特養(特別養護老人ホーム)の看護師の仕事内容と給与・待遇の実態

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特養(特別養護老人ホーム)の看護師の仕事内容と給与・待遇の実態

看護師の中には、老人ホームで働くことに興味ある方は少なくないです。
老人ホームの中でも、特養(特別養護老人ホーム)というのは転職先の候補の一つかと思います。

特養は、多くの看護師が学生時代に看護実習で行った経験から

病院に比べて忙しくなさそう」「落ち着いた形で仕事ができそう

などの印象をお持ちかと思います。

一方で、そもそも特養がどんな施設なのか、看護師の役割・仕事内容、給料や待遇など、しっかりと理解している方は少ないのではないでしょうか。

「こんなはずでは。。。」

特養の看護師に中途半端な知識のみで転職すれば、こんな後悔をしてしまうこともあるでしょう。

本記事では、特養に関する基礎知識から、看護師の役割・仕事内容、給料・待遇など、特養の看護師になる前に知っておいて欲しいことを全て解説しています。

この記事を読むことで、特養で働く看護師の仕事について網羅的に理解することができ、実際に自分に向いているかどうかを判断できるでしょう。

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目次

1. 看護師として特養で働くための基礎知識 

まずは、特養に関する基礎知識を確認しておきましょう。

特養がどのような施設で、看護師はどう勤務するのかについて理解すると、特養で働く看護師の仕事内容について理解が進むでしょう。

それでは、特養の定義や特徴・看護師の勤務体制などについて解説していきます。

1-1. 特養(特別養護老人ホーム)とは

特養(特別養護老人ホーム)とは、在宅での生活が困難になった要介護の高齢者が入居できる公的な「介護保険施設」の1つです。

実は、「特別養護老人ホーム」という名前は、2000年の介護保険法により「介護老人福祉施設」と名前を変えることとなった経緯があります。

しかしながら、呼び方としては「介護老人保健施設」よりも「特別養護老人ホーム」の方が現在でも一般的ですので、本記事でも特養(特別養護老人ホーム)として統一していきます。

老人福祉法によると、特養は以下のように定義されています。(老人福祉法第20条の5

65歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものを入所させ、養護することを目的とする施設

1-2. 特養の種類

特養にもいくつかの種類があります。以下の表に示します。

種類

特徴

広域型

定員30人以上 / 居住地域の制限なし

地域密着型

定員29人以下 / 居住地域の制限あり

サテライト型/単独型があり

地域サポート型

在宅介護を受ける高齢者の見守り援助

■ 広域型特別養護老人ホーム

定員が30人以上で居住地域に制限がない、最も一般的なタイプの特養です。

■ 地域密着型特別養護老人ホーム

定員が29人以下で、設置されている市区町村の居住者のみが入所できる特養です。地域密着型特別養護老人ホームには、サテライト型特別養護老人ホームと単独型特別養護老人ホームがあります。

 ・サテライト型特別養護老人ホーム(サテライト型居住施設):広域型特養などの本体施設と連携を取りながら、本体施設から原則20分以内の場所で運営される施設です。

 ・単独型特別養護老人ホーム本体施設を持たずに単独で運営されている施設

■ 地域サポート型特別養護老人ホーム

在宅介護を受けている高齢者に24時間・年中無休で見守りや援助を提供する特養です。
主なサービス内容としては、生活援助員による日中の巡回訪問や安否確認、夜間緊急時の看護師の派遣などです。

現状として、地域サポート型特養を実施している自治体の数は少なく限られることや一般的な特養と違うことから、本記事では説明を割愛します。

広域型・地域密着型ともに、看護師の業務内容に大きな違いはありません。

広域型の方が入居者さんが多いため、入居者さんに関して把握する情報は多くなります。一方、勤務する職員や看護師も自ずと多くなるので、困ったときに近くで相談しやすい環境ではあります。

地域密着型の場合は入居者さんも少ないため、よりアットホームな雰囲気で働けます。一方、看護師自体も1名の場合があり、同じ職場内ですぐに相談できる方がいないということも考えられます。

1-3. 他の介護施設との違い

主な介護施設には、以下の6種類があります。

公的施設

介護医療院

医療ニーズの高い要介護者が看取りも含め長期的に入居する

※介護療養型医療施設(介護療養病床)の後継施設

介護老人保健施設(老健)

