5年経験した著者が語る、オペナースに向いている看護師の3つの特徴
手術室への異動の打診を受けた際に、以下のような悩みを抱える看護師が多いと思います。
・手術室への異動を希望すべきだろうか?
・手術室はかなり大変そうだけど実際どうだろう?
・どんな人がオペナースに向いているのだろう?
著者は5年間オペナースを経験しましたが、手術室勤務を経験して良かったと心から思っています。なぜなら、10を超える科の手術を担当したり、医師と直接コミュニケーションを取ることで自分の成長に大きく繋がったからです。
だからこそ、手術室への異動を打診している看護師には、ぜひオペナースを経験してほしいと思っています。特に、あなたが下記に該当するようでしたら尚更おすすめです。
・処置や介助が好き
・緊急対応もワクワクし、やりがいを感じる
・専門性を高めることを希望する
ただし、オペナースに向いていない看護師がいるのも事実です。例えば「自分のペースを守りたい」「広範囲の勉強をしたくない」と思われる方は不向きです。本記事は、手術室への異動の打診を受けているあなたのために作りました。本記事を読んでいただければ、オペナースの実態だけでなく、あなたが「異動すべき」か「しないべき」かの判断がつくようになります。もし、判断に迷っているようでしたら最後まで読んでいただきたいです。
目次
- 1 オペナースを5年経験した著者が語る、オペナースに向いている看護師の3つの特徴
- 2 オペナースを5年経験した著者が語る、絶対手術室を勧めない看護師像
- 3 手術室での主な役割と病棟看護との違い
- 4 オペナースを経験した著者が新人オペナースに伝えたい13のアドバイス
- 4-1 【アドバイス①】夜勤がない分給与は50万以上減る
- 4-2 【アドバイス②】平日休みがとりにくい
- 4-3 【アドバイス③】異動が外科系に偏り、重症度高い部署
- 4-4 【アドバイス④】手術以外の時間は器械の準備や他のオペの手伝い
- 4-5 【アドバイス⑤】休憩は病棟に比べると取れやすくきっちり1時間
- 4-6 【アドバイス⑥】手術室のスケジュールは意外と忙しくない
- 4-7 【アドバイス⑦】日勤と夜勤でも業務自体の違いはほとんどない
- 4-8 【アドバイス⑧】長時間の拘束があると思いきや実は無し
- 4-9 【アドバイス⑨】キャリアはオペナースだけで終わる人も多い
- 4-10 【アドバイス⑩】医師と最も仲良くなれるのが手術室
- 4-11 【アドバイス⑪】慣れるまでは最低1年はかかる
- 4-12 【アドバイス⑫】新人にオペナースはオススメ
- 4-13 【アドバイス⑬】オペナースは1年間は毎日勉強する覚悟は必須
- 5 まとめ
1 オペナースを5年経験した著者が語る、オペナースに向いている看護師の3つの特徴
手術室は実は認知度が低く、希望する人が少ない部署になります。それは情報が少なかったり、経験者も少ないためです。新卒から5年以上オペナースとして働いた著者が知る、向いている人をまとめました。
・処置や介助が好き
・緊急対応もワクワクし、やりがいを感じる
・専門性を高めることを希望する
この3つが備わっている方は迷わずオペナースを希望すべきです。
1-1 【向いている①】処置や介助が好き
オペナースは手術に対して直接介助するか、間接的に介助することがメインの業務になります。そのため、医師を始めとした、医療スタッフがスムーズに手術が進められるようなサポートが大事になります。多くのオペナースは手術が予定より早く終わったり、テキパキとこなせることを喜びに感じます。向き・不向きがわかりやすいのは、処置や介助が好きか嫌いかでハッキリ分かれます。
1-2 【向いている②】緊急対応もワクワクし、やりがいを感じる
手術室では定期の手術以外に緊急手術も多く行われます。時には、手術の準備をしながら、患者さんを受け入れることもしばしばあります。またオンコールで自宅で待機して呼出しを受ける病院も多々あります。そういった緊急対応をストレスに感じず、逆に燃えるような方は向いています。私も緊急手術が入るたびに不安や緊張はありましたが、それが楽しくなっていました。不測の事態も楽しくこなせる看護師がオペナースとして向いていると言えます。
1-3 【向いている③】専門性を高めることを希望する
