小児科看護師を目指す前に知るべき仕事内容や悩み・なり方などの全て
こどもも好きだし、看護師として医療にも携わりたい。。。
あなたがそんなニーズをお持ちでしたら、小児科看護師はきっと候補の一つになるでしょう。
生まれたばかりの乳児から、15歳までの小児を担当する診療科が小児科です。
そんな小児科は、外傷以外の全ての疾患を総合的に診察し、看護師の間では人気のある診療科の一つ。
「どんなやりがいがあるの?」
「小児科看護師の悩みは?」
「どんなことするの?」
「どうやったら小児科看護師になれる??」
小児科看護師に興味がある人であれば、このような疑問はたくさん出てくるのではないでしょうか?
本稿では、小児科看護師の仕事内容・やりがいだけでなく、悩み、小児科看護師のなり方まで幅広く解説していきます。
また、小児科で働く看護師は、大きく入院の患者さんをみる病棟勤務と通院してくる患者さんをみる外来勤務に別れますが、病棟勤務の方が小児科看護師としての専門性がより重要になります。そのため、本稿の内容としては、病棟勤務を想定して書いております。
本稿の後半で、小児科看護師としての病棟勤務と外来勤務でどんな違いがあるのかは説明していきます。
全て読めば、あなたが小児科看護師を目指すべきかどうか、そんな悩みも解決できるでしょう。
目次
1 小児科看護師の仕事内容・役割
小児科の看護師の仕事内容は、幅広いのが特徴です。
他の科は、整形外科、消化器内科など怪我や病気によって対応する患者さんが異なります。
一方の小児科は、生まれたばかりの乳児から、15歳までの小児を担当し、外傷以外の全ての疾患を総合的に診察することになります。そのため、どんな病気に関わらず、小児の疾患に関する幅広い知識と技術が必要なことは特徴の一つです。
小児に関する幅広い対応が求められる小児科看護師ですが、おもな仕事内容・役割を4つご紹介します。
- 医師の介助
- 子どものケア
- 家族のケア
- 特殊な部署での業務
それでは紹介していきます。
1-1 医師の介助
患者さんである子どもの問診や処置などの際に、医師の介助をすることは小児科看護師の仕事の一つです。
相手が子どもであるがゆえに、時には泣き出してしまったりと診察や処置がなかなか進まない時もあります。
小児科看護師には、子どもが安心させるような声かけや介助が必要になります。
1-2 子どものケア
患者さんである子どものケアは医療行為は当然のこと、それ以外のケアも小児科看護師の仕事の一つです。
小さい子どもには、身の回りのお世話をしますし、一緒に遊んであげることもケアの一環になります。
入院生活でストレスを溜めている子どもの心を明るくするために、季節の行事、例えば、クリスマス会であったり、最近ではハロウィンなど、誕生日会を開催する病院もあります。
検査や処置について実施前の説明も大事です。プレパレーションとも言われますが、英語では「準備」という意味です。絵や人形、最近では、動画を使った説明グッズなどで、子どもが安心して検査や治療を受けられるように説明します。
小児科の看護師は、子どもの精神的な支援だけでなく、子ども達にもわかりやすい言葉や資料で、病気や検査への理解をしてもらうようなスキルが必要になります。
1-3 家族ケア
子どものケアだけでなく、家族に対するケアも大切で、小児科看護師の役割の一つです。
親とコミュニケーションをとり、不安を和らげたり、在宅でのケアの方法(例えば、喘息発作時の吸入器の使い方など)を伝えることも、看護師の重要な役割です。
小児科にかかる子どもの親は、病状によっては不安や心配から非常にナーバスになっていることもあります。親が不安になっていると自然と子どもも不安になってしまうことも多いです。
親の不安をやわらげるのも、小児科の看護師の大切な仕事です。
1-4 特殊な部署での業務
大きな病院には、NICU、GCU、PICUなど、特殊な部署が設けられている場合があります。
NICU(新生児集中治療室):早産児(36週未満で産まれた児)・低出生体重児(出生体重2500g未満の児)・病的新生児の集中治療を行っている施設
GCU (回復治療室):NICUで治療を受け急性期を脱し状態が安定してきた赤ちゃんが引き続き治療を受ける施設
PICU(小児集中治療室):新生児や赤ちゃんに限らずに集中治療が必要な子どもを集めてケアする施設
どれも非常に高度な専門知識・技術を必要とするため、すべての看護師が行うわけではありません。
こういった部署で配属になることもありますし、そうでなくても、人手が足りないときなどは、ヘルプにいくこともあります。
他の科と違い、子どもに関する幅広い病気の知識やケアが必要で、子どもだけでなく、家族のケアも小児科看護師の重要な仕事!!
