看護師がフットケアを率先してすべき3つの理由と取るべき資格2選

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看護師がフットケアを率先してすべき3つの理由と取るべき資格2選

糖尿病や外反母趾などの足の変形、巻き爪や白癬菌など足のトラブルを抱える患者さんに対し、爪切りなどのフットケアで中心的な役割を担うことができる看護師。内科や外科、血管外科、透析室、皮膚科などで働く看護師にとって、フットケアは関心の高い分野ではないでしょうか。

しかし「フットケア」とウェブで調べると、美容を目的としたフットケアと医療・看護におけるフットケアが混在、さらには○○式フットケア、○○式巻き爪ケア、○○式ケア認定といった資格などなど…ケアの仕方や資格も様々で、何から勉強を進めていいのか分からないかもしれません。

この複雑化したフットケア市場の背景には、日本に足専門医のライセンス制度が無いことが大きく影響していることを看護師の皆さんはご存知でしょうか?

今回はこうした日本独自のフットケア事情を折り込みながら、これからフットケアを行おうと考えている看護師の方へ、看護師こそフットケアに取り組むべき理由と、オススメの資格、セミナー受講のコツをお伝えします。

これまでフットケアや足部の治療はニッチではありましたが、これからでこそフットケアや足について学んだ看護師は活躍の場が広いです!

少しでもフットケアに興味を持っている方、これから学ぼうとしている方には、読めばフットケアをやる意義をおわかりいただけるよう、解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

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1 看護師こそフットケアを率先して実践すべき3つの理由

爪切りやヤスリで爪を整えたり、保湿をしたりする「フットケア」は医療行為に該当しないこと、そして、これまで足を専門に診る医師がいなかったことで、フットケアは看護師をはじめ、ネイルサロン等が軽度な足トラブルの受け皿となり、足に悩みながらも行き場のない「足難民」の受け皿になっていました。

一方、一部の足部の構造や疾病など医療的な知識を持たない方々の独自のケアで、長年足の悩みを抱え続け、治らないケアにお金をつぎ込み続ける患者さんもいらっしゃいます。

しかし、足専門を掲げる医療機関が続々と登場し、フットケアの重要性がさまざまなシーンで叫ばれている昨今、フットケアは医学的な知識を持った医師やコメディカルを中心として行われる時代に移りつつあります。

この時代の流れがある今こそ、看護師はフットケアに取り組むべきと考えます。その理由は3つです。

看護師こそフットケアを取り組むべき3つの理由

1. 病気の知識やアセスメントスキルを持ち、足病の早期発見ができるから

2. 医療、介護、美容など広い分野で中心的に活躍できるから

3. 医療費削減・患者さんのQOLに向上に寄与できるから 

1-1 病気の知識やアセスメントスキルを持ち、足病の早期発見ができるから

前述したように、足を専門的に診られる医師がいなかったことや、医学的な知見に乏しい方によるフットケアで、本来適切に治療をすれば治る足の病気を長年患い続けている患者さんは多くいらっしゃいます。

そんなときに、病気の知識や治療、アセスメントスキルを得ていて、患者さんに寄り添うことのできる看護師は、フットケアの現場では足病の早期発見に貢献できます。

例えば、内科勤務で糖尿病の方が多くいらっしゃるような外来の場合。糖尿病の患者さんの診察で「足を診せてもらえますか?最近足に異常はありませんか?」と靴下と靴を脱がせて足を診察する医師は、よほど意識的に取り組んでいる場合を除き、ほとんど無いのではないでしょうか。

こんなときに、歩き方や履いている靴を診て患者さんに「最近、足で気になることはありませんか?」と声をかけてあげられるのも看護師の役割と言えます。

特に、糖尿病やPAD(末梢動脈疾患:足の血管の動脈硬化で、血管が狭くなったり詰まったりして足の血流が低下で発症する)などの方で足に傷ができてしまった場合、早期に対処をしなければ、数日で壊死が進みます。すると、罹っている医療機関によっては足切断を余儀なくされる場合もあります。そうした最悪の自体を避ける意味でも、リスクを察知する看護師はフットケアに取り組むことで、患者さんの命を守れると思います。

1-2 医療、介護、美容など広い分野で中心的に活躍できるから

フットケアや足の知識に精通しておくと、患者さんの健康に寄与できる場面が増えます。フットケアの知識がどう現場で活かせるか詳しく見ていきましょう!

