看護師が勤務体制で悩みがちな「二交代制」と「三交代制」の違い~チェックリスト付~
病棟で働く看護師は、多くの場合、二交代制(日勤・夜勤)、もしくは三交代制(日勤・準夜勤・深夜勤)で勤務することになります。
日本医療労働組合連合会が調査した結果、現在、約4割の病院が二交代制を導入し、三交代制を導入する病院は年々減少しています。
これは、看護師の働きやすさを考慮した結果ですが、病棟によってはまだまだ三交代制の方が良いなど、働く人のライフスタイルや病棟等の環境面で、どちらの夜勤体制が自分にあっているのかは、自分が置かれた諸条件によって変わってきます。
夜勤が辛いと感じる原因は様々ですが、身体的・精神的負担が長く続くと、病気になるリスクも高まります。
交代制勤務を行う労働者は、日勤のみの労働者と比べると、脳卒中のリスクが2倍以上になるといわれています。
また、IARC(国際がん研究機関)は、交代制勤務が発がんリスクを高める要因の1つとしています。
さらに、体内時計の乱れによって、うつ病などを発症する恐れも増大すると考えられています。(参照:HEALTH PRESS シフトワーカー(交代勤務者)は短命!? 不規則な勤務時間がもたらす健康への影響)
しかしながら、看護師として働く上で、夜勤はなかなか避けることができません。少しでも負担を軽くするには、より自分にあった勤務体制を選ぶことが最も重要です。
また、自分に合った勤務体制を選ぶことができたとしても、夜稼働することに変わりはないため、負担は無くなりません。辛く感じることを最小限に抑えましょう。
この記事では、どちらの勤務体制が自分にあっているのか、簡単なチェックリストで自己診断できるようにしました。
また、二交代制、三交代制それぞれの負担を最小限に抑えるべく、辛さを克服する方法を紹介していきます。
看護師として、スキルアップ・キャリアアップをしていくために、健康を維持することはとても大事なことだと考えています。この記事が、夜勤の辛さを克服する参考になれば幸いです。
目次
1 二交代制と三交代制の違い
夜勤には、時間の区切り方で大きく分けて二交代制と三交代制の2つがあります。主な違いを以下の表にまとめました。
二交代制 | 三交代制 | |
シフト数 | 2 | 3 |
拘束時間 | 12時間~16時間 | 8時間 |
夜勤回数(月) | 4.1回 | 7.6回 |
※二交代制:勤務時間を「日勤」「夜勤」の2つに分けて労働する体制のこと
三交代制:勤務時間を「日勤」「準夜勤」「夜勤」の3つに分けて労働する体制のこと
※夜勤回数について、三交代制は(準夜勤+深夜勤)÷2で算定
1-1 シフト数と拘束時間の違い
二交代制は日勤と夜勤という2つの区分に分けてシフトを組む勤務形態を指します。
一般的な勤務時間帯の例は以下のように大きく2つあります。
①日勤が8:00~20:30、夜勤が20:00~8:30のように12時間ずつで交代する場合
②日勤は8:00~17:00、夜勤は16:00~9:00のように日勤を8時間、夜勤を16時間とする場合
他方、三交代制は、1日を「日勤・準夜勤・深夜勤」という3つの区分に分けてシフトを組む勤務形態を指します。
一般的な勤務時間帯の例としては、以下のように大きく3つあります。
①日勤:8:00~16:45
②準夜勤:16:00~24:45
③深夜勤:24:00~8:45
このように時間の割り振りをしている病院が多いでしょう。それぞれの勤務時間帯で途中に45分ほどの休憩を取りながら、実働が8時間となるようにしています。
1-2 夜勤回数の違い:二交代制は4.1回/月 vs 三交代制は7.6回/月
日本医療労働組合連合会が看護職員100,000人以上を対象に行った2021年の調査によると、二交代制のシフトにおける月当たり平均夜勤回数は、4.14回とされています。
他方、三交代制のシフトにおける月当たり平均夜勤回数は、2021年は7.62回とされています。
二交代制と異なり三交代制の夜勤の回数は年々微減しており、2000年代以降は7.6回前後で推移しています。
※出典:日本医療労働組合連合会 2021年度夜勤実態調査
また、調査結果では、病棟ごとに差があり、二交代制では、月に「4.5回以上」が3人に1人程度いて、特にICU・CCU等では2人に1人は「4.5回以上」となっています。
三交代制では、月に「9回以上」の夜勤を行っている看護師はまだ4人に1人程度いて、特にICU・CCU等では2.6人に1人は「9回以上」となっています。
1-3 二交代制を取り入れている病院は7割もある
二交代制を取り入れる病院が年々増え続け、2021年には44%に達しています。
看護師を対象に行ったアンケート調査『ぶっちゃけ、二交代制と三交代制、どっちが好き?』では、80%を超える方が二交代制を選んでいます。(参照:ぶっちゃけ、2交代と3交代、どっちが好き?)
