特養看護師をやめたい時にとるべき対処法4選【おすすめ転職先紹介付き】
特養の看護師の仕事は日勤メインで、なおかつ、突発的な仕事も少ないため、落ち着いた形で仕事ができるのが魅力の一つです。
長い期間関わってきた入居者さんに最期の時まで寄り添っていたい看護ケアしたい。病院での短期的な関わりが多かった看護師の中には、そんな思い抱きながら、特養看護師に転職された方もいるのではないでしょうか。
一方、特養看護師に転職してみたはいいものの、自分には合ってないのではないかと悩む方もいるのではないでしょうか。
「このまま続けるべきなのか、辞めるべきなのか。。。」
「特養での看護師をした後の転職は上手くいくのか。。。」
この記事に興味を持った方は、実際に特養看護師を辞めたい気持ちはあるものの、さまざまな思いの中でどうすべきか悩まれているのではないでしょうか。
本記事では、そんなあなたのために、特養看護師が辞めたいと思う理由やその対処方法の紹介、どういう場合は辞めるべきか、辞める場合のおすすめ転職先について紹介していきます。全て読めば、今悩まれていることに対する答えを見つけることができるでしょう。
1 特養看護師が辞めたいと思う理由
特養看護師が直面する辞めたいと思う理由は以下です。
・医療的な判断を担う責任
・介護職員との関係性に悩む
・夜間オンコールが精神的な負担
・医療技術が上がりにくい
1-1. 医療的な判断を担う責任が重い
特養看護師が辞めたいと思う理由の一つに医療的な判断を担う責任の重さが挙げられます。
特養では医師の配置が常勤ではなく非常勤のため、基本的には多くの時間で医師は不在で、施設内の医療職は看護師のみになります。
そのため、現場で何か起こった際には、医療的な判断する人は看護師となります。
特養の入居者さんは、基本的に体調は安定しているものの、ご高齢で持病を抱えていますので、急変することもあります。特養の看護師は、正確かつ迅速に状況を把握して対応すると同時に、医師への報告や、場合によっては救急要請が必要かどうかを判断しなくてはなりません。
急変でなくても、日々の体調変化から異常を観察した際の対応も求められます。経過観察して良いものか、すぐに病院受診すべきものか、難しい判断を迫られることもあります。
また、異常があるのに見逃してしまった場合には、最悪の場合、ご入居さんの命に関わることもありえます。
筆者の経験では、ご自身で痛みなどを訴えられない寝たきりの入居者さんで、骨折の発見が遅れたケースがありました。
配置されている看護師も少ないため、一人あたりの看護師の責任の範囲は大きくなります。
そのような状況で、医療的な判断を全面的に担うというプレッシャーが辛いと感じる人は少なくありません。
1-2. 介護職員との関係性への悩み
介護職員との関係が上手くいかず、辞めたい気持ちになってしまうことがあります。
看護師と介護職員の仲が悪いというのはよく耳にする話かと思います。実際に看護師である筆者の経験的にも、全ての職場ではないですが、そのような傾向が見られます。
関係が険悪化していくと、看護師の視点で介護職員に改善提案をしても、「そんなのできるわけないでしょ」などと、聞く耳を持ってくれないような状況もあり得ます。
特養では、看護師が少数派でほとんどが介護職員です。介護職員と上手くできないことは、当然日々その職場で働くことにストレスを感じるでしょう。
1-3 夜間オンコールが精神的な負担
辞めたい理由の一つに、夜間オンコールの精神的な負担が挙げられます。
特養は日勤メインで働けます。病院で夜勤をされていた看護師の中には、その働き方に魅力を感じて特養看護師になった方もいるかと思います。
夜勤の代わりに、夜間オンコールを対応することも把握していたと思いますが、実際、経験してみないとその大変さはわからないものです。
2015年に日本看護協会が「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」をしており、その中のデータによると、電話や出勤頻度は非常に少ないものの、当番頻度は平均は9.1回/月、15回以上も担当する施設が約15%もありました。
いつ電話があるかどうかをわからない状況では、「気持ち的に休んでいる感じがしない」、「プライベートまで仕事をしている感じ」など、精神的なストレスを感じる方もいるかと思います。
夜間オンコールに関する手当は、待機手当、電話対応手当、出勤手当などあり、施設によって金額もその手当の有無も違います。平均的には、全て合算すると、1月あたり15,000~16,000円にはなるかと思います。
