クリニック看護師の仕事内容は?やりがいからデメリットまで徹底解説

クリニックの看護師クリニックの看護師

クリニック看護師の仕事内容は?やりがいからデメリットまで徹底解説

病院へ勤務する看護師の方の中には、ワークライフバランスを考えてクリニックへの転職を考えている方もいるでしょう。

しかし今の病院の仕事と比べるとどのような違いがあるのか、クリニック看護師の実態については分からないことも多いですよね。

実際、クリニック勤務の看護師と病院勤務の看護師の仕事内容には、このような違いがあります。

クリニックに勤務する看護師の業務例病院に勤務する看護師の業務例

①医師の補助
・医師による診察前の問診
・バイタルサインの測定
・諸検査の説明と補助
・注射や採血、点滴の対応

②医師の補助以外の業務
・クリニックの清掃
・医療器具の清掃と消毒
・医療器具や薬品、備品などの発注
・患者さんの受付
・電話対応

医師の補助と患者さんのケアがメイン
・医師による診察前の問診
・バイタルサインの測定
・諸検査の説明と補助
・注射や採血、点滴の対応
・入院の患者さんのお世話とカルテの記録
・救急外来やナースコールの対応

クリニックに勤務する医療スタッフは少人数のため、看護師1人が抱える業務は病院と比べると多く、以下のようなデメリットもあるものの、クリニックに勤務するとワークライフバランスを保ちながら看護師生活を送るためのメリットも多く得られます。

メリットデメリット
日勤が基本で規則的な生活を送れる収入が減る恐れがある
カレンダー通りの休みを取得できることが多い1人でこなす業務が多く負担になりやすい
技術面や精神的な負担が少ないイレギュラーな休みを取りにくい
自宅近くで働ける可能性がある医師や他の看護師との人間関係を気を使わなければならない
家事や育児と両立しやすい

クリニックへの転職活動は業務内容に加えて、メリットやデメリットを十分に理解してから始めることが大切です。その上で転職活動をすれば、自分に合うクリニックで後悔なく働けるようになります。

ここでは、クリニック看護師に興味がある方のために上記で取り上げた仕事内容とメリット・デメリットに加え、以下の内容をまとめて説明していきます。

  • クリニックに勤務する看護師の1日のスケジュール
  • クリニック勤務の看護師の勤務体系
  • クリニック勤務の看護師の給料と待遇
  • クリニックの看護師に向いている人
  • クリニックの看護師に必要なスキル
  • 自分に合う勤務先クリニックを見つけるためのチェックポイント

この記事を読めば、ご自身がクリニックでの看護師に向いているかをご判断いただけます。クリニックへの転職を考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

1. クリニックで働く看護師の仕事内容・役割

クリニックにおける看護師の役割は「医師の補助」です。仕事内容は多岐に渡り、主に次のような業務に携わることになります。

  • 医師による診察前の問診
  • バイタルサインの測定
  • 諸検査の説明と補助
  • 注射や採血、点滴の対応

クリニックによっては、医師の補助以外の業務に関わることもあります。たとえば、次のような業務です。

  • クリニックの清掃
  • 医療器具の清掃と消毒
  • 医療器具や薬品、備品などの発注
  • 患者さんの受付
  • 電話応対

医師の補助と患者さんのケアをメインに行う病院看護師とは異なり、雑務をこなさなければならないこともあるのです。

ベッド数が20床未満、もしくは入院機能がなく規模の小さいクリニックは、在籍する医療スタッフの数が限られています。クリニックに勤務すると、1人で複数の業務を担当する場合があることは念頭に置いておきたいところです。


2.クリニックの看護師の勤務体系

1章をお読みになって、

「クリニックは小規模だから、在籍している看護師の人数も少ないのだろうか?」

「クリニックに勤務すると大変そう。どのような勤務体制で働くことになるのだろう?」

と思われた方もいるでしょう。

ここではクリニックの看護師の勤務体系について、次の2点を踏まえながら詳しく説明していきます。

  1. クリニックにおける看護師の配置基準
  2. クリニックの看護師の日勤と夜勤

2-1. クリニックにおける看護師の配置基準

医療機関には、経営上のルールが法律上で定められています。経営上のルールというのは、その医療機関に配置すべき医師や看護師の数などを設定したものです。

クリニックの場合は以下の通りです。

法人格(医療法人など)

