眼科での看護師の仕事とは?転職前に知っておくべき眼科看護師の全て
あなたは看護師として眼科で働くこと、、想像できますか?
消化器内科、整形外科、神経内科、などなどで看護師として働く場合、基本的な身体介助や看護スキルは共通するところもあるため、なんとなくイメージができるという方も多いはず。
一方、眼科看護師として働く場合、馴染みがあまりないため、看護師として一体どんな仕事をするなのか、どんな働き方なのかがいまいちイメージがつきにくいかと思います。
眼科はそのほとんどが病棟勤務でない場合が多く、外来やクリニックでの勤務がメインとなります。そのため、本項では外来やクリニックでの眼科看護師の仕事内容や役割など実際に働くことがイメージできるように解説していきます。
本項を読めば、眼科看護師に転職すべきかどうか判断できるようになるでしょう。
目次
1 眼科看護師の仕事内容・役割
まずは、眼科看護師の仕事内容・役割を抑えておきたいところ。
眼科看護師として働く場合、以下のように視能訓練士の有無や手術の有無で仕事内容やその忙しさも異なってきます。下記が大まかなパターンと仕事内容です。
①視能訓練士がいる場合:医師の診察サポートや基本的な看護業務など
②視能訓練士がいない・もしくは足りない場合:① + 検査業務
③手術があるクリニックの場合:① または ② + オペの準備・医師の手術介助など
眼科で働く医療従事者は、医師、看護師の他に、視能訓練士がいます。視能訓練士も国家資格で、主に視力検査や眼圧検査などの検査を行うことができる資格です。
それでは解説していきます。
1-1 視能訓練士がいる場合
勤務先に視能訓練士がいる場合、看護師の仕事は眼科検査以外の診察補助業務が主な業務となります。
眼科ではたくさんの種類の検査が日常的に行われていますが、それらのほとんどを視能訓練士が担当し、看護師は検査補助という形になります。
下記に仕事内容を挙げます。
- 医師の診察サポート:患者さんの呼び込みや事前の情報収集、診察準備
- 基本的な看護業務:採血、点滴、注射など
- 点眼業務:説明や指導など
- 視能訓練士の検査補助
検査以外で診療補助業務の代表的なものが処置です。診察をした医師から指示を受けて点眼や軟膏塗布など、各処置を行います。
外来は1日に多くの患者さんが受診されますので、いかに円滑に診察が進むのか、全体を見ながら行うような能力が求められます。
後述しますが、手術をしないクリニックで、視能訓練士がしっかりといる場合は、かなり眼科看護師の仕事の幅も狭くなります。いわゆる、外来での医師の診察サポートがメインとなるため、クリニックの規模にもよりますが比較的落ち着きながら仕事ができるかと思います。その代わり給料はあまり高望みはできないため、眼科看護師としての専門性よりは、ワークライフバランスを重視したい方には良いと思います。
1-2 視能訓練士がいない・もしくは足りない場合
視能訓練士がいない場合、もしくは足りない場合は、1-1で挙げた、視能訓練士の検査補助というのが、補助ではなく、実際に行う割合が増えます。実は、視能訓練士が行うことができる検査などは、基本的には看護師が行っても問題ありません。
前述しましたが、眼科では検査業務が多くあるため、覚えるのに最初は苦労するかもしれません。仮に視能訓練士がいる場合でも、眼科で働く以上はこれらは抑えておいた方がいいスキルになります。
検査業務というのは、例えば下記のようなものです。
- 視力検査:視力の状態を確認
- 眼圧検査:緑内障などの疾患の診断・治療で重要
- 視野検査:視野が欠けていないかみる検査
- 眼底検査:視神経や網膜の状態をみる検査
- 細隙灯顕微鏡検査:眼球の表面や水晶体や硝子体を調べる検査
視力検査などは受けたことがない人はいないとは思いますが、そのほかはどうでしょうか?馴染みの薄い検査もあるのではないでしょうか。
検査は正しい手順や理解がないと、間違った検査データになってしまうため、検査者のスキルは非常に重要です。
その他にも、眼科の検査、検査器具は数も多く、全て看護師が行うわけではないですが、一通り知っておいた方が転職前には良いかと思います。実際の検査実務については、転職前にできなくても転職後に学ぶ機会があるのでその辺りはご安心を。
