看護師が面接で退職理由を伝える際に「未来志向」で答えるべき理由

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看護師が面接で退職理由を伝える際に「未来志向」で答えるべき理由

面接の印象を良くしたいけど、退職理由をぶっちゃけてしまうとかえって印象を悪くしてしまうのでは?と心配する看護師は多いと思います。

しかし、面接での退職理由の伝え方は、たった1つのことに気をつけるだけで、好印象を狙えること、ご存知でしょうか。

それは、どんな退職理由であっても「未来志向」で表現して伝えることです。

未来志向とは「今の職場ではできなかった、こんな仕事がしたい、こんな働き方がしたい、こんな看護がしたい」という、転職で叶えたいこと、目的意識を含む退職理由のことをここでは指します。

つまり、未来志向の退職理由は、志望動機と表裏一体にもなります。

看護師採用を担う担当者に話を聞くと「退職理由が後ろ向きで不明瞭な場合、同じ退職を繰り返すリスクが高い感じる」と話し、前職の退職理由が不採用を決めてしまう要素になってしまう応募者もいるとのこと。

今回の記事では、面接で必ず聞かれる質問でもある「退職理由の伝え方」について、パターン別で徹底解説し、面接での答えに不安をなくせるよう解説しました。

どんな退職理由でも、必ず次の志望動機につながる伝え方が見つかりますので、最後までお付き合いください。

採用情報

1 印象を悪くしない退職理由は「未来志向」で答える

退職理由は、どんな場合であれ「未来志向」で伝えることが鉄則です。

なぜなら、前述したように退職理由は志望動機と表裏一体。今の職場では成し遂げられない自分のやりたいことを、次の職場でどうやって取り組んでいきたいか同時にアピールできる質問だからです。

面接官が退職理由を面接で聞くのは

・仕事に対する価値観(譲れない点やキャリアの目標など)

・退職に至った原因を冷静に分析・判断できているか

・入社した場合に同じ退職理由で早期離職する可能性がないかどうか

    といった点を見ているためです。

    そのため、退職理由は「看護師としてのキャリアプランの中で、何を大切にし、どう働いていきたいか(未来志向)」が見られていると言えます。

    退職理由は様々ありますが、人手不足の医療業界では、何より「長く勤めてくれそうかどうか」が採用の決め手になっていることが多いため、退職理由の伝え方で「すぐ辞めそうだ」と思われてしまうようなことがないよう、面接での受け答えは慎重にいきたいところです。

    1-1 印象を悪くするのは不平不満や愚痴

    面接で退職理由を聞きたいのは上記のような理由であることから、面接で個人的な不平不満や愚痴、前職の悪口などは一切求められていません。

    面接官は、入職後にどんな活躍をしてくれるのか?本当に活躍できる看護師か?ということを見定めることが目的で面接をしているため、わざわざ印象を下げてしまうような振る舞いはしないようにしましょう。

    1-2 目的意識の有無で印象は変えられる!退職理由の比較例

    同じような退職理由でも、面接官に伝わる印象は、未来志向、ひいては転職の目的意識をあわせて伝えられるかどうかで、大きく印象は変わります。

    退職理由は、志望動機とも表裏一体と伝えたように、何のために退職するかを盛り込むことで、次にどういった気持ちを持って働いてくれるかを伝えることができ、面接官に期待感をもたせることができます。

    例えば、忙しさで退職に踏み切るAさんとBさんの退職理由を見てみましょう。

    看護師 退職理由 Aさん

    患者さんを「元気づけられる看護がしたい」という思いを持ったAさんは、自分のしたい看護が明確化されており、転職の目的意識も自分らしい看護の追求ということが伝わってきます。また、現状の改善を試みたが難しかったという点で、退職がいい意味で正当化され、転職の理由としては明確な印象を受けます。

    看護師 退職理由 Bさん

    多忙を極めていることは伝わってきますが、やや愚痴っぽく聞こえてしまいます。また、体調面の不安要素があるように聞こえてしまう「食事が摂れない」というのは「本当に今働けるほど回復しているのか?」と面接官を不安にさせてしまう要素であり、自分を不利にする情報なので、あえて言わなくても良い内容です。

    とはいえ、心の中ではBさんのような叫びで転職を決める方は多いと思います。

    では、退職理由はどう伝えれば、印象を良くできるのでしょうか。次章で解説します。


    2 ネガティブな退職理由を未来志向にする3ステップ

    退職理由で単に「人間関係がつらくて…」「仕事が忙しくて辞めました」と伝えるのはNG。愚痴っぽくなりがちな退職理由を、説得力がある伝え方をするためには、まずは退職理由を洗い出し、退職したい本当の理由を明らかにする必要があります。

    それこそが「ネガティブな退職理由を未来志向にする3ステップ」です。

    看護師 退職理由

    ※ブレストとは…ブレインストーミングの略で新しい考え方や解決策などのアイディアを出していく手法のこと

    1つずつ見ていきましょう!

