病棟勤務と何が違う?外来看護師の仕事内容・悩みなど徹底紹介
同じ看護師でも病棟勤務と外来勤務では業務は全く異なります。
病棟勤務の看護師にとって、多くの人が転職を考える際に外来が候補として出てくる一方、その業務内容の違いから、転職した際に後悔しないだろうか心配になる方も多いのではないでしょうか?
そこで本稿では、外来看護師について、仕事内容や、どんな点が病棟看護師と違うのか、どんな悩み所があるのかなどを詳しく解説していきます。
もし、あなたが外来看護師への転職を悩まれているのであれば、全て読み終える頃には、その悩みは解消されていることと思います。
1 外来看護師の仕事内容
まずは、外来看護師の仕事って何なのかを知っておきたいところ。
外来看護師の仕事は主に下記の4つ挙げられます。
- 医師の診察サポート
- 療養相談・指導
- 事務業務
- 病棟との連絡・連携業務
それでは一つずつ解説していきます。
1-1 医師の診察サポート
医師の診察サポートは外来看護師の主な仕事の一つです。
医師の診察前には、スムーズに患者さんが診察を受けられるように誘導したり、情報収集を行ったりします。ここでの情報収集とは、診察前に病状の主な訴えや本人・家族の既往症など、医師が必要な予備知識を得ることを指します。
実際の医師の診察では、医師が診察を行いやすいように患者さんの介助、物品の準備をします。
例えば、腹痛を訴える患者さんの場合、看護師は患者さんをベッドに寝かせて、服を脱がし患部を医師が診察しやすいように準備します。
医師の指示のもと、血圧などのバイタルサインの測定や、採血、注射など適切な検査、処置も行っていきます。
1-2 療養相談・指導
患者さんに対しての療養相談・指導は外来看護師の大事な仕事の一つ。
外来から帰宅された患者さんが、医師の治療方針をしっかり理解し、服薬や食事制限などができることが、その患者さんの病気の改善や予防に繋がります。24時間継続的に看護できる入院の患者さんと違い、効果的な療養相談や指導を外来看護師は短時間で行う必要があります。
療養相談・指導の多くは、医師の診察後、患者さんが帰宅される前に行われます。
医師の診察時間は限られていることや、患者さんによっては医師に聞きづらいことなどもあり、改めて看護師から療養相談・指導することで理解を深めることができます。
治療は患者さんの理解と協力が必要で、いかにそれを支援できるかは外来看護師の腕の見せ所だとも言えます。
1-3 事務業務
電話対応や受診受付などの事務業務も外来看護師の仕事になります。
こちらは、大きな病院では事務員が行いますが、規模の小さいクリニックなどは看護師も色々な業務が求められます。その他でも、物品の整理整頓・補充、書類などの整備などが挙げられます。
1-4 病棟との連絡・連携業務
病棟との連絡・連携業務も外来看護師の大事な仕事です。
外来に来られる患者さんの中には、状態が悪いため緊急入院が必要な方もいます。
その際は、病棟にベッド状況を問い合わせたり、手術室へ緊急手術の連絡や関係部署との連携などの仕事が発生します。入院に必要な検査を一通り終え、入院先となる病棟へ患者さんを移送・引継ぎ等、一時的に慌ただしくなります。
2 外来看護師の1日のスケジュール例
1日のスケジュール例を知ると、実際に働くイメージもできるのではないでしょうか。
下記に外来看護師の1日のスケジュール例を示します。
時間 | 仕事内容 |
8:30 | 出勤・朝礼 |
8:40 | 外来業務準備 (待合室、診察室の整理や設備点検) |
9:00 | 午前診察 (受付や患者さんの案内、診察介助や採血、注射など処置) |
13:00 | 昼休み (交代制で休憩) |
14:00 | 午後診察 (午前中と同様) |
16:00 | 外来の片付け・環境整備 (診察室の掃除など) |
16:30 | 翌日の準備 (消耗品の補充など) |
17:00 | 業務終了 |
17:30 | 帰宅 |
外来の診察時間は決まっているため、ある程度はスケジュール通り進み、突発的なことはあまりありません。
しかし、外来は患者さんの混み具合によっては、仕事量も増減するため、時には残業などもあり得ます。
3 知っておきたい病棟看護師との違い
もし、あなたが今病棟で看護師として働いているのであれば、病棟看護師との違いから外来看護師を説明した方がイメージがつきやすいことでしょう!
