統合失調症の方が多く通う精神科デイケアとは?目的別の正しい選び方のポイント

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統合失調症の方が多く通う精神科デイケアとは?目的別の正しい選び方のポイント

心の病などを抱えた方が利用する精神科デイケア。

厚生労働省によると精神疾患により医療機関にかかっている患者数は年々増加しており、平成29年には400万人を超えたとのことです。

それに伴って近年は精神科デイケアを利用する方も増加傾向にあります。しかし精神科デイケアにはさまざまなプログラムがあり、自身が抱えている症状などによって適した施設は異なります。

そのため、施設選びを間違うと目標達成による良い卒業が難しくなるなどの弊害も起きます。では、自身の目的に合った精神科デイケアはどのようにして選べばよいのか?

今回はこのような疑問を抱えた方に向けて、精神科デイケアの基本情報や施設の選び方を徹底解説します。

採用情報

目次

1 精神科デイケアとは

精神科デイケアとは一言で説明すると「精神疾患を抱える方が社会復帰を目指し、心と体のリハビリを行う外来治療」のことを指します。

一般的に「治療」と聞くと診療室で医師が症状などを確認しながら病気やケガを治すというイメージがあります。

しかし、精神科デイケアの場合は医療機関などに併設されたスペースに通い、他の心の病を抱えた参加者と交流しながら、病気の回復や社会復帰に必要な機能の向上を目指します。

1-1 精神科デイケアの利用者の条件

精神科デイケアは誰でも利用できるというわけではなく、以下のような条件を満たした方のみが対象となります。

  • 主治医が精神科デイケアの利用が効果的と判断している
  • 主治医が精神科デイケアの利用が可能である病状、状態と判断している
  • 単独の通所が可能
  • 施設側(精神科デイケア)が利用可能であると判断している

    基本的に精神科デイケアは精神科などに通院している方のうち「精神的な疾患は見られるものの入院までは必要としない」という方が利用対象者となります。厚生労働省の調査によると精神科デイケアを利用する方の年齢層割合は以下のとおりとなっています。

    年齢割合
    20歳以上~40歳未満35%
    40歳以上~65歳未満53%

    (参照:厚生労働省_精神科デイ・ケア等について

    また疾患別に見る精神科デイケアの利用状況は以下のとおりです。

    病名・疾患名割合
    統合失調症72%
    気分障害10%
    アルコール依存症5%
    その他13%

    (参照:厚生労働省_精神科デイ・ケア等について

    ご覧のように精神科デイケアは20歳~40歳未満の方が利用する割合も多いのが特徴です。また疾患別に見ると精神科デイケアを利用する方の約7割は、統合失調症を発症していることがわかります。

    この他通所期間、利用期間についてですが、一般的に多くの精神科デイケアでは決められた利用期間がなく、卒業や利用終了のタイミングは症状の程度や本人の意思によって判断されます。

    ただし、施設によっては利用者に目標を持ってもらうためにプログラムを設定するなど、明確な利用期間を定めているケースもあります。

    1-2 精神科デイケアの利用期間

    精神科デイケアの利用期間は施設側が提供するコースによって異なります。参考までに埼玉県の公式ホームページには精神科デイケアを利用した場合、就労準備コースで1年、社会参加コースで2年3ヶ月と記載されています。(参照:埼玉県「2 精神科デイケアの効果と特徴」

    この他、精神科デイケアでは1年未満のプログラムを提供している施設もあるため、利用期間は1人、1人の目的(再発予防、就労支援など)や状態によって大きく異なるといえるでしょう。

    1-3 精神科デイケアの利用料

    精神科デイケアは一般的な高齢者が利用する通常のデイケアと違って医療保険(健康保険)が適用されるため、利用料は3割負担となります。また自立支援医療制度(精神通院医療)が適用されると、1割負担にまで料金を抑えることができます。


    2 通常のデイケアと精神科デイケアの違い

    ここではより精神科デイケアの特徴を明確にすべく、一般的なデイケアと精神科デイケアの主な違いをまとめましたので解説します。

    2-1 特に多い利用者の比較

    施設精神科デイケア通常のデイケア
    利用者層精神疾患脳疾患
    認知症

    まず通常のデイケアと精神科デイケアの主な利用者層の違いですが、前述のように精神科デイケアは精神科医療機関や施設側が心の病を患っていると認めた方のみが利用できるサービスです。