在宅復帰を目指す要介護者がリハビリ目的で入居する

特別養護老人ホーム(特養)

要介護3以上の人が長期的に入居する

民間施設

有料老人ホーム

介護度に応じた幅広いサービスを提供する高齢者施設

サービス付き高齢者向け住宅

安否確認と生活相談がメインサービスの賃貸住宅

グループホーム

認知症の高齢者が少人数のユニットで共同生活をする

これらの介護施設には、以下のような違いがあります。

種類

医師の配置

看護師の配置

入居者の介護度

介護医療院

常駐

夜間も常駐

要介護1~5

介護老人保健施設(老健)

常駐

夜間もほぼ常駐

要介護1~5

特別養護老人ホーム(特養)

非常勤

日中のみが多い

要介護3以上

有料老人ホーム

往診・通院

日中のみ

自立・要支援・要介護

サービス付き高齢者向け住宅

往診・通院

訪問看護

自立・要支援・要介護

グループホーム

往診・通院

不在の施設が多い

要支援・要介護


特養はその他の多くの介護施設と同様に、終身施設であり、基本的にはお亡くなりになるまで退所することがありません。(*唯一老健は、終身ではなく期限付きの入居で在宅を目指す介護施設)

他の介護施設との違いは、要介護度3以上の介護度が高い方が対象となっています。

公的施設なため費用負担が軽く、入居希望者も常に多いため、ほとんどの特養はすぐに入居できません。

また、同じ公的施設の中の老健や介護医療院と比較して、医療依存度が高い方は多くなく、それに合わせた医師・看護師の配置となっています。

1-4. 特養の入居者さんの特徴

特養の入居者さんは、「在宅で生活するには心身の機能が不足していて在宅での生活が困難な方」であり、「高齢で介護度が高いが医療依存度は低い方」という特徴をもちます。

特養の入居対象となっている要介護3以上の方というのは、具体的にイメージがつきにくいかと思います。

要介護3の方は、自力での立ち上がりや歩行が困難で、食事・排せつ・入浴をはじめとした場面で、体に触れて行う身体介護が必要となります。

要介護4、5になってくると、より介護度が重くなり、要介護5の方では寝たきり、全介助の方をイメージしてだければと思います。

また、1-3でも触れましたが、医療依存度が高い方は多くありません。

1-5. 特養の看護師の配置基準

特養の看護師配置基準は以下のようになっております。

入居者

看護師・准看護師

~30名

1名以上

31~50名

2名以上

51~130名

3名以上

特養が医療的な処置が少ないことより、看護師一人当たりの入居者さんの数が非常に多く、施設全体では看護師の数は少ないでしょう。

1-6. 特養の看護師の勤務体制

特養は看護師の配置が義務付けられていますが、24時間の配置は必須ではありません。

そのため、特養の看護師は基本的に夜勤がありません。一方で、緊急時の対応のため、ほとんどの施設では夜間オンコール体制を取っています。


2. 特養における看護師の仕事内容・役割

今度は、特養看護師に求められる役割や具体的な仕事内容についてみていきましょう。

どのような役割や業務が求められるのか理解できると、自分にできそうかどうかが判断しやすくなります。

特養における看護師の仕事内容・役割のうち欠かせないものは、「医療行為を含む健康管理」と「日常生活援助」です。

それに加えて、多職種連携の調整役を担ったり安全な療養環境を整備することも求められます。

2-1. 入居者さんの健康管理

特養における看護師の重要な役割の一つに、健康管理があります。

入所者さんの基本的な健康管理の一つ、バイタルチェックは毎日行います。バイタルチェックの際などに、簡単な問診や介護職員からの入居者さんに関する話を聞いて、必要に応じて聴診や触診などのフィジカルアセスメントをすることもあります。

その他、定期的な体重測定や、食事状況の確認なども実施し、長期的な変化を確認していくことも、特養の看護師が行う健康管理には大事な仕事です。

そういった日々の健康状態の確認で、異常が発見される時があります。その場合、経過観察で良いのか、医師に相談・報告すべきなのか、病院に受診すべきか、はたまた救急要請すべきなのか、こういった、最初の判断を特養の看護師は行う必要があります。