この章では、外来看護師として転職する前に知っておきたい病棟看護師との違いを見ていきたいと思います。
下記は外来看護師と病棟看護師の違いを表したものです。
項目 | 外来看護師 | 病棟看護師 |
勤務体系 | 完全週休2日制が主 | 4週8休制が主 |
生活リズム | 日勤のみで規則的 | 夜勤などで不規則 |
給料 | 低い | 高い |
肉体労働 | 少ない | 多い |
求められるスキル | 短時間の素早いアセスメント | より正確な細かいアセスメント |
一つずつ解説してきます。
3-1 外来看護師は完全週休2日制。病棟看護師は4週8休制。
外来看護師は完全週休2日制で固定休みのケースが多い一方、病棟看護師は4週8休のシフト制であるケースが大半です。
土曜が診察日として開いている場合もありますが、基本土日祝日休みである場合が多く、スケジュール面に関してはメリットが大きいです。
特にお子さんが小さい方やご家庭持ち等は、病棟看護師のようにシフト制が難しいことが多く、外来看護師が勤務体系の面から好まれる傾向にあります。
3-2 外来看護師は基本夜勤がなく生活リズムは整いやすい
外来看護師は夜勤がなく、夜勤のある病棟看護師と比較して、生活リズムは整いやすいと言えます。
病棟看護師の中には、夜勤勤務が辛くて、外来へ転職されるケースも少なくありません。
3-3 外来看護師は病棟看護師より給料が低い
外来看護師の給料は常勤であれば年収400万前後で病棟看護師よりも低いです。
2019年の看護師の年収は平均483万円です。(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 平成30年度」)
看護師の多くが病棟看護師であるため、こちらの平均年収は病棟看護師の年収と近いと考えて差し支えないです。
このような差は、3-2にあるように夜勤手当の有無が大きく関わっています。二交代制の場合、夜勤手当は1回あたり約1万円です。例えば、月に4回行うとで年間50万近く夜勤手当が入ってきます。
3-4 外来看護師は病棟看護師と比べて肉体労働が少ない
外来看護師は病棟看護師と比べて基本的に肉体労働は少ないです。
病棟看護師であれば、介助量が多い方の介助をするのは日常茶飯事。
例えば、車椅子からの移乗動作の介助、トイレ介助やベッド上での屈んだ姿勢でのケアなどなど。。
腰痛に悩まされる病棟看護師も多く、それが原因で転職なんてケースもあります。
一方、外来看護師も基本は立ち仕事で動いていることが多いものの、病棟看護師のようなケアに関連する介助はありません。
3-5 外来看護師で求められるのは、よりポイントを抑えた素早いアセスメント
外来では、多くの患者さんが診察を受ける関係上、外来看護師はよりポイントを抑えた素早いアセスメントが必要になります。
病棟看護師も同様にアセスメント技術が求められますが、外来看護師はより限られた時間の中での対応が求められます。
時には、問診やバイタルサインから緊急性があり、診察の優先度を上げるなどの対応も必要になります。
4 外来看護師になる前に知っておきたい4つの悩み
3章では、病棟看護師と比較した外来看護師について説明してきました。
外来看護師は、給料が病棟看護師より少ない分、休みや夜勤がないなど働きやすい環境ではと感じる方も多いのではないでしょうか?
