看護師が起こしやすいミスとその対処法
看護師として働いていると、どうしても避けられないのが仕事上のミス。。。
頻度や深刻さの度合いに違いはあるものの、新人さんにしろ、ベテランさんにしろ、仕事のミスとは常に隣り合わせ。
ミスによっては、患者さんの健康状態や命に影響を与えるものもあります。
特に、ミスを繰り返してしまっている人の中には、看護師を続けることに自信を無くしている人もいるかもしれません。この記事では、看護師が起こしやすいミスの種類や対策方法について紹介します。
目次
1 看護師が起こしやすいミス
特に、患者さんと接する機会の多い看護師は、インシデントやアクシンデントの機会も自然に増えます。ここでは、看護師が遭遇しやすいミスについて紹介します。
1-1 患者さんの転落・転倒
看護師の仕事のミスでも多いのが、患者さんのベッドからの転落や転倒です。
転倒のリスクがある患者さんに対しては、歩行時にナースコールを押すように声かけするのが通常ですが、高齢の方の中には、ナースコールを使用したくない人もいます。
ナースコールをしない理由は、遠慮によるものだけでなく、認知症などさまざま。患者さんが転倒すると、頭を強く打って命を落とす危険性があります。特に、日勤以外の勤務帯は、スタッフ数も減るので、患者さんに合ったセンサーを設置して、転倒事故を防ぎましょう。
1-2 投薬に関するミス
看護師のミスの中でも多くみられるのが、薬に関するものです。
投与する薬剤を間違えたり、投与量を誤ったりと内容もさまざま。指定の点滴の投与時間が短すぎたり、長すぎたりしても投薬ミスになります。
また、患者さんに渡した内服薬を、本人が飲まなければ、看護師のミスになります。内服してくれるか怪しい患者さんは、「ごっくん」と薬を飲んだことを確認してから、次の業務に移りましょう。
投薬ミスで気を付けたいのが、やはりダブルチェックです。医療の現場で病院によっても、シーンによってダブルチェックする場面が異なることがあります。ただのルーチンとして何となく行うのではなく、薬剤名・投与量などを確認しましょう。おすすめは、電車の車掌さんのように、声出しと指差しを行うことです。
1-3 萎縮してしまって質問できない
看護師の職場ならではのミスであるのが、わからないことを質問できないことです。多くの新人さんの中には、「先輩に怖くて質問できない」と考えている人もいるかもしれません。
数年前にも、新人の看護師がインスリン投与の際、専用の注射針ではなく、一般の注射針を使って、インスリンの大量投与をして、患者さんが危険な状態になった事故がありました。
担当看護師は「知らないと思われたくなかった」コメントしており、一般人から多くの疑問の声が上がりました。ただ、看護職に就いている人の多くは、このコメントに納得したのではないでしょうか。
清潔ケアや食事介助、バイタルサインのチェックなど、看護師の業務はルーチンで行える部分もあるかもしれません。ただし、仕事内容は患者さんの命とも密接に関わっているため、「自分が知らない・分からない」状態で業務を行うのは、大変危険です。
ある程度の経験を積むまでは、翌日の受け持ち患者さんを把握して、あらかじめ勉強することがマストです。また、新人ナースの場合、気管挿管や人工呼吸器など、急に経験したことのないケアが必要な患者さんを担当することになったら、フォローを申し出ることも大切です。
リーダーナースも、新人さんなど経験の浅いナースが重症患者さんをみる場合は、本人の力量をみながら、フォローに入ったりメンバー交代したりする考慮も必要でしょう。
看護師が起こしやすいミスは以下の3つです
- 患者さんの転落・転倒
- 投薬に関するミス
- 萎縮してしまって質問できない
看護師のミスは時として患者さんの生命に関わる重大なものもあります。ダブルチェックなどの対策をとりましょう。そしてわからないものはしっかりと質問できることも大事になります。
2 ミスを起こしてしまった場合の対処法
前章ではよくあるミスを予防方法とともに紹介しました。本章では、実際にミスを起こしてしまった場合の対処法を説明します。
2-1 ミスに対して言い訳をしない
看護師の仕事のミスの中には、患者さんの薬の飲み忘れや転倒など、自分が直接関与していないものもありますが、これも自分のミスとなります。また、患者さんのベッドから内服薬や、褥瘡(じょくそう)やモニターによる火傷が見つかるなど、他の勤務帯で起きている可能性のミスについても責任を持たなければなりません。
