合格率89.2%!!第109回看護師国家試験の受験状況・合格率を徹底分析
2020年3月19日と言えば。。
そう、第109回看護師国家試験の合格発表日です。
合格された皆さん、おめでとうございます!!
晴れて看護師として頑張って仕事されているものと思います。
これから受験を控える学生にとっては、看護師国家試験ってどの位の人が受験するの?合格率は?など色々と気になることはあるのではないでしょうか?
本稿では、看護師国家試験を今後受ける予定の方に向けて、第109回看護師国家試験の受験状況や合格率、また過去の受験状況や合格率の推移などを解説していきます。
*以下の情報は厚生労働省を参照に作成しております。
目次
1 第109回看護師国家試験の受験状況・合格率徹底解説
第109回看護師国家試験の結果は以下のようになっております。
受験者数:65,569名
合格者数:58,514名
合格率数:89.2%
なんと6万人近くの国家資格を持った看護師が誕生したんですね!!おめでとうございます!!
ただこちらは、あくまでも全体を集約したデータ。。
これって、過去と比べると合格率高いの??既卒受験者は?大学と養成所の違いは??
なんて、色んな疑問も出てくるのでは。。
この章では、様々な切り口から第109回看護師国家試験の受験状況・合格率を見ていきたいと思います。
1-1 過去から見る受験状況・合格率
第109回看護師国家試験の受験状況や合格率といっても、やはり過去の試験と比較しないと高いのか低いのかわからない部分も多いかと思います。
ここでは、第109回を含めた10年間の受験状況・合格率もお見せしながら、解説していきます!
1-1-1 受験者数はここ10年で最も多い!!
表1 第100回~第109回看護師国家試験結果(全体) | |||
看護師国家試験 | 全体受験者数 | 全体合格者数 | 全体合格率 |
第100回 | 54,138名 | 49,688名 | 91.8% |
第101回 | 53,702名 | 48,400名 | 90.1% |
第102回 | 56,530名 | 50,224名 | 88.8% |
第103回 | 59,725名 | 53,495名 | 89.6% |
第104回 | 60,947名 | 54,871名 | 90.0% |
第105回 | 62,154名 | 55,585名 | 89.4% |
第106回 | 62,534名 | 55,367名 | 88.5% |
第107回 | 64,488名 | 58,682名 | 91.0% |
第108回 | 63,603名 | 56,767名 | 89.3% |
第109回 | 65,569名 | 58,514名 | 89.2% |
表1、図1は過去10年間の新卒・既卒含めた全体受験者数と合格者数、合格率を示しており、第109回目の受験者数がここ10年で最も多い試験だったことがわかります。
10年間で1万人も受験者、合格者が増えているんですね!!
合格率については例年90%前後で推移している中で、昨年より0.1%減って、ここ10年で3番目に低い結果となっています。
1-1-2 新卒受験合格率は94.7%
表2 第100回~第109回看護師国家試験結果(新卒) | |||
看護師国家試験 | 新卒受験者数 | 新卒合格者数 | 新卒合格率 |
第100回 | 48,509名 | 46,785名 | 96.4% |
第101回 | 49,336名 | 46,928名 | 95.1% |
第102回 | 51,458名 | 48,413名 | 94.1% |
第103回 | 53,492名 | 50,846名 | 95.1% |
第104回 | 55,015名 | 52,547名 | 95.5% |
第105回 | 56,414名 | 53,547名 | 94.9% |
第106回 | 56,381名 | 53,177名 | 94.3% |
第107回 | 57,929名 | 55,764名 | 96.3% |
第108回 | 58,308名 | 55,216名 | 94.7% |
第109回 | 59,320名 | 56,175名 | 94.7% |
表2、図2は過去10年間の新卒受験者数と合格者数、合格率を示しており、第109回は新卒受験者数59320名、新卒合格者数56175名、新卒合格率が94.7%という結果でした。受験者数や合格者数は年々増加して過去最高になっています。
合格率は例年95%前後といった傾向で、20人のうち19人は合格という非常に高い結果となってます。
1-1-3 既卒受験者の合格率は37.4%で3人に1人の合格
表3 第100回~第109回看護師国家試験結果(既卒) | |||
看護師国家試験 | 既卒受験者数 | 既卒合格者数 | 既卒合格率 |
第100回 | 5,629名 | 2,903名 | 51.6% |
第101回 | 4,366名 | 1,472名 | 33.7% |
第102回 | 5,072名 | 1,811名 | 35.7% |
第103回 | 6,233名 | 2,649名 | 42.5% |
第104回 | 5,932名 | 2,324名 | 39.2% |
第105回 | 5,740名 | 2,038名 | 35.5% |
第106回 | 6,153名 | 2,190名 | 35.6% |
第107回 | 6,559名 | 2,918名 | 44.5% |
第108回 | 5,295名 | 1,551名 | 29.3% |
第109回 | 6,249名 | 2,339名 | 37.4% |
表3、図3は過去10年の既卒受験者数と既卒合格数、既卒合格率を示しており、第109回は既卒合格率37.4%、既卒受験者数6249名、既卒合格数2339名という結果でした。
新卒受験者が年々増えてきている一方で既卒受験者については10年間の推移を見ても大きな変化はないようです。
合格率は、全体の合格率や新卒受験者の合格率が例年あまり変わらない一方で、既卒受験者の合格率は年によってばらつきがみられます。概ね30%台といったところでしょうか。
例年、既卒受験者の合格率は、新卒受験者と比較して非常に低い傾向にあります。これは、働きながらの勉強する時間の確保が難しいことやモチベーション低下などが要因のようです。
やはり、新卒での1発合格が大事なんですね!!