2 小児科看護師の1日のスケジュール
1日のスケジュールを知ると、より一層働くイメージができると思います。
小児科看護師の1日のスケジュール例は以下です。
今回は病棟日勤帯の場合のスケジュール例を紹介しました。小児科の場合は、面会時間に親が来られるケースが多いかと思います。その際には、なるべく子どもの様子やケア上の情報交換を積極するのが大事です。
3 小児科看護師のやりがい3選
小児科看護師には他の職場では味わえないやりがいがあります。
小児科看護師のやりがいは以下の3つです。
- 日々子どもの可愛い姿が見れること
- 子どもの成長を感じることができる
- 子どもに関する幅広い疾患に関する知識が身につく
それでは一つずつ解説いきます。
3-1 日々子どもの可愛い姿が見れること
日々子どもの可愛い姿が見れることは小児科看護師のやりがいの一つです。
子どもは本当に無邪気で可愛いです。
私の経験になりますが、仕事で落ち込んでいる時にナースコールで呼ばれて、笑顔で「ねーねーこれ見て」と私の似顔絵を書いてくれた時なんかは、本当に癒されました。
仕事で自分が大変な時なんかは、本当にやる気の源になります。
3-2 子どもの成長を感じることができる
子どもの成長を感じることができるのはやりがいの一つです。
子どもの成長は本当に早いです。入院も長くなってくると、その入院期間中に成長を見ることができます。
入院している子どもにとって、看護師はより身近に感じられる第二の親のような存在です。子どもから親しみを持たれると自然と親のような気持ちになります。
そんな中での子どもの成長は、嬉しさもひとしおでしょう。
3-3 子どもに関する幅広い疾患に関する知識が身につく
子どもに関する幅広い疾患に関する知識が身につくことがやりがいの一つで挙げられます。
小児科は、他の科のように症状や部位ごとにわかれているわけではなく、子どもであればどのような疾患の患者さんでも受け入れます。
小児科看護師も幅広い疾患に対応するため、結果的ににさまざまな知識が身についていきます。
・子どもの成長を感じることができる
・子どもに関する幅広い疾患に関する知識が身につく子ども好きな人にとっては非常にやりがいのある職場でしょう。
4 知っておきたい小児科看護師の5つの悩み
子どもの笑顔も日々見られて、やりがいも感じられる小児科看護師ですが、良いことだけでもありません。
他にはない小児科看護師特有の悩みも存在しますので、就職・転職を考える前に知っておいた方が良いでしょう。
小児科看護師の悩みは以下の5つです。
- 小児科特有の看護技術が難しい
- 子どもへの接し方が難しい
- モンスターペアレント問題
- 子どもが苦しんでいる姿を見なければならない
- 将来的にほかの分野へのつぶしがききにくい不安
それでは紹介していきます。
4-1 小児科の看護技術が難しい
小児科での看護技術が難しいことは悩みの一つです。
採血やルート確保、ルート固定、与薬量の細かさなどが挙げられます。私が小児科看護師をやっていて一番大変だったのは、やっぱり採血やルートキープのために針を刺す時です。子どもは血管が見えない事が多いので指で確認したら血管の走行に沿ってボールペンなどで印を付けたりもしてました。
病院によっては、何歳までは医師、何歳以上は看護師、または看護師はやらない、といったところもあるようです。
難しい反面、スキルが上がってできるようになるとすごく誇らしくもなったりします。
4-2 子どもへの接し方が難しい
子どもへの接し方が難しいのは悩みの一つです。
慣れない病院の入院生活で味わう、親から離れる寂しさ、痛みを伴う症状、治療に耐える恐怖などなど。とにかく、子どもは病院での生活に不安を抱えています。そんな中で、いつも以上に子どもへの接し方が難しい時は多々あります。
子育て経験がない、または身近で子どもと接する機会が少ない、という人は、なおさら子どもとの関わり方に苦慮するかもしれません。
でも、入院した子どもにとって、唯一の安心を与えられる存在は看護師かもしれません。いわば、担当した子どもの親代わりをするくらいの気持ちで関わることは期待されています。
親から普段の生活の様子をしっかり聞いておくことが大事です。例えば、下記のようなことは、聞いておくと子どもとの接し方の糸口になります。