    つまり精神科デイケアは文字通り軽度の精神疾患を患っている方が利用者の中心ということです。

    一方の一般的なデイケアは心身機能の維持、回復、自立支援を目的としたリハビリテーション(健康管理業務)を提供するサービスです。

    私たち人間は年齢を重ねると老化によってさまざまな機能低下などが起き、ちょっとした転倒によって寝たきりになったり、認知症になったりするリスクが高くなります。

    通常のデイケアはこのような高齢者の入院や療養を経たあと、衰えた機能を回復させるプログラムを提供しています。

    また一般的なデイケアは介護保険の給付対象となるサービスですので、利用するには要支援、要介護いずれかの程度が1以上の認定が必要です。

    2-2 職員の専門性の比較

    デイケアは介護業務に該当するサービスでありながら医療処置を施すことができる専門性の高い職員が在籍しているのも大きな特徴です。

    ただし、通常のデイケアと精神科デイケアでは職員に求められる専門性が異なるという一面もあります。以下に通常のデイケアと精神科デイケアで必須、もしくはあると望ましい資格をまとめましたのでご覧ください。

    施設精神科デイケア通常のデイケア

    必須もしくは好まれる資格

    • 担当医師
    • 看護師
    • 精神保健福祉士
    • 臨床心理士
    • 作業療法士
    • 理学療法士
    • 作業療法士
    • 言語聴覚士
    • 生活相談員
    • 看護職員
    • 介護職員
    • 機能訓練指導員

    一般的なデイケアでは、日常動作で必要な機能の維持や回復、発声や発話などの訓練、嚥下の機能訓練を行いますので理学療法士や言語聴覚士といった資格を有している職員が重視されます。

    一方の精神科デイケアは、精神的な問題で日常生活に支障が出ている方々の相談援助や社会復帰に向けたプログラムを遂行する必要があるため、精神保健福祉士や臨床心理士といった資格が重視されます。

    2-3 サービス内容の比較

    施設精神科デイケア通常のデイケア
    サービス内容
    • 運動
    • 体操
    • 対人関係訓練
    • グループワーク
    • 心理教育
    • 運動
    • 体操
    • マッサージ
    • 発生・発音訓練
    • 工作・手芸

    前述のように通常のデイケアは主に日常生活での動きに必要な機能や衰えた社会適応力の回復などを目的としています。

    よって、一般的なデイケアで受けられるメインサービスは運動、体操、マッサージ、発声や発話の訓練となります。

    また、社会適応力の維持や回復の目的で工作、手芸、家事などを行うこともあります。この他、通常のデイケアでは利用者が希望すれば体温、血圧、脈拍などの測定(バイタルチェック)や入浴介助といったサービスを受けることも可能です。

    一方、精神科デイケアもストレッチやヨガなどの運動系プログラムや園芸や書道といった文科系プログラムが用意されていますが、精神科デイケアで行われる運動などは協調性やコミュニケーション能力の回復、強化を狙う意図で行われます。

    またSST(ソーシャルスキル・トレーニング)といって対人関係の訓練が行われるのも精神科デイケア特有のサービスといえるでしょう。

    その他精神科デイケアでは将来的な就業、復職を見据えてエクセルやワードなどの使い方、ビジネスマナーの基礎を養うことができる訓練も行われており、施設によっては入浴などのサービスも提供されています。

    2-4 料金の比較

    まずは以下の表をご覧ください。

    【利用料金(一般デイケア・要支援1、2の認定を受けた方)】

    サービス費用の設定利用者負担(1割・1月につき)
    要支援1 (共通的サービス)1,712円
    要支援2 (共通的サービス)3,615円
    運動器機能向上225円
    栄養改善150円
    口腔機能向上150円

    (参照:介護事業所・生活関連情報検索 「介護サービス情報公表システム」

    【利用料金(一般デイケア・要介護1~5の認定を受けた方)】

    サービス費用の設定利用者負担(1割・1月につき)
    要介護1667円
    要介護2797円
    要介護3924円
    要介護41,076円
    要介護51,255円

     ※通常規模の事業所の場合
    (参照:介護事業所・生活関連情報検索 「介護サービス情報公表システム」

    【利用料金(精神科デイケア)】

    利用者負担利用料金(1日につき)
    3割負担1,800 ~ 2,200円前後(規模により異なる)
    自立支援医療制度(1割負担)700 ~ 800円前後