「看護師としてのスキルアップのためのまとまった時間を作りやすい」「生活リズムを整えやすい」といった看護師の意見を尊重し、二交代制を取り入れる病院が増加していると考えられます。
日本医療労働連合会が行っている、2021年夜勤実態調査の結果を集計した表が以下の通りです。
調査年 | 二交代制 | 三交代制 |
2000年 | 7.7% | 92.3% |
2010年 | 25.5% | 74.5% |
2020年 | 42.7% | 57.3% |
2021年 | 44.0% | 56.0% |
10年単位でみてみると、二交代制を取り入れる病院が約20%ずつ継続的に増加しています。
2 二交代制と三交代制のどちらがあっているかをチェックリストで確認
自分には二交代制と三交代制のどちらが合っているか診断していきましょう。A、Bそれぞれの項目のうち、当てはまるものにチェックしてください。
□ 休みの日には人と会う時間や趣味の時間を十分確保したい
□ 睡眠時間をしっかりとりたい
□ 夜勤手当で収入を増やしたい
□ 生活リズムが不規則だと体調を崩しやすい
□ 精神的な負担を少なくしたい
□ 長時間病院に拘束されることが何より辛い
□ 救急や急性期など忙しい病棟での勤務を希望している
AとBのチェック数を比較して、Aの方が多くチェックが入った人は二交代制、Bの方が多くチェックが入った人は三交代制のほうが適していると考えられます。
A、Bのチェックの数が同数だった場合、自身が最も優先する項目があった方を選択することをおすすめします。
3 チェックリストの各項目について解説
先ほどのチェックリストは、二交代制と三交代制のそれぞれの特徴をふまえて作成されています。各項目について掘り下げて見てみましょう。
3-1 休みの日、人と会う時間や趣味の時間を充実させたいなら二交代制
二交代制と三交代制を比較すると、二交代制の場合は、1回の勤務時間が長い分出勤回数は減り、三交代制の場合は、短い時間で頻回に出勤することになります。
つまり、休日の回数が増えるので、二交代制の方が連休を取りやすいということになります。
連休が欲しい人には二交代制がいいと言えます。
夜勤のある勤務体制で働いていると、日勤のみの仕事をしている人と予定が合わないということも少なくありません。
友人や家族と過ごす時間や趣味の時間をしっかりとりたいという人には、連休の取りやすい二交代制がおすすめです。
3-2 睡眠時間をしっかりとりたいなら二交代制
二交代制の場合は夜勤の回数が三交代制よりも少なく、休みも長く設定しやすいため、まとまった睡眠時間をしっかり確保することができます。
また、三交代制の夜勤では基本的に仮眠時間は設定されていませんが、二交代制の夜勤ではトラブルがなければ2時間程度の仮眠をとることができます。
三交代制の場合、日勤⇒睡眠⇒深夜勤、準夜勤⇒睡眠⇒翌日日勤という1勤務分だけ空けて勤務する場合などは、当然その空いた時間に睡眠をとることになりますが、勤務が定時に終わらないことも多く、勤務の開始時も少し早く行って情報収集などを行いますよね。そうなると、どんどん睡眠時間は短くなっていきます。
睡眠時間を十分にとりたいという人は、二交代制がおすすめです。
3-3 夜勤手当で収入を増やしたい人は二交代制
毎月の夜勤手当の額は二交代制の方が多くなる傾向があります。
看護師の場合、夜勤手当などの各種手当が収入の10%以上を占めています。
特に夜勤手当の占める割合は大きいので、収入を増やしたいという人は夜勤手当という観点からも勤務体制を考えてみるとよいでしょう。
日本看護協会が行った2020年病院看護実態調査によると、看護師の夜勤1回あたりの夜勤手当平均額は次のようになっています。
三交代制:準夜勤の手当額 | 4,154円 |
三交代制:深夜勤の手当額 | 5,122円 |
二交代制:夜勤の手当額 | 11,286円 |
また、第1章で紹介した二交代制の平均夜勤回数は月当たり4.14回です。したがって、1か月間でもらえる夜勤手当の平均額は次のようになります。