1-2-1 病院の糖尿病外来等で命を守るフットケアができる

糖尿病外来や血管外科外来、透析室など、足病変の発生リスクが高い患者さんと関わることの多い科で働いている看護師であれば、フットケア領域はぜひとも極めてほしいところ。重度の糖尿病は末梢神経障害にはじまり、足の潰瘍・壊死、最悪の場合は切断を余儀なくされることから、命に直結するフットケアを実践することができ、患者さんの命を守れる可能性があります。

こんな経験が積める!
  • 多職種連携
  • 重症度の高い創傷ケア
  • 予防から退院後のフットケアなど広く携われる

重度の糖尿病の患者さんのフットケアに力を入れて取り組んでいる病院の場合、院内のチームでフットケアに取り組んでいます。中でも、看護師は日々患者さんの創傷の経過をアセスメントする機会があるので、チームの中で傷の経過をもとにどんなケアを展開していくかを提案していくこともできるでしょう。 医師、理学療法士、栄養士、義肢装具士など、さまざまな職種と連携する中で、看護師としてのリーダーシップを積むことができます。

また、すでに潰瘍がある患者さんだけでなく、傷が発生するリスクの高い患者さんのスクリーニングや足のアセスメントを行って創傷ケア予防に努めることもできます。足切断をした患者さんのために、歩行補助具を使った退院後の生活を指導したり、傷を作りにくくするための除圧も学ぶことができ、予防からケア、退院後の生活を想定したフットケアまで携わることができるので、まさにフットケアの最前線にいるといえるでしょう。

POINT 下肢切断の5年生存率は低い
重度の糖尿病で足を切断すると、5年以内の予後が非常に悪いと言われています。さまざまな調査がされているので、生存率はばらつきがありますが、透析患者の場合、おおよそ8割の患者さんが亡くなると言われています。そのため、患者さんの延命を考えた場合、足に傷があっても切らずに治すというのが一般的になりつつあります。
糖尿病リソースガイド, <http://dm-rg.net/news/2013/04/013745.html

1-2-2 クリニックなどの外来で足病早期発見・予防に貢献できる

近年、足専門のクリニックや病院が誕生し、足の病気は重症化する前から治療・予防への取り組みの重要性が増し、フットケアに精通した看護師の活躍の場が広まってきています。

特に、皮膚科や整形外科、形成外科や足の外来を開いているようなクリニック・病院の外来の場合、糖尿病やPADのように早急に対策が必要な足トラブルのほか、巻き爪、外反母趾、イボ、白癬、メラノーマといった足トラブルに遭遇することが多く、重症化前のケアや予防の啓発の役割が期待されていると言えます。

こんな経験が積める!
  • (診療科にもよるが)さまざまな足トラブルのケア
  • フットケアの技術を磨ける
  • 患者さんへの教育・指導

外来では、爪切りをはじめとしたフットケアも実践しながら、足病の早期発見のアセスメントスキルを身につけ、患者さんの日常生活をサポートするフットケア・看護が実践できるでしょう。

具体的には、外来の患者さんの場合、日頃は仕事をしていて自力で歩けるが足にトラブルを抱えていたり、高齢の方であれば、人の介助があれば歩けるといった状態の方もいらっしゃいます。

1日一歩も歩かず生活する、ということは寝たきりを除きほとんどありません。
そのため、足を労るために、いかに日常生活に足のセルフケアを取り入れてもらえるか、心情に寄り添いながらも治療の大切さを伝えられるかは、指導・説明のスキルが養うことができるでしょう。

