看護師2年目は転職すべきではない!転職を考えている人へ後悔しないためのアドバイス
1年目は看護師としての仕事を覚えることで精一杯という方も多いのですが、2年目に入り少し仕事に慣れてくるころには、「仕事がきつい」「人間関係がつらい」などの理由から転職を考え始める方もいます。
看護師は転職が多いというイメージを持っている方も多いと思われますが、厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」を見ると、看護職員として就業している方の45.2%は一度も転職経験がなく、3回以上の転職をしている看護師は15%程度と大多数ではありません。
他業界よりも転職にマイナスのイメージを持たれにくい業界ではありますが、2年目というキャリアが少ない段階での転職の場合、明るい未来につながる可能性は非常に低いといえるでしょう。
■看護師として就業している方がこれまでに転職した回数
転職回数 | 回答数(人) | 割合(%) |
0回 | 7,861 | 45.2 |
1回 | 4,174 | 24.0 |
2回 | 2,453 | 14.1 |
3回 | 1,382 | 7.9 |
4回 | 639 | 3.7 |
5回以上 | 597 | 3.4 |
無回答 | 278 | 1.6 |
<出典:看護職員就業状況等実態調査結果>
この記事では、看護師2年目で転職すべきではないケースと思いとどまるべき理由、対策などについて解説します。
どうしても転職したいと考えている人向けに2年目で転職しても問題ないと考えられるケースやおすすめの転職先も紹介しますので、後悔のないよう自身のキャリアを考えましょう。
目次
1.看護師2年目で転職すべきでない4つのケース
職場の環境や勤務内容などによっては、2年目を迎えるころに「転職したい」と考え始める看護師の方も珍しくありません。しかし、看護師2年目での転職はデメリットも多いため、基本的には避けたほうがよいでしょう。
ここでは、看護師2年目で転職すべきではない代表的なケースを4つ紹介します。転職すべきではない理由や、転職活動に進む前に講じるべき対策を確認し、現在の自分を改めて見直してみましょう。
1-1.看護師の仕事ができなくてやっぱり向いてないかもと感じるケース
看護師として1年間働き、様々な経験を通して一通りの仕事ができるようになっている方が多いとはいえ、十数年以上のキャリアをもつ先輩看護師と比べると、2年目看護師は仕事を思うようにこなせません。
「看護師の仕事に向いていないのでは」と自信をなくしてしまう方もいますが、2年目はまだまだ知識を吸収してスキルを磨いていく時期であるため、先輩ほど仕事をこなせなくても不思議ではないことを再認識しておきましょう。
しかし、看護師2年目が成長途中の時期にあるということは、裏を返すと「半人前」であるといえます。
半人前の状況では転職先でも頼りにされず、「仕事ができない」という負の意識から抜け出せない恐れがあるため、「現在の職場での仕事内容が向いていない」といった理由での転職は可能な限り避けるほうが賢明です。
1-1-1.2年目に「自分には看護師が向いていない」という考えを持つのはまだ早い
2年目の看護師は仕事を覚える途中の時期であるため、看護師の仕事が向いているかどうか判断するには早いといえます。
看護師の仕事が向いていないと感じる理由は人によって異なりますが、向いているかどうかは自分を客観的に見てみないと判断できません。
自分を客観的に見るには様々な方法がありますが、1つの方法として「プリセプターを務めること」が挙げられます。
プリセプターとして後輩に仕事を教えるときに、当時の自分の振り返りや、後輩と自分の比較を客観的に行えるためです。「看護師の仕事が向いていない」という理由で転職が頭をよぎった際には、プリセプターを務める年数まで仕事に取り組んでみてから自分を客観的に見た上で、最終的な判断を下すことを考えましょう。
1-1-2.ミスが多いなら同僚よりもミスが少なくなるまで自分を鍛えることが大事
「ミスが続き、インシデントを起こす前に辞めたい」と思っている方も、病気などの理由によってミスが多くなっているのではない限り、基本的には転職しないほうがよいでしょう。ミスをしないようになるまで成長しなければ、転職先でも同様のミスを繰り返すだけとなってしまうためです。
転職することが将来の苦しみ・悩みを作り出すきっかけとならないよう、現在の職場で同僚よりもミスが少なくなるまで自分を鍛えることを意識しましょう。
睡眠不足で注意力が散漫になっている場合は睡眠の質を高めた上で業務に臨む、指示を忘れてしまうのであればこまめにメモをとるなど、ミスの回数を減らす工夫を行うことが大切です。