一方、三交代制の場合の平均夜勤回数は月当たり7.62回です。
なお、準夜勤と深夜勤の割合はおよそ半分という調査結果が日本医療労働組合連合会が行った2021年度夜勤実態調査からわかっています。
以上のことから、1か月間で支給される夜勤手当は二交代制の方が10,000円多いことがわかります。
年間で考えると120,000円多くなりますね。夜勤手当で少しでも収入を増やしたいという人は、二交代制での勤務を検討してみましょう。
3-4 生活リズムが不規則だと体調を崩しやすい人は二交代制
生活リズムが不規則だと体調を崩しやすい方は、シフトが2つしかない二交代制が適しています。
体内時計とあわない勤務を続けると、睡眠障害を引き起こし、様々な体調不良の原因となってしまいます。(参照:厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針検討会報告書)
特に三交代制の場合はシフトが3つあるため、シフトが2つしかない二交代制よりも体内時計が乱れやすくなります。不規則な生活リズムを続けると体調を崩しやすいという人は、三交代制よりも二交代制のほうが適している可能性が高いでしょう。
3-5 夜勤の回数は多いが、短時間勤務が好みの人は三交代制
三交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つのシフトがあり、二交代制よりも夜勤をする回数が多くなってしまいがちです。
しかし、二交代制の場合は少なくとも12時間、多くの職場では16時間という長時間の勤務をこなさなければなりません。
一方、三交代制の場合、1回の実働時間はどのシフトでも8時間ほどです。
回数が多くなっても良いので1回の夜勤の時間を短くしたいという人は、二交代制よりも三交代制のほうがあっていると言えるでしょう。
3-6 精神的な負担を少なくしたい人は三交代制
夜勤は日勤よりも少ない数の看護師でこなさなければならないため、当然1人当たりの負担は大きくなります。
三交代制は二交代制よりも1回の夜勤時間が短いので、1回の勤務における精神的負担は少なくなります。
実際に、二交代制から三交代制に変更したところ、2か月で精神的な健康状態がよくなったという調査報告もあります。(参考文献:国立国際医療研究センター病院 二交替制勤務看護師の疲労度,満足度に関する文献検討 -三交替制勤務との比較-)
病棟看護師の場合、トイレ介助や点滴などといった患者さんの対応、病棟の巡視などが夜間勤務中の主な仕事となります。
しかし、緊急入院する患者さんがいればその対応も行いますし、患者さんが自分で点滴を抜いてしまったなどといったトラブルの解決にもあたらなければなりません。
心の疲れはどの職業・勤務体制でも起こりえますが、少しでも精神的な負担を軽くしたいという人には二交代制よりも三交代制の方がおすすめです。
3-7 長時間病院に拘束されることが何より辛い人は三交代制
夜勤の拘束時間は、三交代制で8時間、二交代制では12時間~16時間にもなります。
一般的な8時間労働でも、1日の3分の1は自分の時間を拘束されることになります。また、8時間労働でも勤務が終わるころには勤務開始時と比べて集中力が下がってしまいがちです。
看護師の場合、集中力の低下は医療ミスを誘発する原因となる恐れがあるので注意が必要です。
実際に、看護研究者であるジル・クレンドン博士とヴェロニク・ギボン博士は、2016年に「12時間以上の勤務ではミスが起こる確率が高い」とする研究結果を発表しています。また、ミスが起こる可能性は12時間未満の勤務と比べて2~3倍になるともいわれています。(参照: International journal of nursing studies:12h shifts and rates of error among nurses)
二交代制の場合は12時間~16時間という長時間の勤務をこなさなければならないため、ミスを起こすリスクも高くなります。