病院によって方針は異なりますが、基本的に複数科の手術を担当します。一般外科、整形外科、脳外科、泌尿器科の他に、心臓外科や形成外科など場所によっては10を超える科の手術を担当します。それぞれ分野やポイントも違うため、覚えることは違います。整形外科などは新しいメーカーを医師が試す度に、勉強会などで情報を入れ直さないといけません。私自身も、経験を重ねても勉強せずに臨めたことがないくらい日々復習も兼ねて行っていました。そのため、専門性を高めたり、幅広い分野の勉強をしたいという看護師はピッタリの職場になります。
2 オペナースを5年経験した著者が語る、絶対手術室を勧めない看護師像
1章とは逆に、オペナースを考えていたり、異動の打診をされても、絶対やめたほうがいい看護師もいます。
・患者さんとのコミュニケーションを生きがいにしている
・自分のペースを大事にする
・広範囲に勉強したくない
自信をもってこの3つに当てはまる方は、働くべきではないと言えるので、説明していきます。
2-1 【向いていない①】患者さんとのコミュニケーションを生きがいにしている
オペナースは手術の直接業務か間接業務が主な仕事になります。そして半分以上の手術では患者さんが眠ってしまいます。そのため、患者さんとのコミュニケーションは病棟と比べると10%程度しかありません。医師や他職種とのコミュニケーションが主ではありますが、緊迫した状況でもあるので、多くの言葉を交わすことがありません。そのため、患者さんとのコミュニケーションを生きがいにしている看護師には、絶対的に向いていません。会話量もかなり少なく、想像力を働かせて従事する職場になります。
2-2 【向いていない②】自分のペースを大事にする
1-2に書いたように、定期業務以外に緊急手術\が少なくありません。また医師が主体でもあるため、必ず主治医に合わせたペースで業務しなければいません。「早くしろ!」と急かす医師もいれば、のんびり進行する医師もいます。自分のペースで業務ではなく、その場の雰囲気に合わせる対応力が必要とされます。そのため、自分のペースで仕事したいという看護師は最も向いていないと言えます。
2-3 【向いていない③】広範囲に勉強したくない
オペナースは複数科に関しての知識を求められます。1つの科を極めるよりも、複数科に関してある程度の知識量が求められます。働いてからあまり勉強したくない方は勿論ですが、深く学びたい方には合いません。沢山の知識量を求める方にはピッタリですが、突き詰めたい研究者のような方にも向いていない部署と言えます。
3 手術室での主な役割と病棟看護との違い
オペナースは主に「器械出し看護」と「外回り看護」の2つの業務があり、一般的に医師に器具を渡すのが「器械出し」でそれ以外の業務を「外回り」と言います。意外ですが、オペナースに比べて病棟看護師のほうが、業務過多で、残業も多い傾向にあります。これは定期の手術がメインでもあり、スケジュールガ組まれていたり、病棟のようにナースコールの対応がないことが大きく影響しています。
3-1 医師に器具を渡すことをメインとする器械出し看護
器械出し看護では、手術の様子をうかがいながら執刀医が必要とする器械を素早く渡し、手術を直接的にサポートします。手術の進行は術式や患者さんの状態などにより左右されるため、いかなる状況にも対応できる冷静沈着な精神と、その裏付けとなる確かなスキルが求められるでしょう。また、器械そのものも日進月歩で進化しているので、最新の情報が求められます。器械出しが滞ると、手術時間が長くなったり、患者さんの負担が増えたりします。
3-2 薬剤管理や物品管理、ガーゼカウントなど全ての業務をこなす外回り看護
外回り看護は器械出し以外の手術に関する看護業務全般のことで、医療機器の準備や温度調整、患者さんの体位変換や全身状態の確認、手術の記録などが含まれます。術前オリエンテーションや術後のケアを通して患者さんの不安を取り除くことも大切な仕事の一つです。手術中は出血量や、ガーゼの枚数確認、バイタルサインの確認と異常時の報告など、意識を向けることが多くあるので、手術全体の流れを把握する必要があります。
3-3 オペナースと病棟看護師の違い
手術室の看護と病棟看護での違いは、はっきり違うところがあります。
手術室看護 | 病棟看護 | |
患者さんとのコミュニケーション | 少ない | 多い |
家族対応 | 少ない | 多い |
ナースコール | なし | あり |
昼休憩 | 定時にきっちり60分 | 不規則で短いことが多い |
残業 | 少ない | 多い |