- 子どもの今のブーム
- 泣いたときに落ち着かせるあやし方
- 眠る前の習慣
- 好きなキャラクターやぬいぐるみなど
その子のことを少しでも知った上で接することができると、子どもも親も安心して看護師を受け容れてくれると思います。
4-3 モンスターペアレント問題
やはりモンスターペアレント問題は小児科看護師を悩みの一つです。
誰しも自分の子どものことなので、心配のあまり色々と神経質になってしまうことはあります。ましてや命に関わることであれば、取り乱してしまうこともあるでしょう。
そんな中、病的な、いわゆるモンスターペアレントに遭遇する頻度は低くはありません。
執拗なクレームや、医師や看護師の指示にも従わないなどなど。。
今は、インターネットから色々な情報が取れてしまうので、医療者側の言っていることに対して、にわか知識で逐一反論したり、別の情報と違うからと不信感を抱いたりなど。
でも、最初からモンスターペアレントだったという人は案外少ないかもしれません。治療過程での説明不足だったり、医療者側の連携不足での情報の行き違いから不信感を抱いてしまうことも大いにあります。
ここまでする??というくらい報連相をしっかりして対応することが大事だと思います。
あと、重症患者の家族はナーバスな場合が多いので、絶対に無理!!という人は、そういう重症患者を受け入れるような先端医療的な事を提供する病院は避けた方が無難かもしれません。
4-4 子どもが苦しんでいる姿を見なければならない
子どもが病気や治療で苦しんでいる姿を見なければならないのは、辛いの一言です。子ども好きの方であれば尚更。
時には、治療が奉公せずに亡くなってしまったり、障害を負うなど、そんな時もあります。そのような光景を目の当たりにするのは、大変つらい経験です。そういった点からも、小児科はストレスを感じやすい職場といえます。
4-5 将来的にほかの分野へのつぶしがききにくい不安
小児科での看護技術は、成人看護とは異なるため、他の分野へのつぶしがききにいという点で不安を覚えることもあるでしょう。
将来的に他の分野に転職を考えている方だけでなく、最初は小児科看護師一本でやっていこう!!そう思っていた方でも、実際の職場でのギャップから「小児科向いていないかも」なんて自信を無くして、転職を考えてしまうケースもあるかも知れません。
せっかく看護師になったから、成人看護を経験しないままキャリアを積むのも。。。なんて悩みもあるでしょう。
しかしながら、小児科看護師として子どもや親への対応、コミュニケーション経験というのは、他の科では経験できないことで、そこで培ったスキルは、他の診療科に転職した際にも重宝します。
また、病院の小児科ではなくても、保育園看護師であったり、訪問看護で小児分野に進んだり、同じ子どもを対象とした職場はありますので、小児科看護師としてのスキルや経験が活かせる場所は多いと思って頂いて良いかと思います。
・子どもへの接し方が難しい
・モンスターペアレント問題
・子どもが苦しんでいる姿を見なければならない
5 小児科看護師に向いている人の5つの特徴
小児科看護師に向いている人の特徴を下記に示します。
- とにかく子どもが好きな人
- 忍耐力がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 観察力がある人
- 小児看護の専門性を高めたい人
それでは紹介していきます。
5-1 とにかく子どもが好きな人
とにかく子どもが好き。それに尽きます。
単に好きだけでなく、そんな子どもに寄り添っていきたい、そんな思いを強く持った人は向いていると言えます。逆に言うと、そうでない人は長く働くことは難しいでしょう。
5-2 忍耐力がある人
忍耐力がある。これは小児科看護師には大事なポイントです。
子どもは大人のようにすんなり処置やケアをさせてくれません。何をするにも、大人よりずっと時間がかかってしまいます。
例えば、病棟勤務であれば説得しながら半日がかりで検査、嫌がって薬飲んでくれなくて全然仕事が終わらない、などなど。
そんなことでもイライラせずに我慢強く、時に機転を利かせて対応できるような方が向いているでしょう。
5-3 コミュニケーション能力がある人
コミュニケーション能力がある人は小児看護師に向いています。