一方、三交代制の場合は1回の勤務における実働時間は8時間程度ですので、二交代制と比べると集中力を維持しやすく、ミスを起こすリスクを低くすることができます。
「16時間も集中力を維持できない」という人は、三交代制での勤務を検討することをおすすめします。
3-8 救急や急性期の病棟を希望する人は三交代制
救急病棟や病院自体が急性期病院、二次、三次救急を受けている病院というのは非常に忙しく、まさしく救命の現場です。
次々運ばれてくる患者さん、どんどん出される医師からの指示、患者さんや家族からの訴えなど、落ち着く暇がありません。
また、ちょっとしたミスが命に直結する、常に緊張した現場でもあります。このような緊張状態が長く続けば疲労していくのが当たり前で、判断ミスやヒヤリハット、インシデントに繋がる可能性もあります。
こんなに長い拘束時間で、しかも緊張状態が続けば看護師の疲労は計り知れません。救急や急性期の病棟を希望する人は、勤務時間の短い三交代制をおすすめします。
4 二交代制夜勤の辛いと感じる2つの理由
多くの看護師に支持される二交代制ですが、二交代制の夜勤が辛いのはなぜでしょうか。二交代制の夜勤が辛いと感じる理由をまとめました。
4-1 16時間の長時間勤務は誰だって辛い
仮眠があったとしても16時間も拘束されるということは、他の職業ではあまり見られません。
仮眠をしっかりとれたとしても13時間前後フルに動き続けなければならないという点では強い疲労感を感じるでしょう。
体力的にももちろんですが、一緒に夜勤に入る看護師に気を遣う精神的な疲労もあります。
看護師歴が浅い看護師は看護師歴の長い先輩看護師に気を使うというのはもちろんですが、先輩の看護師も後輩看護師に気を使っています。特に、先輩看護師においては後輩のミスがともすれば自分自身の責任となるため、気を使い、疲労を感じるという方も少なくないでしょう。
4-2 疲労が蓄積されていくため辛い
夜勤後に感じる疲労感は蓄積されていき、どんどん夜勤が辛くなります。
二交代制では夜勤前後の自分の時間が長いため仮眠をとれ、三交代制よりも夜勤後の疲労感は少ないと考える方が多いでしょう。
しかし、二交代制でも三交代制でも夜勤前後における睡眠時間はさほど変わらないということ、看護師の生活時間に及ぼす影響について、二交代制化で期待されたような変化はみられず、むしろ自由時間が減少するとう研究結果が発表されています。(参照:J-STAGE 労働科学 16時間夜勤が看護師の生活時間に及ぼす影響)
つまり、三交代制よりも長い時間働いていながら睡眠時間は三交代制と同じであるため疲労が回復できずに蓄積されている傾向にあることが考えられます。
そのため、三交代制よりも二交代制の方が疲労感を感じる看護師が多いでしょう。
5 辛い二交代制夜勤を克服する5つの方法
現在、多くの施設が二交代制を導入しており、三交代制という希望を出して医療機関を探さない限り、二交代制の夜勤に従事しなければならない可能性は非常に高くなっています。
二交代制夜勤の辛さを克服するためにはどうすれば良いのか。ここでは5つの方法を紹介します。
5-1 仮眠がとれるように環境を整える
二交代制夜勤を乗り越えるのに最も重要なのが仮眠です。夜勤中に仮眠をとることを強くおすすめします。
二交代制夜勤の仮眠時間は多くのところで120分の設定となっていますが、これには2つの理由があります。
【理由①】8時間を超える夜勤に対して120分の仮眠時間は疲労回復効果、昼活動型生体リズムの維持、生活調整が容易になることが考えられているからです。
【理由②】これだけのまとまった仮眠時間が確保されていれば入眠20~30分後には通常の夜間睡眠と同じように深い睡眠が生じ、さらに約90分後に生じるレム睡眠によって起きられる可能性が高いことから、睡眠慣性(寝ぼけ状態)に陥ることなくすっきりと目覚めることができると考えられているからです。