意外にも休憩時間がきっちり取れていたり、手術の延長などは当番制や事前にわかっていることもあるので、残業時間は少ない傾向にあります。意外かもしれませんが、緊急手術などがなければ、日々のスケジュールも立てられ、ナースコールなどが多い病棟に比べると円滑に業務が行える傾向にあります。著者も勤務後の予定が立ちやすく、趣味の時間に費やすことが容易でした。
4 オペナースを経験した著者が新人オペナースに伝えたい13のアドバイス
オペナースは経験者が少ない上に、情報も少ないです。もし希望する場合もテレビやイメージが先行しやすく、著者もかっこいいイメージが先行して足元が見えていませんでした。経験したからこそ伝えたいのは、事実を知って検討頂くことだと思いますので、気になるだろうことを含めて網羅的に記載しています。
4-1 【アドバイス①】夜勤がない分給与は50万以上減る
著者は新卒でしたので、後から知りましたが、病棟に比べて、オペナースは年収が50万以上低くなります。専門性も高くて貴重な存在のはずなのに、イメージと違うと思います。理由は簡単で、夜勤がないからです。看護師の夜勤手当は場所によって異なりますが、1回あたり5,000円~1万円などになります。毎月4回以上行っているので単純にその分の手当が無くなります。ただその分、3章にあるような、定時で上がりやすかったり、昼休憩がとりやすかったり、専門性を幅広く高められるなどの特性もあるので、加味するのが大事だと思います。
4-2 【アドバイス②】平日休みがとりにくい
定期手術がメインであるため、オペナースの休みは土日が多くなります。そのため、病棟看護師のように平日休みが少なく、お子さんのイベントなどが重なると交渉が必要になります。逆に土日休みを希望する方にとっては、病棟以上に取りやすいので、ライフスタイルや、パートナーの勤務などにもよります。
平日休みの空いている時に出掛けたい、買い物したいと希望する看護師にとっては重要な要素になりますので、是非知っておいてください。
4-3 【アドバイス③】異動が外科系に偏り、重症度高い部署
オペナース経験者は異動する場合、外科系の病棟か、ICUやHCUなど重症患者さんを看る傾向にあります。理由は簡単で手術室で培った経験を活かすことができるからです。内科などを希望しても叶いにくい傾向にあります。またオペナースは専門性が高く、変えも聞きにくいので新卒からずっとオペナースという方も多く存在します。一度ハマると抜けられなくなるというのも特徴と言えるかと思います。
4-4 【アドバイス④】手術以外の時間は器械の準備や他のオペの手伝い
オペナースは手術以外の時間の使い方がイメージできないかと思います。大体予定の手術に合わせて器械の準備をしたり、術式に合わせた部屋作りを行います。それ以外は他の手術の入室や退室の手伝いなどを行います。場所によっては使った器械の洗浄や滅菌のためのパック詰めを行います。意外と手術以外の時間も予測しながら行ったりやりがいは大きいです。
4-5 【アドバイス⑤】休憩は病棟に比べると取れやすくきっちり1時間
看護師自体が休憩時間が少ないとされていますが、オペナースは時間で手術なども組まれているためかきっちり1時間とれることが多いです。10時間予定の手術などの場合でも休憩用に交代で看護師が入るほどしっかり調整出来ています。時には時間がずれ込むことがありますが、看護師の中で最も休憩がとれる部署といえます。
4-6 【アドバイス⑥】手術室のスケジュールは意外と忙しくない
手術室のスケジュールは時間での手術がベースにはなるため、きっちりは埋まっていますが、忙しくはありません。これは緊急手術を受けられるように余裕をもっているケースも多いためです。
8:30~8:45 | 朝礼、申し送り、情報収集 |
8:45~9:30 | 器械の準備、あるいは手術室の準備、術前訪問 |
9:30~11:30 | 手術1件目 |
11:30~12:30 | 器械片付け、部屋の片づけと次の手術の準備 |
12:30~13:30 | ランチ休憩 |
13:45~15:00 | 手術2件目 |
15:00~15:30 | 器械片付け、部屋の片づけと次の手術の準備 |
15:30~17:00 | 手術3件目 |
17:00~17:30 | 器械片付け、部屋の片づけ、終礼や記録の整理 |