    前述のように一般のデイケアは介護保険が適用されるため、請求金額の1割負担が原則です。ただし利用料金は施設の規模やリハビリの所要時間などによって変動しますので、上記の料金はあくまでも目安程度と捉えておくとよいでしょう。

    一方の精神科デイケアの場合も健康保険での3割負担が適用されます。この他、精神科デイケアは精神疾患の通院時にかかる医療費の自己負担を軽減する自立支援医療制度の対象です。

    よって、上記の制度が適用されれば1割負担で施設を利用することができます。基本的に利用料金は一般デイケアのほうが安価となりますが、精神科デイケアも自立支援医療制度を利用すれば、一般デイケアと同等の料金で社会復帰などに向けた各種プログラムを受けることができます。

    なお、精神科デイケアの場合も料金は各施設によって異なりますので、詳細は利用を検討している施設に問い合わせるようにしましょう。また、自立支援医療制度は医師の診断書や健康保険証などの必要書類を揃え、各市町村へ提出すれば利用可となります。


    3 精神科デイケアは目的にあわせて選ぶべき

    一口に精神科デイケアといっても各施設によって用意されているプログラムは異なります。よって精神科デイケアで自身が希望する効果を得たい場合は、目的に合ったプログラムを提供している施設を選ぶことが重要です。

    そこでここからは以下に挙げる各利用者の目的別に、精神科デイケアのおすすめプログラムをご紹介します。

    • 生活リズムを維持する目的
    • 再入院・再発防止目的
    • 集団に慣れることが目的
    • 仕事に就く・復職目的

    また、1日の流れをイメージしやすいよう、スケジュール例も紹介していきます。


    4 生活リズムを維持する目的の方は基本的なプログラムから始めましょう

    生活リズムを維持するとは具体的に説明すると日々の起床、就寝時間を一定にする、社会復帰の足かせになっている昼夜逆転の生活を改善し、朝起床、夜就寝の生活習慣を身に付けることを指します。

    これらの悩みを改善したい場合は、以下のようなプログラムが用意されている施設を選択するとよいでしょう。

    4-1 決まった時間に起床・就寝したいならプログラムのスタート時間を固定する

    結論から述べると、決まった時間に起床、就寝したい方はプログラム内容にこだわらず、精神科デイケアを利用するだけで一定の効果を見込むことができます

    と、いうのも精神科デイケアは朝から夕方までの1日6時間が基本となっており、9時~10時開所、15時~16時閉所という施設が多いです。

    決められた日、決まった時間に精神科デイケアに通うことで、自宅での生活も自然とそれに合わせたものになるため、就寝時間や起床時間ともに安定してくる可能性が高くなります。

    またプログラムに朝のラジオ体操やミーティングが設定されていると、適度に体や頭を使いますので、健康状態や精神状態にも良い影響を与えてくれることでしょう。

    4-2 昼夜逆転の生活習慣を改善したいならナイトケアのプログラムはやめましょう

    日中に就寝して、夜間はずっと起きている。このような昼夜逆転の生活習慣になっている方も、基本的には一般的なプログラムが用意されている精神科デイケアに通所することで一定の効果を見込めるでしょう。

    ただし、昼夜逆転の生活を改善したい場合は、朝の9時~10時までに通うデイケア、ナイトケアの治療を取り入れている施設を選択することが大切です。

    精神科デイケアにはいくつかの種類がありますが、そのうちのひとつには午後4時以降開始のナイトケア治療を取り入れている施設があります。

    このようなナイトケアの治療法を取り入れている施設を選んでしまうと、朝決まった時間に起床するのが難しくなります。よって昼夜逆転の改善が目的の場合は、昼間~夕方に実施されるデイケアを選択するようにしましょう。

    4-3 1日のスケジュール例

    生活リズムの維持が目的の場合は、以下のようなプログラム、スケジュールが組まれている施設がおすすめです。

    時間内容
    9時30分受付締切時間
    9時45分 ~朝のミーティング・ラジオ体操など
    10時 ~リラクゼーション・カラオケ・ゲートボールなど
    11時30分 ~昼食・お昼の休憩
    13時もしくは13時30分 ~英会話・スポーツ・創作活動など
    15時 ~終了のミーティング
    15時30分 ~ デイケア終了

