ICUの看護を行う上で行うべき3つの仕事内容と知られざるやりがい
看護師の誰しもが一度は気になるICUの仕事ですが主に分けると3つになります。
・モニタリングとアセスメント
・家族ケア
・医療機器の管理や操作
普段看護師なら誰しもが実践していると思いますが、この内容が深かったり幅が広いのがICUの特徴です。生命の危機的状況な患者さんを受け持つために、10~15名病棟で受け持ちますが、ICUでは2~4名になります。そのため患者さんに1人に対し様々な機器対応や、深いアセスメントとモニタリングが重要になります。大変な仕事ではありますが、ICUでは急性期における他では身に着けられないスキルと、命を救う大きなやりがいがあるので、経験した著者もおすすめしています。ただ勉強したくなかったり、急変対応が嫌いという方には向いていない職場ではあるので、記事を読んで自身が向いているかをしっかり判断して転職や異動の参考にして頂ければ幸いです。
1 ICU看護における抑えるべき3つの仕事内容
ICUは「Intensive Care Unit」の頭文字をとったものであり、集中治療室の意味になります。生命に危機があったり、術後や急変をした患者さんなどを受け入れ、一般病棟に比べると重症な患者さんを受け入れる病棟になります。医療機器を多く使用したり、専任の医師が常駐したり、看護師の配置が多くされているなど患者さんの回復のために手厚い治療体制、看護体制が敷かれております。
多岐に渡る仕事をICUでは行いますがその中で抑えるべき仕事内容は以下の3つになります。
・モニタリングとアセスメント
・家族ケア
・医療機器の管理や操作
まずはこの3つが最も重要な仕事内容になりますので、確認していきましょう。但し、ICU看護を経験した著者はお伝えしたいのは、これら仕事内容は普段の業務でも十分必要な項目であり、決して特別なことではないと感じております。大変そうという意識ではなく、興味をもって読んでもらえると先入観を持たずにイメージしやすいかと考えています。
1-1 最も重要で知識の必要な、モニタリングとアセスメント
患者さんの状態を24時間体制で監視することがICU看護師の最も重要な仕事内容になります。モニタリングと言われ、心電図や人工呼吸器の数字を毎時間確認と記録を行い異常の早期発見に務めます。ちょっとした違いの把握はいち早く医師に報告を行い、ほんのわずかな兆候やサインを逃さないことが大事です。
モニターから読み取れるデータを、解剖生理や疾患、その患者さんの情報や日々の変化を元にアセスメントを行います。急変する可能性も高いため、モニタリングとアセスメントを行う時間が最も長く、大切な仕事になります。普段の業務でも同様なことは行っていると思いますが、普段行うモニタリングやアセスメントを10~15名行っていたものを2~4人になるとイメージするとわかりやすいかと思います。
1-2 短い時間でも手厚い家族ケア
ICUに入院する患者さんの多くは、急な出来事であったり、予測していないことが生じているため、動揺していたり、冷静でいられないケースが多くあります。併せて、人工呼吸器や多数の点滴類が使用され、今までの姿とは想像できない変化が生じているケースがほとんどになります。そのため、家族への声掛けや配慮は大切になります。面会時間も制限されているため、短い時間でどれだけの情報と些細な変化を伝えることが求められます。
特に家族への声掛けや配慮の仕方は、受け止め方の違いで大きく異なります。小児から成人、高齢者まで受け入れるICUですので、キーパーソンも異なるため相手に合わせた言葉使いも必要です。基本的には丁寧語で話しつつ、傾聴の姿勢とタッチングなども効果的になります。病棟などと比べてセンシティブな環境ですので、声掛け一つも意識して行う必要があります。
1-3 医療機器の管理と対応
ICUでは多くの医療機器の取り扱いがあり、専任の臨床工学士がいます。そのため機種ごとにも異なるため、ミニ勉強会なども開催されることが少なくありません。特に人工呼吸器や輸液ポンプやシリンジポンプ、場所によっては人工心肺や透析などの機会もあります。操作は勿論、これらのモニタリングや異常の早期発見は看護師の重要な仕事になります。完全な理解ではなくても、設定の確認や、異常が起きた際の初期対応は最低限学んでおかなければいけません。メーカーによって微妙に確認方法や設定の仕方が異なるため、最新のものが出たり導入する度に学ぶ必要があるため著者もこれらは苦労しました。
2 ICU看護師の1日の流れ