小児看護師に求められるコミュニケーション能力は、子どもに対してと、親に対しての2つあります。
一つ目は子どもに対してのコミュニケーションです。
子どもとのコミュニケーションが上手く取れる人はスムーズに看護やケアができます。子どもは好きなんだけど、子どもとうまくコミュニケーションできる自信がない。。。確かに最初からできる人もいるかと思いますが、子どもとのコミュニケーションにはコツがあります。
例えば、下記のようなものです。
- 子どもと目線を合わせ、目を見て話す
- 相槌をうちながら聴く
- 話を遮らない
あと、ゆっくりと抑揚を大きくを付けながら話をしてあげると、より子どもに安心感を与えます。最初は難しくても、先輩の話し方や「コツ」を教えてもらうと意外とできるようになってきます。
2つ目は親に対してのコミュニケーションです。
親に対してのコミュニケーションはまた違った観点が必要です。子どもの時とは違い、思いを傾聴したり、医者や他部門との間に立ちつつ、情報を補足をしたりする事も小児科看護師には求められます。
5-4 観察力がある人
観察力が優れている方は小児科看護師に向いています。
子どもは、自分の体の状態をうまく伝えることが難しいことが多いです。
バイタルサインやわずかな表情の変化、言動の変化から、「いつもと違う」と察して行動できることが大事になります。
5-5 小児看護の専門性を高めたい人
小児看護の専門性と高めたい、極めたいという方は小児科看護師に向いています。
小児科看護師にはキャリアアップができる資格があります。
ここでは、日本看護協会の専門看護師・認定看護師を紹介します。
- 小児看護専門看護師
- 小児救急看護認定看護師
- 新生児集中ケア認定看護師
(参考:資格認定制度)
このような資格があるのは、小児科看護師としてキャリアアップしたい人にとってモチベーションが上がる一つにもなるかと思います。小児科の専門性を高めたい場合は小児科クリニックなどの外来勤務よりも病棟勤務をお勧めします。
・忍耐力がある人
・コミュニケーション能力がある人
・観察力がある人
・小児看護の専門性を高めたい人
6 小児科看護師になるための資格は看護師免許のみ
小児科看護師になるには、看護師免許のみ、つまり看護師であれば特別な資格は必要ありません。
今現在、看護師、もしくは看護学生であればわかることですが、これからの進路を考えている高校生は確認しておきたいことだと思います。
もし、あなたが、これから看護学校を決めていくのであれば、小児科看護師になるために看護学校選びからも考えても良いかも知れません。理由についてはのちの章で説明していきます。
看護師のなり方については下記をご参照ください。
参考URL:看護師になるには?国家試験合格のための代表的な3つの方法【目的別】
7 小児科看護師における病棟勤務と外来勤務の違い
小児科看護師と一括りにしても、小児科クリニックのような外来勤務なのか、総合病院のような病棟勤務なのかで働き方や子どもや親との関わり方、給与まで全く違ってきます。
同じ子どもを対象とした小児科看護師ですが、この違いを知っておくとどちらの方がご自身にあっているかわかると思います。それでは紹介していきます。
7-1 病棟勤務は夜勤ありシフト制。外来勤務は日勤帯で固定休み。
病棟勤務は夜勤ありシフト制で、外来勤務は日勤帯のみで固定休と働き方に大きな違いがあります。
病棟勤務は不規則な生活リズムになりがちで、生活リズムなどを優先したい方は外来勤務の方が良いでしょう。
一方、まとまった時間が作りたい、平日休みで旅行などに行きやすいなどのニーズがある方は、夜勤・シフト制である病棟勤務の方が好ましいかもしれません。
7-2 病棟勤務は深く長く関わる。外来勤務は浅く広く関わる。
病棟勤務は子どもと深く長い関わり、外来勤務は浅く広く関わる傾向にあります。
病棟勤務の場合は、短くても週単位、病気によっては年単位での期間、入院してケアをしていきます。外来勤務の場合は、関わる時間は受診している時間だけ、しかも多くの子どもと親に対応していきます。
深く長く関わっていきたい方は病棟勤務、距離を保ちつつ多くの子どもに関わっていきたい方は外来勤務がお勧めです。
7-3 病棟勤務は子どもの病気の程度が外来勤務よりも重い