2-2. 医師の指示による医療行為

老健では、何らかの医療行為を必要とする入居者さんも多くいます。看護師には、医師の指示に基づいて正確な医療行為を提供することが求められます。

2015年の日本看護協会の調査によると、特養で行われることが多い医療行為には、その割合が多い順に以下のようなものがあるとされています。

・褥瘡処置

・経管栄養法(胃ろうを含む)

・吸引(口腔・鼻腔・気管内のいずれか)

・尿道留置カテーテル

・インスリン療法

・人工肛門(ストーマ)

・末梢静脈注射(点滴など)

・酸素療法(HOT含む)

下記の医療ニーズがある入居者さんの受け入れをしている特養は非常に少ないようです。

・気管カニューレ

・腹膜透析

・人工透析

・人工膀胱(腎ろう・膀胱ろうなど)

・中心静脈栄養法

・人工呼吸療法(人工呼吸器使用)

・麻薬を用いた疼痛管理

入居者さんの全身状態を維持するための医療行為を行いつつ、肺炎や尿路感染など施設内でできる治療のための医療行為も実施することになります。

2-3. 日常生活援助

特養の人員配置は、入居者さん3人あたり職員1人(介護職員もしくは看護師)。1章での看護師自体の人員配置を考えると、介護職員の方が人数が多いため、日常生活援助のメインは介護職員が担うことが多いですが、もちろん看護師も同様に行います。

トイレ介助や食事介助、移乗介助などなど、その内容については、病院勤めだった方は、ほとんど同じものを想像して頂ければと思います。

看護師は、日常生活援助をすることそのものに加えて、援助を通して入居者さんの状態を把握したり、看護師の視点からよりよい援助方法を介護職員に提案することも求められます。

2-4. 施設環境のマネジメント

施設環境の医療安全的なマネジメントも担っています。
施設環境が安全であるかを確認し、必要であれば改善を図ります。

特養での医療従事者は看護師になり、他の職種と比較して、。医療的な観点のリスク把握や安全管理に関する知識があります。

事故がないように環境整備をしたり、感染予防に関するマニュアル作成スタッフ教育などを行います。

2-5 看取りケア

看護師は特養での看取りケアで中心的な役割を担います。

ご本人や家族がどんな最期を望むのか、そういった思いに汲み取りながら、看護師が中心となって多職種カンファレンスを開いたり、看取り計画を作成します。

看取りケアに力を入れる特養は多くなっています。

2015年の日本看護協会の調査によると、特養でお亡くなりになる方は 68.9%を占め、10人に7人という割合となっております。全ての方が、施設内で看取りを行う訳ではなく、27.6%の方が病院でお亡くなりなっています。

長年入所していたが、最期だけは、住み慣れた自宅で過ごして欲しいとご家族が希望されて、自宅でお看取りになるケースも、全体の0.7%と非常に少ないですがあります。

そういった場合でも、特養の看護師はご家族に看取りに向けた指導をしたり、在宅の看護師に申し送りをするなどの支援を行っていきます。

看取りケアにおいても、長年、その入居者さんと関わってきた経験から、よりきめ細かいサポートができるのが強みとなります。


3. 特養看護師の働き方 – 1日のスケジュールと夜間オンコール –

特養で働く看護師の1日のスケジュールや夜間オンコール体制の実情に知っておくと、より働くイメージが湧いてくるはずです。

3-1 1日にスケジュール

特養での看護師の勤務体制は、夜間のオンコール当番はあるものの、基本は日勤帯の仕事のみです。

以下が1日のスケジュール例です。

特養 看護師スケジュール

入居者さんの状態変化も少なく、全体的に落ち着いた形で1日が終わります。

看護師しかできない健康状態確認や医療行為という業務を決められた時間に行い、その合間で介護士と一緒に日常生活援助を行うという流れになります。

3-2 夜間オンコール体制

特養の夜間オンコール体制の実情について、2015年に日本看護協会が「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」を報告しており、そちらを参考に下記に特養での看護師の夜間オンコール体制の実情を紹介します。