不要

最低医師数

1名以上

当直義務

なし

看護師の配置基準

入院患者3名に対して1人
※無床診療所は、配置不要

クリニックは入院患者3名に対して1人の看護師を配置することが求められています。たとえばベッド数が18床のクリニックの場合は、6人の看護師を配置しなければなりません。

ベッドがない無床クリニックの場合、看護師は配置しなくても良いとされています。このため、クリニックによっては他の看護師が在籍しておらず、1人で看護師業務を担当することも考えられるでしょう。

2-2. クリニックの看護師は日勤が基本

入院機能を持たないクリニックは、日勤が基本です。勤務時間はクリニックによって異なりますが、午前8時30分~午後17時30分が目安となります。勤務日や休みは、他に看護師が在籍していればその看護師と調整しながら決めます。

入院機能を持つクリニックでは夜勤が発生します。勤務時間は、クリニックによりますが夕方16時~翌日の午前9時くらいまでが目安で、他の看護師と交代制で勤務することになります。

ただ、クリニックは入院機能を持たないケースが多いため、基本的には日勤で仕事ができます。クリニックで働くメリットについては「6. クリニックで看護師として働くメリット5つ」で詳しく説明します。


3. クリニックに勤務する看護師の1日のスケジュール例

クリニックに勤務する看護師は多忙な印象を持ったかと思いますが、実際はどのようなスケジュールで仕事をしているのか気になりますよね。

クリニックに勤務する看護師の1日のスケジュールは、勤務時間や抱える業務内容、その日の外来患者さんの状況によって左右されるため、ここでは例を提示します。

8時15分
8時30分

出勤

クリニックの清掃や医療器具の準備、予約患者のカルテ整理など午前診察の準備をする。

9時

午前の診察開始

診察前の問診やバイタルサインの測定、採血や注射など医師の補助業務を行う。
患者の受付や電話応対などの雑務も対応する。

12時~13時

お昼休憩

14時

午後の診察開始

診察開始前には、午前診察と同様に準備を行う。午後診察が開始されたら、医師の補助業務や雑務などを行う。

17時30分~
18時

業務終了

午後診察が終わったら、クリニックの清掃や医療器具の片づけ、翌日の備品補充などをして退勤。

午前診察や午後診察の前には、クリニックの清掃や医療器具の準備といった患者さんを迎えるための準備、診察が始まってからは医師の補助業務と並行して患者さんの受付や電話応対などの雑務をこなしていきます。診察時間が終わったら、クリニックの清掃や片付けなど翌日の準備をして退勤です。

クリニックに在籍する看護師が複数いれば、医師の補助や雑務を分担して行うことになりますが、スタッフの数は限られているため1人が担当する業務は多くなります。看護師が1人の場合は、医師の補助から雑務まで全てをこなさなければなりません。診察時間は限られているため、スピーディーに業務をこなすことが求められるでしょう。


4. クリニック勤務の看護師の給料・待遇

1人で複数の業務をこなすクリニック看護師の気になる給料は、病院勤務の看護師と比べると低くなります。クリニックによりますが、基本的に夜勤がないためです。

クリニックに勤務する看護師の平均年収は、400万円前後です(※)。厚生労働省が公表している「令和3年賃金構造基本統計調査」では看護師全体の年収は499万円のため、約100万円の差があります。

待遇についても、社会保険や福利厚生、諸手当は病院勤務の看護師と比べると充実していない面があります。たとえば、残業があっても一週間の勤務時間が40時間以内に収まるため残業手当が出なかったり、住宅手当がなかったりするケースもあるようです(※)。

ただし、給料や待遇はクリニックによって異なります。クリニックへの転職を検討する場合は、給料が減ってもワークライフバランスを重視するか、生活を考えて収入や待遇を重視するか、自分が最優先にしたいことを明確にする必要があるでしょう。
※参考:看護師給料検索|ナースなワタシのお給料


5. 病院勤務の看護師とクリニック勤務の看護師の違い

ここで、病院勤務の看護師とクリニック勤務の看護師の違いをまとめます。

クリニック勤務の看護師

【業務内容】
医師の補助および医師の補助以外の業務

【勤務体系】
・配置基準:入院患者3名に対して1人(無床診療所は配置不要)
・日勤が基本(入院機能を持つクリニックは夜勤あり)