病棟勤務の方が、子どもの病気の程度が外来勤務よりも重い傾向にあります。
これは、当然と言えば当然ですが、入院での治療が必要な状態という意味で病気の程度は重いです。
一方、小児科クリニックには、軽い風邪から予防接種のための受診など、基本、程度としては軽い問題で受診されます。
病棟勤務の方が難しい病態に関わるため、小児科看護師としての専門性を高めたいという方にはお勧めです。
7-4 病棟勤務は外来勤務より親との関わりが難しい
病棟勤務は外来勤務よりも子どもの親との関わりが難しいケースが多いです。
7-3で紹介しましたが、基本的に入院となる子どもは病気の程度が思い傾向にあります。そのため、親はナーバスになっていることも多々あります。
一方の外来勤務は、子どもが入院していることと比べると、そこまでナーバスになっていることもありません。
7-5 病棟勤務は夜勤手当がある分、外来勤務よりも給料は高い
病棟勤務は夜勤手当がある分、外来勤務よりも給料は高い傾向にあります。
給料については、小児科だからという差はなく、あくまでも病棟勤務か外来勤務かでの差で見ていただいて良いかと思います。
多くのクリニックで、外来勤務の給料は常勤であれば年収400万前後で病棟勤務よりも低いです。
2019年の看護師の年収は平均483万円です。(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 平成30年度」)
看護師の多くが病棟勤務であるため、こちらの平均年収は病棟勤務の年収と近いと考えて差し支えないです。
これを見ると、80~100万円程度差があるのだと思った方が良いでしょう。
下記は、小児科看護師に限らない一般的な病棟勤務と外来勤務の違いについての記事になりますが、非常に参考になるので興味のある方は是非!!
参考URL:病棟勤務と何が違う?外来看護師の仕事内容・悩みなど徹底紹介
8 小児科看護師になるための就職先
小児科看護師になるには、一体どこに就職すれば良いか。
この章ではそんな疑問にお答えするために、小児科看護師になるための就職先について紹介します。
小児科看護師になるには大きく分けて下記の4つの就職先が挙げられます。
- 小児科クリニック
- 総合病院
- 大学病院
- こども病院(小児専門病院)
それでは解説していきます。
8-1 小児科クリニック
小児科クリニックは比較的数もあるため、小児科看護師として就職はしやすいと思います。
小児科クリニックの場合は、当然ですが外来勤務となり、7章で説明したような病棟勤務との違いがあります。
そのため、小児科クリニックを選択するか否かは、どういった小児科看護師を目指したいか、働き方がしたいかによってくるかと思います。
8-2 小児科のある総合病院への就職
小児科のある総合病院へ就職し、小児科を希望することが小児科看護師への一つの道になります。
実は、小児科病棟はどの総合病院でもあるわけではありません。不採算性のため病院小児科の廃止・縮小が進んでいるのが現状です。
ですので、まずは探している総合病院に小児科があるのかは必ず確認が必要です。
一方、小児科は人気がある科の一つのため、勤務したい看護師は多いことから、配属先の希望を「小児科」として出すことができても希望が通るとは限りません。希望が通っても、数年で異動になる可能性もあるため、確実に小児科看護師になれるわけではありません。
また、病院の規模による違いもあります。季節によって患者さんの数が大きく変動する場合は、仕事がなくなってしまうという状態を防ぐため、小児科の配置は混合病棟とされることが多いです。
小児科病棟だけで働きたい、という場合には、総合病院は叶わない場合も大いにあることは覚えておいた方が良いでしょう。
8-3 大学病院の小児科勤務
総合病院の小児科と比較して、大学病院の小児科は単科配属がほとんどになります。慢性的な重度疾患を抱えた患者が多いため、患者数が大きく変動しないというのが理由です。
しかしながら、大学病院においても、総合病院と同じように、配属先の希望を「小児科」として出すことができても希望が通るとは限りません。
同じように、絶対に小児科病棟で働ける保証はないということは覚えておいた方が良いでしょう。
8-4 絶対になりたい方はこども病院への就職を目指すべし