1-1-3.プリセプター(教育担当)が外れてから転職を考えるべき
「同期の看護師はプリセプター(教育担当)が外れたのに、自分だけまだプリセプターがついている」といった場合にも、「向いていないのでは…」と不安に感じ、転職を考える方もいます。
自分にだけプリセプターがついているという状況は、他の2年目看護師と比べて成長がやや遅めであることを示しています。
したがって、そのまま転職したとしても、転職先で「2年目なのにこんな業務もできないの?」と言われてしまう可能性が高いといえるでしょう。
自分にだけプリセプターがついているという状況を打開したいのであれば、他の2年目看護師に追いつけるように、現在の職場・環境でプリセプターが外れるまで努力することが大切です。
また、プリセプターがついているということは必ずしも悪いことばかりではありません。先輩に指導・アドバイスしてもらえる機会を得やすいというメリットを活かし、成長の機会を逃さないようにしましょう。
1-2.給与、通勤時間、夜勤の多さに不満を感じるケース
看護師は精神的にも身体的にもストレスを感じやすい職業ですが、給与などの待遇が伴っていないケースも少なくありません。「通勤時間が長い」「給与の割に夜勤が多い」といったように、勤務条件に不満を感じて転職を考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、同じエリア・同一規模の職場への転職を検討する場合、基本的には給与や夜勤といった条件は他の職場でもほぼ同じであると考えられます。労働環境や勤務条件といった面を理由に転職しても、得られる満足感は長く続かない可能性が高いことに注意が必要です。
1-2-1.どこに転職しても給与が大幅に上がることはない
2年目看護師が給与アップを目指して転職活動を進めても、基本的には現在の職場の給与額から大幅に給与が上がる可能性は低いでしょう。
まれに高待遇・高収入の求人もありますが、人気も高く1年間の看護師経験だけでは入職することは難しいと考えられます。
また、転職によって給与アップが実現しないばかりか、給与が下がる可能性も視野に入れておかなければなりません。
看護師1年目~3年目における給与の平均額は約29.8万円といわれています。
一方、プリセプター経験を含む3年間の看護師業務を経た4年目の看護師における給与の平均額は約32.2万円であり、月額で2.5万円もの差があります。
残業手当や夜勤手当、ボーナスなどにも影響するため、年収で見ると2年目と4年目では50万円ほどの差が生じる可能性が考えられます。
転職先での給与体系にもよりますが、2年目で転職すると1年目と同程度の給与からスタートする場合も少なくありません。転職によって生涯年収が低下する可能性も十分に考えられるため、2年目での転職は慎重に判断する必要があるでしょう。
(参照:3年目看護師が転職すべきでない2つの理由と3つのメリット)
1-2-2.通勤時間はまずは工夫できることを考える
職場が遠く、通勤するのに体力の限界を感じた場合でも、すぐに転職するべきではありません。
通勤にかかる時間や通勤手段に関しては、「結婚などで転居した」等の事情がない限り、働き始める前からある程度分かっていたことです。通勤のことを理由に転職活動をしても、採用側は「計画性に欠ける」などといったマイナスの印象しかもちません。
まずは、病院の近くに引っ越すことや、看護師寮に入ることなど、通勤時間を短縮するための工夫を行いましょう。
1-2-3.夜勤は過ごし方を工夫する
入院病床のある医療機関の場合は、夜勤やオンコールがある勤務体系であることがほとんどです。夜勤を含む交代制勤務は生活リズムが崩れやすく、睡眠の質にも影響を与えることから、体力的に続けることが難しいと感じ、夜勤のない職場への転職を考える方もいるでしょう。
しかし、夜勤がない看護師求人は非常に人気が高く、競争率も高くなっています。夜勤を何年もこなしてきたベテラン看護師も多いため、2年目で夜勤なしの職場へ転職すると、「夜勤から逃げてきた」という印象を持たれてしまい、仕事がやりづらくなってしまう恐れもあります。
夜勤やオンコール対応は確かに大変ですが、結婚・出産といったライフスタイルの変化や、病気などの事情がない限り、夜勤の経験を積むことも大切です。交代制勤務でもしっかりと働くために、まずは生活習慣を正したり、仮眠・睡眠の質を高めたりといった努力をするよう心がけましょう。
(参照:疲れきった夜勤明けの身体を癒すおすすめの過ごし方~理想のスケジュール~)
(参照:現役看護師に聞いた、夜勤で必要なグッズとは?~睡眠編・食事編~)
1-2-4.疲れを感じたら原因分析と対策を立てる!