ある日勤帯のスケジュールになります。緊急手術があり他のことを手伝ったりするなどがありますが、ベースの手術対応が決まっていればそのスケジュール通りなので緊張感はあるかもしれませんが、忙しさはありません。
4-7 【アドバイス⑦】日勤と夜勤でも業務自体の違いはほとんどない
手術室での夜勤は三次救急の500床以上の一部の病院のみ対応していますが、基本的には長時間手術の延長と19時以降の行われる予定手術になります。手術がなければ翌日の手術準備や場所によっては病棟や救急を手伝うところもありますが、基本は日勤帯と変わりません。夜間の緊急手術では帝王切開や急性虫垂炎などが多くあります。
4-8 【アドバイス⑧】長時間の拘束があると思いきや実は無し
長時間の手術の際にはトイレやご飯も食べれないイメージのオペナースですが、実際は間に休憩時間が必ず確保されるので、長時間の拘束はありません。もしトイレなどが限界になれば医師や外回り看護師に相談して調整することはできるので、トイレに全くいけないということはありません。ただ6時間程度の手術は通しでやることはあるので、その日の勤務をみて食事や水分量は調整はしています。
4-9 【アドバイス⑨】キャリアはオペナースだけで終わる人も多い
オペナースはベテランや長期間就業看護師が最も多い部署になります。理由は他の部署よりも専門性が高かったり、日勤業務のみな病院も多いので、女性にとって継続しやすい部署になるためです。認定看護師制度があったり、希望する看護師も少ないことも理由にはなります。専門性が強い部署であり、働きやすい手術室はキャリアで最後になる看護師も少なくありません。
4-10 【アドバイス⑩】医師と最も仲良くなれるのが手術室
オペナースは基本手術中は医師と関わるため、どの病棟看護師よりも接する時間が長く仲良くなりやすいです。医師も手術が好きなので、色んな話をしたりできます。研修医に教えたりする場面も多く、新人看護師も優しく教えてもらえる環境にあります。医師も手術室の飲み会の参加率も高いので、最も仲良くなりやすい部署になります。医師と結婚したい看護師には一番おすすめできます。
4-11 【アドバイス⑪】慣れるまでは最低1年はかかる
オペナースで仕事に慣れるには最低1年はかかります。器械だし業務、外回り業務をそれぞれ最低半年ずつが慣れるまでの最短になります。これは担当する科の多さにもよりますが、著者も12の科の手術を担当して1年半くらい慣れるまではかかりました。新人からというものありましたが、外科病棟から移動してきた先輩は1年掛かっていたのが、大きな理由です。科の数にもよりますが、大体複数の科を担当することが多いです。
4-12 【アドバイス⑫】新人にオペナースはオススメ
著者は経験したからわかりますが、オペナースは医師とも仲良くなれ、勉強もできるし、複数科を知ることができるので非常にオススメできる職場です。認定看護師として研鑽したり、管理職を目指したり、単純に手術室業務を楽しんだり様々なキャリアが積めます。ワークライフバランスを将来的に重視したい方にもおすすめです。
4-13 【アドバイス⑬】オペナースは1年間は毎日勉強する覚悟は必須
手術室の最大のネックは慣れるまでは勉強が欠かせないことです。オペナースとして様々な手術に入るので術式を覚えないといけないです。器械を覚えないといけないので、事前準備ができるようになるまでには少なくとも半年は時間がかかります。先輩オペナースから学んだり、その病院にある手順書などを熟読して何度も手術に臨んでやっと習得できます。最初の半年は休日の時間も自己学習に充てるくらい勉強は必須ですが、慣れた後は簡単です。最新の術式があった際に覚えたり、医師が変わった際に癖を覚える程度なので、1年は努力することを念頭にしましょう。
5 まとめ
オペナースは向き不向きがありますが、しっかり理解すれば長期に働くことができ、ワークライフバランスも整っているので、オススメの部署にはなります。
・処置や介助が好き
・緊急対応もワクワクし、やりがいを感じる
・専門性を高めることを希望する
上記が向いている絶対的な特徴であり、「患者さんとのコミュニケーションを生きがいにしている」「自分のペースを大事にする」「広範囲に勉強したくない」方には向いていません。
今回オペナースを検討している方に向けて、病棟との違い、アドバイスを13項目挙げましたので是非皆様の参考にして頂ければ幸いです。
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