下記サイトが参考になるため、興味のある方は見ていただけたらと思います。
参考サイト:眼科の主要検査一覧 – 春日井市・小牧市の眼科なら平田眼科
視能訓練士がいない場合、もしくは足りない場合は、視能訓練士が行う仕事の分も看護師が行っていくため、その分マルチに仕事をこなしていくことより、視能訓練士がいる場合と比較して忙しくなると思った方が良いでしょう。比較的規模の小さいクリニックがこちらに該当することと、実際に眼科検査プロである視能訓練士に教えてもらえる環境の方が好ましいので、できれば視能訓練士がいるクリニックの方が良いでしょう。
1-3 手術があるクリニックの場合
手術を行っているクリニックの場合は術前術後の患者のケアや、手術の準備も眼科看護師の大切な仕事の一つです。
- オペの準備・医師の介助:器械出しや患者さんの術前対応
- 術後の患者さんへのフォロー:患者さんの介助や説明
眼科の手術対象の疾患は、白内障、緑内障、網膜剥離、レーシックなどになります。
眼科の手術は、例えば、白内障手術であれば手術自体の時間は10~20分程度となり、日帰り手術が主流となっています。人気の眼科であれば、予約も多いため、かなりの回転で手術が行われるので勤める看護師も忙しくなります。
術後の視野は不安定になっているため、術後の患者さんの介助も大事です。術後の注意事項などの説明も非常に大切になっています。
手術があるクリニックで勤めた場合は、外来対応やオペ対応、検査など、仕事内容が幅広くなりますので、眼科看護師としての知識や専門性なども高められることが考えられます。給料も手術がないクリニックより高い傾向にありますが、一方で、忙しい部分は出てくるかと思います。
眼科看護師として専門性を求めたいし、給料もある程度欲しい方にはおすすめです。
2 眼科看護師の給料
眼科看護師の年収は、一般的な外来看護師とほぼ同じで年収400万前後と考えて良いでしょう。
一方で、2019年の看護師の年収は平均483万円です。(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 平成30年度」)
看護師の多くが病棟看護師であるため、こちらの平均年収は病棟看護師の年収と近いと考えて差し支えないかと思います。今病棟勤務の方の場合は、クリニックに眼科看護師として転職した場合は年収が下がる方が多いかと思います。眼科看護師の年収が看護師の平均年収と比較して低いのは、夜勤の有無が大きく影響しているためです。
また、眼科看護師の給料は、職場の医療方針によって大きく異なります。眼科看護師の月給は、ネット上での求人を確認したところ、おおむね20万円弱~35万円ほどとなっています。傾向としては、手術を行っているクリニックは高い傾向にあります。そのため、眼科看護師をやってみたいけど、なるべく給料が、、と考えている方は手術を行っているクリニックを探してみるのも一つだと思います。
3 眼科看護師の勤務形態
眼科看護師の勤務形態は働き方を考える上では重要です。
それでは紹介していきます。
3-1 日勤のみの完全週休2日制
勤務形態は日勤のみの完全週休2日制である場合が多いです。祝日も休みであることが多いため、年間休日数は120日以上としっかり休めます。多くが土日休みのため、カレンダー通りの休みになることが期待できます。
病棟勤務での夜勤やシフト制では難しい子育て世代のママさん看護師にとっては、眼科クリニックで働くことのは一つの選択肢になると思います。眼科クリニックではパート勤務ができることが多いため、その人のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
3-2 クリニックの休診日によって土日休みでない場合もある
クリニックによっては、休診日が、土午後・日・祝や、金曜・祝日・土曜午後・日曜午前など、土曜や日曜に半日行っている場合もあり、土曜日が日曜日が休みとならないこともあります。こういったクリニックでは、シフトで運営していたり、あらかじめ希望で休みを固定していたりします。
クリニックの休診日や求人票をみて、どんな勤務形態かは必ず確認した方が良いでしょう。