なお、夜勤中は寝ずに頑張って働いて、夜勤が終わってからたっぷりと寝ればいいと考える方もいるかもしれませんが、疲労軽減効果は日中よりも夜間の方が高いとされており、夜勤中に60分の睡眠をとると、夜勤前に180分以上の睡眠をとるのと同等に夜勤後の疲労抑制効果を持つことが研究からもわかっています。
ただし、夜勤中は何が起こるかわかりません。場合によっては急変や急患などさまざまな出来事により仮眠をとっている時間を十分に確保できないということもあるかもしれません。
そういう方は、横になって10分程度目をつぶってみましょう。航空整備士を対象にした研究によると10分程度とごく短時間でも、パフォーマンステストの反応時間が早くなるという結果がでています。
少しでも体を横たえる時間があればぜひ、少しの時間でも仮眠をとるようにしてみましょう。(参照:日本看護協会 夜勤中の仮眠を取りましょう)
良質な仮眠を助けてくれる仮眠グッズをまとめた記事も参考にしてください。【夜勤従事者必見!ぐっすり寝るための仮眠グッズ5選と寝つきを良くする方法5つ】
5-2 ずっと集中し続けず、気を抜けるところは抜く
16時間ずっと集中し続けるということはとても難しいことです。そのため、気を抜けるところでは気を抜くことがおすすめです。
もちろん、患者さんに接するときや点滴のチェックなど医療行為を行う時に気を抜いてはなりません。
例えば、業務がひと段落してパソコンで事務作業をしている時、患者さんのトイレ介助後にトイレの前で待っている時など、1人になれる時間、空間を探して、背伸びや大きく深呼吸するなど、息抜きをしましょう。
少し気を抜くだけでも頭や心はすっきりするため、長い夜勤を乗り越えることができるでしょう。
また、椅子に座った状態で少し目をつむったり、体を伸ばしたりするだけでも肩の力が抜けてスッキリします。
5-3 姿勢を意識しつつ適宜ストレッチやマッサージをして体を整える
長時間の夜勤中は意識して前屈位をとらないようにしましょう。業務が落ち着いたタイミングでは、適宜ストレッチを行うことをおすすめします。
二交代制で16時間仕事をしていると日勤帯よりも少ない人数で患者さんを診るため、トイレ介助や車いすへの移乗動作など力仕事を行うことが必然的に増えます。
そうすると、腰痛など身体の痛みを感じる看護師も少なくありません。
また、身体を動かさない事務作業の時間であっても意識して姿勢を整えていなければ椎間板への負担は軽減されていないという研究結果も出ています。
なお、椎間板に係る負荷は、前屈位では直立位の1.5倍に増加するとされており、腰部に負担をかける姿勢と考えられていますが夜勤中は業務の内容などから自然に前屈位をとってしまい、結果として腰部に負担をかけてしまいます。(参照:滋賀医科大学 看護師の16時間夜勤の現状と今後)
5-4 自分なりのストレス解消法を見つけておく
夜勤は精神的なストレスも相当たまるものです。そのため、ストレス解消は必要不可欠です。
夜勤が終わった後に好きなことをするのが1番ですが、夜勤中にも小さなストレス解消を行いましょう。
例えば、好きなお菓子や飲み物を持参して食べるだけでも、ストレス解消につながります。また、仮眠時間を削ってはしまいますが、すぐに実践できる例を以下に紹介します。
・好きな漫画を持ってきて、仮眠前に1巻だけ読む
・スマホゲームを少しやってから仮眠をとる
・休憩時間に病院内を少し散歩する
5-5 夜勤中は同僚と日勤帯以上にコミュニケーションをとる
夜勤を円滑に、残業なくやり切るためには、同じく夜勤中の同僚とコミュニケーションをとることが必要不可欠です。
例えば、自分の仕事が終わっていたら相手を手伝うなど助け合って仕事をすることで夜勤業務が円滑に進み、残業やヒヤリハットを起こすことなく夜勤を終了させることができます。
先輩、後輩関係なくチームとしてコミュニケーションを密に取り、夜勤を円滑に進めていきましょう。
6 三交代制夜勤の辛いと感じる3つの理由
三交代制の夜勤は、二交代制とはまた違った辛いと感じる理由があります。三交代制の夜勤の辛いと感じる3つの理由をまとめました。
6-1 夜勤回数が多く、シフトが辛い
三交代制の場合、夜勤の回数が多く、シフトがきつく感じます。