自分が直接関与していないミスについて、ヒヤリハット報告書を作成していると、「自分のせいじゃないのに」と思う人もいるでしょう。患者さんの療養生活の安全を守ることも、看護師の仕事です。
自分が関与してなくても、病棟全体の問題としてミスが起こらないように注意していく必要があります。
2-2 改善策をしっかり考える
看護師の業務は多岐にわたるだけでなく、突然のナースコールなど注意力がそがれる機会も多くあります。
例えば、病棟には患者さんの急変用に危険度の高い薬剤を常備していることが多いでしょう。薬剤のアンプルの見た目は似通っていることも多く、慌ててるような状況では薬剤同士を間違ってしまうことがあります。
似ている薬剤の配置を変えたり、危険な作用のある薬物で使用頻度がほとんどないものは保管しないようにするなど、事前にミスを防げるような業務環境の対策を取ることも大切です。
2-3 ミスの原因をしっかり把握する
医療の現場で起こるミスは、ヒューマンエラーであるため、100%避けることはできません。看護師は交代勤務で、業務内容も煩雑であるため、さまざまな要因が複雑に絡み合って、仕事のミスを犯す引き金になることがあります。
特に、インシデントなど仕事のミスを起こしやすいのが、新人ナースです。国試に受かったナースは必ずしも即戦力ではなく、病棟で育ててあげなければなりません。業務に慣れていないのに、すべてを任せてしまうと、重大なミスを犯して医療事故につながってしまう可能性もあります。
新人ナースにはフォローをつけたり、それぞれの力量に合わせて、患者さんの受け持ちを持たせるなどの工夫をしましょう。古株の看護師の中には、「今の時代は新人に甘い」と思う人もいるかもしれませんが、このような配慮が結果的に、患者さんの命を守るのです。
筆者も経験がありますが、新人の頃、深夜入りで初めて気管挿管した患者さんを担当することになりました。気管挿管をした患者さんのケアの経験がなく、深夜入り前は仮眠をせずに、勉強した記憶があります。今なら分かるのですが、適切な看護管理するのなら、同じく深夜勤務に入る経験のあるナースが患者さんを担当すべきだったのでは…と思います。
非常に怖いことですが、新人ナースに全て任せるのは、厳しい雰囲気の職場では良くあることです。新人さんも自信がないのなら、「日勤帯でケアを学んでから患者さんを担当したい」と申し出る勇気を持つようにしてください。
ミスをしてしまった時の対処法は以下です。
- ミスに対して言い訳をしない
- 改善策をしっかり考える
- ミスの原因をしっかり考える
誰しもミスは起こります。大事なことはミスに対して真摯に向き合い、それに対して原因、改善策を考えていくことです。
3 ミスを起こしてしまった場合の向かい方
看護師の仕事は命と密接に関わっているため、自分のミスにより、患者さんの健康状態や命に影響を及ぼしてしまうことがあります。仕事でミスを犯すと、「自分は看護師として向いていない」と落ち込んだり、「仕事をするのは怖い」と仕事をやめたいと思ったりする人も多いでしょう。
特に、新人時代は、あこがれてナースになっても、繁忙な業務や厳しい指導など理想と現実のミスマッチを起こす傾向があります。そんな時に、仕事のミスを起こして、先輩から責められたり、自責の念に悩まされれば、気分が落ち込んでしまうのも無理はありません。
あまり良い言い方ではありませんが、職場にいる先輩も、大なり小なりミスをしてきたからこそ、今があるのです。「一度ミスを起こしたら、二度と同じようなミスを犯さない」くらいの気概で原因を分析して、改善しましょう。
多くの医療機関では、ヒヤリハット報告書の作成が義務付けられているので、ミスの原因や改善点について振り返るための良いきっかけになるはずです。
また、余裕があるのなら、他のミスの事例や報告に目を通すようにして、自分がミスしないように工夫することも効果的です。
4 まとめ
看護師の仕事のミスは、判断ミスだけでなく、看護師特有の業務環境などさまざまな要因が絡んで起こるものです。特に、業務経験の浅い新人ナースは、仕事でミスを連発してしまうこともあるでしょう。
自分のミスは丁重に受け入れて、似たような失敗を起こさないように振り返りを行いましょう。重大なミスについて、特定のナースだけを責めるのではなく、病棟全体で対策を取ることが大切です。
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