4 眼科看護師の1日のスケジュール紹介
1日のスケジュールみると、より一層働くイメージが持てます。
以下に、手術がないクリニックでの1日のスケジュールを示します。
クリニックにもよりますが、残業はほとんどなく定時に帰れることが多いでしょう。
通勤などが楽な街中にも眼科クリニックは多くあり、通勤のしやすさも合間って子育て世代にとっては働きやすい環境と言えます。
5 眼科看護師になる前に知っておきたいこと
他の科にはない眼科看護師の大変な面も存在します。就職・転職した時に後悔しないためにもぜひ知っておいた方が良いでしょう。
眼科看護師になる前に知っておいて欲しいことは以下の5つです。
- 看護師ならではの業務が少ない
- 他の科への転職がしづらくなってしまう
- 検査やその機会が多く覚えるのに大変
- ルーティンワークに苦痛を感じてしまう
それでは紹介していきます。
5-1 看護師ならではの業務が少ない
眼科看護師はその職場によっては、看護師ならではの業務、例えば、患者さんのケアや、採血、点滴、注射などが少ない場合があります。
そのため、受付事務や視能訓練士との業務内容が変わらず、人によっては看護師としての存在意義に疑問を持ってしまう方もいるかと思います。
特に手術を行わず、視力検査や投薬などでの眼科治療がメインの職場の場合は、特にそのように感じられるかもしれません。
眼科看護師としての専門性や知識、スキルを身につけたいという方は、手術などを日帰りで実施している眼科をおすすめします。ただし、手術ができる眼科そのものの数が限られる関係で、そこで働いた場合は忙しいこともありますので、その点は注意が必要です。
5-2 他の科への転職がしづらくなってしまう
眼科看護師はその特殊な専門性のため、他の科への転職がしづらくなってしまうかもしれません。眼科看護師の専門性が、他の科ではあまり活かせられないためです。
病棟看護師のような身体介助、点滴や注射などの処置は、ほとんどすることがないため、眼科看護師としての勤務が長くなるほどそういった職場に戻ることは難しいと考えてしまいます。
一方で、日々多くの患者さんと接するうちに、コミュニケーション能力は磨かれることもあります。そういったコミュニケーション能力は、他の科でも活かされることもあります。
5-3 検査やその機械が多く覚えるのに大変
検査や機械操作が多いため、最初は覚えるのが大変であることは覚悟した方が良いでしょう。
眼科看護師へ転職する場合、眼科経験がないことがほとんどだと思います。検査や使う機械は全く初めてということも多いでしょう。数も多くて馴染みもないため、最初は覚えるのに苦労するかと思います。
逆に、大変なのは最初だけと割り切れる人、また機械操作に抵抗感がない人であれば、そこまで問題だと感じないでしょう。
5-4 ルーティンワークに苦痛を感じてしまう
人によっては、ルーティンワークに苦痛を感じてしまうかもしれません。
4-3で最初は色々と覚えるのが大変と挙げましたが、その大変な時期を過ぎると、基本的な業務はルーティンワークとなります。
外来では多数の患者さんに対応するため流れ作業になりがちで、そういった仕事スタイルが合わない人にとっては悩ましいポイントです。仕事を“こなす”という形に、つまらなさを感じてしまうかもしれません。
一方で、一般病棟とは違って急変などはまずないですし、ルーティンワークの方が気持ち的にも安心して仕事に打ち込めるという方もいます。そういった方にとってはむしろメリットで魅力的に感じられるでしょう。
6 眼科看護師に向いている人の4つ特徴
眼科看護師に向いている人の特徴を下記に挙げます。
- コミュニケーション能力がある方
- 患者さんにあまり深入りせず仕事をしたい方
- 他職種と協調性を持って仕事ができる方
- 気配りができる方
- ワークライフバランスを重視したい方
それでは解説していきます。
6-1 コミュニケーション能力がある方
コミュニケーション能力がある人は眼科看護師に向いています。
眼科看護師は、視力検査などの検査を行うことも多々あり、しっかりと伝える能力が求められます。