【平均年収】
400万円前後

【待遇】
社会保険や福利厚生、諸手当がやや劣る

病院勤務の看護師

【業務内容】
医師の補助および医師の補助以外の業務

【勤務体系】
・配置基準:入院患者3名に対して1人(無床診療所は配置不要)
・日勤が基本(入院機能を持つクリニックは夜勤あり)

【平均年収】
400万円前後

【待遇】
社会保険や

業務内容はクリニックも病院も医師の補助があります。病院勤務の場合は、入院患者のお世話とカルテの記録やナースコールの対応といった患者のケア業務も加わります。ただ、クリニック看護師の方が携わる業務は多くなるといえます。「1. クリニックで働く看護師の仕事内容・役割」で説明したように、クリニックの規模によっては医師の補助以外の業務(雑務)も発生するからです。他に看護師が在籍していれば、業務を分担することになるため1人が抱える業務量は減ってくるでしょう。

勤務体系についてはクリニックは日勤が基本で、病院の場合は日勤と夜勤が発生します。しかし、入院機能を持つクリニックは夜勤があるため、勤務先として選ぶクリニックによっては病院と変わらない勤務体系で業務に従事することになるでしょう。

給料と待遇面では、病院の方が充実しています。平均年収でいうと約100万円の差があり、基本的に夜勤はないものの業務量が多いクリニックだと割に合わないと感じるかもしれません。その分病院は、勤務体系や業務量に見合った給料と待遇が整っているといえます。


6. クリニックで看護師として働くメリット5つ

クリニック勤務の看護師の仕事内容と勤務体系、給料の実態を知って、「クリニック勤務の看護師は業務量が多いのに給料が低く、あまり良い面はないのでは?」という印象を持ったかもしれません。

しかし、クリニックで看護師として働くと病院の勤務にはないメリットを得られます。そのメリットというのが、次の5つです。

  • 日勤が基本で規則的な生活を送れる
  • カレンダー通りの休みを取得できることが多い
  • 技術面や精神的な負担が少ない
  • 自宅近くで働ける可能性がある
  • 家事や育児と両立しやすい

上記5つのメリットからいえるのは、勤務先がクリニックであればワークライフバランスを保ちながら看護師として働けることです。1つずつ説明していきましょう。

6-1. 日勤が基本で規則的な生活を送れる

病院に勤務している場合は日勤も夜勤も発生するため、その日によって出勤時間と退勤時間が変わってきますよね。このような生活を継続して送っているとリズムが乱れやすく、体調不良を引き起こしかねません。体調が悪くなれば仕事はもちろん、メンタルの面でも影響を及ぼしてしまうでしょう。

勤務先がクリニックであれば「2-2. クリニック看護師の日勤・夜勤」でも説明した通り、入院機能を持っていなければ日勤が基本です。日勤のみであれば毎日の起床時間や就寝時間が決まってくるため、規則的な生活を送れるようになります。

クリニックに勤務先を変えれば、体調を管理しやすく、身体的にも精神的にも負担を軽減できるようになるのです。

6-2. カレンダー通りの休みを取得できることが多い

家族がカレンダー通りの休みを取得できる仕事に関わっている場合、休日が不定期な病院での仕事をしていると休みを合わせにくく、一緒に過ごす時間を確保することは難しいですよね。一緒に生活しているのであれば、日頃からコミュニケーションを取っていきたいものです。

入院機能を持たないクリニックであれば、カレンダー通りの休みを取得できるケースが多いです。祝日はもちろん、年末年始休暇やお盆休暇など会社と同じような日程で休むことも可能になります。子供がいる場合は、学校の休みと合わせやすく、一緒に過ごす時間を増やすことができるでしょう。

プライベートの時間も確保でき、外出や旅行といった余暇を楽しめるようにもなります。

仕事もプライベートも充実させたい人にとっては、クリニックで働くことは大きなメリットとなるはずです。

6-3. 技術面や精神的な負担が少ない

クリニックでの看護師業務の1つに医師の補助がありますが、この補助業務は限られた医療行為です。クリニックに転職しても新たに覚える看護知識や手技は少なく、これまで培った看護知識や経験を活かして仕事に関われるため技術面での負担は少ないといえます。