■夜間オンコールの平均待機回数は9.1 回/月

特養看護師の夜間オンコールの1月当たりの待機回数は「5~9回」が36.0%で最も多く、平均待機回数は9.1回/月です。

一方で、15回以上と回答した施設も約15%もあったことより、施設によってはかなり高頻度で夜間オンコールを待機する必要があるようです。 

■夜間オンコール待機中の平均電話対応回数は2.4回/月

特養看護師の夜間オンコールの1月当たりの電話対応回数は「1~4回」が46.5%で最も多く、平均電話対応回数は 2.4 回/月です。

1月あたりの平均待機回数を考えると、単純計算で夜間オンコール待機4回に1回は電話対応をしている計算になります。

■夜間オンコール待機中の出勤はほとんどない

特養看護師の夜間オンコール待機中に、施設からの呼び出しに応じて出勤した回数については、「0回」が 53.5%で最も多く、次いで「1回」が20.0%です。実質的にはほとんどが電話対応で済むような内容で、出勤する機会は少ないようです。

以上より、特養看護師の夜間オンコールは、頻度は多いものの、電話対応や実働対応がほとんどないようです。1施設に勤務している看護師の数が少ないこと、特養の入居者さんの体調の変化がほとんどないことが起因しているものと思います。


4. 特養看護師の給与・待遇の実態

実際に特養看護師として働くかどうかは、やはり給与・待遇面を抜きには考えにくいものです。

特養の看護師の給与・処遇に関しては、2015年に日本看護協会が「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」をしています。

その調査データを基に、給与・オンコール待機手当・超勤・有給休暇取得の状況についてご紹介します。

4-1. 平均給与は月額約30万円

老健で働く看護師の平均税込給与総額(手当込みの控除前金額)は、 296,884 円です。

同じ2015年の看護師全体の平均税込給与総額は329,200円(厚生労働省)なので、看護師としての平均的な収入よりは低い傾向になります。

4-2. 夜間オンコールに関する手当

夜間オンコールは待機手当・電話対応手当・実働手当とあるため、それぞれ紹介していきます。

■待機手当は平均1,353円/回

待機手当は平均1,353円/回です。待機 1 回あたりの手当額は「1000~1500 円未満」が 32.2%で最多でした。

平均待機回数は 9.1 回/月であったため、単純に掛け算すると、月間で約12,000円の待機手当がつく計算になります。

なお、手当自体がない施設も24.6%であったため、転職の際は注意が必要です。

■電話対応手当は平均1,133円/回

電話対応手当は平均1,133円/回です。一方で、「ない」と回答した施設が87.0%を占めるため、こちらの手当がある施設の方が稀のようです。

■出勤手当は平均2,288円/ 回

呼び出しがあり実際に出勤した場合の出勤手当については、特別養護老人ホームでは「ある」が84.6%、「ない」が 11.6%であり、手当が支給される場合の平均額は 2,288 円/ 回です。

以上のようにオンコールに関する手当は、それぞれの頻度と平均額を考慮すると、1ヶ月あたり15,000~16,000円になるかと思います。

施設によって差があるようですが、転職の際は平均額を参照して確認することが大事かと思います。

4-3. 超勤の平均は月7時間09分

特養で働く看護師の超勤時間は、月平均7時間09分です。

現在勤務してる施設と比較してどうでしょうか?この後の章で紹介しますが、特養は突発的な仕事が発生しにくいです。

業務量や内容と併せて、超勤時間が許容範囲かどうかを判断するとよいでしょう。

4-4. 有給休暇の平均取得日数は 8.8日 

特養で働く看護師のうち、フルタイム正職員の有給休暇については、平均付与日数が15.8日・平均取得日数が 8.8日です。

有給消化率は50%程度ですが、特養自体に看護師の数が少ないという点で、急な休みや長期休暇を希望する際には配慮が必要な部分はあるかと思います。


5. 特養で働く4つのメリット

ここまでの内容をふまえて、看護師として特養で働くメリットを考えてみましょう。特養で働くメリットに魅力を感じる人は、特養の看護師に合っているかもしれません。

看護師として特養で働くメリットには、以下の4つがあります。それぞれの内容を解説していきます。

・体力を使う業務が少ない

・突発的な業務が少ない

・長期的・継続的な看護ができる

・日勤メインで働ける

5-1. 体力を使う業務が少ない

特養では、看護師の数は非常に少なく、その代わりに非常に多くの介護職員がいます。そのため、日常生活援助のメインは介護職員が担う場合が多くなります。

看護師も業務内容として日常生活援助を行いますが、介護職員が対応してくれることが多いため、特養の看護師は、入浴介助や移動・移乗など体力を使う業務頻度は少なくなります。