例えば、視力検査などは、患者さんが見ようとしなければ、良い結果が出ません。眼科看護師には「やる気のない人」や「思い込みの強い人」「神経質な人」などをうまく誘導しながら、正しい検査結果を導き出すことが求められます。コミュニケーションをとるのが好きでなければ務まりません。
6-2 患者さんにあまり深入りせず仕事をしたい方
患者さんにあまり深入りせず仕事をしたい方は向いています。
これは眼科看護師というよりは、クリニックなどの外来勤務の看護師全般に言えることですが、基本的に外来では1人1人の患者さんと接する時間は短くあまり深い関係性になることもありません。
患者さんとはドライな関係性の方が気楽に仕事ができる人には眼科看護師が良いかと思います。
6-3 他職種と協調性を持って仕事ができる方
眼科では、視能訓練士や眼科コメディカルという他の科では接する機会のないスタッフと一緒に仕事するため、協調性を持って仕事ができる方が良いでしょう。
視能訓練士は眼科検査のプロであり、眼科に関しては知識も技術も看護師よりも当然勝っています。
看護師としての変なプライドも持たずに、分からないことがあれば素直に教わる姿勢も大事で、他職種と協調性を持って仕事ができる人が好まれるでしょう。
6-4 気配りができる方
気配りができる方が眼科看護師には向いています。
眼科クリニックでは、待ち時間が長いなどのクレームが多い傾向があります。
事前にどれ位時間がかかるのかなど説明を行ったり、座っている患者さんに対してはベッドで休みながら順番を待ってもらうなど、きめ細かな気配りが必要です。
また、患者さんは視力障害がある方も多いため、検査や処置の際に、きめ細かい声かけをすることも患者さんの安心に繋がるため、そのような気配りは必要になってきます。
5-5 ワークライフバランスを重視したい方
日勤のみで休みもしっかり取れ、残業も少ない職場が多いことより、ワークライフバランスを重視したい方に向いているでしょう。
また、病棟勤務と比較して身体介助がほとんどなく、身体的な負担が少ないことも魅力の一つです。あまりにも疲れがひどいと仕事以外の時間にも疲れを取ることに費やしてしまうでしょう。
一方で、給与は高望みできないため、給与は譲れない、もっと稼ぎたい方にとっては不向きかと思います。
7 眼科看護師についてのQ&A
この章では、今まで説明できなかった眼科看護師についての細かな疑問をQ&Aで説明していきます。
眼科看護師の仕事内容や仕事量は1章のように職場によりけりです。手術を行っている職場の場合は、患者さんの数も多く、仕事の幅も広いため忙しいことが多いです。一方で、忙しい職場は比較的、給与も良い場合が多いので、何を優先したいかで職場を検討した方が良いでしょう。
眼科看護師のスキルアップするには、資格の取得が一つの方法です。
視能訓練士は、眼科で患者さんの視機能の検査や矯正訓練をおこなう目のスペシャリストで国家資格になります。資格取得を通して眼科看護師としての知識やスキルがアップするでしょう。(参考:公益社団法人 日本視能訓練士協会 | 協会について)
一方で、取得には学校に通い、国家試験に合格する必要があります。そのため、ちょっとハードルが高い気がする人も多いかと思います。
そんな方には、眼科コメディカルの受講がおすすめです。眼科コメディカルは、資格ではないのですが、あくまで眼科の専門的な知識を得たい人が勉強のために講習を受けるものになります。眼科に特化したことが勉強できるので、受講後に試験に合格した際には自分の技術や知識に自信を持つことができます。眼科コメディカル講習会は、各自治体独自で開催されます。
8 まとめ
眼科看護師の仕事内容・役割など説明してきましたがいかがでしたか?
眼科看護師の仕事は勤務するクリニックの体制や手術の有無などで大きく変わってきます。馴染みのあまりない分野であり、初めは慣れるのに苦労するかもしれませんが、夜勤もなく休みもとりやすいことから、病棟勤務をやめたい、ワークライフバランスを重視したい方には選択肢の一つになります。興味がある方は、パートなどから経験していくのも良いかと思いますので、是非チャレンジしてみてください。
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