    ①退職理由をブレストする

    退職理由に該当するものを何でも挙げてみます。

    • 昇給しない・あっても少ない
    • 拘束時間が長い
    • 苦手な人がいる
    • 委員会など自分の興味のない範囲の仕事が多い などなど

    ②挙げたものをカテゴリ分けする

    たくさん挙げた方は、退職理由を以下の4つにカテゴライズし、多く当てはまったカテゴリが、最も大きな退職理由としてよいでしょう。もしくは、改善されたとしても退職する、という項目があればそれが最も強い退職理由となります。

    看護師 退職理由 カテゴリ

    先の例でいえばこうなります。

    • 昇給しない・あっても少ない→「給料」
    • 拘束時間が長い→「忙しい」
    • 苦手な人がいる→「人間関係」
    • 委員会など自分の興味のない範囲の仕事が多い→「仕事内容」

    ③退職理由から自分の「理想」を導き出す

    挙げた退職理由をもとに、自分の欲求=理想を導き出します。例えば、給料が安いという場合「給料が安い→自分の仕事をもっと評価してほしい」というような具合です。「退職理由」をもとに、次の職場ではどうしていきたいかを考えると、退職理由が前向きなものになります。

    待遇労働に対する適切な対価がほしい、適切に評価されたい、認められたいなど
    忙しい患者さんと関わる時間がほしい、体調を良くしたい、より良い看護を提供していきたいなど
    人間関係チームワークを大事にしたい、帰属意識を持ちたいなど
    仕事内容成長したい、スキルアップしたい、チャレンジしたい、1つのことを極めたいなど

    これが未来志向の退職理由の核となります。「今の職場ではできない=だから次の職場で●●をやりたい」と退職理由をネガティブな感情で済ませないことで、退職が次の職場へのステップアップであることに説得力をもたせることができます。


    3 そのまま伝えるには注意したい3つの退職理由

    前述した退職理由の中には前向き化しにくく、他の理由を設定したほうがよい退職理由もあります。

    あからさまな嘘は見抜かれてしまうので避けるべきですが、下記のような場合は、退職理由として伝えるには、面接官の不安要素を大きくするだけであり、面接で突っ込まれていくうちに自分にとって不利に働くことがあるので、控える・もしくは伝え方を工夫しましょう。

    3-1 看護師の責任の重さ・医療事故への不安

    医療事故への不安や、患者さんと接することへの不安を抱えている場合、そもそも看護師として働いていけるのか?適性があるのか?と不安を煽ってしまいかねません。

    看護師であれば、人の命に関わる責任の重さや医療事故と隣合わせです。しかし、それは医療現場で働く全ての医療職に通じるもの。その責任と不安を軽減するために経験を通して日々学び続け、医療職として成長していきます。

    もし応募先が医療機関でも看護師でもなければ、退職理由として挙げても大丈夫ですが、看護師として働き続けたい意志があるのであれば、この理由はおすすめできません。

    3-2 同棲するため

    結婚を前提にお付き合いをしている場合でも「同棲のために引っ越すので退職しました」と伝えるのは注意が必要です。

    というのも、結婚による寿退社は、職場からも歓迎される退職理由の1つですが、同棲に対して否定的な考えをもつ方もいたり「同棲を機に退職するということは、もしかしたら結婚までの腰掛けで応募してきたのか?」と捉えられかねないからです。

    本当の理由を伝える場合でも、看護師のキャリアを意識して伝える工夫をしましょう。

    例えば「入籍は半年以内を予定しており、挙式の準備も控えていますが結婚後も働きたいと思っているため、相手と自分のライフスタイルを確認し合い、結婚しても働き続けられる職場を探す機会にしたいと思い、退職に踏み切りました

    将来、認定看護師の資格取得も考えていたため、キャリアを見つめ直す機会と捉え、心機一転して転居に伴う転職を決めました」といったように、看護師として働きたい思いがあることをそれとなく伝えると良いでしょう。

    転職サイトのコンサルタントへの相談は「ありのまま」がおすすめ

    転職サイトのコンサルタントに退職理由を伝えるときは、退職理由の本音と理想をともに、ありのまま伝えることをおすすめします。

    なぜなら、コンサルタントは、そのライフプランを聞いた上で、それにマッチする職場を提案してくれるから。

    特に、未婚の看護師は体力もありフルタイムで夜勤も多くこなしてくれることから、コンサルタントに結婚・出産といったライフプランの探りを入れさせる採用担当者もいるほどです。自分のライフプランも伝えておくことで、それも理解してくれた上で働ける職場を探すとよいでしょう。

    3-3 病気のため

    病気の発症等が理由で退職の場合、事情としてはやむを得ませんが、退職理由として伝えるときは、今は働ける状態であることを伝えるようにしましょう。応募先としては「今後も通院が必要なのか?」「再発の可能性はあるのか?」といったところが、働き続けてもらえるかどうかにおいて、面接官が気になる点だからです。