POINT 「それでも履きたい」という気持ちに寄り添うことも大事
例えば、キャビンアテンダントの仕事をされていて、外反母趾が悪化して痛みがひどく、休みの日に歩くのが辛くなってしまったという患者さん。手術は避けたいというので男性医師が「歩く時間を減らして、ヒールも履かない生活はできませんか?」と言うと患者さんは「私の仕事をなんだと思ってるんですか!」と反論されてしまったという話を聞いたことがあります。足は痛いけど、仕事でヒールやパンプスを履かなければならなかったり、おしゃれのために我慢したい!という思いがあれば、それを尊重しつつ、ケアの重要性を説明していくことも大切です

1-2-3 訪問看護の現場で高齢者の転倒やフレイル予防に貢献できる

フットケアは医療機関でのみ行うものではありません。訪問看護の現場では、兼ねてからフットケアの経験がある訪問看護師たちが、療養中の利用者さんへフットケアを実践しています。

こんな経験が積める!
  • 巻き爪、白癬、創傷のケアに強くなる
  • フットケアで転倒予防やADL・QOL向上に貢献できる

在宅療養をしている利用者さんの場合、ご自宅で寝たきりといった場合もあるため、巻き爪の方が多くなりがちです。また、皮膚が乾燥しやすくなることから白癬菌に感染している方もいれば、自分で爪を切れないという方もいます。まさにフットケアの腕前の見せ所!療養生活のQOLの向上にも貢献することができます。

最近では、フットケアは転倒予防にも貢献すると言われていることから、足を健康的に保つことの重要性が叫ばれています。転倒予防に取り組むことは、寝たきり、フレイル、認知症の予防などにもつながると言われていることから、フットケアに力を入れて取り組んでいるステーションもあります。

POINT 親子揃ってフットケアの啓発も
親子で顔が似るように、足の作りも親子で似ます。そのため、足の変形がある利用者さんがいたら、そのご家族も同じ足の変形で悩みを抱えている可能性があります。例えば、外反母趾になりやすい足の構造は遺伝しますので、利用者さんで変形が原因で歩行困難や転倒リスクが高い方の場合、ご本人のケアはもちろんですが、ご家族への啓発も大切なフットケアとなります

1-2-4 サロンで若年層のフットケアの啓発・足病予防に貢献できる

フットケアを施す看護師が活躍するのは医療機関や施設だけではありません。医療行為に該当しない内容で、サロンという形態でフットケアを施す店舗も多くあります。

こんな経験が積める!
  • 巻き爪、胼胝(たこ)のケア
  • 爪、変形、胼胝などの疾患に詳しくなる
  • 若年層の足病の早期発見

こうした店舗の場合、若年層が対象のため、ネイルサロンとフットケアを兼ねて取り組んでいることがあります。客層の多くが女性で、10代から健康的な50代辺りまでが想定され、病院や在宅で見かけるような疾患とは異なる足病、具体的には、巻き爪や爪の病気、胼胝(皮膚の肥厚)・鶏眼(魚の目のこと。胼胝に摩擦が加わることによって芯のようなものができる)、足の変形などもあるでしょう。

特に、胼胝や爪の病気を見かける機会は多いでしょう。爪の場合、変色を確認し、グリーンネイルや爪水虫が疑われる場合は、フットケアも大切ですが治療も必要です。

また、胼胝は人によってできる位置が千差万別です。扁平足傾向の人は、第1~3趾の下のあたりであったり、第5趾の下や足の外側にできやすいとハイアーチと言われたりもします。比較的健康的な人の足を見て触ったり、人の足がこれほど違うのか!というのを知るには、大変良い機会になると言えます。

ただし、サロンでのフットケアでは医療行為はできないため、本格的に治療が必要な方の足の治療に取り組むことはできませんが、早期に治療が必要な方を見極めて受診を促したり、フットケアに対して看護師としての観点から教育・指導をすることもできます。