    前述のように生活リズムの維持が目的の方は、決まった時間に施設に通うことが何よりも重要となりますので、プログラム内容に大きくこだわる必要はありません。

    デイケア施設に通うという行動をコツコツと続けながら、生活リズムの維持や改善を図っていきましょう。


    5 再入院・再発防止目的の方におすすめのプログラムとスケジュール例

    続いては精神疾患を患っていた方、精神疾患によって入院を余儀なくされた方など再入院、再発防止が目的の方におすすめのプログラムをご紹介します。

    特に、統合失調症、うつ病、アルコール依存症などの精神疾患は一度完治しても再発率が非常に高いです。よって現在退院や完治をしている方も決して油断してはいけません。

    各種精神疾患による再入院や再発防止を目的とする場合は、以下のようなプログラムが用意されている精神科デイケアを検討しておきましょう。

    5-1 統合失調症の再発防止が目的なら心理教育プログラムがおすすめ

    統合失調症は数ある精神疾患の中でも特に再発率が高い病気として知られており、完治しても服薬を中止した場合、1年以内に80%、2年以内に98%の方が再発するといわれています。(参照:公益社団法人_日本精神神経学会_久住一郎先生に「統合失調症」(薬物療法)を訊く

    統合失調症は簡単に説明すると、自分の考えや気持ちがまとまらなくなる病気です。そのため、統合失調症の再発防止が目的の場合は、心理教育のプログラムを取り入れている精神科デイケアを利用するとよいでしょう。

    心理教育は病気と上手く付き合いながら生活する方法を身に付けることを目的としており、病気、薬、日々の暮らし方などの知識を得ながら他の利用者の方との語り合いの時間を持ちます。

    5-2 うつ病の再発防止が目的なら運動系プログラムがおすすめ

    うつ病の再発や再入院を防止したい方は、統合失調症と同じく心理教育のプログラムが用意されている施設を選ぶとよいでしょう。

    また、テニス、卓球、体操などの運動系プログラムは適度に体を動かすことにつながり、精神状態の安定や病気の再発に一定の効果を見込むことができます。

    この他、うつ病特有の気分が落ち込んで体を動かす気力がないという方は、絵や貼り絵、編み物などの文科系プログラムを楽しむのもおすすめです。

    5-3 アルコール依存症の再発防止が目的なら依存症教室がおすすめ

    アルコール依存症を克服しても1年以内に再びお酒に手を出してしまう方は非常に多いです。アルコール依存症による再入院や再発防止を目的とする場合、断酒を前提にした社会復帰を目標とする施設を検討すると良いでしょう。

    このような施設はアルコールデイケアとも呼ばれており、デイケアでの約束事として断酒を守るのが一般的です。節酒しながらのプログラム参加は原則お断りという施設もありますので、アルコール依存症の治療を施す上では非常に大きな効果を見込めます。

    具体的なプログラム内容としては依存症教室、肝臓や糖尿病などお酒によって発症することが多い病気の知識を学ぶ、断酒会や利用者体験談といったものが中心です。

    5-4 1日のスケジュール例

    統合失調症、うつ病、アルコール依存症などの精神疾患再発を目的とする場合は、以下のようなプログラム、スケジュールが組まれている施設の利用を検討しておきましょう。

    時間内容
    9時30分 ~ 10時朝のミーティング
    10時 ~ 11時30分心理教育や依存症教室など
    11時30分 ~ 13時30分昼食・お昼休憩
    13時30分 ~ 15時精神疾患を学ぶ教室、運動系プログラム、文科系プログラムなど
    15時 ~ 15時30分終了のミーティング・1日の振り返りなど
    15時30分 ~ デイケア終了

    精神疾患の再発防止で精神科デイケアを利用する場合は、精神疾患の克服などに役立つ知識を学べたり、精神疾患に効果がある運動系、文科系プログラムが適度に盛り込まれていたりするスケジュールが理想です。


    6 集団に慣れることが目的の方におすすめのプログラムとスケジュール例

    精神疾患を患っている方の場合、集団での行動が苦痛に感じることがあります。また病気を患っていた期間が長い影響で、社会に必要な集団での生活に慣れていないことも少なくありません。