絶対に小児科看護師になりたいという方は、こども病院への就職を目指した方が良いです。
こども病院は、新生児から概ね中学校卒業程度までの小児を対象に診療を行う病院のことを指します。また、施設によっては胎児や妊産婦も診療の対象とする場合もあります。
8-4-1 こども病院は少ないため就職の倍率が高い
こども病院は日本に数が少なく、就職するための倍率は高いです。
下記に、日本全国にあるこども病院一覧を示します。
都道府県 | 市区町村 | 病院名 |
北海道 | 札幌市手稲区 | |
宮城県 | 仙台市青葉区 | |
茨城県 | 水戸市 | |
栃木県 | 下野市 | |
栃木県 | 下都賀郡壬生町 | |
群馬県 | 渋川市 | |
埼玉県 | さいたま市中央区 | |
千葉県 | 千葉市緑区 | |
東京都 | 世田谷区 | |
東京都 | 府中市 | |
東京都 | 昭島市 | |
神奈川県 | 横浜市南区 | |
長野県 | 安曇野市 | |
岐阜県 | 岐阜市 | |
静岡県 | 静岡市葵区 | |
愛知県 | 大府市 | |
愛知県 | 春日井市 | |
愛知県 | 名古屋市中村区 | |
三重県 | 津市 | |
滋賀県 | 守山市 | |
京都府 | 京都市上京区 | |
大阪府 | 和泉市 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター |
大阪府 | 大阪市都島区 | |
大阪府 | 大阪市旭区 | |
兵庫県 | 神戸市中央区 | |
岡山県 | 岡山市北区 | |
広島県 | 広島市南区 | |
香川県 | 善通寺市 | |
福岡県 | 福岡県福岡市 | |
福岡県 | 福岡県久留米市 | |
大分県 | 大分県大分市 | |
鹿児島県 | 日置市 | |
沖縄県 | 島尻郡南風原町 |
(wikipedia参照)
こちらをみてわかるように、都道府県ごとに1病院あるわけではないことがわかります。
こども病院は、小児医療の中心的役割を果たし、一般医療機関での対応が困難であったり、専門的な医療を要する疾患のある子どもたちの診断・治療、予防相談や指導を行っています。
そのため、他で対応が難しい病気をお持ちのこどもがいるご家庭は、治療のためにこども病院のある地域に家族で引越しされるなんてことも珍しくはありません。
実際に、私の知り合いにもそのような方がいらっしゃいました。
数も少なく、小児医療の中心的役割であるこども病院は、小児医療を専門として志す看護師にとっては目指す人も多いのも事実。
やはり、入る倍率も高いと言えるでしょう。
8-4-2 希望するこども病院のある地域の看護学校がおすすめ
これから看護学校を受験する方であれば、希望するこども病院のある地域の看護学校に入るのがお勧めです。
こども病院は基本的に公立病院になります。
このため、就職したい先が「○○県立こども病院」だったら「○○県立」の養成校(大学or専門学校)に進学すると、採用の可能性が上がります。
8-4-3 小児看護の研究室がある看護系大学がお勧め!
小児看護領域の研究室がある看護系大学に入学し、小児看護の研究室に入ることをお勧めします。
学校で小児看護の研究や勉強を頑張っていた実績があれば、採用にも有利に働く可能性があります。
また、小児看護領域の研究室があるということは、当然、専門としている教授や准教授がいます。そういった先生方は小児看護領域では名が知られていたり、様々な繋がりがありますので、著名な先生の研究室に所属していることで採用者側の印象も大いに変わり、採用の可能性が上がります。
9 まとめ
小児科看護師について紹介してきました。
小児科看護師は、親とのコミュニケーションや子どもの辛い姿をみなければならないなど、楽しいことばかりではありません。しかしながら、自分が仕事で大変な時は子どもの姿に癒されたり、子どもが好きな方には向いている仕事です。
これから小児科看護師を目指す方は、外来か病棟勤務かで働き方や専門性などが異なるため、そこの理解が必要です。小児科看護師として高度な専門性を求めたい方、こども病院への就職を目指してみた方が良いでしょう。
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