皮膚排泄ケア認定看護師の知るべき仕事内容とおススメ就業先3選

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皮膚排泄ケア認定看護師の知るべき仕事内容とおススメ就業先3選

皮膚排泄ケア認定看護師をWOCと呼びます。

意味はW=Woundで創傷、O=Ostomyでストーマ(人工肛門、人口膀胱)、C=Continenceで排便・排尿の調節機能を回複することを指します。

1997年に認定がスタートしましたが、数ある認定看護師のなかでも救急看護と並んで最も歴史のある認定資格です。

創傷や褥瘡の看護では、エアマットレスだけに頼らず、褥瘡予防に必要な体位変換や体位調整、ずれを取り除くケア、スキンケアなどを行います。スキンケアでは、治療にあわせて、皮膚を清潔にする、保湿剤を塗布するといったケアを実践します。

ストーマ含む排泄ケアでは人工肛門や人工膀胱で今までの排泄経路と違った新しい排泄経路が腹部につくられる衝撃やショックが大きいものです。身体の機能低下や排泄障害で社会生活を制限しないように苦痛を取り除き、尊厳を保ち、生きる意欲や人間らしさを取り戻すための生涯にわたる専門的な看護を提供します。

<参考:一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会>

採用情報

1 皮膚排泄ケア認定看護師は皮膚・排泄ケアのエキスパート!

元々、皮膚排泄ケア認定看護師の前身としてETナース(※)という資格があり、人工肛門や人工膀胱などのストーマ保有者を専門的にケアを行っていました。その後認定看護師制度が始まり、皮膚のケアや排泄ケアのスペシャリストとして皮膚排泄ケア認定看護師となりました。まずは仕事内容から説明していきます。

1-1 褥瘡管理では家族の指導だけでなく、看護師の指導を行いつつ、重症患者のケアに務めます!

皮膚排泄ケア認定看護師の褥瘡ケアと一般看護師の行うケアの違いは大きく分けると3つになります。

  • 褥瘡などの創傷に伴って生じる問題に対して、専門的な技術を用いて質の高い看護を提供
  • 患者・家族・医療者に対して指導や相談を行う
  • 患者の問題解決に向けて、他の医療チームメンバーと情報交換を行い、相談調整を行う

その上で、難治性褥瘡患者の管理方法の相談(創の洗浄・局所アセスメント・創傷被覆材等の選択・体位変換・ポジショニングの方法など)や褥瘡ハイリスクケア患者のケア計画立案や重症褥瘡患者のケアの実践を主に行います。

また褥瘡管理チームのメインメンバーとなり、ケア方針を打ち出すことが大事な役割になります。

1-2 ストマ管理は皮膚排泄ケア認定看護師のスペシャリティな指導が必要!

ストーマケアでは術前・術後・回復期にかけて皮膚排泄ケア認定看護師はサポートしていきます。特にストーマは身体的・精神的な変化が激しい為、造設リスクのある患者さんには術前からヒアリングやオリエンテーションが重要な役割になります。

造設後は創状態に合わせてパウチの選定やスキンケアを実施します。術後1週間は皮膚トラブルも発生することが多く、病棟看護師と連携してケアに当たります。患者さんの心理面を考慮しながら徐々にセルフケア指導を実施します。退院直前にはストーマ外来を案内して、退院後のケアも併せて行います。病態に合わせて、入浴方法や食事指導、外出や旅行での注意点なども説明します。

<参考:公益社団法人日本オストミー協会>

※ストーマとは手術によっておなかに新しく作られた、便や尿の排泄の出口のことを言います。ストーマには、人工肛門や人工膀胱の種類があります。何か特別な機械を使い管理するのではなく、自分の腸や尿管を直接おなかの外に出して、便や尿の新しい排泄の管理になります。

1-3 排泄調節を行う皮膚排泄ケア認定看護師の存在は大きな意味を持つ

排泄調整は人間が生活する上でとても重要な部分になります。皮膚排泄ケア認定看護師の仕事は褥瘡とストマケアに意識が行きがちですが、病気や手術後に発生する失禁に対する排泄管理、失禁による皮膚のかぶれなどの改善と予防が大切になります。

生活習慣や食生活などから指導を行います。

女性に多い失禁や夜間の頻尿なども皮膚排泄ケア認定看護師がアドバイスを行います。

また、排泄に関わる分野は非常にデリケートで、患者さんが自身の疾患を受け入れるまでには様々な過程があります。そんな患者さんに寄り添い、患者さんが排泄ケアを自身の生活の一部として確立するための手助けをする、皮膚排泄ケア認定看護師の存在は大きな意味を持ちます。