そんな外来看護師でも、外来看護師特有の悩みは存在します。
今後ぶつかるであろう壁を事前に知っておくことは、転職で失敗しないためにも非常に大事です。
ここでは主に下記の主な4つの悩みを挙げます。
- 1人1人の患者さんと接する時間が少ない
- 待ち時間などについてのクレームを受けるなどクレーム対応
- 流れ作業的になりがち
- 看護師としてのスキルアップが見込みにくい
それでは一つずつ紹介していきます。
4-1 1人1人の患者さんと接する時間が少ない
外来看護師の悩みの一つは一人一人の患者さんと接する時間が少なく、浅い関係性で終始してしまうことです。
患者さんに色々としてあげたい、深く付き合っていきたいという方にとっては、外来での患者さんとのコミュニケーションの少なさは、つまらなく、苦痛に感じるでしょう。
逆に、患者さんとの浅い関係性で気楽な感じで仕事がしたいという方には合っているかもしれません。
4-2 クレーム対応がストレス
クレームへの対応は外来看護師には悩みのタネです。
外来でのクレームで最も多いのが、やはり外来での待ち時間。外来では患者さんの待ち時間が長いのは、ほとんどの病院で共通の問題です。
体調の悪い患者さんが長い待ち時間にイライラしてしまうのは想像に難くないかと思います。時には、緊急性のある患者さんとの順番を入れ替えたことで、怒りを買ってしまうことも。
順番が変更の場合は、事前に説明を行ったり、座っている患者さんに対してはベッドで休みながら順番を待ってもらうなど、きめ細かな気配りが必要です。
ただ、慣れていない看護師にとっては、こういう気遣いをしていくこと自体がストレスにもなったりします。
4-3 多数の患者さんに対応するため流れ作業になりがち
外来では多数の患者さんに対応するため流れ作業になりがちで、そういった仕事スタイルが合わない人にとっては悩ましいポイントです。
診察時間も限られていることや、患者さんの長い待ち時間の問題もあり、如何に円滑に診察を終えるかに注力してしまいます。
仕事を“こなす”という形に、つまらなさを感じてしまうかもしれません。
4-4 看護師としてのスキルアップが見込みにくい
病棟勤務と比べると看護領域において様々な経験ができるわけでなく、スキルアップが見込みにくい点があります。
仕事内容として単調になりがちで看護師としてのスキルが増えていく、と言われると中々難しい面があります。
近年は、より対象を細分化して、特定の病気に特化した治療を行う専門外来が増えています。例えば、花粉症外来、禁煙外来、ペースメーカー外来、ものわすれ外来、めまい外来など。そういった専門外来に勤めれば、特定の知識・スキルはつきますが汎用性に欠けてしまいます。
そのため、新卒でこれから看護技術を得ていきたいという方には不向きと言えます。
逆にそういった若い看護師さんでも、今後ずっと外来看護師として働くと決めているのであれば、悩みにはならないかと思います。
5 外来看護師に向いている人
ここまで、外来看護師について仕事内容から、病棟看護師との違い、悩みなどを解説してきました。
全て読まれた方であれば、なんとなく自分に適しているのかどうかも見えてきたのではないでしょうか。
外来看護師に向いている人の特徴を以下に挙げます。
- 仕事内容よりもワークライフバランスを重視する方
- 患者さんにあまり深入りせず仕事をしたい方
- スピード感を持ってテキパキと仕事をこなせる方
本章では、具体的にどんな方が外来看護師に向いている人の特徴を紹介していきます。
5-1 仕事内容よりもワークライフバランスを重視する方
仕事内容から専門職としての看護師のやりがいを追求するよりは、ワークライフバランスを重視する方が向いています。
確かに、病棟看護師の方が給料が良く、様々な病態の患者さんのケアに関わることで看護師としてのスキルアップも望めるかと思います。
しかしながら、夜勤やシフト制、日々の肉体労働というのも、若い時は大丈夫だけども、年齢が上がってくると中々辛くなってくる部分も出てきます。
そこまで給料は望まなく、寧ろ、規則正しい生活やプライベートの時間を大事にしていきたい方にとっては、外来看護師の働き方はマッチしています。
5-2 患者さんにあまり深入りせず仕事をしたい方
外来看護師は患者さんにあまり深入りせずに仕事をしたい方には向いています。
4章でも紹介しましたが、基本的に外来では1人1人の患者さんと接する時間は短くあまり深い関係性になることもありません。患者さんとは、ドライな関係性の方が気楽に仕事ができる人には外来看護師が良いかと思います。
5-3 スピード感を持ってテキパキと仕事をこなせる方
スピード感を持ってテキパキと仕事をこなせる方が外来看護師に向いています。
楽なイメージを持たれがちの外来勤務ですが、日々多くの患者さんが診察に来られるため、実際の仕事量は多く、テキパキとスピード感を持って仕事をこなしていけないと、時間内に終えることができません。
同時進行でさまざまな業務を行う必要があり、いかにこなすか、という点でのそういった仕事が得意な方は向いていると言えます。
6 まとめ
外来看護師について、仕事内容から病棟看護師との違い、悩みどころ等を説明していきました。
外来看護師は、多くの患者さんに対応するなど意外に忙しい面や、外来特有のクレーム対応など悩ましい部分もある一方、日勤のみで休みを固定のためワークライフバランスを重視するような子育て世代の看護師さんに働きやすいと言えます。
実際に就職される病院によって忙しさや待遇などは変わってきますので、本稿を読んで外来看護師になってみたいと思われる方は、各病院について調べて頂ければと思います。
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