病院勤務での夜勤手当は、2交替の場合の1回あたり11,000円前後と言われています。
以前に病院で夜勤されていた方の中には、金額面と負担感を見比べてしまうこともあるでしょう。
1-4 看護師として医療技術が上がりにくい
看護師としての医療技術が上がりにくい環境であることも辞めたくなる理由の一つです。
特養での看護師の大きな役割の一つが入居者さんの健康管理です。特養の入居者さんは要介護度は高いものの、医療依存度についてはそれほど高くなく、高度な医療処置が必要な場面はほとんどなく、医療処置自体も頻度としては少ないでしょう。
2015年の日本看護協会の調査によると、特養で行われることが多い医療行為には、その割合が多い順に以下のようなものがあるとされています。
・褥瘡処置
・経管栄養法(胃ろうを含む)
・吸引(口腔・鼻腔・気管内のいずれか)
・尿道留置カテーテル
・インスリン療法
・人工肛門(ストーマ)
・末梢静脈注射(点滴など)
・酸素療法(HOT含む)
このように、看護師として基本的な医療処置は行いますが、病院で行うような、より高度な医療には、当然触れる機会がなく、その部分でのスキルアップは難しい環境かと思います。
実際に特養で働いてみて、やっぱり自分は医療処置が好きで、健康管理の業務だけでは物足りない、そんな風に思ってしまう方もいるのではないでしょうか。
そのようなタイプの看護師さんは、どうしてもやりがいを見出しにくい面があるでしょう。
2 特養看護師を辞めたい時に取るべき対処法
1章で特養看護師が辞めたいと思う理由を紹介しました。
一方で、今、この記事を読んでいる方は心のどこかで、辞めない方法も模索しているかと思います。
辞めて転職活動するのも、それなりにエネルギーが必要ですからね。
まずは、特養看護師としてこのまま頑張れるように、モチベーションを持ち直すことを考えてみましょう。
この章では、特養看護師を辞めたい時にまず取るべき対処法や考え方をご紹介します。
2-1 経験を積んで自信をつける
医療的な判断を全面的に担うというプレッシャーが辛いと感じる人は、多くが特養での経験が浅い場合かと思います。
いくら勉強をしていても、実践の場面では不安にはなるものです。
特養での経験が浅い看護師は、医療的な判断を求められるほとんどの場面で、「ほんとにこれでいいのだろうか。。。」と、自信がない場合が多いかと思います。そういった場面での判断は、いつも以上にストレスに感じるでしょう。
しかしながら、さまざまな場面を経験することで、似たような場面も多くなり、医療的な判断をする目安が自分の中で出てくると思います。
「これと似たような場面が前もあって、経過観察しても問題がなかった。。今回も、一旦は経過観察としよう。」
夜間オンコールが精神的な負担となっている場合も同じかと思います。オンコールの経験を積むことで、良くも悪くも慣れは出てきます。
このように、経験を積むことで、同じ場面でも自分が感じるストレスは違ってくるはずです。
短くて1年間、長くても3年間、特養の看護師として経験すれば、さまざまなケースへの対応は身に付くはずです。まだ、勤めて数ヶ月の方であれば、不安が解消されるか、少なくとも1年間頑張ってみてみるのはどうでしょうか。
2-2 介護職員との関係性に悩む方はまず自分の行動を見直してみよう。
介護職員との関係性に悩みがある場合は、相手側への改善ではなく、まずは自分の行動を見直すことをおすすめします。何が関係性を悪くしているのかを考えることが改善の第一歩です。
介護職員が嫌な看護師の特徴を以下に紹介します。
医療的な知識が看護師の方が圧倒的に多いため、看護師が指示を出し、それを受けた介護職員がその指示通りに動くといったことが起きてしまいがちです。
知らず知らずに「看護師>介護職員」というものが、看護師だけでなく介護職員にもできてしまい、ギスギスした関係になる傾向にあります。
本来、どちらとも役割が違うため上下関係はありません。病院で長く働いていた看護師は、知らず知らずに口調や言動から、介護職員にそういう印象を持たれることがあるので注意が必要です。
病院・医療の基準でのみ考えて介護職員に指導をしてしまうのは、病院で長く働いていた看護師が特養の看護師に転職した場合に、陥る失敗の一つです。病院・医療の基準は、病院の医療設備や、医師・看護師などの人員体制があって実現可能で、特養の現場では難しいことが多いです。
「病院ならこうする」
「こんなこと病院ではしない」
このような口癖をしている場合は注意が必要です。病院・医療での知識ややってきたことを活かしつつ、特養でのやり方も尊重しながらいくことも大事です。