どのような職場で働いていても、どのような業務を行っていても、一生懸命に仕事に取り組めば疲れるのは当然のことです。疲れを感じたら、疲れの原因をよく分析した上で対策を立て、休憩時間や休日に効率よく疲れを癒す方法を実践しましょう。
例えば、連続の勤務やオンコール対応などで睡眠時間が十分に確保できない場合、睡眠の質を高めることで、同じ睡眠時間でもより疲れを癒せるかもしれません。夜勤の際に効果的な仮眠グッズを活用するなど、疲れやストレスをため込まない工夫を行いましょう。
(参照:疲れきった夜勤明けの身体を癒すおすすめの過ごし方~理想のスケジュール~)
(参照:現役看護師に聞いた、夜勤で必要なグッズとは?~睡眠編・食事編~)
1-3.他に興味があることが出てきて転職が頭によぎるケース
「他のことに興味が出てきた」という理由で、看護師2年目の方が転職することもおすすめできません。
看護師が活躍する職場では、5年・10年など長く勤務している方も多数います。
1年間の看護師経験だけで他のことに興味があると採用担当者が聞いたら、「軸がぶれやすい人」「すぐに辞めてしまうのでは?」という印象をもたれてしまいかねません。
転職できた場合でも、転職理由が現場まで知れ渡るような風通しの良い組織では、同僚のスタッフから悪い印象を初日からもたれてしまうケースもあります。自分の今後のキャリアをよく考えた上で判断することが重要といえるでしょう。
1-4.看護師どうしの人間関係に悩みを抱えているケース
看護師が活躍する職場は女性の割合が高く、女性特有の人間関係の悩み・トラブルが発生することは珍しくありません。どのような職場でも付きまとう悩みであるため、転職では解決できない可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。
転職先で人間関係を新たに構築することを考えると、現在の職場で人間関係の改善を図るほうが、労力をかけずにすむと考えられます。
1-4-1.上司との人間関係に悩むのはどの職場も同じ
上司との人間関係は、多かれ少なかれどのような職場でも悩む可能性があります。
例えば、教えてもらっていない仕事にもかかわらず、「2年目なのにこんな仕事もできないの?」と高圧的な態度を取られるという悩みを抱えている方もいますが、「教えてもらっていないので、教えてもらえますか?」と上司に主張できない方は、どこの職場でも同様の悩みを抱えることとなるでしょう。
上司との人間関係に悩んでいる方は、まず自分に改善できるポイントがないか考えましょう。いじめやパワハラのような理不尽な対応がない場合には、転職するよりも現在の職場でコミュニケーションスキルを磨くことも大切です。
1-4-2.後輩が入ってきたことによるプレッシャーは自分を成長させるための良い機会である
2年目を迎え、1年目の後輩が入職したことによるプレッシャーを感じ、「先輩としての自信をなくした」と転職を考える方もいます。
しかし、後輩が入ってきて自身が先輩の立場となることは、どの職場でも同じことです。現在の職場で初めて後輩を迎えることを、自分を見つめ直したり勉強し直したりするよい機会と捉えて仕事に取り組みましょう。
自分より優秀に感じる後輩が入ってきた場合でも、自分を卑下することはありません。優秀な後輩から学ぶこともあれば、新人教育を通して自分自身を振り返ることもあるでしょう。
このような経験が5年・10年先にあるかもしれない転職の機会に活きることもあるため、後輩の存在に必要以上に怯えず、自分を成長させるよい機会であると気持ちを切り替えることをおすすめします。
2.転職をするなら看護師5年目がおすすめ
2年目の看護師は余程の事情がない限り、転職しない選択をすることをおすすめします。それでは、看護師が転職するタイミングとして、最短の時期とは一体いつなのでしょうか。
2-1.転職に適した時期とは?看護師5年目7月の転職を直近のターニングポイントに
結論から言うと、看護師5年目までは転職を待ったほうがよいでしょう。
これは、看護師の仕事を4年間続けていれば、リーダー業務やプリセプター業務を含む看護師としての一連の業務をこなせるようになるためです。リーダー業務などができる人材を求めている医療施設は多いため、より好条件の職場への転職も目指せるでしょう。
また、7月というタイミングは、年末年始や年度末・年度初めのほど忙しくないケースが多く、さらに多くの職場で夏のボーナスが支給されるタイミングでもあります。有給消化もしやすい時期であるため、5年目に転職による退職をするのであれば、7月を目標としてスケジュールを考えてみましょう。
2-2.転職は可能な限りしないほうが吉
看護師は転職によってキャリアアップや給与などの待遇アップを目指すこともできますが、「より専門的に学びたい」「結婚・出産で今の勤務体系では働けない」といった理由がなければ、現在の職場で働き続けたほうが多くのメリットを得られる可能性が高くなります。
1つの職場で働き続けることができれば、早めに管理職まで昇進したり、安定した給与を得られたり、勤続年数に応じた退職金がもらえたりなどといったメリットを享受できます。人間関係を一から構築する必要や、職場特有のルールなどを新たに覚える必要もないため、特に看護師としての知識やスキルが安定しない間は、1つの職場で頑張ってみることがおすすめです。
3.2年目で転職して良い場合とは?