1-3 医療費削減になり、しかも患者さんへの貢献度も高いから

フットケアを行う看護師の活躍の場は広く、さまざまな世代、トラブルを抱えた方へのアプローチが可能なことをお伝えしましたが、看護師がフットケアに取り組むべき3つ目の理由として、医療費削減・患者さんのQOLに向上に寄与できる!というものがあります。

2017年のハフィントンポストの記事足指・爪のケアで身体機能改善、年間8万円の医療費削減効果も」の冒頭を引用します。

認知症や糖尿病などの高齢者に適切な足指の爪切りなどをすることで、足指力や膝間力が向上し、医療費削減にも効果があったとする研究結果を大阪大学大学院医学系研究科の山下和彦特任教授がシンポジウムで伝えた。(中略)ケアを受けた人の年間医療費は、受ける前と比べて約8万円下がっていた。

これは、医療費の削減も可能な上に、患者さんのQOL向上にフットケアが貢献した!と言える画期的な研究です。

POINT 医療にケチなアメリカでもフットケアは重要視されている!
世界一医療費に対してケチと言われているアメリカでも、フットケアは大変重要視されています。というのも下肢切断をすることでこれまで通り歩行ができなくなり、転倒、ADL低下、寝たきりになることで、かえって社会保障費が上がってしまうというものです。ADLの低下は認知機能低下とも関連しているのでMCIや認知症の予防にもフットケアは貢献していると言えます

日本の社会保障費は増加を一途をたどっています。医療費を抑制するために、国はさまざまな改革に取り組んでいますが、国だけでなく、持続可能な医療を提供しつづけるためにできることを勧めていくことも、、医療従事者として重要な役割ではないでしょうか。患者さんのためにもなる上に、国の医療に貢献できる分野として、看護師のみなさんにはフットケアの重要性を少しでも分かってもらえたらと思います。


2 フットケアを学ぼうとしている看護師に知ってほしいこと

今までの紹介で、もし「フットケアをやろう!」と思っていただいた看護師の方がいたら大変嬉しく思います。しかし、フットケアに取り組む際に知っておくべきことが1つあります。それは、厳密にいうと足専門医のライセンス制度がないので、日本には足の専門医はいないということです。

足専門医がいないことが全てとはいいませんが、これが起因して起きている「フットケア格差」について理解していてほしいと思います。

2-1 治療やケアが人それぞれのことがある

1章で書いたように、これまでどの科で足を診てもらったらいいか分からない患者さん=足難民が大勢いたころ、受け皿になったのが、一部の医療機関やフットケアに取り組む看護師、サロンでした。その中には○○流、○○式というような医師やコメディカル独自の治療やケア方法が存在します。つまり、疾病に対するケアや治療が人それぞれ違う場合があるということです。

例えば、未だに外反母趾はハイヒールが原因と説く人もいますが、ハイヒールは外反母趾の原因ではありませんし、足の先進国アメリカではすでに効果がないと言われている治療法を、いまも取り入れている医療機関もあります。外反母趾の手術であれば、1ヶ月入院を余儀なくされる術式もあれば、日帰りでできる術式もあります。

どんな学びをした人の元でフットケアを学ぶかによって、治療法、靴などの履物の考え方、患者さんへの指導などが変わってくる場合があります。しかも、それが世界から見たら時代遅れのやり方であることもあります。

ケア方法が様々といえば、巻き爪治療です。

2-2-1 患者さんの足にとって最も最適なフットケアを考え続ける~巻き爪治療の場合~

巻き爪は医療機関だけでなく、ネイルサロンでもテープやワイヤーなどでのケアを行っています。そのため、どんな治療やケアを行う場所かによって、看護師として行う内容も変わります。