介護職員の仕事を一切手伝わない、もしくは積極的に手伝おうとしない看護師は嫌われる傾向にあります。
特養の看護師も入居者さんの生活援助を行うことが仕事内容の一つです。看護師としての健康管理業務は大事ですが、1日中その業務を行うわけではないです。
介護職員が他の入居者さんの介助で忙しい時に、手の空いている看護師が手伝おうとしない、そういった行動の積み重ねは介護職員の不満となります。
今までの言動を振り返った時に、上記のようなことが当てはまらないか考えましょう。もし、少しでも身に覚えがあれば、すぐに改善し、介護職員に自分の方から、歩み寄るようにしましょう。
あなたが介護職員のことを尊重して行動しなければ、介護職員もあなたのことを尊重して、聞く耳を持ってくれないでしょう。
2-3 プライベート時間を充実させる
仕事でのストレスで辞めたい気持ちがあれば、仕事以外のプライベート時間を充実させて、リフレッシュしましょう。
例えば、読書や料理などの趣味の時間や、ご家族がいる場合はご家族と一緒に過ごせる時間をより大事にするなどが挙げられます。
特養の看護師としてのメリットの一つが、残業の少なさや身体的な負担が少ないなどの、働きやすさが挙げれます。働きやすい環境というメリットを活かして、プライベート時間を充実すれば、仕事で少し嫌なことやストレスを感じても続けられるのではないでしょうか?
2-4 研修へ積極的に参加しよう
医療技術が上がりにくいことを悩まれている場合は、外部の研修へ積極的に参加をしてみましょう。
特養の看護師は、比較的研修に参加する時間を作りやすいと思います。
なかなか現場での実践する機会は少ないかもしれませんが、日々研修などに参加して研鑽することで、医療技術が上がらないことへの不安は解消できるかと思います。
研修はさまざまありますが、日本看護協会が主催している研修に参加するのが最も間違いがないでしょう。昨今はオンラインでも研修ができるようになっています。
一昔前は、研修開催地が遠くであれば、宿泊をしなければならないなど、時間や交通費もかかったため、参加するハードルが人によっては高かったかと思います。
オンラインであれば、参加しやすいと思いますので、おすすめです。
施設によっては、研修費用も負担してくれるところあるため、施設の制度も活用しつつ積極的に参加してみるのはどうでしょうか。
3 特養看護師からの転職活動前にやるべきこと
2章までで続けるための対処法や考え方を知っても、やはり、特養看護師の仕事に慣れない、自分には適性がないという場合は、特養看護師をやめて、別分野に転職を考えましょう。
この章では特養看護師から転職する前にやるべき3つの心構えをお伝えします。
・特養看護師を辞める理由を明確にする
・特養看護師として得たスキル・経験を見直す
・急性期病院への転職する場合は教育体制が整っているところを重視
3-1 特養看護師を辞める理由を明確にする
転職活動の前に、特養看護師をなぜ辞めるのかを明確にしておきましょう。
そうすることで、自分の適性を再確認して、次に目指すべき転職先を絞ることができます。
例えば、医療技術を上げれないことが理由であれば、より高度な医療技術を上げるために急性期病院が候補になるでしょう。介護職員との関係性が悩みであれば、クリニックでの外来勤務などが候補になります。
一方で、辞める理由が曖昧な場合は、次の職場でも同じような失敗をする可能性が高くなります。失敗を単なる失敗と終わらせず、自分の適性を確認できるいいきっかけとすることが大事です。
3-2 特養看護師として得たスキル・経験を見直す
特養看護師として得たスキル・経験を見直してみることは大事です。
特養での看護師経歴が長い場合、「他の分野で自分は通用するのかなぁ。。」と不安になることも多いと思います。
しかしながら、特養での看護師としての経験は、あなたが思っている以上に他分野でも重宝されます。
例えば、特養の看護師として培った、長期的・継続的な看護、医師がいない中での医療的な判断、看取りケアなどは、他の分野ではなかなか経験ができないことです。
そういった経験・スキルは、老健などの他の施設勤務や在宅医療分野へ転職する際は、即戦力としても期待されます。
また、多くの急性期病院・回復期病院に勤めている看護師は、特養での入居さんの生活や状況をほとんどイメージできていません。特養で働いていた経験自体が貴重になります。
特養看護師として得たスキル・経験を見直して、自分の強みとして転職活動することで、きっと転職も上手くいくでしょう。
3-3 急性期病院への転職する場合は教育体制が整っているところを重視