ICUでは救急外来、術後、一般病棟から急変時と多くの患者さんを受け入れるパターンがあるため、一概にパターンが読めにくくはあります。対応している患者さんの治療内容(循環器と脳外科では使用する機械や薬剤も大きく異なるため)にも由来はされていますが、一般的な内容としてまとめました。主としては1章における3つの仕事内容がベースにはなります。
2-1 日勤帯は日常生活サポートや検査、処置がメイン
日勤帯は8時間勤務のことが多く、8:30~17:30の勤務としています。基本的には日常生活サポートと検査や処置などが主な業務になります。情報収集はどうしても勤務時間外にすることが多く、記録の記載も就業後に行うことが多々あります。
時間 | 実施項目 |
8:00~8:30 | 受け持ち患者さんの情報収集(看護師によっては1時間前から実施) |
8:30~9:00 | 申し送り(夜勤帯の変化、モニター類の確認) |
9:00~11:00 | 患者さんの状態によっても異なる ・保清や処置 ・オペ出し準備 点滴の交換準備や、人工呼吸器であれば吸引 |
11:30~13:00 | ・オペ出し ・経管栄養、内服薬の準備と投与 ・ドレーンや気切部の処置など |
13:00~14:00 | 昼休憩(前後1~2時間ズレること多い) |
14:00~15:00 | ・午前中にできなかった保清や処置 ・一般病棟への送り出し ・バイタル測定や尿破棄や24時間点滴のクリア ・モニタ類の確認 |
15:00~16:30 | ・手術の迎え ・カンファレンス ・申し送り準備 ・夜勤用の点滴準備 ・ご家族対応 |
16:30~17:00 | 夜勤者への申し送り |
17:00~17:30 | ・記録の記載 ・夜勤者に指摘された残務の処理 |
17:30~18:30 | ・看護計画の見直しや入力 ・振り返り |
2-2 夜勤は比較的穏やかで仮眠もとれ、定時で終われる
夜勤に関しては二交代制の勤務先が多いため、16:30~9:00の勤務としております。するべきことはやはり、モニタリングとアセスメントが中心ですが、体位交換や点滴交換など細かい業務が多くなります。夜間に急変することも多いので、受け入れもよくあります。夜間は異常時は早めに報告をしないといけないため、アセスメントもより細かく必要になります。その分しっかり休憩はとり、100%のパフォーマンスを発揮できるように整備されていることが多いです。夜勤中は記録の記載時間もあるため定時で上がれることが多いです。
時間 | 実施項目 |
16:00~16:30 | 受け持ち患者さんの情報収集(看護師によっては1時間前から実施) |
16:30~17:00 | 申し送り(日勤帯の変化、モニター類の確認) |
17:00~19:00 | バイタル測定、点滴、経管栄養、内服薬の準備と投与 |
19:00~20:30 | 就寝前の準備 ・血糖測定や目薬の投与、口腔ケア ・点滴の交換準備や、人工呼吸器であれば吸引 |
20:30~21:30 | 昼休憩(前後1~2時間ズレること多い) |
21:30~24:00 | ・救急患者や病棟の急変患者さんの受け入れ ・体位交換や陰部洗浄 ・輸液のクリアと点滴の更新 |
0:00~2:00 | 仮眠(2:00~4:00と交代制のところ多い) |
2:00~5:00 | ・体位交換や陰部洗浄 ・点滴の交換準備や、人工呼吸器であれば吸引 ・記録 |
5:00~7:00 | バイタル測定、点滴、経管栄養、内服薬の準備と投与 口腔ケアや顔拭きなどのモーニングケア |
7:00~8:30 | 日勤帯のケア用品の準備 記録と片付け 医師への報告 |
8:30~9:00 | 日勤者への申し送り |
3 ICU看護のやりがい
ICU看護の仕事内容とスケジュールを見ると大変そうと思ってしまう方も多いと思います。しかしそれでも目指す人が多いのは理由があります。それは「他では身に着けられないスキルアップ」「命を救う大きなやりがい」があるためです。ICUはほぼ全科の症例を見ることになります。そして様々な機会や他では病棟では触れることが少ない治療が行われるため、大きなやりがいがあります。何よりも経験という素晴らしいものも得られます。
3-1 他では身に着けられないスキルアップ