病院勤務は身体介助が大変。。。腰痛がひどくて。。。

こんな悩みを持っている腰痛持ちや中高年の看護師でもあまり負担を感じずに働くことができるため、おすすめです。

5-2. 突発的な業務が少ない

特養では、急性期病院のような臨時入院や手術などがありません。新しい入居者さんも、当日に決まって施設に入ることは基本的にありません。

入居者さんの1日の生活リズムが決まっており、突発的な業務が発生しにくい傾向にあります。

4-3でも示しましたが、残業も少ない傾向です。時間通りに仕事が進んでいき、非常に落ち着いて働ける環境だといえるでしょう。

一方で、入居者さんはご高齢で介護度が高く、自ずと病気に罹患するリスクも高いです。そのため、急な体調不良で救急受診したり入院することも少なくありません。その場合は、当然時間通り業務が進みません。突発的な業務が全くないわけでないため、その点だけご注意ください。

5-3. 長期的・継続的な看護ができる

特養は終身施設のため、基本的に入居者さんは、お亡くなりになるまで退所することがありません。

入居者さんの入れ替わりも緩やかで、同じ人と長い時間関われるケースが多いです。

そのため、時間をかけてしっかりと信頼関係を築き、個別性を細やかに把握して、オーダーメイドの看護を提供できる魅力があります。

急性期病院で働いていた時とは違い、非常に長い期間をかけて看護をしますので、新しい発見や急性期病院では得られない経験ができるのも魅力の一つです。

5-4. 日勤メインで働ける

日勤メインで働けることは特養の看護師のメリットの一つです。

夜勤のある病棟勤務が辛い。。。家庭のこともあり夜勤が難しい。。

そんな看護師さんにはメリットの高い職場の一つと言えます。子育て世代のママさん看護師にもおすすめで、長く働きやすい職場でしょう。

ただし、夜間のオンコール担当がありますので、頻度や負担感を加味して判断することも大事です。


6. 特養で働く前に知っておくべき3つのポイント

特養看護師として働く上での大変さもあります。
実際に働いてから、「こんなはずではなかった。。。」なんて後悔しないためにも、知っておいてほしい特養看護師の大変なポイントを紹介します。

これから紹介する大変なポイントも受け入れられる方は、特養看護師にチャレンジしても良いかと思います。

看護師として特養で働く上での大変さには、以下の3つがあります。それぞれの内容を解説していきます。

・医療的な判断を担う責任

・介護職員との関係性に悩む

・夜間オンコールが精神的な負担

6-1. 医療的な判断を担う責任が重い

特養の入居者さんはご高齢で持病をもつ人が多いため、急変することや病気に罹患するリスクが高いです。

その時、特養の看護師は、正確かつ迅速に状況を把握して対応すると同時に、医師への報告や、場合によっては救急要請が必要かどうかを判断しなくてはなりません。

特養では医師の配置が常勤ではなく非常勤のため、基本的には不在のことが多いです。そのため、現場で何か起こった際には、医療的な判断する人は看護師となります。

そのような状況で、医療的な判断を全面的に担うというプレッシャーが辛いと感じる人は少なくありません。

6-2. 介護職員との関係性に悩む

特養看護師は介護職員との関係性に悩まされる場合があります。

看護師と介護職員の仲が悪いというのはよく耳にする話かと思います。実際に看護師である筆者の経験的にも、全ての職場ではないですが、そのような傾向が見られます。

看護師は介護職員と共に日常生活援助を行う間柄でありながらも、医療的な知識が看護師の方が圧倒的に多いため、看護師が指示を出し、それを受けた介護職員がその指示通りに動くといったことが起きてしまいがちです。