前述したように、三交代制の看護師の夜勤回数の平均は7.6回、他方、二交代制の場合の夜勤は平均4.1回と、三交代制の夜勤の回数は二交代制に比べて2倍近くあります。
そのため、1ヶ月で何度も夜勤をやらなければならず、夜勤は辛いものと感じます。
さらに、三交代制は勤務と勤務の間の時間が短いため、例えば残業などがあれば、勤務後すぐに夜勤をしなければならないということも、夜勤を辛く感じさせます。
2008年に日本看護協会が行った看護職の労働時間管理に関する緊急調査によると、三交代制勤務者の57.9%が『帰宅してから次に出勤するまでの時間(実質的な休息時間)が6時間以下になった日』があったと回答しています。(参照:日本看護協会:看護職の労働時間管理に関する緊急調査)
6-2 夜間の通勤が不便で辛い
三交代制の夜勤帯は開始時間、終了時間が遅いため、通勤に難がある場合が多いことも辛いと感じる理由の1つです。
特に深夜勤帯の場合、日中の通勤に使っているバスが動いていないなどの不便があります。
そのため、病院によっては通勤のためにタクシー券を発行するところもありますが、病院の仮眠室や寮で睡眠をとって待機させるというところもあり、その対策にばらつきがあることや待機となることで自由が利かず苦痛に感じる看護師も少なくないようです。
6-3 連休が取りにくくて辛い
三交代制の場合、連休が取りにくいのも、辛いと感じる理由の1つです。
二交代制と比べると休みが入る頻度は多いものの、シフトが3つあるため、連休を取りにくいという看護師が多く、1日休んですぐに勤務のため疲労が取れにくく、また、プライベートの時間が確保しにくいというデメリットがあります。
7 辛い三交代制夜勤を克服する2つの方法
三交代制夜勤の辛さを克服するポイントは、短いプライベートの時間に質の高い睡眠を取ることと、少しでもプライベートの時間を長く確保するために、病院の近くに住むことです。
それぞれ見ていきましょう。
7-1 家での質の高い睡眠を確保する
次の勤務までの間に質の高い睡眠を取りましょう。質の高い睡眠をとるために必要な行動は以下の2つです。
・軽い運動をする
・38℃程度のぬるめのお湯で30分前後入浴する
日中でもぐっすり寝付くために大事なことは、脳の温度と体温を下げることです。
睡眠の3時間ほど前に軽い運動をすると、運動直後は一時的に脳温が上がりますが、仮眠をとる予定の時間には脳温が下がるためスムーズに入眠することができます。
また、軽い運動と同じように、体温を一時的に上げる方法として、入浴を睡眠の2~3時間前に済ませることも効果的で、スムーズな入眠を手助けしてくれます。
7-2 病院の近くに住む
勤務と勤務の間の時間を少しでも長く確保するためには、通勤時間を減らすことが重要です。
具体的には、病院から徒歩か自転車でドアtoドア20分圏内に住むことをおすすめします。
イギリスの保険会社の調査によると、通勤時間が長い人のほうが、うつ病を患う人が33%そうでない人に比べて多いと発表しています。また、この研究では、通勤時間が長い人の方が、仕事関連のストレスが複数あると回答する傾向が12%高いことにも触れています。通勤時間の長い人は仕事の面で精神的なストレスを抱えやすいと言えそうです。(参照:Vitality Corporate(2017)「Long commutes costing firms a week’s worth of staff productivity」)
8 まとめ
二交代制も三交代制も夜勤があるため生活リズムが乱れやすく、体調を崩してしまう人も少なくありません。少しでもそのリスクを低くするために、まずは自分にあった勤務体制を選ぶことが大切です。
その上で、二交代制、三交代制それぞれの辛く感じる部分についてしっかり克服し、長く続く看護師人生を、健康で、かつ、充実したものにしていただければ嬉しいです。
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