入院機能を持たないクリニックに勤務する場合は、病院のように入院患者の容体が急変したときの対応をすることもありません。命に関わる機会も減るため、精神的な負担も軽減されるでしょう。

クリニックでは技術面や精神的な面でプレッシャーが少ない中で働けるため、心身ともにゆとりのある看護師生活を送れるようになります。

6-4. 自宅近くで働ける可能性がある

クリニックは病院と比べると数が多いため、勤務先の選択肢が多いです。自宅近くのクリニックで働ける可能性もあります。

自宅近くのクリニックで求人があり、勤務できることになれば通勤時間の短縮につながります。通勤時間が短くなれば身体的な負担が減るのはもちろん、家事やプライベートの時間が増えて、ゆとりのある生活を送ることも可能です。

規模の大きい病院となると数は少なくなるため、勤務先の選択肢が限られてしまいます。場合によっては、自宅から遠距離にあって通勤時間も長くなり、身体的にも精神的にも負担がかかるでしょう。

1人でこなす業務が多いクリニックの看護師は、日頃の身体面と精神面のケアが大切になります。自宅近くで働ける可能性のあるクリニックであれば、心身に負担をかけることなく勤務できるようになるでしょう。

6-5. 家事や育児と両立しやすい

子供がいる看護師の方が仕事をするときに重視したいのが、家事や育児との両立ではないでしょうか。また、これから結婚や出産を控えている看護師の方も、家事と育児をこなしながら仕事に携わることを希望している方も多いでしょう。

クリニックは、そんな看護師の方にぴったりの職場です。日勤が基本ですし、クリニックの診療時間=勤務時間で規則的のため時間を確保しやすく、家事や育児に取り組みやすいといえます。未就学の子供がいる場合は、保育園であれば日中の保育標準時間内、幼稚園であれば日中の通園時間内に子供を預けて、その間に仕事をすることが可能になります。

勤務時間によっては保育時間を延長したり、幼稚園の後に学童保育に預けたりする必要がありますが、夜遅くまで勤務することは基本的に発生しないため、子供に寂しい思いをさせる心配もなくなるでしょう。

家事や育児と両立し、子供との時間を大切にできるのがクリニックでの看護師の仕事なのです。


7. クリニック看護師のやりがいは?

クリニックに勤務すると得られるのは、ワークライフバランスを取りやすくなることだけではありません。クリニック勤務ならではのやりがいも得られます。

  • 地域患者さんのために働ける
  • 担当業務が多い分主体性が求められる
  • 地域密着型のクリニックの評判に関わる

1つずつ説明していきましょう。

7-1. 地域患者さんのために働ける

クリニックはその地域に住む人が来院するため、病院と比べると地域に密着しています。身体面で困ったことが発生したときに気軽に相談できる「かかりつけ医」として頼る患者さんも多く、クリニックは地域住民にとって大切な存在です。

クリニックは規模が小さいため、医療スタッフと患者さんとの距離が近くなりやすいです。特に看護師は、医師の補助業務の中で患者さんと接する機会も多く、コミュニケーションも増えていきます。コミュニケーションを通して患者さんと距離が近くなれば近況も把握しやすくなり、患者さんが抱える体の不安や悩みにも迅速にサポートできるようになるでしょう。

地域患者さんに寄り添い、元気になることを見届けられるのは、クリニック看護師ならではのやりがいです。

7-2. 担当業務が多い分主体性が求められる

クリニックに限らず、どの職場でも誰かの指示を得られなければ業務をこなせないのであれば、社会人として責任のある仕事はできません。

しかし、クリニックでは医療スタッフの数が少ないため、看護師がこなす業務が多くなります。担当業務が多い=負担が大きいことを意味してデメリットに感じるかもしれませんが、裏を返せば多くの業務をこなすために主体性が求められ、自然と責任感も生まれてやりがいにつながります。

やりがいと責任のある仕事を自分で作れるのが、クリニック看護師の仕事といえます。

7-3. 地域密着型のクリニックの評判に関わる

地域住民がクリニックへ来院するときに気にすることの1つに、そのクリニックの評判があります。評判が良いクリニックは、自然と行きたくなるものです。

医療機関の評判は医師の対応が関わる部分もありますが、看護師の対応も評判を左右します。クリニック看護師は医師の補助業務の他、患者さんの受付や電話応対などの雑務を通して患者さんと接する機会が多いためです。