看護師2年目は基本的に転職しないほうがよいと考えられますが、次のような場合には転職を検討してもよいでしょう。
○結婚・出産
結婚や出産、育児といったライフステージの変化を理由とした転職は、看護師業界でも多く行われているため、デメリットの影響が比較的少ないと考えられます。
○疾患を患うほどの状態
生活リズムの乱れによる睡眠障害や、精神的・身体的な負担からくる自律神経失調症などといった疾患を患うほどの状態であれば、早めに現在の職場を休職したり、転職したりすることをおすすめします。
4.看護師2年目でも転職は十分可能
看護師2年目の転職は、様々な理由からできる限り避けたほうがよいでしょう。しかし、結婚や出産、病気などといった理由で現在の職場を辞める場合でも、看護師業界は常に売り手市場であるため転職は十分に可能であると考えられます。
■看護系職種の有効求人倍率の推移
(参照:e-Stat職業安定業務統計)
上図のように、看護師や助産師、保健師の有効求人倍率は、職業全体の有効求人倍率よりも高い水準となっています。求人も多いため、様々な事情から2年目で転職することとなった場合でも、他のタイミングで転職する場合でも、慌てずに自分に合った職場を見つけることが大切です。
5.2年目で転職する場合のおすすめの職場3選
結婚や出産、病気などといった理由で2年目看護師が転職する場合には、ワークライフバランスが確保しやすく、1年間の業務経験でも通用しやすい勤務先がおすすめです。ここでは、看護師2年目の方の転職先としておすすめの職場を3つ紹介します。
5-1.ワークライフバランスを確保しやすいクリニック
入院病床のないクリニックは、夜勤やオンコール対応がないため、体力的な負担を軽減できる職場といえます。決まった曜日が休みとなることも多く、ワークライフバランスも確保しやすいでしょう。
ただし、小さなクリニックでは、看護師としての業務以外にも、クリニック内の清掃や受付などといった業務をこなさなければならない場合もあります。スタッフ数が少ないため、急な休みに対応しにくいケースがあることも留意しておきましょう。
5-2.2年目の経験でも対応可能な訪問看護
現在は急性期の病院で勤務している看護師の場合、状態が安定している患者さんが多く、迅速な対応が必要なケースが少ない在宅医療の現場で働くこともおすすめです。訪問看護は週○日・○時間といったように自分や家族のスケジュールに合わせて働きやすいため、家庭との両立・療養との両立も図れるでしょう。
働き方の自由度が高い一方で、利用者や患者さんの自宅で看護ケアを行うための工夫を考えたり、自分で考えて判断したりするシーンも多い点に注意が必要です。最初は先輩看護師の指導を受ける場合が多いため、先輩や上司などから訪問看護に関するやり方をしっかり吸収するようにしましょう。
5-3.基礎的な看護スキルのみでも対応可能な健診センター
健診センターでの看護師は、採血など基本的な看護業務を担当します。看護スキルの基礎が身についている方であれば、休日の曜日が決まっており、残業も比較的少ない健診センターで働くこともよいでしょう。ただし、専門的なスキルは身につきにくいため、将来は病院やクリニックで勤務したいという方は、よく検討した上で転職先を選ぶことが大切です。
6.まとめ
「転職したい」と考える方も多い看護師2年目ですが、2年目での転職は時期尚早であり、転職したとしても現状は大きく改善されないと考えられます。
結婚や出産などのライフステージの変化や、病気・体調不良などで勤務ができない状態といった事情がない限り、2年目での転職は避けたほうがよいでしょう。
看護師2年目で感じる「転職したい」という気持ちは、現在の職場で自分自身を成長させるきっかけに変えることもできます。転職という選択肢を選ぶ前に、自分を客観的に見つめ直し、現在の職場で働き続けるための工夫を考えましょう。
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