1-4 皮膚排泄ケア認定看護師はETナースから始まった

皮膚排泄ケア認定看護師の前身としてETナース(※)という資格がありました。ETナースは、人工肛門や人工膀胱などのストーマ保有者を専門的にケアする看護師です。

ストーマの周囲の皮膚は、排泄物や消化液によって皮膚障害が生じることが多く、ETナースは必然的に、皮膚ケア技術が必要になりました。その知見は、褥瘡などの創傷ケアにも応用できることがわかり、ETナースの業務内容は広がる結果となりました。

その後「創傷・オストミー・失禁看護」という専門分野が確立し、一般にもわかりやすい「皮膚・排泄ケア」という呼称で定着するようになりました。

※ETナース:enterostomal therapyの略称で、人工肛門・人工膀胱に関する看護の専門教育を受けた看護師


2 皮膚排泄ケア認定看護師におススメの働き方

皮膚排泄ケア認定看護師は1章で述べたように役割は多岐に渡ります。

言わずと知れた褥瘡ケア、スペシャリティが求められるストマケア、生理的機能で大事な排泄調整をサポートすると共に指導的立場でもあります。またストーマ外来での病院の顔になったり、訪問看護という新たな分野での活躍も望まれています。

2-1 専門職としてWOC外来のある病院やクリニック

一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページによると、現在ストーマ外来は全国に681病院(2019年10月15日現在)登録されています。ストーマ外来は、ストーマ造設を必要とする患者さんおよび造設術後の患者(オストメイト)を対象に、皮膚排泄ケア認定看護師が主導して、医師や他種職と連携して、専門的な知識に基づく技術や知識を提供し、生活に伴う症状の改善や自己管理の支援等を行う外来です。

主な仕事としては以下になります。

・術前ケア(ストーマの説明、マーキング)

・退院後の定期検診

・セルフケア指導(自然排便法、装具交換方法、スキンケア方法、ドレーン管理など)

・装具、ストーマケア用品の情報提供と選択

・ストーマの合併症予防、ストーマ周囲のスキントラブルへの対処

・日常生活指導

・排尿、性機能障害の相談および関連科への紹介

・社会保障の手続き・相談

・患者会の紹介

・通院困難なオストメイトに対しては、訪問看護の紹介と連携、開業医との連携

看護師として外来を持たせてくれる病院はまだ少ないので、自身の働き方の一つになります。

※オストメイトとはストーマ保有患者さんを指します。

2-2 皮膚排泄ケア認定看護師のいる病院での就業

2017年時点で、皮膚排泄ケア認定看護師の登録者数は感染管理に次ぐ多さで、2000名を超えています。

認定看護師就業先

<出典:公益社団法人 日本看護協会>

活躍の場が多くなっているのが実態です。しかし、皮膚排泄ケア認定看護師のいる病院に複数名在籍する病院はまだまだ少ない状況です。皮膚排泄ケア認定看護師の役割は特に多岐にわたるケースが少なくなく、看護師に頼られる存在になります。そのため、自身一人では責務も重くなります。また、病院自体が認定看護師の雇用経験があるのと、ないのでは働き方が違います。そのため、新しい部署や、その病院初めての皮膚排泄ケア認定看護師という存在ではなく、先輩看護師が存在する病院での就業をおススメします。

2-3 活躍の場を地域へと!訪問看護師での働き方

2017年時点で、認定看護師の就業先は病院がほとんどで、訪問看護は3.4%のみです。

認定看護師の就業先

<出典:公益社団法人 日本看護協会>

皮膚排泄認定看護師が在宅の場で活躍する機会は実は増えていて、国もバックアップや報酬単価を上げています。平成24年度の診療報酬改定で「人工肛門若しくは人工膀胱を造設している者で管理が困難な者」に対する皮膚排泄認定看護師による訪問での算定ができるようになりました。褥瘡患者さんでも算定が可能になっています。病院とは異なり在宅での管理は非常に困難になります。地域での需要も高まり、必要性や働きがいもUPする市場になるのでおススメになります。


3 まとめ

皮膚排泄認定看護師は、多くの患者さんが悩む褥瘡ケア、スペシャリティが求められるストマケア、生理的機能で大事な排泄調整をサポートする役割を担います。

同時に院内での指導的立場となり、看護師に教育を行う場面が多くなっています。認定看護師の中で2番目に人気もあり、需要もある資格になります。病院内だけでなく、在宅の場にも活躍の場を広げる皮膚排泄ケア認定看護師の目指す方の希望や、参考になれば嬉しく思います。

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