    このような方は集団行動、集団生活に慣れることを目的としたデイケアで治療を受けるべきでしょう。

    集団での生活に慣れ、1日でも早く社会復帰をしたいという方は以下のようなプログラムが用意されている施設の利用がおすすめです。

    6-1 スポーツが好きならスポーツ系プログラムがおすすめ

    スポーツが好きな方はソフトバレーボールやフットサルといった集団で行うスポーツを実施する施設を利用するのが適しています。

    スポーツ系プログラムは身体運動でストレス発散にもつながりますし、何よりルールを共有する集団に所属することで仲間とのチームワークづくりの心得や一体感を得ることができます。

    これら仲間とのチームワークづくりの心得や一体感を得ることができれば、自然と集団での行動にも慣れていきます。

    6-2 料理が好きなら料理系プログラムがおすすめ

    人付き合いは苦手だけど、料理は好き。

    このような方は料理のプログラムが組まれている施設の利用を検討してみましょう。

    料理系のプログラムは施設によって内容が異なりますが、1週目に他の利用者の方と作る料理を決め、2週目に調理、3週目に振り返りといった流れを組むところもあります。

    このようなプログラムが用意されている施設で治療を受ければ、調理作業などを通して人とのコミュニケーションをムリなくとることが可能です。また全員でひとつのものを作り上げることで、社会生活に必要な協調性も身に付けられるでしょう。

    6-3 お散歩程度の軽い運動が好みならヨガ・体操などの軽い運動プログラムがおすすめ

    バリバリ体を動かす運動系プログラムは苦手だけど、適度に体を動かすのは好き。

    このような方は散歩、ヨガ、体操などのプログラムを用意している施設を検討するのがおすすめです。

    これらのプログラムは卓球やフットサルのように、ときに全力で体を使うといったこともありません。よって体力に自信がない方でも十分に取り組めるプログラムとなります。

    また、散歩やヨガなどを通じて他の利用者の方とコミュニケーションをとることもできますので、自然と人との付き合いも慣れていく効果が見込めます。この他カラオケやボーリングなども適度なカロリー消費が期待できますのでおすすめです。

    6-4 1日のスケジュール例

    集団行動、集団生活に慣れるのが目的の方は以下のようなタイムスケジュールになっている施設を検討してください。

    時間内容
    9時30分 ~ 10時朝の集い、ミーティング、ラジオ体操など
    10時 ~ 11時30分散歩、ヨガなどの運動系プログラムや料理l、菜園、ガーデニングなどの文科系プログラム
    11時30分 ~ 13時30分昼食・お昼休憩
    13時30分 ~ 15時卓球やフットサルなどの運動系プログラムやカラオケ、料理などの文科系プログラム
    15時 ~ 15時30分終了のミーティング・1日の振り返りなど
    15時30分 ~ デイケア終了

    集団行動に慣れることが目的の場合は、自身が希望するプログラム内容が多く設定されているか否かを確認しておくようにしましょう。自分ができそう、やりたいと思えるプログラムが多く組まれていると、自然と施設に通うのも楽しくなります。


    7 仕事に就く・復職目的の方におすすめのプログラムとスケジュール例

    続いては精神疾患の影響により仕事に就くのが難しかったり、復職を目指したりする方におすすめのプログラムです。

    仕事に就く、復職を目的としている場合、以下のようなプログラムを取り入れている施設を検討するとよいでしょう。

    7-1 仕事から離れて長いブランクがあるなら職場復帰支援プログラムがおすすめ

    精神科デイケアの中にはメンタル疾患の影響で休職中の方のために、職場復帰を支援する専門プログラム(職場復帰支援プログラム)を用意している施設もあります。

    よって休職期間が長い方や仕事から離れて長いブランクがある方は、これらの職場復帰支援プログラムを提供する精神科デイケアを利用するのがおすすめです。休職期間が長い方の場合、職場へ復帰すると非常に強いストレスを感じることが多いです。

    そのため、精神科デイケアで治療を受ける場合は生活リズムの再構築、少しずつ仕事に似た負荷をかけていくオフィスワーク、他の利用者の方とストレスに対処する方法などを学べるプログラムが用意されていると理想的です。

    施設によっては体や心が慣れるまでは午前中のプログラムで終了することもあるため、ムリなく職場復帰に向けての体力、気力を整えることもできるでしょう。

    7-2 軽い負担から仕事や作業の訓練を受けたいならリワークプログラムがおすすめ

    仕事に就きたい、復職を希望している方を支援するプログラムのことを「リワーク」といいます。

    リワークの内容はさまざまですが、軽い負担から徐々に仕事や作業の訓練を受けたい方などは、前述の長いブランクからの復職を希望する方と同様のプログラムを受けるのがよいでしょう。