知らず知らずに「看護師>介護職員」というものが、看護師だけでなく介護職員にもできてしまい、ギスギスした関係になる傾向にあります。

本来、どちらとも役割が違うため上下関係はありません。病院で長く働いていた看護師は、知らず知らずに口調や言動から、介護職員にそういう印象を持たれることがあるので注意が必要です。

特養は、その大部分が介護職員で看護師の割合は少ないため、介護職員と上手く関係性を築いていけるかは非常に重要です。

6-3 夜間オンコールが精神的な負担

夜間オンコールが精神的に負担に感じることがあります。

3-2夜間オンコール体制 で、当番の頻度や、電話対応頻度、出勤頻度をご紹介しました。電話や出勤頻度は非常に少ないものの、当番頻度は平均は9.1回/月、15回以上も担当する施設が約15%もありました。

いつ電話があるかどうかをわからない状況でプライベート時間を過ごさなければならないというのは、精神的なストレスを感じることはあるでしょう。

手当は全て合算すると、1月あたり15,000~16,000円プラスにはなります。病院勤務での夜勤手当は、2交替の場合の1回あたり11,000円前後と言われています。

仕事内容が全く異なるため、単純な比較はできませんが、実際の負担感と見合うのかどうかは個人個人感じるところは違うかと思います。


7. 特養看護師に向いている人の4つの特徴

この章までに、特養看護師の特徴やメリット・大変さを解説してきました。ここまでくると、「自分に合っているかも」「働けるかも」と思われる方もいるかと思います。

この章ではさらに、特養で看護師として働くことが向いている人とはどのようなタイプなのかを解説します。

特養看護師に向いている人の4つの特徴は以下です。

・長期的な看護を実施したい人

・看護の実務経験をある程度している人

・他職種とコミュニケーションを取るのが得意な人

・ワークライフバランスを重視したい人

それでは解説していきます。

7-1. 長期的な看護を実践したい人

入居者さんに対して長期的な看護を実践したい人は向いています。

特養は終身施設のため、基本的に入居者さんは、お亡くなりになるまで退所することがなく、長い期間をかけて看護師として関わってケアをしていきます。特養で看取りをする場合も当然あります。

長い期間関わってきた入居者さんに最期の時まで寄り添っていたいケアしたい。そんな気持ちのある方は特養看護師に向いていると思います。

7-2. 看護の実務経験をある程度している人

特養の看護師は実務経験をある程度している人が向いています。

特養の入居者さんは医療処置が少ないとはいえ、様々な基礎疾患を持っていたり、2-2. 医師の指示による医療行為で紹介したような基本的な医療処置スキルは求められます。

また、入居者さんの急変に対応する場面も少なからずあります。特養は医師が常時いるわけではないため、最初の医療的な判断は看護師に求められます。

そういった場面での迅速な判断や行動は、ある程度の看護実務経験が必要です。

実務経験が少ない看護師でも教育を受けながら働くことは可能ですが、ある程度の経験者の方が向いていると言えるでしょう。

7-3. 多職種とコミュニケーションをとるのが得意な人

どんな人ともコミュニケーションをとれる、という人も特養看護師に向いています。

特養には、介護職員、機能訓練士、生活相談員、ケアマネージャ、栄養士といった様々な職種の方が働いています。より良いケアを実践するためには、職種間の連携が非常に大事です。

特に、介護職員が最も多く、仕事内容上、コミュニケーションをとる機会が最も多いかと思います。

6-2でも、介護職員との関係性で悩まれる方もいるため、上手にコミュニケーションを取れる能力は非常に大事です。

7-4. ワークライフバランスを重視したい人

特養看護師は夜勤もなく日勤帯の仕事がメインの仕事で規則正しい生活を送れます。残業も少ないため、ワークライフを重視したい人に向いています。子育てママさん世代の方にもおすすめです。


8. まとめ

特養に関する基礎知識から、特養看護師の役割・仕事内容、給料・待遇など、特養の看護師になる前に知っておいて欲しいことを全て解説してきました。

特養看護師は日勤メインの仕事で、突発的な仕事も少なく、落ち着いた形で仕事ができるのが魅力の一つです。

入居者さんの体調の変化に対して、医療的な判断や対応を看護師には求められますので、ある程度の実務経験がある方が向いています。

長期的な看護を実践したい人にとっては、とてもやりがいのある職場ですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!

 

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