | 常用型派遣 |
診療所・クリニック | 1,600~1,800円 | △ | ○ | △ |
助産所 | 1,800~2,000円 | △ | ○ | △ |
病院 | 1,800~2,000円 | △ | ○ | △ |
訪問看護 | 2,000~2,300円 | △ | ○ | △ |
介護老人保健施設 | 2,800~3,000円 | △ | ○ | △ |
介護老人保健施設 | 2,000~2,500円 | ○ | ○ | ○ |
健診センター | 1,600~1,900円 | ○ | ○ | ○ |
有料老人ホーム | 1,800~2,000円 | ○ | ○ | ○ |
デイサービス | 1,500~1,800円 | ○ | ○ | ○ |
特別養護老人ホーム | 2,000~2,200円 | ○ | ○ | ○ |
社会福祉施設 | 1,600~1,900円 | ○ | ○ | ○ |
保育園 | 1,500~1,800円 | ○ | ○ | ○ |
2-1. 訪問看護ステーション
派遣看護師として働く場合の訪問看護ステーションの平均時給は2,000~2,300円です。
こちらは医療機関に当たりますので、登録型派遣や常用型派遣の方は条件付きで就労可能となります。(紹介予定派遣は制限なし)
24時間稼働のステーションであれば高時給の夜勤(オンコール)が週1回程度の勤務から募集があるかもしれません。
2-2. 介護施設
介護老人保健施設は派遣看護師の就労先としてはとても時給が高く、平均で2,000~3,000円です。
施設利用者の健康・服薬管理や緊急時の対応などの看護業務をメインとして派遣される場合と、入浴介助のように医療行為のほとんどない業務をメインとして派遣される場合では時給に差が生じます。
ただし、看護業務メインでの派遣は週2〜週3回の勤務が多いため、平均月収はあまり伸びない就労先でもあります。
2-3. 病院
主に産休・育休の代替としての募集がある病院ですが、その時給は1,800~2,000円となっています。
この時給であれば、正規雇用看護師と大差無いようにも思えますが、プリセプターとして指導することや勉強会などの看護業務以外のことを請け負う必要がなくなるのが最大のメリットとも言えます。
また、詳細は後述しますが、病院の夜勤専従での募集は首都圏であれば1回35000円と破格の仕事もあります。
看護技術を磨きたい人は日勤、とりあえず高時給を目指したい人は夜勤に目をつけてみるといいかもしれません。
2-4. 保育園・幼稚園
保育園・幼稚園は平日8:00~17:30の勤務が多く、時給は1,500~1,800円が平均的です。
基本的に医療行為はほとんどなく、施設内で起こった怪我や体調不良になった子供の状態観察、児童・教員の健康管理、感染症対策が主な仕事になります。
また、保育園では保育士が同席のもとであれば看護師を保育士として扱うことができるため、保育士側で急な欠勤が出た場合は児童のお世話に加わることもあります。
3. ダブルワーク向き派遣先
先にも書きましたが、職場がダブルワークOKや派遣看護師として生計を立てている人におすすめしたいのがスキマ時間や単発で働くことのできる職場です。
近年増えつつあるのが8:30〜17:30まではメインの職場で働き、19:00〜22:00のスキマ時間や休みの日の短い時間に単発の派遣看護師の仕事をするワークスタイルです。
ここでは短時間や単発での募集が多い3つの職場の平均時給と業務内容について紹介します!