急性期病院へ転職する場合は教育体制が整っているところを重視することも大事です。
3-2のように、特養の看護師は、その経験やスキル面を見ると、仕事内容や対象の方を比較した際に、老健などの他の施設勤務や在宅医療分野へ転職する際は、業務に慣れるのにそこまで苦労はしないでしょう。
看護師としての経歴の中で、特養での仕事が長い場合、急性期病棟で行うような看護処置や病気・治療などについては、それこそ一から勉強し直していく必要もでてきます。
教育や指導の体制が不足している病院などへ転職した場合、経験年数からできて当たり前と扱われ、内心できるか不安な看護業務もすぐに行わなければならない場合もあります。
周りの理解が乏しければ「こんなこともできないのか」などと揶揄されることも考えられます。
教育体制が整っている病院であれば、経験不足の看護師を受け入れる際も手厚く指導してもらえる可能性があります。
4 特養看護師からのおすすめ転職先
特養看護師からの転職先は、あなたが何をやりたいのかを第一に考えていることが一番だと思います。
とはいえ、悩んでいる方にとっては、参考までにおすすめの転職先は知っておきたいものかと思います。
特養の看護師に転職した方の多くは、日勤メインで働けるなどの働きやすさを重視された方も多いのではないでしょうか。
この章では、日勤中心に働ける看護師の職場の中で、特養看護師におすすめの転職先を紹介します。
4-1 デイサービス
日勤中心で夜勤・オンコールがないデイサービスはおすすめの一つです。
デイサービスは、何かしら介護・介助が必要な方が利用されています。対象になる方は、特養での入居者さんよりは、介護度が軽い傾向にあります。デイサービスでも、利用者さんの健康管理が主な仕事で、医療的な処置は特養より少ない傾向です。特養の看護師であれば、すぐに業務を行うことができます。
デイサービスに通われる利用者さんも、特養と同じで長い期間利用されますので、特養と同じように長期的に関わっていきたい人にはおすすめです。
一方で、デイサービスでも介護職員と仕事することになります。特養看護師から転職をする方の中には、介護職員との関係性に悩んで転職を決意した方もいるでしょう。そのため、介護職員とのコミュニケーションに不安がある方にはデイサービスはおすすめはできません。
4-2 外来看護師
クリニックでの外来看護師もおすすめの一つです。
勤務する曜日や時間が固定されている場合が多く、日勤のみの仕事で夜勤やオンコール対応もありません。
また、身体介助を伴う業務がほとんどないため、特養での働きやすさに近い形で働くことができます。
クリニックによっては、看護師が電話対応や掃除、備品の管理なども行わなくてはなりません。また、病院のように多くの看護師が在籍しているわけではないため、一人で多くの仕事をこなす必要があります。
特養からの転職で働きやすさ重視の方は外来看護師を検討するのも良いでしょう。
4-3 訪問看護師
特養看護師からの転職先として、訪問看護師になることをお勧めします。
訪問看護の対象者の多くは、特養での入居者さんと同じで、高齢で介護度が高い方です。その業務内容も行う医療処置も近しいものです。
特養の看護師として培った、長期的・継続的な看護、医師がいない中での医療的な判断、看取りケアなどは、正に訪問看護師として必要な経験やスキルに他なりません。
そのため、特養看護師からの転職先では一番おすすめです。
一方で、移動は都心部であれば電動自転車、それ以外であれば車での移動のステーションが多いため、特養看護師の時と比べて体力は必要になります。
また、ステーションによっては、特養の時と同じで夜間のオンコール対応をしなければなりません。
ステーションによってオンコール体制が異なりますので、特養での夜間オンコールが精神的な負担と感じていた方は、自分の許容範囲内の負担であるのか、転職時に担当する頻度や緊急訪問の頻度などを確認しておきましょう。
訪問看護に興味のある方は下記記事をご参照ください。
参考記事: 実際働いた私が訪問看護の仕事内容を病院と比較しながら徹底解説!
5 まとめ
特養看護師が辞めたいと思う理由や対処方法などについて紹介しました。
辞めたい理由としては、医療的な判断を担う責任が重いことや、介護職員との関係性、夜間オンコールの負担や医療技術への不安などが挙げられます。
日勤帯のみのおすすめの看護師の仕事では、特養看護師としての経験を活かせる訪問看護師などをおすすめします。
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