サロンならワイヤーやプレート施術を提案するかもしれませんし、オーダーメイドインソールの作製を勧め、履物の指導を行うこともあるかもしれません。

皮膚科の先生で、コットンやテーピングで痛みを取ろうとすれば、看護師は爪のセルフケアを指導する必要があるかもしれません。

形成外科の先生が1回の手術で根治を目指すなら、看護師は自宅での消毒方法の指導をすることもあるでしょう。

巻き爪は原因が非常にさまざまなので、一概にどの治療法が正解ということもありません。重度の糖尿病の患者さんの巻き爪なら、傷を作らないワイヤーやテープが望ましいこともあれば、骨の形状が原因で温存療法で治らないときは、外科処置がよい場合もあります。

だからこそ看護師として、患者さんの足を思いやり、何がもっとも最適なフットケアなのか?を考え、新しい知識・技術を知っておくことが大切になります。

疾患へのアプローチも医療機関によってさまざまです。そのため、今、自分がいる場所でのケアだけが絶対ではないことを知っておきましょう。


3 フットケアを極めるためのおすすめ資格2選とセミナーの選び方

多様化するフットケアのあり方は、それを体現するかのように、民間の資格やセミナー、カリキュラムも非常に多く存在しています。いったいどれを受講したらいいの?と迷ってしまうと思いますので、フットケアに取り組みたいと考えている看護師へ、おすすめできる資格とセミナーの選び方を紹介します。

3-1 看護師だけが取得できる!皮膚・排泄ケア認定看護師

認定看護師はハードルが高い!と思われるかもしれませんが、フットケアを看護師として極めていきたいなら、いずれは取得しておきたい資格と言えます。というのも、フットケア関連資格で看護師だけが取得できる唯一の資格であるからです(著者調べ)。

皮膚・排泄ケア認定看護師は名前の通り、ストーマ造設や褥瘡、創傷ケアや失禁に伴うトラブルなどを、専門的な知識と技術を用いてケアしていくため認定資格です。足の構造や病気といったフットケアの一般的な内容はここには含まれないので、別途学習が必要ですが、大病院や中核病院などフットケアのチームがあるような環境では、この認定があると、着実に、活躍していけるでしょう。

認定看護師は制度が新しくなりますので、新制度についても情報収集しておきましょう。

廃止ではなく新たな制度へ!認定看護師制度をわかりやすく徹底解説!

3-2 足について広く深く学ぶならフットケア指導士

一般社団法人 日本フットケア学会が認定する「フットケア指導士」という資格があります。
カリキュラム内容は幅広く、解剖・生理学や創傷、靴、生活指導といった専門的な知識のほかに、足・爪のケア、下肢循環不全のケア、血栓予防、リンパ浮腫、疼痛コントロールなど、足の幅広い疾患に対しての知識とケアを身につけることができます。

受験資格はいくつかありますが「フットケアの3年以上の実務経験」と定められているため、もしまだフットケアの実務経験がない方は、フットケアの経験を積める職場探しを始めましょう。

ただし、2019年に日本フットケア学会と下肢救済・足病学会が統合され、現在では「日本フットケア・足病医学会」となりました。フットケア指導士の資格内容や認定方法などについては、現在準備中となっていますので、内容に変更の可能性があります。そちらについては、適宜、日本フットケア・足病医学会のページを参照し、情報収集をするようにしましょう。

POINT 日本フットケア・足病医学会の今後の認定制度に注目!
合併前の日本下肢救済・足病学会のホームページによれば「日本下肢救済・足病学会認定師制度」というものもあります。こちらはフットケア指導士より、糖尿病や血流障害など、より医療的な専門知識を身につけられる認定制度です。こちらも新学会設立と共に移行される見込みですが、最新情報の発表が無いので、今後の最新情報が待たれます

3-3 民間の認定資格や講座受講の際は所属している学会を確認して受講の検討を

フットケアや足病に関する学会は前述した日本フットケア・足病学会が国内最大で、フットケア・足病治療に携わる医師、看護師をはじめとしたコメディカルが所属しています。

フットケアに携わり、ビデンスのある治療・ケアを実施されている医療職であれば、ほとんどの人が所属していると思いますので、セミナー受講の際はこの学会に所属されているかどうかを確認すると良いでしょう。所属している方であればプロフィール欄に記載があるはずです。