3-1. 電話相談・コールセンタースタッフ
これまでも都道府県の救急電話相談(#7119)や小児救急電話相談(#8000)は広く利用されてきましたが、近年では民間の電話相談やコールセンターでも派遣看護師の活躍の場が増えました。
平均時給は約1,900円とかなり高く、勤務時間も18:00-22:00といった募集や、週1回勤務可といったかなり融通の効くものが多いです。
大半が他の職場と掛け持ちの派遣看護師なので、職場内での人間関係もあっさりしているようです。
3-2. 夜勤専従看護師
ダブルワークでメインを夜勤専従にしている派遣看護師も多いのではないのでしょうか。
実際、病院の夜勤専従の日給は地方であっても3万ほどで、東京都内だと4万円支給する病院もザラにあります。
最低月に5回の勤務を求める職場が多く、派遣看護師も8回〜11回/月のシフトの人がほとんどです。
平均値の単純計算で3.4万円×8回=27,200円の月収になります。
勤務時間は18:00~09:00と長いですが、週2回の夜勤だけで生活できるレベルの収入を得られるのはこの仕事の最大のメリットとも言えます
3-3. 健診センター
健診センターでの採血業務は時給1,600円〜1,900円ほどで、受診予約をされた元気な方のみを扱うことになるので非常に人気が高いです。
単発〜週4回の募集が多く、勤務時間も日勤看護師より短い傾向にあるため、ブランクのある方におすすめとも言えます。
年末〜5月頃までが一番募集が増えるので、4月入社前の収入源として検診センターの派遣を希望する人が多い傾向に思われます。
4. 新型コロナウイルスで増えた派遣需要
新型コロナウイルスの流行から随分経ちますが、未だに感染者数は安定的な減少はしていません。
流行当初よりは緩和されつつある療養期間ですが、それでも一度感染すれば最低1週間は自宅療養を余儀なくされます。
コロナ患者受け入れ病棟のみならず、発熱外来であっても医療従事者の感染により人手不足が叫ばれ、中には厳しい労働環境にバーンアウトしてしまった人もいます。
特に派遣看護師の場合は勤務時間が給与に直結するので、自分自身のみならず同居家族の感染は死活問題とも言えますね。
しかしながら、ワクチン接種会場や電話相談など、コロナに特化した高時給の派遣先が増えたのも事実です。
ワクチン接種会場:時給3000円
ワクチン接種後の電話相談:時給1800円
コロナ関連のコールセンター:時給2000円
コロナ患者受入病棟:時給2500〜3000円
上記の通り、「コロナ関連」というだけでかなり高時給に設定されていることが分かります。
5. 目的別!おすすめする派遣での稼ぎ方
派遣看護師と言っても、稼ぎたい目的は人それぞれですよね。
・派遣看護師としてガッツリ稼ぎたい人
・スキマ時間に手堅く稼ぎたい人
・転職/留学/進学資までの穴埋めをしたい人
今回は上記3タイプに分けた派遣先の組み合わせをご紹介します。
5-1. 派遣看護師としてガッツリ稼ぎたい人
長期的に派遣業務で生計を立てていきたい人におすすめなのが、夜勤専従+コールセンタースタッフです。
夜勤専従(16時間)を10回/月…34,000×10回 = 340,000
訪問入浴(7時間)を6回/月…13,300×6回 = 79,800 合計 419,800円
ここから社会保険や年金、諸々の税金を支払うと手取りはおよそ34万円ほど。上記の働き方であれば、週37時間ほどの労働時間になります。
平均時給の計算でこれだけの手取りを確保できれば、よほど派手な浪費をしない限り、ゆとりのある暮らしができるのではないのでしょうか。
5-2. スキマ時間に手堅く稼ぎたい人
ライフスタイルの変化で現場に出ていない看護師や、すでにメインの職場を決めているけどもう少し稼ぎたい人におすすめなのが医療相談のコールセンターの派遣です。
先述した通り、夜間相談電話などは18:00以降の比較的短い時間で、余裕のあるシフトを組むことができます。
また、最近は有料の健康相談アプリでのチャット対応として在宅でできる仕事も徐々に増え始めました。
こちらは手取り額で言えば、10万3千円ほど。
事前研修期間やマニュアルもあるので、実際に医療現場を掛け持ちするより精神的な負担はぐっと抑えられるかと思います。
5-3. 転職/留学/進学資までの穴埋めをしたい人
転職や留学・進学準備のために早めに退職した人の場合も派遣看護師での就労はおすすめです。
勉強の合間での数時間や、扶養内での労働も可能です。
他の仕事と被っていないならイベントナースやツアーナースはいかがでしょうか。フェスやスポーツイベント、学生や老人会の旅行に同行し、参加者の体調管理や怪我の対応が主な仕事です。
繁忙期は5月〜9月頃で、寒い時期は地方のウィンタースポーツ系のイベント・ツアーの募集が増えます。
都市部に住んでいる人は夏が稼ぎ時になりますので、求人応募のタイミングを逃さないように注意しましょう。
イベントナースやツアーナースは単発派遣なので日給制がほとんどであり、その平均日給は1.2万〜2.3万円です。(平均時給は17000円ほど)
6. まとめ
派遣看護師は時給・月給は高い傾向にありますが、ボーナスが貰えないことや各種支払いを自分で行わなければならないので、年収で考えると正規雇用よりも低くなりがちです。
一方で、自分で働き方を決められることは大変魅力的であり、ダブルワークを視野に入れれば比較的少ない労働時間で安定した収入を得ることができます。
正規雇用では諦めていたことも、派遣看護師としてならチャレンジできることはあります。
看護師の活躍の場は多岐にわたりますので、自分の一番やりたいことは何なのか、叶えるためにはどんな働き方があっているのかを考えて就労先を選ぶことで賃金以上の満足感が得られるかもしれません。
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