看護師免許証の名前変更をスムーズに行うために必要な書類一式と手続の方法
結婚や離婚で姓が変わったときは、30日以内に看護師免許証の名前も変更しなければなりません。その手続きにはどんな書類が必要で、どこに提出すればよいのかを分かりやすく解説します。
結婚や離婚の直後はなにかと用事が多く、うっかり手続きを忘れてしまうことがあるので、姓が変わる予定があるときは早めに準備をしておきましょう。
目次
1 看護師免許証の名前変更に必要なもの一式
結婚や離婚で姓が変わったときは、看護師免許証に書かれた名前を旧姓のままにしておくことはできません。新しい免許証に新姓と旧姓を併記することはできますが、かならず新姓を届け出て免許証を書き換える必要があります。
姓が変わったときに看護師免許の更新(書換え)をするために必要なのは次のようなものです。
・所定の書換え申請書(保健所窓口でもらうかインターネットでダウンロードする)
・現在の看護師免許証(コピーではなく原本)
・姓を変更した後の戸籍謄本または戸籍抄本
・新しい姓の印鑑(シャチハタなどではなく朱肉を使って押す印鑑)
・収入印紙(1,000円~5,000円程度。保健所によって異なる)
・63円切手(新しい免許証が発行されるまでの間に免許証の代わりとなる登録済証明書の発行を希望する場合に必用)
(参照:目黒区公式ページ「看護師免許証等の籍(名簿)訂正、書換え交付申請」)
2 看護師免許証の名前変更に必要な書類と手続きの流れ
看護師免許の名前の書き換えるときの手続の流れを説明します。
2-1 【手順①】免許証の名前変更を申請する保健所の場所を調べる
変更の申請は勤務地または住所地の管轄保健所で行ないます。
・病院などに勤務している場合:病院または自分の住所地を管轄する保健所
・勤務していない場合:自分の住所地を管轄する保健所
管轄保健所が分らないときは、厚生労働省のホームページにある保健所管轄区域案内から検索できます。なお、看護師免許の名前の申請を郵送で行なうことはできません。
2-2 【手順②】所定の免許証書換え交付申請書に記入する
看護師免許の書換えには所定の申請書があります。申請書は保健所の窓口でもらえるほか、インターネットでダウンロードすることもできます。(厚生労働省のホームページの「免許申請手続き」からダウンロード)
申請書には、本籍・住所・氏名・電話番号・生年月日・性別を記入して捺印する他は、過去の罰金刑以上の賞罰の有無、看護師業務に関しての犯罪や不正の有無、旧姓併記希望の有無を記入するだけです。(ない場合は「無」に〇をする)
2-3 【手順③】記入した申請書と必要書類を持って保健所窓口で手続きする
申請書と看護師免許証、戸籍謄本(抄本)を揃えて管轄の保健所窓口で手続きします。看護師免許証はコピーではなく原本を持参します。
申請書の記入に間違いがあったときに訂正印が必要なので、印鑑も忘れないようにしましょう。
手続に必要な収入印紙(1,000円)は保健所には用意されていないので、あらかじめ郵便局で購入しておきます。(保健所によっては販売している所もあります)
新しい看護師免許証ができるまでの期間に、申請証明書(後述)が必要なときは切手63円分を渡して発行を依頼します。
3 看護師免許証の名前変更に関しての留意点
書き換えに必要な書類や手続きの進め方のほかに、次のような点にも注意しておきましょう。
3-1 姓の変更に伴う各種の届けをきちんとしておく
姓が変わるのは結婚や離婚のときですが、婚姻届や離婚届はもちろん本籍地が変わる場合は転籍届け、住所が変わるときは転出届をきちんとしておくことで、看護師免許証の書換えもスムーズに運びます。
3-2 本籍地が遠い場合は戸籍謄本の入手に10日ほどかかることがある
必要書類の準備で注意したいのは戸籍謄本(抄本)です。本籍地のことなどは普段あまり意識しませんが、結婚する場合は、夫と妻は同じ本籍地にしなければならず、婚姻届にそれを書く必要があります。
結婚で姓が変わるときは本籍地について配偶者と相談することになるので、意識しないわけにはいきません。
新婚のときは夫の実家を本籍地に選ぶ場合が多いようですが、実家が遠い場合は書類の入手に時間がかかることがあるので注意しましょう。
戸籍謄本は本籍がある役所(市役所など)しか発行しないので、本籍地が遠い場合は、そこに住んでいる親戚に頼むか、役所に郵送を依頼しなければなりません。
郵送の場合は、依頼書を郵送してから書類が届くまでに1週間前後かかります。(参照: 天理市ホームページ「戸籍の郵送請求について」)
離婚で姓が変わる場合も、女性は結婚前の本籍地に戻ることが多いので、同じ注意が必要です。離婚を機に新しい戸籍を作り、新しい住所を本籍地にすることもできます。
3-3 結婚や離婚が複数回になる場合は戸籍謄本を用意する