皮膚・排泄ケア認定看護師や、上記の学会に所属した看護師が講師を行っているセミナーであれば、エビデンスに基づいた治療やケア、事例なども学ぶことができるでしょう。

POINT ドイツ式・スウェーデン式フットケアって?
欧米では古くから靴文化があるため、それに伴いフットケアを施す職業がありました。ドイツではフスフレーゲという職業で呼ばれています。フットケア用品を取り扱う企業等の民間が講座を開いており、開業目的の一般の方を対象としている講座が多いですが、中にはコメディカル向けの講座もあります

4 今日からできるフットケア

フットケアは、専門的な知識がなくとも毎日足を観察することで病気の早期発見・治療に繋げることができます。看護師のアセスメントスキルを活かし、早期発見の場合は適切な科に振り分けを行えるようにしておきましょう。

今日からできるフットケア!足チェックリスト

1. 患者さんの足を観察し、変色がないか

2. 足を触って感覚があるか

3. 傷がないか

4. 深爪しすぎていないか、伸びすぎていないか

5. 足のサイズにあった靴を履いているか

1. 患者さんの足を観察し、変色がないか確認する

皮膚の変色がないか確認しましょう。黒ずんでいたりするのは要注意です。糖尿病の患者さんの場合、傷や足の異変は命に関わりますので、すぐに医師に相談するようにします。

足の変色チェック

2. 足を触って感覚があるか確認する

知覚神経のチェックとして、モノフィラメントを足裏にあてて、モノがあたっている感覚があるかチェックする方法があります。モノフィラメントがなくても、綿棒など細い棒をつかい、軽く足に突っつくように当てて、足に何か当たっているか分かるか確認してみましょう。

モノフィラメント

画像参照元:酒井医療「セメスワインスタインモノフィラメント SOT-DM20A、SOT-DM06A、SOT-DM05A 」, <https://www.sakaimed.co.jp/measurement_analysis/function-test/swt/

3. 傷がないか確認する

巻き爪が食い込んで傷になっていたり、胼胝や鶏眼が傷になっているようなことがないか確認しましょう。糖尿病の方の場合、厚い胼胝は傷をつくる原因となります。

4. 深爪しすぎていないか、伸びすぎていないか確認する


爪の切り方
爪切りがうまくできておらず、伸びたままになっていたり、かえって切りすぎているといったことがないか確認しましょう。爪が厚くなりすぎて自分では切れないという状態の患者さんもおられます。爪の肥厚は履物が原因のこともあれば、爪水虫などの病気の場合もあります。

5. 足のサイズにあった靴を履いているか確認する

足にあった靴を履いていない人がほとんどです。指先に1cm程度のゆとりがあるのが理想的です。特に糖尿病の末梢神経障害が進んだ方は、足の感覚がないばかりに、小さいサイズの靴を履いてしまいがちです。きつそうな靴を履いている患者さんがいたら、気をつけて観察するようにしましょう。

急に「足の健康チェックのために素足を診せてください!」と患者さんに聞くのは難しく、患者さんも抵抗感があります。しかし「足のことで気になってることはありませんか?」といった声掛けをして「お風呂の後に足を観察してみるといいですよ」と声掛けするだけでも、患者さんの意識は変わっていくかもしれません。

<参考>

公益財団法人  日本心臓財団「足の指が青紫になっている時に考えるべきことはなんですか」, <https://www.jhf.or.jp/pro/hint/c4/hint017.html

アルメディアWEB「3.糖尿病患者の足の評価法」, <https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/diabetes/03/> 2019年11月12日アクセス.


まとめ

「自分の行うフットケアで患者さんが笑顔になる」というやりがいを実感しやすいという点も、フットケアを継続する看護師の方が多い要因になっていると感じることがあります。もしこれからフットケアをやってみようと思っている方、一人ひとり似ているようで違う「足」を知る面白さを看護師の皆さんに知ってもらう機会になれば幸いです。

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