看護師と介護士は何が違う?業務内容や資格、給与まで違いを徹底解説

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看護師と介護士は何が違う?業務内容や資格、給与まで違いを徹底解説

「介護士」と「看護師」の違い、あなたは説明できるでしょうか?
現在、別の業界で働いていて、介護や看護の業界への興味から転職を考える方もいるかと思います。

「看護師」は病院に勤めている人で「介護士」は施設に勤めている人?

「看護師」は看護師免許、「介護士」はどんな資格?

などなど。。。

いざ、考えてみると、「介護士」と「看護師」のその明確な「違い」についてまで正しく理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

本項では、仕事内容や資格、平均給与、働ける場所などなど、看護師と介護士の違いについて解説していきます。

介護・看護の業界を目指す人や自身のキャリア形成について考えている人はぜひ参考にしてください。

採用情報

1 看護師と介護士の違いって?

看護師と介護士の違いはざまざまな点で異なっています。

下の表は、看護師と介護士の違いを示しています。 

看護師

介護士

資格

看護師免許が必須

不要

役割
業務内容

診療補助・療養上の世話など

身体介護・生活支援など

医療処置

可能

原則不可
(一部条件付き可能)

働ける場所

・病院・クリニック
・助産施設
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護付き有料老人ホーム
・訪問介護事業所
・デイサービス
・訪問看護ステーション
・保健所
・保育園
・企業     

など

・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護付き有料老人ホーム
・訪問介護事業所
・デイサービス

など

平均給与
(全国)

年収:約483万円
月収:約33.4万円

年収:約346万円
月収:約24.5万円

平均給与
介護福祉の職場

月収:約38.0万円

月収:約31.6万円

キャリアアップ
資格

保健師
助産師
認定看護師
専門看護師 
など

初任者研修
実務者研修
介護福祉士
社会福祉士
ケアマネージャ 
など

参照データ元:令和元年賃金構造基本統計調査
       令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

それでは、一つずつ説明していきます。

1-1 看護師は資格取得が必須。介護士は資格がなくてもできる。

看護師は資格を取得しないと看護師業務が行えませんが、介護士は特段資格がなくても介護士の業務を行うことができます。

介護士も介護福祉士と言われる資格があります。介護福祉士は介護実務で唯一の国家資格です。

介護福祉士の資格を取ると、1ヶ月の平均給与が約5万円程上がります。(出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況調査結果」

サービス提供責任者や生活相談員、チームリーダーなど事業所で配置が必要な役職については、介護福祉士の資格が必要なものもあるため、役職に就くことやキャリアップには必要な資格になります。

このように、多くの取得メリットはあるものの、介護福祉士の資格がなくて、介護士としての業務ができないわけではありません。

そのため、介護士になるハードルは、資格が必須の看護師と比較して低いことがわかります。

1-2 看護師は健康管理、介護士は身体介護・生活援助がメインの業務内容

看護師と介護士は業務内容が違います。

介護士の業務内容は、高齢者や障害を持っているご利用者さんが安心して生活を送れるようにサポートすることです。主には身体介護と生活援助になります。

身体介護
 食事や入浴、排せつ、着替え、移動など、利用者さんの身体に直接触れておこなう介助のこと。

生活援助
 掃除、洗濯、調理といった、利用者さんの身体には触れずにおこなう身の回りのお世話のこと。

その他にも、余暇活動のレクリエーションの提供、趣味などのサポートをすること。またご利用者さんのメンタル面をケアすることも介護職の仕事の一つです。

看護師の業務内容は、医師の診察や治療をサポートし患者の健康を守ることです。医師の指示に基づいて、患者の診療補助や入院生活の援助、看護をおこないます。

働く場所により業務内容は多少異なります。一般的な看護師が行う業務内容の例は以下です。

・問診

・バイタル測定

・点滴、注射、採血

・与薬

・患者さんの食事、排泄の補助

・患者さんの入浴介助

・療養相談 など

看護師も介護士が行う身体介護などは実施します。

看護師は医療的側面、介護士は介護的側面からサポートするという違いがあります。

1-2 看護師は医療行為が可能、介護士は医療行為が一部を除いて原則不可

看護師は医師の指示の元で医療行為ができますが、介護士は医療従事者ではないため、原則的に医療行為をおこなうことは許されていません。

一方で、介護の現場において医療行為に準じる働きをしなければならないケースが多くあるため、介護士による医療行為が一部解禁となっています。

以下は、保健師助産師看護師法などの法律によって医療行為と定められているものの、介護士が行って良いとされている処置です。

・耳掃除

・爪切り

・口腔ケア

・カテーテルの準備や体位の保持

・ストーマのパウチに溜まった排泄物の除去(肌に接着したパウチの取り換えはNG)