看護師免許証の書き換えの提出書類は、戸籍謄本でも戸籍抄本でもOKですが、結婚や離婚が複数回あって姓が何度も変わっている場合は、戸籍謄本が必要です。(戸籍謄本は戸籍全部の写しで、抄本は依頼した1人分の写しです)
謄本と抄本の発行手数料は同じなので、どちらか分らない場合は謄本を取っておけば確実です。
離婚して旧姓に戻った看護師Aさんの事例を紹介します。
離婚して旧姓に戻りましたが、職場では結婚していたときの名前を使い続けたかったので、看護師免許証の名前を書き換える必要があるかどうか保健所に尋ねてみました。
やはり書換えは必要だが、結婚していた時の名前と旧姓に戻ってからの名前を併記できるということでしたので、そのようにしました。
職場には離婚して姓が変わったことは話しましたが、結婚当時の名前で働いています。
3-4 名前が変わってから30日を過ぎて届出する場合は遅延理由書を提出する
名前が変わってから30日を過ぎた場合は、上記の書類以外に「遅延理由書」を提出しなければなりません。
遅延理由書の用紙は保健所窓口に用意されています。理由書といっても長々と書く必要はなく、下のような用紙の空欄に簡単に理由を記入するだけです。
※用紙のひな型が「平成」となっていますが、現在はもちろん令和に書き換えられています。
なお、氏名変更から数年後に看護師免許証の書換えをした方の例もあるので、紹介します。
結婚して氏名変更を忘れたまま数年経ち、そのまま新しい就職先に面接を受けに行きました。
就職先には結婚した後まだ変更を行ってないことを伝えて旧姓のままの看護師免許証を持っていきましたが、特に問題ありませんでした。
その後変更申請をして、今の姓に変更された免許証を働きはじめてから再提出しました。
就職先はそれで問題ありませんでしたが、変更申請をするときに申請が遅れた理由を記載しないといけません。
まぁ書き方は事務所の人に説明してもらえるので、たいした手間にはなりません。(引用:Yahoo!知恵袋の回答より)
この方の場合、再就職にも問題がなかったようですが、どこの病院でもそうとは限らないので、名前の変更後30日を過ぎてしまった場合もできるだけ早く申請するようにしましょう。
3-5 新しい看護師免許証ができるまでに申請から3~4カ月かかる
新しい免許証ができあがったら、保健所から免許証交付通知はがきが届きます。通知が来たら、保健所窓口に行って免許証を受け取ります。
保健所によっては簡易書留で免許証を送ってくれるところもあります。(たとえば函館市など)その際は申請時に書留費用として520円分の切手を提出します。
看護師免許証を発行するのは保健所ではなく「厚生労働省医政局医事課試験免許室登録免許係」という長い名前の役所です。名前が長いだけでなく、申請してから新しい免許が届く前に通常で3~4ヶ月という長い期間がかかります。
その期間に別の病院に就職するなどで看護師免許証が必要になる場合がありますが、そのときのために申請時に依頼するのが「申請証明書」の発行です。ただしこの申請証明書が届くまでにも1~2ヵ月はかかります。
免許証がいつごろ届くかは保健所にも分らず、厚生労働省の担当部署(後述)に問い合わせる必要があります。(参照:目黒区公式ページ「医療従事者免許証についてのよくあるご質問」)
4 困ったときの問い合わせ先
手続で分らないことがあるなどで困ったときは、まず管轄の保健所に問い合わせましょう。保健所内での担当部署は多くの場合「総務課」ですが、代表番号に電話して用件を言えば担当につないでもらえます。
都道府県への問い合わせ先は、各都道府県の衛生主管部局になります。部署の呼び方は各県によって異なり、例えば東京都では「福祉保健局健康安全部環境保健衛生課」、奈良県では「くらし創造部消費・生活安全課」となっています。部署名が分らなくても代表番号に電話すれば、担当部署につないでもらえます。
新しい免許証が届くまでの期間など、直接、免許を発行する役所に問い合わせたい場合は、以下が問い合わせ先になります。
【電話:03-5253-1111 内線2576、2577(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2厚生労働省医政局医事課試験免許室)】
5 まとめ:ライフイベントは何かと忙しい!看護師免許証の名前変更はスムーズに終えれるよう準備しておこう!
結婚や離婚で姓が変わったときは、看護師免許証の名前を変更しなければなりません。変更の申請は勤務地または自宅住所の管轄保健所で行ないます。
申請に必要な書類は、所定の申請書、現在所有している看護師免許証、戸籍謄本(抄本)の3つです。
申請は名前の変更後30日以内に行わなければならず、本籍地が遠い場合は戸籍謄本を取り寄せるのに10日ほどかかる場合があるので注意点を意識して手続をスムーズに進めましょう。
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