クリニックの評判に関わることはプレッシャーもあるでしょう。しかし、地域患者さんが安心して来院でき、頼ってもらえるクリニック作りに関われることは大きなやりがいとなるはずです。


8. クリニック看護師として働くデメリット4つ

クリニックに勤務することで様々なメリットとやりがいを得られますが、デメリットも理解しておきたいところです。デメリットを知っておくことで、実際にクリニックへ転職したときに病院や他の医療との差を感じても後悔しにくくなります。

  • 収入が減る恐れがある
  • 一人でこなす業務が多く負担になりやすい
  • イレギュラーな休みを取りにくい
  • 医師や他の看護師との人間関係に気を使わなければならない

クリニック看護師として働くデメリットには次の4つがあるので、ここで説明していきましょう。

8-1. 収入が減る恐れがある

「4. クリニック勤務の看護師の給料・待遇」でも説明した通り、クリニックに勤務する看護師の給料は低いです。今病院に勤務している方がクリニックへ転職すると、予想以上に収入が減る恐れがあります。

クリニック勤務の看護師の給料

病院勤務の看護師の給料

400万円前後(平均年収)

499万円(平均年収)

収入が下がっても、身体面や精神面の負担を軽減することやワークライフバランスの取れた生活を送ることを重視したい場合はクリニックへ転職しても問題ないでしょう。

収入面が気になる場合は、クリニックより高い収入を見込めて、かつ働きやすい他の医療機関への転職を検討する必要があります。「看護師として夜勤無しで働きたい!夜勤無しの職場・年収を徹底解説!」で夜勤のない職場とその年収を紹介していますので、他の医療機関への転職を考える場合はご参考ください。

8-2. 1人でこなす業務が多く負担になりやすい

クリニックに在籍する看護師は少ないため、看護師1人がこなす業務が多くなります。看護師が1人しかいないクリニックの場合は、代わりの看護師がいないことがプレッシャーとなり、身体的にも精神的にも負担になりやすいでしょう。

またクリニック看護師は、医師の補助以外の雑務もこなす必要があります。医師の補助と患者さんのケアがメインである病院勤務とは異なるため、雑務の経験がないと抵抗を感じるかもしれません。

看護師としての知識と経験を活かし、雑用には携わりたくない場合は、転職を検討しているクリニックでの業務内容の範囲を十分に確認して、看護業務だけに携われる医療機関を探す必要があります。

8-3. イレギュラーな休みを取りにくい

クリニック勤務ではカレンダー通りの休みを取りやすい一方、イレギュラーな休みは取りにくいといえます。クリニックに在籍する医療スタッフは少ないため、急な欠員が発生すると業務への影響が大きくなるからです。

特に小さい子供がいる場合は注意が必要です。小さい子供は急に熱を出したり、体調が悪くなったりすることが頻繁にあります。子供の緊急事態が発生した場合に全休や半休を取っても問題がないか、興味のあるクリニックへ事前にしっかり確認することが大切です。

8-4. 医師や他の看護師との人間関係に気を使わなければならない

クリニックに在籍する医療スタッフは少人数のため、医師や他の看護師との距離が近いです。人間関係をうまく築ければアットホームな雰囲気になりやすく働きやすい職場になる一方、関係作りに失敗してしまうと大きなストレスとなってしまいます。医療スタッフが多くいる病院と比べると、人間関係により一層気を使わなければならないことがクリニックに勤務するデメリットといえます。

転職を検討しているクリニックの医療スタッフの人間関係は、実際に働いてみたいと読み取れないものですが、医師や看護師の雰囲気は面接時に分かる場合もあるのでチェックしておくと良いでしょう。

また、面接時には院長の考え方を聞いておくことも有効です。独立して開業した医師の中には、独自のこだわりを持ってクリニックを運営している場合があるからです。院長の考え方を理解しておけば、院長とはもちろん、院長の考えに共感するスタッフとの関係も築きやすくなります。