・市販の浣腸による浣腸

医療的ケアの研修を受けた介護士には下記の医療行為も認められています。

喀痰吸引・・・器具を使用して痰や唾液の排出を行うこと

経管栄養・・・自力で食事ができない人の胃や腸にチューブを挿入して栄養剤を注入すること

出典:厚生労働省 介護職員等によるたん吸引等の実施のための制度について

しかしながら、当然介護士ができないものもあります。
例えば、下記に医療行為については看護師しか行うことできません。

・インスリン注射

・摘便

・血糖測定

・点滴の管理

・床ずれ(褥瘡)の処置

このように看護師と介護士とでは医療行為に対する違いが存在します。

1-3 看護師は平均年収483万円、介護士は平均年収346万円

看護師の方が介護士よりも給料が高いです。
全国平均で見ると下記のようになっています。

介護士
平均年収 約346万円 平均月収 244,500円

看護師

平均年収 約483万円 平均月収 334,400円

出典:令和元年賃金構造基本統計調査
*介護士は福祉施設介護員として集計

年収でいうと100万円以上の大きな開きがあります。

一方で、給料は働く職場自体での違いもありますので、介護福祉関係の職場でその違いを見ることも大事かと思います。
介護士と看護師が働く介護福祉関係の職場においての給料について、を参照し比較すると、下記のようになります。

介護士
平均給与額 315,850円 (平均年齢43.9歳)

看護師
平均給与額 379,610円 (平均年齢50.9歳)

出典:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
*介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得した施設。常勤の月給比較。

全国平均と大きく違うのは、こちらのデータが常勤の職員を対象としているためと思います。

介護士と看護師は、対象の平均年齢が違うものの、月で約6万5千円ほどの開きがあります。単純に年収での差を考えると約80万ほど開きが出ます。

介護士の平均年収も増えつつありますが、それでも看護師との収入の差ははっきりしているようです。

1-4 看護師は認定看護師など、介護士は介護福祉士などがキャリアアップ資格

看護師、介護士ともにキャリアアップできる資格があります。

介護士の方は、無資格から始まった場合、初任者研修、実務者研修、介護福祉士と段階的にキャリアアップしていくと給料もそれに合わせて上がってきます。

また、社会福祉士やケアマネージャなど、介護士としての経験を生かしつつ、キャリアアップしていく方も多くいます。

一方の看護師の方は、看護師資格を持っていることでの取得できるキャリアアップ資格になります。また、学術的に看護の専門性を高める目的で、大学院で修士号や博士号を取られる方もいます。

1-5 看護師は医療介護分野・行政・企業など、介護士は介護分野などで働ける

看護師の方が介護士よりも働ける場所が多いです。

介護士が働けるところは、特別養護老人ホームやデイサービスなど、主に介護福祉分野になります。医療機関でも勤めることもできますが、そちらの場合は看護助手と呼ばれ、患者さんの介助など身の周りのお世話をします。

一方の看護師は、医療機関や介護福祉施設、行政機関、保育園、企業など、その専門性の高さから、様々な職場で働くことができます。

病院以外の勤め先についての例として、企業や保育園などは下記を参照いただけたらと思います。

参考URL:企業に勤めたい看護師必見!オススメ転職先と今日からできる転職準備
              保育園の看護師の役割や業務内容から悩み・対処方法まで徹底解説

介護士が働ける場所は、ほとんどが施設基準として看護師の配置が必要なので、必然的に看護師が働けることになります。働き方や働き場所について、幅広く選択肢を持ちたい方は看護師がおすすめです。


2 介護士より看護師を目指した方がいい

もし、あなたが介護士か看護師かどちらを目指した方がいいか悩まれているのであれば、私は看護師を目指した方がいいとおすすめします。

1章でもご紹介した通り、下記の点で看護師は介護士よりメリットがあります。

高い給料

多様な働ける場所

業務範囲の広さ

実際、私の経験的にも、介護士の方が看護師に転職したケースを何度か見てきました。同じ介護現場で、看護師の働く姿をみて憧れを持つことが多いようです。


3 看護師よりも介護士を目指した方が良いケース

介護士と看護師のどちらを目指すべきかは、断然看護師を目指した方が良いと前章でお伝えしました。
ですが、人によっては介護士を目指した方がいいケースもあるかと思います。