新生児などの症例を除いてほぼ全科の対応をICUでは行うため、他では身に着けられないスキルアップが最も大きなやりがいと貴重な経験になります。看護師として一通り知りたい方や、急変に強くなるという副産物もあります。自分の知らない症例がないのは看護師として大きなやりがいになります。また人工心肺や透析器など病棟でなかなか扱わないものに触れることができ、学べるのは大きなやりがいになります。著者もICU看護で人工呼吸器の管理や血液ガスの取り扱い、CVやスワンガンツ管理など重症者に行う処置や看護を学ぶことができ、他の病棟にヘルプで行っても困ることがなくなりました。実際やっている時は必死だし当たり前と思ったことが、離れて別の業務に従事するとかけがえのない時間と、他では得られない経験と強く感じました。
3-2 命を救う大きなやりがい
ICU患者さんは生命の危機にある方が多いです。中には残念ながら亡くなられる方もいます。一方回復に向かって、その患者さんが元気になって一般病棟、はたまた退院されるケースも多いです。私もそうでしたが、自分の気付きによって異常の早期発見で治療がなされると、何とも言えない幸福感と達成感があります。一番身近な存在だからこそ、気付くことも多く、患者さんを好転させられる場面も多くあります。医師を初め多くの職種と近い位置で命を救う現場があるのはICU看護ならではの大きなやりがいになります。
4 ICUに向いている人3選
自分に向いているのかなと感じている看護師は是非チェックしてみて下さい。自身が一つでも当てはまる看護師はICU看護が向いていると言えます。
・緊急時対応を楽しめる
・看護師としての絶対的スキルを獲得したい人
・勉強熱心で様々な症例を見たい人
逆に一つも当てはまらなければ絶対にICUへ転職や異動をすることはおすすめできません。
4-1 【向いている人①】緊急時対応を楽しめる
緊急対応に「慣れている」ではなく「楽しめる」という方はICUに向いています。著者の先輩の半数の看護師がこれでした。勿論緊張感やストレスはあるようですが、緊急対応にアドレナリン全開で楽しめる人は天職な部署だと思います。ICUでは必ず活躍の場があるので、これに当てはまれば是非働いてほしいと思います。
4-2 【向いている人②】看護師としての絶対的スキルを獲得したい人
絶対的スキルというと大きく聞こえますが、一通り急性期の看護を学ぶことが可能です。病院によって対応する症例で多少は異なりますが、モニタリングとアセスメント能力が格段に向上します。それは本来複数名の患者さんを受け持つ病棟と異なり、ICUでは少人数を深くアセスメントや対応するためです。著者はICU看護の経験により、多くの症例に触れることができ、訪問看護の現場に出ても知らないことはほぼないといっても過言ではない状態になりました。勉強は絶対的に必要ですが、スキルを大事にした看護師は向いています。
4-3 【向いている人③】勉強熱心で様々な症例を見たい人
とにかく看護師として学びたいや、症例を経験したいと感じる看護師はICUが向いています。なぜなら一番多くを学べて、病棟とは比べ物にならない症例に触れることができるからです。ほとんどの科を請け負うのが最大の理由にはなりますが、実際ICUが病院内で桁違いに症例数を誇るため、向いている看護師の特徴になると言えます。
5 ICU看護に移動する前に知るべきこと
ICUの仕事内容を知り、スケジュールを見てもらえればわかるように、ICUでは重症患者さんを受け入れています。そのために、病院の中でも最も症例数や機器に触れるため、勉強量が多くなります。最低でも半年間は毎日勉強しないといけないと覚悟をもって異動することをオススメします。HCUやCCU経験の看護師でも、別分野で学ぶことが多いため、同様に勉強していたので、どの看護師にも共通して言えます。何となく興味があるから、チャレンジしてみたいではなく、しっかりこの記事を参考に決めて頂くのが失敗しない決断に繋がると言えます。
6 まとめ
ICU看護において最も重要な業務は3つになります。
・モニタリングとアセスメント
・家族ケア
・医療機器の管理や操作
普段看護師なら誰しもが実践していると思いますが、この内容が深かったり幅が広いのがICUの特徴です。患者さん1人1人に対して深いアセスメントとモニタリングが重要になります。日勤帯は日常生活サポートや検査、処置がメインで夜勤隊は意外にも仮眠がとれます。大変な仕事ではありますが、ICUでは急性期における他では身に着けられないスキルと、命を救う大きなやりがいがあります。ただ勉強したくなかったり、急変対応が嫌いという方には向いていない職場ではあります。経験した著者としては、看護師として是非お勧めできる働き方の1つになりますので、興味がある方はチャレンジしてみて下さい。
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