    特に徐々に負担を上げていきたいといった方の場合は、初日から午前と午後両方のプログラムを受けるのではなく、仕事に行くことを想定した生活リズムを整え、慣れてきたら通勤や勤務に必要な体力、集中力、対人コミュニケーションを付けていく流れが理想的です。

    相手を尊重しながら自己主張をするための訓練でもあるアサーショントレーニング、ロールプレイを通して苦手な場面でどのような振る舞いを行うのかを検討するSST(ソーシャルスキルトレーニング、社会機能訓練)、作業能力を付けるためのパソコン、資料作成の作業などのプログラムが用意されている施設だと安心です。

    仕事を行う上での体力に不安がある方は、運動系プログラムがスケジュールに組み込まれているデイケアを利用するのもよいでしょう。

    7-3 仕事で対人関係に不安があるなら対人関係訓練プログラムがおすすめ

    人間関係の形成が苦手で休職していた方などは、協調性や対人スキルの向上が期待できる施設での治療が適しています。他の利用者の方と役割分担をしながら共同作業を行うことで、協調性や対人スキルなどは身に付きやすくなります。

    また、作業を通して完成した成果物についてグループごとにプレゼンを行うプログラムなどがあると、より高い効果を見込むことができます。

    7-4 1日のスケジュール例

    就業、復職が主目的の方は以下のようなスケジュールが組まれている施設の利用を検討しておきましょう。

    時間内容
    9時00分 ~ 9時30分受付
    9時35分 ~ 朝の集い、ミーティング
    10時 ~ 11時30分オフィスワーク、心理教育、生活習慣プログラム、ヨガなどの運動系プログラム
    11時30分 ~ 13時昼食・お昼休憩
    13時 ~ 脳トレ
    13時30分 ~ 15時15分SST、オフィスワーク、ストレスマネジメント、コミュニケーショントレーニング、グループミーティング、ボディワークなど
    15時15分 ~ 15時30分終了のミーティング、振り返りなど
    15時30分 ~ デイケア終了

    就業、復職を目指す場合は、実際のオフィスでの作業を想定したプログラムが多めに組まれるのが一般的です。また仕事をする上で必要なコミュニケーション能力、協調性などを強化できるトレーニングもスケジュールの中に入っていると理想的です。


    8 精神科デイケアの利用手順

    精神科デイケアは利用するまでの流れは施設によって異なります。ただし、利用前に主治医に相談をし、複数のステップを挟む点は同じです。一般的な精神科デイケアの利用手順は、以下のようになります。

    精神科デイケアの利用手順
    1. 主治医に相談
    2. 施設の見学予約をとる
    3. 主治医からデイケア担当医師に診察依頼を出す
    4. デイケア担当医師の診察およびデイケアスタッフとの面接を行う
    5. 利用開始

    精神科デイケアは、担当医師が診察をした上で施設側で会議を行い、受け入れの可否を判断するのが一般的です。

    また、施設によっては自施設の医療機関に通院している方のみ受け入れている、他の医療機関に通院している方も受け入れ可など、その利用条件はさまざまです。

    よってこれから精神科デイケアの利用を検討している方は、希望する施設に詳細を問い合わせるようにしましょう。なお精神科デイケアの利用条件、利用手順の見本は東京都福祉保健局の公式サイトが参考になりますので興味がある方は要チェックです。

    (参照:東京都福祉保健局_精神科デイケアの利用について


    9 まとめ

    精神科デイケアは医療保険が適用されるため、利用の際の自己負担は軽くなっています。しかし、精神科デイケアは誰でも利用できるわけではなく、「精神疾患は見られるけど、入院までの必要はなし」という方が対象となります。

    また、一口に精神科デイケアといっても受けられるプログラムは各施設で大きく異なります。よってこれから精神科デイケアの利用を検討している方は「何を目的に利用したいのか?」といった疑問を解決した上で、自身に合ったプログラムを取り入れている施設を利用するようにしてください。現在、精神科デイケアに関する疑問、悩みなどをお持ちの方はぜひ参考にしてください。

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