1-2 学校区分での受験状況・合格率
全体での受験者数や合格率についてみてきましたが、
「私は専門学校だけども、大学や短大と比べるとどうなんだろう。。」なんて思う方もいるのではないでしょうか?
看護師になるためには、大きく分けると以下のようになります。
看護師になるための教育課程(引用:文部科学省)
- 高等学校卒業後に大学・短期大学・看護師養成所などで3年間(大学は4年間)の教育を受けるコース
- 准看護師の資格を取得してから2年間の教育を受けるコース
高等学校の看護に関する学科において入学時から5年間の教育を受けるコース
また、経済連携協定(EPA)に基づいた外国人看護師候補者も看護師国家試験を受験することが可能です。
それらを踏まえて、ここからは学校区分での傾向などをみていきたいと思います。
1-2-1 受験者数は養成所(3年)と大学で全体の4分の3
表4 第109回看護師国家試験(学校区分) | ||||
学校区分 | 学校数 | 新卒受験者数 | 既卒受験者数 | 全体受験者数 |
大学 | 255 | 21,228名 | 881名 | 22,109名 |
短期大学(3年) | 25 | 1,196名 | 234名 | 1430名 |
養成所(3年) | 546 | 25,193名 | 1,746名 | 26,939名 |
短期大学(2年) | 1 | 104名 | 31名 | 135名 |
養成所(2年) | 157 | 4,379名 | 520名 | 4,899名 |
高等学校専攻科(2年) | 9 | 224名 | 61名 | 285名 |
通信制(2年) | 25 | 3,282名 | 1,616名 | 4,898名 |
高校・高校専攻科(5年一貫性) | 76 | 3,433名 | 497名 | 3,930名 |
EPA | – | 112名 | 301名 | 413名 |
受験資格認定 | – | 345名 | 223名 | 578名 |
該当なし | – | 0名 | 129名 | 129名 |
表4は学校区分別で見た時の学校数、各受験者数をまとめたものになりますが養成所(3年)と大学で約5万名となっており、全体の4分の3を占めています。学校数で見ると、大学は養成所(3年)の半分でありますが、受験者数があまり変わらないことより、1校あたりの受験者数が多いものと考えられます。
1-2-2 教育課程が3年の方が合格率は高い傾向
表5 第109回看護師国家試験合格率(教育課程) | |||
教育課程 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 全体合格率 |
3年課程 | 95.5% | 49.8% | 92.9% |
2年課程 | 90.2% | 28.6% | 78.8% |
5年一貫性 | 94.9% | 30.6% | 86.7% |
EPA | 6.3% | 13.0% | 11.1% |
受験資格認定 | 64.3% | 31.8% | 51.2% |
該当なし | 0.0% | 8.5% | 8.5% |
表5、図4は教育課程別の各合格率を示していますが、3年課程が92.9%と他の教育課程と比較して高い傾向にあります。
また、EPAの合格率が約10%、つまり10人に1人しか合格できていない結果となっています。全体では合格率が90%前後となる試験ではありますが、外国人にとっては日本語習得などがやはり大きな壁となっているようです。
1-2-3 大学は合格率が95.0%と最も高い!!