9. クリニック看護師に向いている人

クリニック看護師として働くメリットとやりがい、デメリットを踏まえると、クリニック看護師に向いているのは次のような人といえます。

  • 仕事とプライベートを両立させたい
  • 地域医療のために働きたい
  • 主体的に仕事を進められる

それぞれ詳しく説明していきましょう。

9-1. 仕事とプライベートを両立させたい

クリニックは外来患者さんの診察日と診察時間が決まっているため、仕事とプライベートを両立させたい人に向いています。

病院も外来患者さんの診察日と診察時間が決まっていますが、入院機能があるため入院患者さんのケアのために外来の診察日以外にも出勤したり、夜勤をしなければならないことがありますよね。

一方クリニックは、基本的に入院機能がないため、診察日と診察時間以外に勤務が発生することはありません。診察日以外は休日となりますし、診察時間は日中のため夕方以降は自由な時間を確保できます。

9-2. 地域医療のために働きたい

クリニックは地域密着型の医療機関です。「気軽に相談できるかかりつけ医」としてクリニックを頼る地域住民のために働きたい人は、クリニック看護師がおすすめです。

病院も街中にありますが、地域に密着しているかといったらそうは言えません。クリニックほど数は多くなく、病院が存在しない地域もあるからです。

また病院となると、規模も大きくなるため医療スタッフが大勢在籍しています。そんな病院の医療スタッフが地域患者さんと密に関わることは難しく、小さなコミュニティーのような雰囲気があるクリニックのほうが地域患者さんとの距離が近くなります。

地域に根差し、地域患者さんに寄り添って看護をしたい人はクリニックへの転職を検討すると良いでしょう。

9-3. 主体的に仕事を進められる

主体的に仕事を進められる人もクリニック看護師に向いています。

どんな仕事でも主体性は求められますが、特にクリニックの場合は病院と比べると医療スタッフが少ないため1人で抱える業務が多くなり、指示を待っているだけでは業務が滞ります。何をすべきか、何をすれば業務がスムーズに進むかを自分で考えて行動できる人が、クリニック看護師に求められるのです。

またクリニックでは、研修や教育の体制が十分に整っていないケースも多く、転職したら即戦力として働くことも求められます。分からないことは積極的に聞いて学び、業務を進めていく姿勢を持っている人がクリニック勤務が最適です。


10. クリニックに勤務する看護師に必要な3つのスキル

クリニックに勤務したい場合「9. クリニック看護師に向いている人」で説明したような要素を持っていることも大切ですが、クリニックならではの必要なスキルもあります。その必要なスキルというのが次の3つです。

  • 複数業務への対応力
  • 患者さんとのコミュニケーション能力
  • 病院で3年以上の臨床経験

1つずつ説明しましょう。

10-1. 複数業務への対応力

クリニックに勤務する看護師は多くの業務を担当することになるため、複数業務への対応力が必要です。

病院勤務でも医師の補助から患者さんのケアまで幅広い業務をこなしますが、クリニック看護師の場合は患者さんの受け付けや電話対応、クリニックの清掃といった雑務も発生します。病院では他の専門スタッフが対応する業務も看護師がこなさなければなりません。

柔軟性を持ってオールラウンドに業務をこなすスキルがあると、クリニックに転職しても困らないでしょう。

10-2. 患者さんとのコミュニケーション能力

クリニックの看護師は病院と比べると患者さんと接する機会が多いため、高いコミュニケーション能力も必要です。

クリニックで医師の補助をしているときはもちろん、受付や電話応対の業務を通して患者さんと直接関わります。病院で長らく入院患者さんのケアをした経験があれば、そのコミュニケーション能力を活かせるでしょう。

また、患者さんは地域の人のため、休日に町を歩いていれば見かける機会も多くなります。クリニック以外の場でも挨拶を交わして、患者さんとの良い関係を築ける力があることは、クリニック看護師とって大切なことです。

10-3. 病院で3年以上の臨床経験

クリニックには医療スタッフが少なく、1人が担う業務が多いため看護師には即戦力が求められます。このため、病院で3年以上の臨床経験があると有利です。

一定の規模がある病院では、先輩看護師による教育体制が整っています。勉強会やセミナー、研修を受ける機会も多く、高い看護スキルを習得できる環境もあるでしょう。

また、同じ病院で3年以上臨床経験を積めば看護の知識やスキルを偏りなく習得でき、場合によってはリーダー業務に関わることもあります。

病院勤務で学んだことや臨床経験は、即戦力を求められるクリニックで働く際に有利となるのです。


11. 自分に合う勤務先クリニックを見つけるためのチェックポイント4つ

最後に、自分に合う勤務先クリニックを見つけるためのチェックポイントを解説します。

  1. クリニックが看護師に求めるスキルは何か
  2. 待遇はライフスタイルに合っているか
  3. 働きやすい環境が整っているか
  4. クリニックの地域の評判は良いか