    例えば

    通院による治療が必要のため、勤務形態変更の打診をしましたが受け入れてもらうことができず、退職しました。治療をきっかけに看護師キャリアを見つめ直す機会と捉えました。今は治療も終わり、看護師として自分と同じ病気の方を支えていきたいと思い、復帰のために転職活動をしています

    とするなど、やむを得ない事案であっても、それを乗り越え次の職場ではこう働きたい!という思いを盛り込むことで、説得力をもって話すことができます。


    4 退職理由別の回答例

    自分の退職理由を整理できたら、文章化してまとめておくようにしましょう。文章としてまとめることで、更に気持ちを整理することができ、わかりやすく、未来志向で伝えられているかどうかを客観視することができるからです。

    今回は、看護師の退職理由としてよく挙げられるものを中心に回答例をまとめました。

    4-1 待遇に関する不満(給与、昇進等)の場合

    スタートは高くてもその後の伸び率が高くないのが看護師の給料と言われています。そのため、給与が割に合わないことに不満を感じて退職する方も多いでしょう。しかし、事情があり生活に支障をきたす程でなければ、単に給与が少ないことを退職理由とするのは避けましょう。

    <回答例>

    仕事内容や職場環境には満足していましたが、一方で評価制度等が無いことで、スキルや経験に応じてキャリアアップしていける機会が乏しく、もどかしい思いをしていました。私は、将来的に看護師の教育に関わる仕事がしたいと考えているため、人に教えたりする機会を得たいと考えていましたが、体制上難しいと思い、退職をいたしました

    4-2 忙しさに関する不満(長時間労働、夜勤等)の場合

    業界として長時間勤務が日常的に行われている場合もあるため、長時間勤務が退職理由になる場合は、前職での1日の勤務時間の平均などを数字は答えられるようにしておきましょう。

    また、長時間勤務による悪影響(ミスが増えた、体調不良が続き就労が厳しくなった)など、仕事に支障をきたしていた事実があれば、それも含めて転職を決意した理由をまとめましょう。

    <回答例>

    前職ではICU病棟で看護師をしていました。仕事にはやりがいを持って取り組んでいましたが、1日の勤務時間が17時間以上ということもあり、帰宅しても、数時間後には出勤という日が月の半分以上続いていました。半年が過ぎたころ、体調不良が続いてしまった時期があり、シフトの相談に掛け合いましたが、解消が難しく、勤務時間は変わりませんでした。長く看護師として働いていきたいという思いがあったため、持続可能な就労環境で看護師として働いていきたいと思い、退職を決意しました。

    応募先の就労時間は出来る限り把握をしよう
    看護師の長時間労働はかねてより課題として挙げられていますが、応募先も同等・それ以上の勤務時間であっては「うちでは働けないのでは?」と思われてしまいます。応募先の1日の労働時間は分かる限りで確認しておきましょう。

    4-3 先輩や同僚等の人間関係に関する不満の場合

    人間関係の悪さを伝えるのではなく、人間関係が原因によってやりたいことが出来ないことを強調した退職理由にしましょう。

    例えば、連携が希薄な職場であれば「チームワークを大切にしたい」「周りと連携しながら仕事をしていく方が自分に合っている」としたり、干渉しあうウェットな人間関係の場合は「周りのサポートがなくとも、自立したケアができるようになりたい」、足の引っ張りあいがあるのなら「看護の質を高めていくチーム医療がしたい」とするなど、伝え方を変えてみましょう。

    <回答例>

    前職では、独立志向の看護師の方が多く、同僚や先輩に相談をして患者さんの療養をより良くしていったりすることがなかなかしづらく、患者さんにとっていい看護を提供できているのかと思うことがありました。委員会活動などで、他職種の方と連携をして成し遂げた取り組みは、とてもやりがいを感じ、自分にはコツコツ1人でこなす仕事より、チームで考え、協力し合う看護のほうが向いていると気づきました。そのため、チームワークを大事にされているところで就労したいと思い、退職しました

    4-4 仕事内容に関する不満の場合

    研修参加の機会も得にくく、異動の希望も通らず専門性を高められないといった場合は、専門性を高めたいといった前向きな理由をそのまま退職理由としましょう。

    <回答例>

    もともと訪問看護でフットケアをやりたいと思い入職をしましたが、実際には褥瘡を持つ利用者様が多く、実践的な傷のケアをする機会に多く恵まれました。しかし、治りにくい傷を看ていくうちに、もっと基礎的な褥瘡ケアの知識や経験をつけたいと思うようになり、再度病院に戻って専門性を高めていきたいと思い、退職いたしました。


    まとめ

    職理由は前向き、目的意識を持って話すことで印象を変えられることと、退職理由の作り方、伝え方の回答例をまとめました。履歴書であれば「一身上の都合」と書けるところですが、面接となると詳しく根掘り葉掘り聞かれる質問であることから、そうもいきません。

    しかし、退職理由ほど、感情を込めて生々しく語ることができる部分はないと思っています。
    ぜひ、しっかりと対策をしてもらい、理想を叶えられる職場とのご縁が1人でも多くの方にありますよう、祈念しております。

     

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