表6 第109回看護師国家試験合格率(学校区分) | |||
学校区分 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 全体合格率 |
大学 | 96.6% | 56.0% | 95.0% |
短期大学(3年) | 92.1% | 43.2% | 84.1% |
養成所(3年) | 94.8% | 47.7% | 91.7% |
短期大学(2年) | 87.5% | 45.2% | 77.8% |
養成所(2年) | 95.3% | 41.3% | 89.6% |
高等学校専攻科(2年) | 93.8% | 32.8% | 80.7% |
通信制(2年) | 83.2% | 24.0% | 63.6% |
高校・高校専攻科(5年一貫) | 94.9% | 30.6% | 86.7% |
EPA | 6.3% | 13.0% | 11.1% |
受験資格認定 | 64.3% | 31.8% | 51.2% |
該当なし | 0.0% | 8.5% | 8.5% |
表6、図5は、学校種別での各合格率を示していますが、大学が全体での合格率が95.0%と最も高いことがわかります。
特に既卒合格率は56.0%と既卒者全体の合格率の37.4%と比較しても合格率が高くなっております。
大学は看護教育としては3年課程ですが、学生期間としては4年あるため、より落ち着きながら勉強に励めることが結果にも現れているかもしれません。
1-2-4 全体の約20%の学校で合格率100%を達成している
図6は学校区分での合格率100%の学校数と全体の学校数に占める割合を示していますが、全体の約20%、約200の学校が合格率100%を達成しているという結果となりました。
1-3 都道府県別の受験状況・合格率
ここまで、全体での受験状況や合格率、学校種別での違いなどを提示してきましたが、今度は都道府県別で見た場合の違いについて見てきます。都道府県別の違いといっても、今回は所属学校の所在地で分類しています。
1-3-1 受験者数が最も多いのはやはり東京
図7は都道府県別の受験者数を示していますが、受験者数が最も多いのは都市規模からもやはり東京。
2位に大阪、3位に福岡、最下位は福井という結果でした。
基本的に、都市の大きさに比例して養成校などの多さの違いが出ているのではないかと思われます。
1-3-2 合格率が最も高いのは長野県
図8は都道府県別の全体の合格率を示していますが、新卒・既卒者合わせた合格率が最も高いのは長野県で約97%でした。全体の合格率が約89%の中、合格率97%というのは素晴らしい数字といえます。都道府県全体を見ると、ほとんどが合格率90%以上となっていますが、逆に80%を切る都道府県があるなど、地域によって合格率に差があることがわかります。
図9は合格率で並べた時の各都道府県の新卒と既卒の受験者数割合を示しています。
こちらを見ると、合格率が下がるにつれて既卒受験者の割合が高くなっていることがわかります。
1-1で既卒者の合格率は低くなることをお伝えしたと思いますが、地域による合格率の差は既卒受験者の割合によって違いが出ているものと考えられます。
2 看護師国家試験のボーダーライン
1章では看護師国家試験の受験状況や合格率などについて様々な視点から解説していきました。
大事なことは、看護師国家試験は試験者を落とすための試験ではなく、試験のボーダーライン、つまり合格基準点をクリアできれば必ず合格できる試験だということ。
「じゃあ、そのボーダーラインってどれ位なの?」っと思いますよね。
表7に看護師国家試験の問題構成と配点、合格のボーダーラインを示します。
下記で、問題構成や合格のボーダーラインを細かく解説していきます。
2-1【必修問題】【一般問題+状況設定問題】の2種類の得点にボーダーラインが定められている
看護師国家試験は、
【必修問題】【一般問題】【状況設定問題】
の3つの構成で成り立っています。
ボーダーラインについては、
【必修問題】【一般問題+状況設定問題】
の2種類の得点に対して、それぞれボーダーラインが定められています。つまり、全ての合計得点ではなく、どちらか一方がボーダーラインを超えなかった場合は合格することができない試験となっています。
2-2【必修問題】は得点率80%以上(40点以上)がボーダーライン
【必修問題】は、確実に得点率80%以上が求められます。この80%以上という基準は、毎年変更されることはありません。不適切問題により39点がボーダーラインとなった年もあるようですが、基本的には40点以上が必須です!!
2-3 【一般問題 + 状況設定問題】 は得点率60~70%がボーダーライン
【一般問題+状況設定問題】のボーダーラインは毎年変動しているものの、過去の傾向から得点率60~70%がボーダーラインだと思われます。
*図10は過去10年間の【一般問題+状況設定問題】のボーダーラインとその年の合格率を示しています。(参照URL:厚生労働省)
1章でも紹介した通り、合格率は例年90%前後となっていますが、ボーダーラインは最低が第106回の142点(得点率57.26%)、最高が第103回の167点(得点率66.80%)とかなり変動があることが見て取れます。
絶対評価の【必修問題】とは違い【一般問題+状況設定問題】は相対評価のため、その年の問題の難易度に合わせてボーダーラインが変わることは、この図からもわかるのではないでしょうか?
結局何点を目指せば。。これから受験勉強をする人にとっては目標が見えにくいともいえます。
過去の傾向からもボーダーラインが得点率で凡そ60-70%(150点-170点)の範囲内にあるとも言えます。
受験者にとっては、絶対合格するボーダーラインを見据える必要があるため、170点、得点率70%などを一つの目標と考えるのが良いのではないでしょうか。
*105回・107回は247点満点、106回は248点満点(採点除外問題のため)
3 まとめ
第109回看護師国家試験は、ここ10年で最も多い約65569名の方が受験し合格率は89.2%でした。合格率が高いのは、学校区別で見ると大学、学校の所在地でみた都道府県別では長野県という結果でした。合格率は例年90%前後とされ、試験の一般問題と状況設定問題のボーダーラインで調整されているようです。
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