上記のポイントを踏まえれば、後悔のない転職活動ができるようになります。1つずつ説明していくので、クリニックへの転職活動を前向きに考え始めた方はぜひ参考にしてください。

11-1. クリニックが看護師に求めるスキルは何か

クリニックに勤務する場合は「10. クリニックに勤務する看護師に必要な3つのスキル」で説明したスキルを持っているのが基本ですが、クリニック独自で求めているスキルもあります。転職活動で情報を集めていく中で、クリニックが看護師に求めるスキルは何かを確認しておきましょう。

クリニックで最も多い内科への転職を希望する場合は、注射や採血といった基本的な看護スキルを網羅していれば問題ありません。

しかし、特定の診療科や慢性疾患を専門としたクリニックに興味がある場合は、その分野に関する知識や経験を求められることがあります。クリニックによっては希望する診療科での臨床経験がなくても採用してくれる場合もありますが、実際の職場では即戦力とならなければなりません。

スキル不足によって業務に支障が出て後悔しないようにするためにも、情報収集や面接の段階でクリニック側が求めるスキルを調べておきましょう。

11-2. 待遇が希望のライフスタイルに合っているか

給料や労働条件といった待遇が希望のライフスタイルに合っているかも確認しましょう。たとえば、子供がいて家族との時間を確保したい場合は、土曜日は午前診療のみで日曜・祝日は休診であるかや、保育園や幼稚園に預けやすい勤務時間か、といった具合です。

クリニックは病院と比べると待遇が少し劣る面があるため、転職したときに差を感じることのないよう、求人情報と照らし合わせながらチェックすることが大切です求人情報では詳細の記載がなく分からない場合は、面接のときに確認しましょう。

11-3. 働きやすい環境が整っているか

クリニックは病院と比べると規模の小さい職場です。医師や他の医療スタッフとの距離が近くなり、和やかな雰囲気になりやすいですが、何かのきっかけで関係が崩れてしまうと働きにくくなります。転職を希望するクリニックには、働きやすい環境が整っているかを確認することも大切です。

面接のときに、医療スタッフの勤務状況やクリニック内の雰囲気を聞くのがおすすめです。可能であれば、職場を見学させてもらうと良いでしょう。

職場の環境を確認して気になったことがあれば、その場で解消することも大切です。聞きにくさを感じたまま採用されて職場に入った場合、息苦しさを感じながら働くことになってしまいます。

職場環境について不安や疑問に思ったことを全て解消した上で、勤務先を決めるのがポイントです。

11-4. クリニックの地域の評判は良いか

クリニックの地域の評判もチェックしましょう。

地域の評判が良ければ来院する患者さんが多いことを意味し、クリニックの経営状況も良いことが伺えるからです。反対に評判が悪ければ患者さんは来ないため、将来的にクリニックが倒産してしまう恐れがあります。

今はインターネットで、クリニックの口コミサイトが運営されています。口コミサイトには患者さんのリアルな声が掲載されているので参考になります。ただ、人によって感じ方は異なるので、あくまで参考程度に見るようにしてください。


まとめ

クリニックに勤務する看護師は病院勤務の看護師と比べると業務量は多いですが、病院勤務では得られないメリットややりがいも多く得られます。もちろん、デメリットもあります。また、クリニック看護師に向いている人とクリニック看護師に必要なスキルもあります。

クリニックへの転職を検討する場合は業務内容やメリット・デメリットに加え、適性や必要なスキルも十分に理解することが大切です。

クリニックへの転職を前向きに検討したら、次の4つのポイントを踏まえて活動すると自分に合う勤務先クリニックを見つけられるようになります。

  1. クリニックが看護師に求めるスキルは何か
  2. 待遇はライフスタイルに合っているか
  3. 働きやすい環境が整っているか
  4. クリニックの地域の評判は良いか

クリニックへの転職活動は慎重に行い、後悔のない勤務先を選べるようにしましょう!

 

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