下記のことを考慮して判断した方が良いでしょう。

資格取得のために時間・費用がかかる

医療行為をする責任の重さ

看護師の方が勉強が大変

3-1 資格取得のために時間・費用がかかる

介護士は無資格で始められる一方、看護師は資格師を取得しないと業務を行えません。資格取得には時間と費用が必要です。

時間に関しては、看護専門学校、看護系大学など資格取得のルートがありますが、最短で3年はかかります。当然、その期間は働くことができません。

費用に関しては、ストレートで進学する方はそこまで悩まないと思いますが、中には別業種からの転職で目指したい方もいると思います。その場合、経済的な問題や時間の問題は、重要なことかと思います。

時間や費用の面で難しく、そこまで看護師を目指すメリットを感じていないのであれば、無資格からでも業務につける介護士を選択するのも良いかと思います。

3-2 医療行為をする責任の重さ

給与が介護士よりも高いのは、責任の重さの違いでもあります。

看護師は医療行為や医療に伴う判断を行うため責任は重くなります。

介護士も当然、人に携わる以上責任の大きい仕事ではありますが、医療行為に伴う責任はやはり看護師の方が重いです。

例えば、介護施設などでは、医師がいないため、利用者さんの体調が優れない場合の対応や、どうするべきかほ判断は介護士ではなく、先ずは看護師に委ねられます。時には、直ぐに救急車を呼ぶべき状態であることもあるでしょう。

そのような責任を負いたくない一方で、身体介助や生活支援で人の役に立ちたい方は、介護士を目指す方がよいかもしれません。

3-3 看護師の方が勉強が大変

看護師の方が勉強が大変です。

医療は日々進歩しており、勤める場所によっては、病気や治療法についての知識は常にアップデートする必要があります。

看護師として介護福祉施設で勤める場合は、医療機関と比較してそこまで勉強が大変ではありませんが、それでも勉強は必要になってきます。

看護師に限らず、介護士でも日々勉強する姿勢は大事になりますが、看護師の場合はよりそれが求められます。


4 看護師と介護士にまつわるQ&A

この章では、これまでの章ではお答えできなかった看護師と介護士にまつわる疑問をQ&Aでお答えしていきます。

Q1看護師と介護士って同じ職場でも格差があるんですか?
A給与面から格差を感じることはあります。

看護師も利用者さんの介助などのケアをすることより、介護士としては同じ仕事も担っている反面、給与が異なることでそのように感じてしまうこともあるかもしれません。

一方で、医療や介護はチームで行われ、それぞれが役割を持って尊重して働くことが重要で、そこに上も下もありません。

Q2看護師から介護士を目指すことはありますか?
Aまずありません。

介護士の方が看護師を目指すケースはありますが、逆のケースはまずないでしょう。ですが、人によっては看護師の資格を持ちつつ、介護士の仕事だけをしたい方はそのように雇用されているケースはあるかと思います。

Q3介護士にできて看護師にできないことってある?
A基本的にはありません。

介護士の業務は、業務独占ではありません。業務独占とは、資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができることを指します。資格がなくてもできる介護士の業務で、看護師ができない業務はありません。

Q4介護士と看護師の関係性は悪い?
A職場の風土によります。

一部の看護師は、「看護師は介護士より上」という意識を持ち、そういった誤った意識が言動に現れてしまうことで、関係が悪くなるケースがあるようです。また、介護士も医療的な看護師の指摘を受け入れない、といった現場もあるようです。

看護師と介護士に限った話ではないですが、どの職種が偉い、とかではなく、それぞれの役割があってお互いの意見を尊重していくことが、どの職場でも大事です。そういった風土がない職場では、関係性が悪い傾向にあります。


5 まとめ

看護師と介護士の違いについて解説してきました。

看護師は医療的側面、介護士は介護的側面での業務内容という違いがあります。

資格の違いや給与面など違いがあります。給料や働ける場所、業務範囲の広さから、どちらを目指すべきか悩めれているのあれば、看護師をお勧めします。本記事を参考に介護・看護の業界を目指す人や自身のキャリア形成について考えて頂ければ幸いです。

 

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